日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

大阪・関西万博の中止を,意見書について討論,くらた議員

2024.06.20

 日本共産党議員団は「大阪・関西万博の中止を求める」意見書を提案し賛成の態度を表明しています。わたしは議員団を代表し、その理由を述べ討論を行います。

 中止すべき第1の理由は、税金を際限なく注ぎ込む事業であるからです。世論調査でも「事業費増額は納得できない」が7割に上っています。すでに判明しているだけでも、万博会場の建設費は、当初計画の1250億円が1850億円になり、さらに2350億円へと、倍近くに膨れ上がっています。その後も、これにとどまらない費用負担が必要となっています。工事を巡っては、会場の人工島・夢洲は水道や電気などのインフラが未整備で、照明や電源が必要な工具には発電機を使い、セメントをこねる水は給水車で運ぶなど、大変な難工事となっており、さらなる工事費の膨張も予想されます。

 また、会場建設費とは別に、「日本館」に360億円、警備費に199億円、発展途上国の出展支援に40億円、全国的機運醸成に38億円など、合わせて837億円もの国費を投入することが明らかとされてきました。これだけでなく関連経費は13兆円となるなど税金を果てしなく注ぎ込む事業に国民の不信は広がるばかりです。

 中止すべき第2の理由は、開催予定地の構造的欠陥と問題の重大性があるからです。「夢洲」は、建設残土や廃棄物の処分場として整備されてきた埋立地であるため、軟弱地盤のうえ、土壌にはダイオキシンやヒ素、PCBなどが含まれ、地震などの際には汚染物質が染み出す恐れも指摘されてきました。3月28日に夢洲1区の建設現場で溶接作業中の火花がメタンガスに引火する爆発事故が発生しましたが、この事故の原因となったメタンガスは、パビリオンなどの建設が計画されている夢洲2区・3区のメイン会場区域でも発生しており、同様のガス爆発が起こる可能性は否定できません。こうした現場で、これまでにまともなガス対策も行わず、避難計画も策定しないまま建設作業を行わせていることは人命軽視と言わざるをえません。大阪市民ネットワーク代表者は上下水道の整備が不明であり、開催時期は食中毒も多く、会場内に感染症の媒介となる蚊など生息しやすい環境があることや、レストランにおける食品衛生など安全にかかわる問題を指摘しています。また、大阪府保険医協会副理事長は、子どもや高齢者の熱中症・感染症対策の必要性を説き「命を守るテーマにふさわしい医療救護対策なのか追及すべき」と言及しています。このような危険性が明らかである場所へ、子どもたちを動員することなど断じて許されません。

 中止すべき第3の理由は、建設資材が高騰し、建設労働者の確保も厳しい中、優先すべき事業が間違っているからです。1月1日に発災した能登半島地震では、半年が経過するいまも、住居の再建や下水道の復旧も遅れています。この能登被災地の復興支援こそ優先すべきではないのかと国民の強い怒りの声が挙がっています。報道によると、海外パビリオンの建設は6月13日現在、52カ国中31カ国が着工、12カ国は建設業者が未定となっています。今後工事の遅れを取り戻さんとして現場に相当な無理が強いられていくことの懸念もあります。そもそも、大阪・関西万博は、アメリカのカジノ産業を誘致するためのインフラ整備に税金を投入するための事業であります。カジノは人の不幸の上に成り立つビジネスであり、実態経済と社会に悪い影響を与えます。その賭博会場の設置のために莫大な税金を注ぎ込み、国民を巻き込む一方、被災者の命と暮らしを顧みない政治の在り方は転換するべきです。

 以上、国に対して大阪・関西万博を中止することを求める意見書への同僚議員のみなさんの賛同を求めまして、わたくしの討論といたします。ご清聴、ありがとうございました。