パーティー券の購入を含む企業団体献金の全面禁止を,意見書について討論,山田議員
2024.06.20
日本共産党市会議員団は「パーティー券の購入を含む企業団体献金の全面禁止を求める意見書(案)」を提案していますので、その理由を述べ討論します。
しんぶん赤旗日曜版が自民党主要派閥の政治資金パーティー券の不記載問題をスクープしたのは、2022年11月のことでした。上脇博之神戸学院大学教授の告発によって、検察が動き出し、自民党ぐるみの裏金づくりという組織的犯罪行為を暴きだし、政界を揺るがす一大疑獄事件となりました。
しかし、今般成立した、政治資金規正法改定は抜け穴だらけです。企業団体献金や政治資金パーティーの全面禁止といった、国民の要望する抜本的な政治改革には一切踏み込まず、政策活動費や公開基準額の温存で「ブラックボックス」を残すものであり、「政治とカネ」の問題の解決に全く繋がらないものであります。
世論調査では岸田文雄首相の裏金問題の対応について「評価しない」は83%、自民案が再発防止に「効果がない」は77%に上ります。
政策活動費に関して、政治資金収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除して法定化し、合法化を図るものとなっており、「政治とカネ」の問題との決別からはむしろ逆行しています。維新の会が求めた、領収書の公開についても、公訴時効が経過した後である10年後の公開とされ、公開の内容などは「今後の協議」と先送りされています。政治資金規正法の時効は5年、会計帳簿、明細書及び領収書等の支出を証明する書面の保存期間は3年であり公開される保証はありません。違法行為を行っても刑事処罰から逃れられる仕組みとなっていることは重大です。党首同士が合意文書を交わし、衆議院で自民党案に賛成した維新の会の責任も重大です。
そもそも、政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の流れを明確にすることです。ところが改正案では、資金使途について「企業秘密」「プライバシー」等を口実に公開を不要としており、政治資金規正法の趣旨に反するものとなっており、国民は怒っています。仮に、事業者が税務調査において、経費の支払いを「企業秘密だ」「プライバシーだ」と領収証などの支払いの明細の提出を拒めば経費は否認され、過少申告加算税などの罰則が課せられるではありませんか。
パーティー券購入者の公開基準額を「20万円超」から「5万円超」に引き下げるとしますが、複数回開催したり複数人で分担購入すればこれまでと変わらず実質非公開となります。施行は2027年1月1日からで、その間は従来通り「20万円超」のままであります。
企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂性があり、営利を目的とする企業は金を出せば見返りを期待します。選挙権を持たない企業が巨大な資金で政治に影響力を行使し、金の力で政治をゆがめることは国民の権利である参政権の侵害であります。
消費税導入も税率アップも、献金を背景にした財界の強い求めによるものです。1986年、経団連は「行財政改革と税制の根本改革について―中間報告と提言」を取りまとめました。「所得税体系の是正、法人税負担の適正化」として両者の減税を求め、財源として「課税ベースの広い間接税導入」を検討するとしました。この提言を受けて自民党が89年に消費税3%で導入し、その後増税が繰り返され10%となっています。同じ時期、大企業の法人税は40%から23.2%へ引き下げられ、所得税の累進性も緩和され、高額所得者の最高税率は、75%から45%に引き下げられています。35年間に国民が納めた消費税累計は539兆円。法人税、法人市民税、法人事業性の減税累計は318兆円、所得税・住民税の減税累計は295兆円です。富の再配分機能がゆがめられ、負担能力のある大企業や高額所得者の減税を行いながら、所得の低い人ほど負担が重くなる消費税の増税で、貧困と格差が拡大しました。
また、税制だけではなく、社会保障費をカットし、「雇用の流動化、柔軟な働き方」と称し、正社員を派遣などの不安定雇用に置き換えてきました。その結果、賃金が上がらない社会となり、GDPの主役の家計消費がやせ細り経済の成長が止まっています。このように、企業団体献金が大きく政治をゆがめてきたことを正面からとらえ、転換する必要があります。日本共産党は、金権腐敗政治の根絶には、企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を一体で行うことが必要として両法案を30年間国会に提出し続けてきました。企業・団体献金の禁止は今や与党以外の共通要求となっています。
以上、パーティー券の購入を含む企業団体献金の全面禁止を求める意見書(案)」への同僚議員の皆さんの賛同を求め討論とします。