日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

原発からの撤退を明確にせよ,意見書について討論,とがし議員

2024.06.20

 日本共産党京都市会議員団は「原子力発電からの撤退を明確にすることを求める意見書(案)」を提案しており、賛成の態度を表明いたしておりますので、その理由を述べます。

 2021年に閣議決定されたエネルギー基本計画では「東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて、エネルギー政策の再出発を図っていくことが今回のエネルギー基本計画の見直しの原点」と述べていました。「『安全神話』に陥って悲惨な事態を防ぐことができなかったという反省を一時たりとも忘れてはならない」と言いながら、当時、原発を全廃する決断をしなかったことは極めて不十分でありますが、それでも「可能な限り原発依存度を低減する」とした方針には一定の反省の念が含まれていたと考えられます。放射性物質を封じ込める「5重の壁」による防御により安全とした電力会社の主張が「安全神話」に過ぎず、その慢心が重大な事故を引き起こしたという反省があったのではないでしょうか。

 ところが、政府は翌2022年、国民に問わないまま、原子力発電を「最大限活用する」という方針へ急転換しました。しかも、放射性廃棄物を大量に排出する原子力発電所をクリーンなエネルギーと称して、2023年には新増設や老朽原発の60年超の運転を可能にすることを盛り込んだ「GX推進戦略」を閣議決定し、その方針転換を、そのまま次期エネルギー基本計画に盛り込もうとしています。

 しかしながら、元日の能登半島地震によって、多くの箇所で道路の寸断、建物の倒壊が発生し、当初、志賀原発で過酷事故が起こったことに備えて作っていた避難計画は、屋内退避を含むあらゆる面で机上の空論であったことが露呈しました。志賀原発は停止中だったものの今回の地震で変圧器損傷、油漏れが発生し、外部電源が一部使えず、想定外のトラブルが続出しました。原発が動いていたらメルトダウンという最悪の事態が起こりえたのではないかという指摘に、原子力規制委員長は「可能性は否定しない」と国会答弁で認めました。過酷事故がおこり、避難経路も絶たれ、東京電力福島第一原発事故以上の悲惨な事態になりかねなかったという点で、重要な教訓として受け止めるべきです。世界有数の地震国・津波国である日本で、原発を稼働させることがどれほど危険か、改めて示されました。気候危機打開への道は、このような危険な発電方法は除外して進むべきであり、少なくない研究機関・環境団体からも同様の提言とロードマップが出されています。政府が、「東京電力福島第一原発の事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ」るというのならば、いよいよ原発からの撤退を明確にすべきではないでしょうか。

 関西電力管内では、2023年7月に日本最古の老朽原発である高浜1号機、9月には日本で2番目に古い高浜2号機が再稼働されるなど、すでに7機の原子力発電所が稼働し、さらに、5月には、原子力規制委員会が、稼働から38年・39年たつ高浜3・4号機についても、さらに20年間の運転延長を認可するにいたっています。従来の原発事故のリスクに加え、老朽原発を稼働させることによるリスクも加わり、その意味では、当時の東京電力福島第一原発よりも極めて危険な状況にあるといわざるを得ません。

 本市会においては、あの東京電力福島第一原発事故の直後に「原子力発電に依存しない、持続可能で安心安全な電力供給体制を1日も早く実現していく必要がある」とした京都市会決議を可決しておりますが、その趣旨にも反する事態ではないでしょうか。

 よって、国におかれては、原発からの撤退を明確にするため、第一に、原子力発電について、現在策定中のエネルギー基本計画においても、再稼働、運転延長、新増設・リプレースや新型炉の開発をやめること。第二に、既存の原発は期限を定めて廃止し、とりわけ、40年超の原発の運転は認めないこと。第三に、原発が存在する間の避難計画なども実効性あるものに見直すこと。以上三点について、早急に取り組まれることを求めるものです。

 同僚議員の賛同を求めて、討論とします。