やまね智史議員(伏見区)代表質問,子育て環境,地下水,交通,文化
2024.06.04
〈代表質問の大要を紹介します〉
伏見区選出のやまね智史です。私は日本共産党京都市会議員団を代表し、松井市長に質問します。
1.前市長の「行財政改革計画」継続ではなく、子育て支援の充実を
市長は「自分は門川市長の後継者ではない」と言われました。しかしながら、第1次予算編成では、前市長時代の市民生活に負担を強いる「行財政改革計画」が、そのまま継続されました。それだけではありません。国民的批判が高まる大阪・関西万博の推進予算増額、京都駅の改造に111億円もの税金を投入する計画、そして、景観や住環境を守るルールより企業収益を優先させる都市再生緊急整備地域の拡大、向島の優良な農地をつぶす都市計画変更など、市民生活より開発優先の姿勢がより一層ひどい形で現れています。
また、オーバーツーリズム対策も大変不十分です。これまで京都市がおこなってきた宿泊施設の拡充・誘致方針が、宿泊施設激増と地価高騰を招き、市民生活に重大な影響を及ぼしてきたにもかかわらず、その反省がないことは重大です。「市民生活と観光の調和推進プロジェクトチーム」には、宿泊施設の認可・監視・指導を担当する保健福祉局が入らず、世界の観光都市で実施されている宿泊施設の立地規制にも踏み込んでいません。わが党議員団が提案してきた宿泊施設や観光客の総量規制に取り組まないまま、混雑を分散化するだけでは、根本的解決にならないことを指摘しておきます。
日本共産党京都市議団は、第1次予算編成について、予算組替を提案し「敬老乗車証改悪や民間保育園補助金カット、学童保育利用料の値上げ等、後退させた福祉を元にもどすこと」「消防分野をはじめとする職員削減の中止」「物価高騰対策の大幅拡充、中小企業支援強化」「18歳までの医療費無料化」など、市民生活を守るための積極的提案を行ってきました。また、第2次予算編成にあたっても、喫緊の市政課題22項目について申し入れを行いました。ところが今回も市民生活を支える予算は大変不十分なまま、逆に、凍結されていた鴨川東岸線第3工区(総事業費70億円)などの大型事業の再開が示されています。
本市では、子育て世代の流出が大きな課題となっていますが、昨年浜松市から京都市に転入された子育て中の方は、次のように話されました。「京都市に移り住み、子どもの医療費助成が高校生にないことに驚きました。当然実施されていると思っていました。これでは子育てがしにくい。他都市で当たり前に実施されていることができていないのに、子育て日本一とアピールするのはとても恥ずかしいことです」。京都市の試算でも、市独自で18歳まで医療費を無料化した場合の年間経費は11億円程度です。子育て世代の流出を本気で食い止めるためには、大型開発ではなく、市長公約でもある「子ども医療費助成の拡充」「第二子以降の保育料無償化」「学校給食費の無償化」など、遅れた子育て支援策の改善こそ必要なのではありませんか。お答えください。
【答弁→市長】 「突き抜ける世界都市 京都」の実現に向けた基盤づくりとして、社会課題の克服、京都の未来を見据え次の世代に託す種まきとなるような施策のうち、速やかに着手できるものを予算化した。公約の実現に向けた第一歩である。全国トップ水準の最大200万円の既存住宅の取得支援制度は、子育て世代を中心に京都への定着を促すシンボリックな事業。子育て環境の充実に向け、公園の遊具更新箇所の倍増、公園や学校のトイレの洋式化の促進、さらに買い物支援等、地域の支え合い活動を促進する支援体制を強化するなど、すべての人に居場所と出番のあるまちの実現に向けて取り組んでいる。
再開する鴨川東岸線第3工区をはじめとした8事業は、本来実施が必要な予算計上を緊急的に休止していたもので、今回の再開は、渋滞の解消や歩行空間の改善など、本市の更なる発展に寄与するもの。
2.敬老乗車証制度を元に戻せ
いま重要なことは、物価高騰だけでなく、この間京都市がおこなってきた市民負担増が、市民生活に深刻な影響を与えていることです。パネルをご覧ください。例えば、敬老乗車証の交付者数は、値上げ後4万8000人も減少しました。高齢者のみなさんから悲痛な声が寄せられています。「9000円は払えないので敬老バス回数券5000円にして出かける回数を少なくしている」「15000円に変わったので申請を辞めた。そうすると外出することを迷ってしまうし、取りやめることも多くなった」「敬老バス回数券では乗継で1日4枚使用し、2ヵ月、3ヵ月でなくなり、新たな回数券を買えず、地下鉄にも乗れず不便」「年金が下がり続け、野菜、魚、肉、日常生活に必要な物全てが値上がり。安いところをめざして行動するほどの元気もなく、益々生活が苦しくなるばかりです」などなどです。京都市は「敬老乗車証制度を持続可能な制度に」と言ってきましたが、持続可能でなくなっているのは市民の暮らしです。
