2024年度一般会計補正予算に反対討論,山本議員
2024.12.11
日本共産党議員団は、議第190号2024年度一般会計補正予算に反対の態度を表明しています。私は、議員団を代表し理由を述べ討論します。
まず、消防署職員を含む京都市職員の給与について月例給2.23%、期末勤勉手当0.1月を引き上げ、また教員については京都府の教員の給与水準との均衡を踏まえ月例給を3.25%引き上げるための50億6700万円は、人事委員会勧告を踏まえ、民間準拠で昨年から大幅に増額改定となるものであり、物価高騰に対応する賃上げを実施していくために是非とも必要であり賛成します。190号の給与改定分については必要であることを重ねて表明するものです。
一方、全員制中学校給食の実施に係る給食センター整備事業について、令和7年度から25年度までの446億7000万円の債務負担行為の設定は、巨大給食センター工場をPFI手法で、設計・建設・運営することで、子ども達にとって、食育や食の安全、質の確保を担保できない懸念があるにもかかわらず、押し進めていくものであり極めて重大であります。190号に反対する理由はその点にあります。
学校給食衛生管理基準と大量調理施設衛生管理マニュアルは、「食中毒を予防するために、調理後の食品は適切な温度管理を行い、調理後2時間以内に喫食することが望ましい」とされています。食の安全を約束するなら、2時間以内の喫食が必ず守られる実施方式であることは必須の条件です。しかしながら、代表質問でも明らかにしたように、他都市の大規模給食センターでは、喫食までに3時間半以上もかかっている所が複数存在し、それが常態化している事実があることは看過できないのではないですか。京都市は、大規模な食数・学校数で、かつ広範囲の実施であり、2時間喫食を守れないリスクは全く払しょくされていません。教育委員会は、その重要性を認識しながら、「2時間以内の喫食に努める」と言うだけで、さらに「2時間喫食が守られないと罰則や保健所からの処分があるというものではなく、『望ましい』と示しているもの」と、言い分を後退させており、懸念は増すばかりであります。
また、食育の要である栄養教諭は、巨大給食センターでは48校分でも6000食以上で3人の配置になるところ、教育委員会は「少なくとも6名くらいは必要」と答えました。しかし、それでも月に数回しか巡回できず、どれだけ子ども達の食の課題に対応することができるのか。栄養教諭が少なくても給食センターに見学ルートを設置することで食育は行えるとする発想が、人とのかかわりで育まれる子どもたちの豊かな育ちを軽視するものであり、せめて小学校と同様の栄養教諭の配置は必須です。
さらに、コストについて、民間調理場13校5500食の委託費は15年で100億円ものランニングコストがかかることが判明しました。給食センターの債務負担行為446億7千万円と合計すると547億円にもなります。当初長大が出したセンター方式の総事業費の見込み441億円をかなり上回るものであり、そうであるなら、中学校から中学校へ運ぶ兄弟方式での検討もするべきではありませんか。学校調理の実施検討が不十分であることは禍根を残すことになります。
ほかにも、大規模化で地産地消の食材調達が困難になる懸念や、地域ごとの特色ある給食が実施できないこと、また何十台もの配送トラックによる環境や交通への懸念などなど、PFI手法による巨大給食センター工場が、子ども達にとって、食育や食の安全、質の確保を担保できない懸念は、さらに増大するばかりです。子ども達の未来によりより給食を実施できたと言えるためにも、このような問題のある事業は見直し、兄弟方式を含む学校調理の全員制中学校給食にすべきである、ということを申し述べて討論といたします。