2023年度一般会計決算等に反対討論,北山議員
2024.11.06
日本共産党市会議員団は、報第2号2023年度一般会計決算、報第4号、報第5号、報第6号、報第7号、報第14号、報第15号、報第16号の8件については認定せず、報第17号地下鉄事業については認定するとの態度を表明していますので、私は議員団を代表して理由を申し述べます。
今決算年度は前市長の下で作成された、門川「行革」集中改革期間最終年度の決算ですが、決算をどう評価するのかという点で松井市長の政治姿勢が問われました。
反対する第一の理由は、連続する物価高騰で疲弊する市民生活や市内中小企業への応援施策が乏しく、敬老乗車証の本人負担3倍化や保育園補助金削減など市民生活に多大な負担を押し付ける路線を進め、疲弊する京都経済をさらに困難にした決算だからです。京都市内の総生産6兆円のうち家計消費が3兆6千億円で6割が家計消費です。家計消費を温めることなしに京都経済はよくなりません。当年度88億円、その前は77億円の黒字ですから、前市長の行財政改革計画を見直し財政負担を口実にした市民負担押し付け撤回こそ今求められています。
とりわけ子育て支援の遅れや若者流出対策に特徴が出ています。子どもの医療費無料化は小学校卒業までに拡大されましたが、「18歳まで無料化」が全国の流れであり早急な実施が求められます。全員制の中学校給食について、早期実施を求める運動が大きく広がる中で実施を決断されましたが、巨大給食工場のセンター方式に固執し子どもと保護者の期待に反しています。また、給食費無償化が全国の自治体の4割まで広がる中、京都市は実施しようとしていません。若者の流出が大問題となっている問題でも住民の声を聞くことなく、建物の高さ規制緩和等の開発頼みで解消しようとしていますが、それで、若い世代の人口流出が止まるとは考えられません。子どもの医療費・学校給食費の2つの無償化と、早急な保育料の軽減こそが必要です。ところが、市長総括質疑で市長は、「門川行革は苦渋の決断」「敬意を払うべき」「元に戻す立場にない」と述べ、市民の暮らしの実態や中小企業の窮状に寄り添わないものと言わざるを得ません。年金も上がらず、「失われた30年」に示された賃金の上がらない社会、国保料や介護保険料の増大など社会保障の後退している事態に対して、「景気は緩やかに回復している」との認識で家計を温める施策を打つこともない姿も重大であることを指摘しておきます。
第二の理由は社会保障の充実に背を向けていることです。
国民健康保険料は高すぎます。2023年度及び2024年度の保険料率は据え置かれましたが、次年度は引き上げを公言されているのは大問題です。すでに国保料の負担は限界にきていることを認識すべきです。高すぎる国保料の引き下げが求められます。マイナ保険証への誘導は市民を不安にさせています。現行の保険証の廃止はやめるべきです。また、「資格確認書」は被保険者全員に発行し、国民皆保険制度を守るべきです。介護保険料についても値上げがされ、訪問介護の介護報酬が引き下げられて事業所廃止が大問題になっていますが、理事者は「全国一律の制度で持続的運営のために仕方ない」「京都市に影響が出ていない」との危機感のない姿勢は改めるべきです。
年金制度についても現在の支給水準では物価高騰にも追い付かず、高齢者の暮らしを支えるものとなっていません。国に対して市民の声をしっかりと届けることを求めておきます。
敬老乗車証制度についても、2023年10月から本人負担の3倍化や、段階的に75歳交付にし、総所得700万円以上の方には交付しないという制度に改悪して根本から壊すことにしてしまいました。市長は敬老乗車証を学生通学定期と比べて、高齢者を厚遇していると述べられましたがとんでもありません。通勤や通学定期券と、福祉の制度と混同すべきではありません。敬老乗車証は健康効果、環境効果、経済効果に加えて公共交通の経営安定にも役立っています。お医者さんに行ったり、お買い物に行くこと、社会参加など移動することを保障するのが国や自治体の責任です。すべての世代の社会保障を充実することこそ行政の仕事ではありませんか。制度創設時の「生きがい対策」としての制度に、当面2021年度基準にもどすことを強く求めるものです。
第三の理由は、国と一体で大型開発行政を推進していることです。
市長は、市政点検結果の反省すべき点として「過小な投資」を挙げ、170億円の投資的経費の上限を見直して、京都駅新橋上駅舎・自由通路、鴨川東岸線第三工区、など大型公共事業を推進することを述べています。総額5兆3千億円ともいわれる北陸新幹線京都延伸計画や国道1号・9号バイパスなどムダと環境破壊の大型開発を推進されようとしています。財政面でもこれこそ将来世代に負担を先送りするものです。今なすべきことは、このような大型事業ではなく、市営住宅の支援や京都経済の支援、能登半島地震支援ではないですか。西京区の「洛西”SAIKO”プロジェクト」や「meetus山科―醍醐」の計画が発表されていますが、規制緩和や大型開発に頼るのではなく、住民との合意を大切にした街づくりこそ求められます。
2023年4月・11月に行われた規制緩和は、開発資本の利益を増やすだけであり、地価上昇による開発圧力で住民が住みにくくなります。過剰な規制緩和や税財政優遇に頼った首都圏企業や海外企業誘致よりも、既存の中小業者の手当てこそ必要です。
次に公営企業決算について述べます。市バスはコロナ5類移行以来乗客の増加がすすんでいますが運転手不足や諸経費の増加などの課題があります。バス運転手は運転業務の厳しさや労働時間が全産業より年間200時間も多く、賃金は50万円も下回っています。給与表の5表をもとの1表に戻すことや、独立採算制を変えるよう国に求め、「任意の繰り入れ」を確保するよう強く求めるものです。水道・下水道も水需要の減少という厳しい環境にあります。「根幹業務は守る」と言いながら民間委託をどんどん進め、民間に道を開く広域化を進める態度は、自治体水道事業と相いれない方向です。厳しい市民生活や京都経済を支える為の福祉減免制度を一貫して拒否する態度は転換することが必要です。
地下鉄事業は運賃値上げ回避を示し、女子トイレへの生理用品整備推進し、転落防止柵の全駅設置に前向きに努力する旨を示しており認定します。
以上をもって討論といたします。ご清聴ありがとうございました。