市長は、敬老乗車証の値上げが、高齢者のみなさんの生活の足を奪っていることについて、どう認識されていますか。高齢者のみなさんが「お金がないから外出できない」となれば、健康維持だけでなく、買物や社会活動の機会が奪われ街の活気も失われます。こうした事態をよりひどくするのが、乗るたびに負担が生じる応益負担導入です。敬老乗車証制度は2021年度の制度に戻すべきと考えますがいかがですか。お答えください。
【答弁→保健福祉局長】 高齢化が進展する中で制度を維持していくため、受益と負担との関係や世代間の負担のバランスを考慮して見直しを行った。見直し後も全利用者の6割以上の方が、中高生の定期券の1割未満、年9千円の負担でフリーパスを利用できる。高齢者の社会参加支援に寄与しており、元の制度へ戻す考えはない。
3.民間保育園補助金削減をやめ、保育職員の処遇改善を
また、保育分野では、保育士の配置基準が76年ぶりに改定され、4歳・5歳児分の人件費として国から給付費が追加されましたが、京都市では「浮いた1億円」との報道もあるように、市の制度改善や配置の充実につなげていません。現場からは「追加された国の給付費を市のポケットに収めては意味がない」との声が寄せられています。全国的に処遇改善が進む中で、給与や一時金のカットによる職員の離職、人手不足で大変な保育現場の声を無視することは許されません。今こそ、保育現場の処遇改善を進めるため、民間保育園補助金削減の仕組みを抜本的に見直すべきではありませんか。お答えください。
【答弁→子ども若者はぐくみ局長】 本市では、国の給付費に加え、市独自で補助を行い、処遇の維持向上を図っている。各職員の給与は、運営法人において適切に判断されるものだが、制度再構築後も全体として処遇の維持向上を図ることができる仕組みであり、制度を抜本的に見直す考えはない。
4.学校調理による全員制中学校給食の実施を
子育て環境改善のため、全員制中学校給食について質問します。昨年5月、京都市が提出した国への要望書に、「憲法上保障された教育の機会均等を実現するため」「全員制給食制度が不可欠」「小中学校の給食費無償化実現へ、財源を国の責任で確保を」と初めて記載されたことは大きな前進です。
ところが、昨年11月、京都市教育委員会が示した「基本的考え方」は、元塔南高校・第一グラウンド跡地に巨大給食工場を建設し、63校26000食分を1ヵ所センター方式で実施するという驚くべき内容でした。この方式は、「食中毒や災害発生時のリスク」「配送時間の問題」「栄養教諭を全市で3人しか配置できない」など、様々なデメリットがあるため、市民のみなさんからは計画見直しや再調査、学校での調理を求める声が今も寄せられています。そうした中で、教育委員会もこれまでの方向を一部変更せざるをえなくなったことは、京都市における1ヵ所センター方式が、破たんしたことを示しています。
私は今こそ多くの市民が待ち望んでいた全員制中学校給食を、子どもたちの命・健康・発達にとって最善な方式で実現すべきと考えます。そのためには、自校調理方式を基本に、学校で調理する中学校給食を、できるところから始めるべきです。その最大の理由は、小学校と同じように出来立ての給食が食べられること、また、学校現場により多くの栄養教諭を配置し、子どもたち一人ひとりに丁寧に寄り添える教育環境を整備できるからです。これはセンター方式や巨大工場や民間調理場の活用ではできない、自校調理方式の大きなメリットです。
私は、京都市立学校で長年栄養教諭として働いてこられた方々にお話をうかがいました。「貧困をはじめ様々な事情の中で、孤独を感じている生徒も多いです」「給食センターに見学通路をつくるだけでは豊かな食育や栄養指導はできません」「大事なのは毎日子どもたちと接し、一人ひとりの食べる姿を見て、課題をつかみ積み上げていくことです」「食べることは命をつなぐこと、それを毎日大人が伝えていく、それが子どもたちのコミュニケーション能力や発達にもつながります」「担任の先生と連携し、食べるのが苦手な子にも丁寧に向き合っていく、それがその子の命を保障していくんです」とのことでした。学校現場に栄養教諭を数多く配置することで、子どもたち一人ひとりに丁寧に寄り添える、そうした教育環境を整備することが、公共の仕事として、今求められているのではありませんか。市長の決断を求めます。
