向島市営住宅・際目市営住宅(伏見区)の指定管理者指定の議案に反対討論,西野議員
2023.12.12
日本共産党京都市会議員団は、提案されています、議第126号「指定管理者の指定」(京都市向島市営住宅及び京都市際目市営住宅)について、反対の立場を表明していますので、日本共産党京都市会議員団を代表して、その理由を述べ討論をします。
日本共産党京都市会議員団は、そもそも、公の施設への指定管理者制度の導入については反対の立場です。なぜなら、指定管理者制度は多くの問題があるからです。1つは、京都市がやるべき公の責任を放棄し、公の施設を民間の儲けの対象にすることの問題です。かつて、2003年に地方自治法が改正され、全国各地で様々な公の施設に指定管理者制度が導入されました。そこで何が起こったのかです。指定管理者制度はおおむね4年から5年の指定期間になっており、その期間が終われば、再公募をすることになります。引き続き同じ事業者が指定されればその事業者は事業を継続できますが、他の事業者に指定が変更されれば、これまでの事業者の仕事はなくなります。そこで働いていた労働者は仕事を失うことになります。2つ目には、指定管理者制度は、不安定雇用とワーキングプアを生むという問題があるからです。指定管理者制度はこれまでのコストをカットし、経費削減をすることが大きな目的ですから、当然これまでの経費以下に委託料を下げる必要があります。また、公の場合は収益を出す必要はありませんが、民間事業者は儲けが必要になります。その上株式会社は株主に対して配当金を分配する必要があります。そしてそのしわ寄せは人件費にいくことになります。その結果、ワーキングプアを生むことになります。以上のことから、わが党は反対をしてきました。
また、市営住宅への指定管理者制度の導入については、これまでから京都市においても検討がされてきました。しかし、導入は見送られてきたのです。これまでの議会の議論を見てみますと、共産党議員の質問に対し理事者は「指定管理者制度自身は,大変私どもの評価としては不安定な制度だということと,この本来公がやるべき所を民間に委託していった場合,大変デリケートな情報を管理する所でもありますから,そういう個人情報をどう管理するのかという点を考えれば,なおさら指定管理者制度などについてはなじまないという風にもともと思っているところ」、また「市営住宅については,家賃決定の際の入居者の方の収入の把握等,高度な個人情報を扱う,そのような観点から,指定管理者制度ではない管理代行者制度を導入させていただいております」などと答弁されています。つまり京都市は市営住宅に指定管理者制度はなじまないという立場をとってきました。
これまでの京都市の判断が大きく変わったのはなぜなのかの説明がないことは重大な問題です。また、今回提案の東急コミュニティーについては、事業計画を見ても、事業内容を見ても、具体的なものがなく、住民にとっては不安でしかありません。例えば、住民対応について、マニュアルに基づき実施するとされていますが、現在この事業者が運営管理する府営住宅では、問題が起こっても、前向きな解決がされていない状況があります。かつて市営住宅に入居していた時に問題を起こした住民に対して、京都市職員と住宅供給公社の職員が、丁寧に粘り強く対応し解決に向けて努力をされてきました。府営住宅でも同じ問題が起きていますが、東急コミュニティーの職員は相談した住民に対し「住民同士でけんかして追い出せ」という乱暴な対応をしています。府営住宅におけるこの事業者の住民対応の問題は、ほかにもありますから、このような対応をマニュアル化されれば、問題解決にはつながらないどころか、逆に住民との信頼関係が損なわれます。
さらに、事業者による業務の再委託について、京都市の手が届かない委託先企業の制度にのっとるとされていることは、住民の安全安心の担保ができないことにつながる恐れがあり重大です。そして、具体的なことが分からないままに議決することを求めること自体に無理があります。市営住宅は住まいのセーフティネットとしての大きな役割がありますから、指定管理者制度にはなじまないのです。京都市として住民の福祉に貢献するという重要な役割を果たすことが求められているのです。
また、この事業者は指定管理料を京都市が設定した予定価格より約3000万円低い金額で提案しています。この予定価格は公社が現在運営しているベースで算定したとの答弁がありましたが、現状でも市営住宅のドアのペンキがボロボロであっても予算がないとして、塗り替えがされない現状があります。その上さらに委託料が減額されれば、住環境の改善が放置されかねません。これでは公の責任は果たせません。
以上の点から、議第126号の向島市営住宅及び際目市営住宅への指定管理者制度の導入、株式会社東急コミュニティーの選定については認めることができないことを申し上げて、私の反対討論といたします。