全国的に見れば、京都市の全員制中学校給食の取組は大変遅れています。「人口流出対策」「子育て支援」と言いながら、巨大工場でつくった給食でいいというのは、あまりにも時代遅れのやり方だと言わなければなりません。学校に給食室を整備するメリットは、防災拠点の強化、災害時にあたたかい食事を提供できるという点も大きなポイントです。また、さいたま市、木更津市のように、中学校ごとの給食室で独自献立とすれば、食材調達も小回りが利き、地場産の有機食材も使用しやすくなり、地元の農家や商店からの仕入れも行いやすくなります。小さな単位での工事発注は、地元の工務店・建設産業の発展にもつながります。子どものたちのための給食を学校で調理することを軸に、防災強化や産業振興を図っていく、これが今求められる公共の役割ではありませんか。お答えください。まず、ここまでの答弁を求めます。
【答弁→教育長】 専門の調査会社による調査結果や検討会議での意見などから給食センター方式がコスト面や衛生面、アレルギー対応等に優れ、最も適した方式である。1カ所での実施も可能だが、より一層、安定的な運営体制を構築するため、一部、民間調理場の活用を検討する。給食センター方式での実施が破綻したものとの認識はない。
自校調理方式については、9割以上の中学校でスペースの確保ができないため実施が困難である。給食センター方式を主軸としつつ、他都市の事例を参考に、食育や災害対応の充実、地元企業や地域雇用に資する工夫も取り入れながら、スピード感をもって取り組んでいく。
【やまね議員】 中学校給食について「自校調理方式・親子調理方式は不可能」と決めつけていますが、その元になった調査なるものは、現在の給食設備の増改築、2階建ての給食棟や学校跡地等の市有地活用は、一切詳細調査をせず、親子調理方式も非現実的な組み合わせばかりを想定したものです。京都市の本気度が問われています。そもそも、すでに小中一貫校では自校調理方式の給食が提供されており、同じ市立学校でありながら格差が生じています。これまでの京都市政が、保護者のみなさんの願いに背を向け続けてきたことに一番の責任があります。子どもたちの命・健康・発達に関わる学校給食を「コストカット優先」で進めていいのか。できるところから学校調理方式で実施することが、最も無理なく現実的で、最良の方法であることを重ねて申し上げます。
5.不要不急の大型開発より、災害対策や住み続けられるまちづくりを
次に、不要不急の大型開発より、災害対策や住み続けられるまちづくりを求めて質問します。
日本共産党京都市議団として、4月上旬に能登半島地震の被災地・石川県七尾市で、住民要望の聞き取り等を行いました。現地では倒壊した建物がそのままの状態で、言葉を失うような被害の実態を目の当たりにしました。「外観は大丈夫そうに見えても、家の中が大きく壊れ住めなくなり、出ていった人もたくさん」「ようやく水も出るようになったが下水道の復旧が十分でないのでお風呂は使えない」など切実な声がいくつも寄せられました。あるお宅では高齢の女性が「障害を持った息子と昨日避難所から戻ってきたばかり」「家のほうが落ち着くけど飲み水はペットボトルだけ」と話されました。一人ひとりに寄り添った支援の必要性を痛感しました。
私たちが何より痛感したことは、被災地では自治体合併に伴う職員減の影響もあり、行政のマンパワーが全く足りていないことです。いま京都市でも「平時から災害時を想定した職員体制は組めない」「大規模災害時は他都市から応援が来る」として職員削減が進められています。また、「民間活力をいかす」として公共施設の廃止や市有地売却も行われています。ところが、そうした行政運営では住民生活を守ることができないと示されたのが今回の震災ではないでしょうか。想定される大規模災害を考えた場合、消防職員をはじめ市職員の削減方針は抜本的に改めるべき時だと考えますがいかがですか。お答えください。
また、被災地では、「国の補助金300万円だけでは壊れた家は直せない」と、住みなれた土地を離れざるをえないケースも多数見受けられます。京都市では、前市長が「被災者住宅再建等支援制度」を廃止してしまいましたが、市独自で市民のみなさんの住宅再建を支援できるよう、制度を復活させるべきではありませんか。お答えください。
【答弁→岡田副市長】 市民の命とくらしを守るために必要な体制を確保した上で、行政運営の効率化を図り、職員数の適正化をすすめてきた。災害時については、防災危機管理室、消防署、区役所の防災部門等において必要に応じ体制の強化を行うとともに、避難所運営など突発的に増加する業務に備え、400名規模の全庁的な応援体制など、災害時も想定した体制を整備している。
被災者住宅再建等支援制度については、国制度の支援対象が「中規模半壊」まで拡充され、京都府制度が国よりも手厚い支援であり、令和3年度に廃止した。国に一層の制度拡充を求めていく。
6.危険な大阪・関西万博に子どもたちを参加させるな
次に、カジノのための大阪・関西万博についてです。被災地支援が求められている時に、350億円のリングをはじめ会場建設費だけで2350億円超を投じる万博。政治は何のためにあるのかと思わずにはおれません。共産党京都市議団は5月10日、大阪・関西万博の会場となる夢洲、巨大開発の負の遺産である大阪府庁咲州庁舎を現地視察しました。「下水汚泥も埋め立てている夢洲1区は、1日1トン以上のメタンガスが出ており、ガス爆発は万博開催中も起こりうる」「工事中にガス爆発が起きたのは子どもたちを招く団体休憩所のすぐ近く」「現地にはきちんとした避難計画がなく、災害時には20万人が孤立する可能性」など、問題山積の実態を確認しました。
京都府は今年度予算で「府内の小・中・高の学校行事で万博体験」として3億3000万円以上を計上、京都市も「万博の機運醸成・誘客推進」など4390万円を計上し、市庁舎のライトアップ等を実施しました。このことに、市民のみなさんから大きな怒りの声が寄せられています。4月23日の文教はぐくみ委員会で市教育委員会は「会場に行かなければ体験できないことがある。趣旨は理解できる」「主催者によって適切に安全確保は対応されている」などと答弁しましたが、あまりに無責任と言わなければなりません。「命をテーマに」と言いながら、爆発の危険がある、熱中症対策も極めて不十分な場所に子どもたちを連れていくなど許されません。京都市においては、大阪・関西万博に子どもたちを遠足等で連れて行かないこと、万博関連事業はきっぱり中止すべきことを強く求めますがいかがですか。
【答弁→産業・文化融合戦略監】 大阪・関西万博は、京都のポテンシャル、素晴らしさを世界へアピールし、人や投資を呼び込み京都の更なる活性化に繋げていけるチャンス。国内外からより多くの方に京都の魅力に触れ、更に深く知っていただくために、引き続きオール京都の一員として、イベントや情報発信など、機運醸成にもしっかり取り組んでいく。
校外学習については、安全で円滑な運営が確保されることを前提に各学校において適切に判断されるが、教育委員会においても万博の目的や直接会場で活動する意義をしっかりと学校に周知していく。
7.リニア中央新幹線誘致は中止を
次に、リニアと北陸新幹線の問題、及び、市民生活に求められる公共交通について質問します。今年度、「リニア・北陸新幹線誘致推進室」が廃止されました。リニア中央新幹線は環境アセスを経て工事が行われているにもかかわらず、沿線自治体では、水枯れ等、深刻な環境被害が多発しています。このような事態が起こっても、京都市は未だにリニア誘致を推進するのですか。誘致活動そのものをきっぱり中止すべきではありませんか。
【答弁→坂越副市長】 リニア中央新幹線については、京都府、経済界と一体となって活動を続けており、今後、引き続きオール京都で取り組んでいく。
8.北陸新幹線京都地下延伸計画は中止し、京都の地下水を守れ
北陸新幹線・敦賀~新大阪間は、総事業費4兆円超とも言われ、着工5条件の一つB/C(費用便益分析)は基準を大きく下回る見込みのほか、巨額の自治体負担、残土処分や地下水など環境への影響、市民理解も得られていないこと、さらに推進する自民党の中でも意見が分かれるなど、混迷を極め、計画の破たんは明らかです。改めて計画中止を求めるべきです。
私は今回、伏見区の酒造関係者から改めてお話をうかがいました。「伏見の地下水は日本酒造りに大変重要な原料であり、中硬水の滑らかな水質、その潤沢な水量が、大量に水を使う日本酒造りに適した環境を形成しています。延伸の必要性そのものに対しても疑問に思う市民が多々いる中で、水質などに関して何の保証もできない大型工事を進めようとする事に危機感を覚えます。工事後に水質に不具合が生じてももう手遅れでしょう。誰がどう責任を取るのでしょうか?」との声でした。これは、酒造関係者だけでなく、この間新聞紙上でも声が紹介されているように、お蕎麦屋さん、和菓子屋さん、豆腐屋さん、お風呂屋さんなど、京都の地下水を使って、文化・産業を継承されてきた全てのみなさんの思いではないでしょうか。万が一にも地下水が枯れたり、水質が汚染されれば、京都の命を失うに等しい問題と考えます。
私は、京都の地下水を守り抜くため提案します。全国には、貴重な資源である地下水の水質や水量を保全・継承していくために、「地下水保全条例」を制定している自治体が多数存在します。政令市で条例を制定していないのは、京都市を含む4つの都市だけです。パネルをご覧ください。こちらは神奈川県座間市が作成している資料です。座間市では、地下水保全に有効な対策や施策への反映を目的に、「地下水総合調査」もおこない、「三次元水循環解析モデル」を作成しています。市長は京都市の地下水が果たしている役割や産業的価値をどのように認識されていますか。地下水を資源とする多様な産業を持つ京都市でこそ、地下水保全条例の制定、そして三次元の地下水データの把握等を通して、環境行政の責任を果たすべきではありませんか。市長は3月の市長総括質疑で、わが党議員の質問に、「特に私が気になるのは水源への影響。そこはしっかり判断していかなければ、京都市長としての責任を市民に対して負えない」と答えているわけですから、これまでより踏み込んだ行動が求められるのではありませんか。お答えください。
【答弁→坂越副市長】 北陸新幹線は、日本海国土軸の一部を形成するとともに、東海道新幹線の代替路としての役割も果たす重要な国家プロジェクトである。現在、事業主体である鉄道・運輸機構において、環境影響評価準備書の提出に向け、地下水への影響も含め、調査・検討がすすめられている。今後、ルートや施工方法など具体の内容が明らかになり次第、市長の答弁のとおり、京都の文化・産業は豊かな自然に支えられてきたとの認識のもと、水源など環境への影響や、財政負担等についてしっかりと精査し、意見を述べていく。
地下水については、本市の環境保全を目的として既に定めている「京都市環境基本条例」「京都市環境影響評価条例」や、「京都市水共生プラン」に基づき、保全に努めている。
9.交通不便地域への支援体制の充実を
いま私たちの生活に必要なのは、新幹線のための巨大トンネルを掘ることでしょうか。市民・住民にとって京都市が住み続けられるまちであるためには、日々の生活交通、地域公共交通の充実こそ必要です。私の地元・伏見区では、先日請願審査が行われた桃山地域をはじめ、未だに公共交通が十分に整備されていない地域が多数存在します。公共交通の空白地帯となっている藤城地域は、坂道もきつく、日々の買物、病院通い、役所に行くのにも苦労され、地域住民のみなさんが自主的に買物支援バスを運行されてきました。本来なら京都市が責任を果たすべき問題です。そこで提案します。今年度廃止されたリニア・北陸新幹線誘致推進室に代わって、「交通不便地域対策室」を設置し、交通不便地域の解決にこれまで以上に力を入れるべきではないでしょうか。生活の足の確保に苦労されている地域の実態調査を行い、住民のみなさんの思いが反映される公共交通の実現へ、具体的議論を進めるべきではありませんか。お答えください。
【答弁→都市計画局長】 区役所・支所と都市計画局が連携し、市民の声を聞きながら、具体的な施策を講じている。山科区小金塚地域では、本年度から住民ボランティアによる運行を自家用有償旅客運送に切り替え、持続可能な生活の足を確保している。第2次編成予算でも、バス路線の維持や利用拡大の取組に対する新たな支援の予算を計上している。
10.市バス運賃値上げストップの決断を
バス運賃値上げについても伺います。6月から西京区を運行する民間バスの運賃値上げに合わせ、市バスの運賃も値上げされました。異常な物価高騰や社会保障の後退で市民生活が厳しいときに、公共交通の運賃値上げは生活を直撃します。市バスについて市長は「国との連携で値上げは回避する」と答弁されてきたにもかかわらず、調整区間の値上げが強行されました。明らかな公約違反です。先行事業者に追随して値上げするかどうかは事業者の判断であり、国から押しつけることはないと国土交通省も認めています。市長はなぜ値上げ回避の努力をされなかったのでしょうか。市民との公約を守るべきではありませんか。以上、ここまでの答弁を求めます。
【答弁→交通局長】 今般の民間バスの運賃改定は、運転士不足に対応するための処遇改善や燃料費高騰等に対応するために必要なものと聞いている。国の通達に従い、先行事業者である民間バス運賃に合わせる必要があり、合わせなかった場合、先行事業者の経営を圧迫し、路線の縮小・廃止につながることを危惧する。均一区間については、市長公約通り運賃改定を回避する。
11.市有地の活用は、市民の声で
時代遅れのリニアや北陸新幹線・京都地下延伸計画は、きっぱり中止すべきと改めて申し上げます。
市有地の活用をめぐっても、公共の責任が問われています。京都市では、2012年から「京都市資産有効活用基本方針」に基づき、「売却リスト」とも言うべき「活用方法の検討を進める市有地一覧」が作られました。そのもとで、学校跡地を含め市民の貴重な財産である市有地が、次々と営利企業へ売却・長期貸付され、周辺住民が置き去りにされる事態が相次いでいます。東部クリーンセンターや芸大跡地についても市民的関心は高いものがあります。市民の貴重な財産である市有地を、営利企業へ売却を進めていく方針は抜本的に改めるべきではありませんか。「市有地の活用は市民が決める」という立場に立つべきではありませんか。お答えください。
【答弁→財政担当局長】 市有資産の活用に当たっては、公共性・公益性を重視した政策的な利用を優先的に検討している。行政目的での利用が見込めない資産については、民間事業者等の協力も得ながら、市民の意見や要望に耳を傾けながら、一般競争入札だけでなく公募プロポーザル方式等、資産に適した方法で、売却や貸付をすすめている。引き続き、積極的な資産活用をすすめていく。
【やまね議員】 具体的事例について聞きます。塔南高校・第一グラウンド跡地は、高校移転によって生まれた「使い道のなくなった空き地」などではありません。元々は1960年に設置された都市公園法上の近隣公園(近隣に居住する者の利用に供することを目的とする公園)であり、正式名称は「東吉祥院公園」でした。しかも野球のできる公園であったからこそ、塔南高校のグラウンドとして長きにわたって使用されてきたのです。高校のグラウンドとしての使用が終わったのであれば、元々の都市公園に戻し、近隣のみなさん、市民のみなさんのスポーツ活動の場として使っていただくのが当然ではありませんか。ところが京都市は昨年11月30日、スポーツ関係者の声も何一つ聴かないまま、東吉祥院公園、1万㎡もの都市公園を「廃止」としてしまいました。過去、京都市において、長年グラウンドとして使われてきた都市公園を廃止した事例はただの一度もありません。
パネルをご覧ください。市民一人当たりの公園面積は神戸市の3分の1、他都市と比べ低いレベルにある京都市において、野球のできる、ネットも整備された、1万㎡ものグラウンド・公園を廃止する、これはスポーツ行政の責任を投げ捨てるものだと言わなければなりません。この間、スポーツ関係者の方からも「京都市にはスポーツ施設が少なく、球技禁止の場所がほとんど。他府県と比較してもサッカーチームの練習場所確保や公式戦の会場確保に苦労している。せっかくのグラウンドをなくしてしまうのはあまりにもったいない」「本来のグラウンドに戻せば地域スポーツの発展や青少年の健全育成に貢献できる」との声が寄せられています。当該地は再び運動のできる公園として使えるよう、これまでの対応を改めるべきではありませんか。お答えください。
【答弁→吉田副市長】 塔南高校第一グラウンド跡地は、昭和35年に東吉祥院公園として開園されたスポーツのできる都市公園であったが、国にも事前に報告・相談のうえで、都市公園法上の廃止要件である規模等を満たした代替公園を確保できることから、全員制中学校給食実施のため公園を廃止した。法手続きに則り、都市計画審議会での審議を経たうえで、公園の都市計画を廃止し、給食センターの整備用地として活用しようとするもので、その方針を変える考えはない。
【やまね議員】 伏見工業高校の跡地活用では、現在、阪急阪神不動産・京阪電鉄不動産・積水ハウスなど大手企業が「世帯数549・人口1600人」という大規模な住宅街区を計画中です。しかし、2月20日の住民説明会に続き、4月22日に行われた再説明会でも、住民のみなさんからたくさんの意見が出されました。その一部を紹介します。
「狭い道路に大量の車両が行き交う交通混雑の問題はみんな不安。師団街道は大渋滞になる。『問題ない』というのが信じられない。もう一度調査すべきだ」「事業者側の説明が住んでいる者の肌感覚と違う。完成した後に『ほら見た通りや』『地域住民の声を聞かないからこんなことになったんや』となった時、最終的な責任は誰がとるのか」「これまで周辺住民へのヒアリングは一切されてこなかった。しっかりされていればシミュレーションもちゃんとできたはず」「事業者側が地域のことを全然理解していない。学童や保育園も不足している。このままでは、住んでいる人も、これから住む人も不幸になる」「住民・事業者・京都市の三者で協議体をつくるべき。これがこの地域の総意だ」などなどです。これに対し事業者側からは「シミュレーション上、大きな問題は生じない」「コストもかかるので新たな橋は作らない」「道路の問題は府や市に問い合わせてもらうしかない」「(保育所や学童の設置は)一事業者にできることには限りがある」など住民に寄り添わない回答が目立ちました。
市長。これがあなたの言う「新しい公共」ですか。「民間活力」どころか、地域に「混乱」をもたらし、住民の声が無視されるというのが実態ではありませんか。市有地の活用計画を営利企業任せにしてきた京都市の責任が大きく問われています。伏見工業高校の跡地活用については、交通量調査を現場で継続的に行うこと、京都市も協議の場に参加し住民の声をしっかり反映することが必要です。そして、周辺住民や子育て世代のみなさんのニーズに応え、持続可能なまちづくりを進めるためには、この地域に保育所や学童保育を設置する、さらに公園面積の大幅拡大が必要ではありませんか。ここまでの答弁を求めます。
【答弁→環境政策局長】 地域の代表の方々からの意見も踏まえて、公募条件をとりまとめ、脱炭素仕様の住宅街区の創出に加え、地域の活性化に繋がる活用となるよう取組をすすめている。将来にわたり多様な世代が安心快適に暮らせるよう近隣住民も利用できる公園やコミュニティスペースなど必要な機能も盛り込んだ整備計画となっており、保育所等を所管する関係局とも連携を図っている。
交通量については、街区形成後に問題は生じない見込みであること、地域の要望を踏まえ補足調査や調査結果についても、改めて説明することとしている。
【やまね議員】 スポーツ関係者や周辺住民、そして市民の声を全く無視する答弁であります。公共の責任を投げ捨てるものだと言わなければなりません。市民の財産である市有地の切り売りはやめるべきだと改めて申し上げます。
12.文化予算の抜本的増額、若手アーティスト支援を
次に、京都市の文化芸術政策について質問します。松井市長が文化芸術の分野に強い思いを持たれていること、日々ご自身の言葉で情報発信をされていることに敬意を表します。私は2020年9月の代表質問で、コロナ禍で苦労されている文化芸術関係者のみなさんの声を紹介し、京都市の支援を求めました。当時の副市長は「人が心豊かに生きるためには、文化芸術は必要不可欠であり、とりわけコロナ禍において、その役割は極めて重要」「文化芸術関係者の状況を的確に把握し、全国の先頭に立ち、文化芸術の灯をしっかりと灯し続ける」と答弁されました。この時、京都市として、全国に先駆けて緊急奨励金を実施したこと、自治体初となるアンケート調査を実施したことは大変重要であったと考えます。ところがその後、市としての直接支援や幅広いアンケート調査は行われなくなりました。それでは、文化芸術関係者の苦労はなくなったかと言えばそうではありません。今回、私は、舞台監督、演出家、美術作家、漫画家、ダンス関係者の方など、京都市で文化芸術に関わるお仕事をされている方々から改めてヒアリングを行いました。その実情を踏まえて質問します。
京都市内の小劇場で技術者として働いておられる方は、「コロナ禍に学生の劇団が活動できず、音響・照明など技術継承ができなくなった。そこで数年間機材をさわる機会のなかった人や初心者向けにワークショップを行っているが、助成金メニューが見つからず講師はほとんどノーギャラ。一人ひとりに丁寧にアプローチするには講座の規模も少人数。お金は儲からないが、若手育成の砦を守りたいというポリシーでやっている」と話されました。
美術作家や演出家の方からは、「Arts Aid KYOTO~京都市 連携・協働型文化芸術支援制度」についてご意見をいただきました。「一番お金のない学生や卒業したての人が十分に支援を受けられていない」「選定基準で実績を問われると若手が外されてしまう」との声です。「活動を途切れさせないために、生活を送りながら作品をつくれる環境をつくらないと作家がいなくなってしまう」との声もありました。
次のパネルをご覧ください。毎年の予算額が1000万円程度にとどまっているArts Aid KYOTOの「通常支援型」は、令和3年度に申請83、採択37、令和4年度に、申請210、採択22、令和5年度に申請216、採択48と、申請された多くの方が支援を受けられていません。同制度の「事業認定型」では、京都市外の大手企業によるイベントに、億単位の予算が組まれている一方、少額の支援を求めるアーティスト、若手芸術家のみなさんが多数落とされている現状は、改善が必要です。Arts Aid KYOTOの「通常支援型」について、市の責任で予算と支援の枠を抜本的に増やし、応募された文化芸術関係者のみなさんをしっかり支援すべきではありませんか。お答えください。
もう一点、若手アーティストの支援を強化するためには、その実情・ニーズをつかむことが欠かせません。その点で、HAPSが芸術系の大学・学生を対象に、2019年度まで8年間に渡って実施していた「大学調査」が重要です。コロナ禍前、2019年度には、嵯峨美術大学・京都造形芸術大学・京都精華大学・市立芸大の4大学・435名が回答されました。その内容は、卒業後の活動継続への意向を調査するものですが、この間、経済状況悪化など、新たな状況が生まれています。いま改めて京都市の責任で、芸術系学生や若手芸術家の生活状況・ニーズをつかむ継続的なアンケート調査を行うべきと考えますがいかがですか。お答えください。自治体における文化政策とは、寄付金頼み、イベント頼みではなく、幅広い市民・住民の文化芸術活動を支え、その活動場所を保障することに重きが置かれるべきであると指摘しておきます。
【答弁→文化芸術政策監】 令和3年度に「Arts Aid KYOTO」制度を創設し、個人や団体から、これまで約4億6千万円の寄付を頂戴している。このうち「事業認定型」による外部資金が大半を占めており、その一部を「通常支援型」に活用している。多くの文化芸術活動を支える本市の「文化ファンドレイジング戦略」の中核として、引き続き外部資金の獲得に努め、厳しい財政状況下でも文化芸術活動の火を絶やさぬよう着実に取り組んでいく。
文化芸術総合相談窓口「KACCO」をはじめとする多様な取組で若手芸術家のニーズを把握している。引き続き、多くの文化芸術関係者と意見交換を重ね、芸術系学生や若手芸術家の生活状況等の把握に努めていく。
13.戦争する国づくり、地方自治破壊を許すな
最後に、これら地方自治をめぐって看過できない、国の重大な動きについて質問します。この間、自公政権による武器輸出解禁の閣議決定をはじめ、国会では、兵器の共同開発を進めるための経済秘密保護法の可決、イギリス・イタリアと戦闘機を共同開発するための条約承認案可決、また、京都府内の米軍・自衛隊基地周辺では土地利用規制法に基づく特別注視区域の指定など、「戦争する国づくり」と言うべき極めて重大な動きが起こっています。
さらに、現在国会で審議されている地方自治法改定案は、政府が判断すれば、国が地方自治体に対して「指示権」を発動できるという極めて重大な内容です。日本国憲法では、戦前、自治体が侵略戦争遂行の一翼を担わされたことへの反省から、独立した章を設けて地方自治を明記し、自立した地方自治体と住民の政治参加の権利を保障しました。ところが、創設される政府の「指示権」は、自治体の自治事務にまで国が「指示」できる仕組みを設けるものです。
政府はコロナや災害を例示していますが、新型コロナ対応では、「アベノマスク」配布や学校の一斉休校など、国の一方的な指示が現場に混乱を持ち込みました。能登半島地震では、発災から5カ月、依然、瓦礫の撤去も進まない実態があります。必要なのは、被災自治体の要望に応えること、もっと自治体に予算と権限を与えることではないでしょうか。国がやるべきことをやらず、災害やコロナに乗じて、地方自治体を従属させる仕組みをつくるなど断じて許されません。京都市長として、地方自治法改定案にきっぱり反対すべきではありませんか。
以上、答弁を求め、私の質問を終わります。
【答弁→総合企画局長】 地方自治法改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす非常事態時に、的確で迅速に対応することが可能となるよう、特例として国が地方自治体に指示できる規定が整備されたもの。法改正の必要性を理解した上で、他の指定都市と連携し、指定都市市長会として、地方自治体の自主性・自立性が尊重されるよう、地方との事前協議や限定的な運用を求めるなど、国に対して必要な要請を行ってきた。国会での審議を注視していく。