市立芸大移転関連議案に反対討論,やまね議員
2023.10.30
日本共産党京都市会議員団は、議第100号・公立大学法人京都市立芸術大学定款の変更、議第101号・公立大学法人京都市立芸術大学への財産の出資、議第102号・公立大学法人京都市立芸術大学からの出資等に係る不要財産の納付の認可、議第103号・公立大学法人京都市立芸術大学第3期中期目標の策定、について「反対」の態度を表明していますので、以下、その理由を述べます。
京都市立芸大の移転整備事業ついて、わが党は、コロナ禍での市民の暮らしや経済状況、しかも市長が財政危機を強調するもとで、いったん凍結し立ち止まるべきとの立場から、工事契約議案に反対してきました。
加えて、この間明らかになったのは、300億円以上かけて行われた移転整備の結果、球技のできる屋外グラウンドや部活動ボックススペースの確保が不十分であり、学生のみなさんの活動が危機に直面しているという問題です。わが党は、新キャンパスの敷地面積が移転元と比べ大幅に狭くなることから、学生の活動スペースがきちんと確保されるのか、市会の場でくり返し指摘してきましたが、その懸念が現実のものになったと言わざるをえません。
そもそもこの問題をめぐっては、すでに2015年時点で、当時のラグビー部・サッカー部関係者のみなさんを中心に、市長と学長に宛てた「移転先にクラブ活動実施に必要な運動施設(体育館・グラウンド・テニスコート等)の建設」を求める署名も提出されていました。この要望署名について、市長はきちんと読まれたのか、総括質疑の際、明確にお答えにならなかったことは、芸大関係者のみなさんに対して極めて不誠実な態度だと言わなければなりません。
また、新キャンパスに隣接する将来活用地4000㎡、さらに、キャンパス内A棟6階7階スペースに、外部団体や民間企業を呼び込んだことについて、現役学生の方から「そのようなスペースがあるならなぜ学生のために使えなかったのか」との声も寄せられています。
さらに、西京区の芸大跡地をめぐっては、周辺地域のみなさんから、公園やスポーツ施設、文化施設を望む声も多く聞かれるところです。ところが京都市は、約7万㎡もの広大な土地について、建物・グラウンド・体育館・テニスコートを含め全てを、民間へ売却・貸付する対象とし、公募型プロポーザル方式による優先交渉事業者の公募をおこなっており、この点でも公的責任を果たしているとは言えません。これらの点から、今回の芸大移転整備に関わる議案に反対をするものです。
最後に、市立芸大の「第3期中期目標」の問題点についても述べます。2012年(平成24年)の独法化により、市長が中期目標を策定することになりましたが、市長が大学の教育内容も含んだ目標を策定することは、大学の自治を制限するものであり、そもそも重大な問題があります。
さらに、今回の第3期中期目標では、「業務運営の改善及び効率化」「自己点検・評価及び情報提供」に関連し、第2期中期目標にあった「教職員の意欲・資質の向上も含めた組織力の向上を図る」との文言が削除される一方、「ガバナンス(※日本語で統治・支配・管理の意味)機能強化、理事長・学長のリーダーシップ」、あるいは「外部の知見を法人運営に活かし」、あるいは「内部統制機能について、全学的な体制を確立させ」などの文言が加えられました。このことは、大学の自治をさらに制限し、営利企業が関わりながらトップダウンで物事が進められる危険性、公立大学の性格を大きくゆがめる可能性があるため、わが党は反対します。
引き続き「学生ファースト」で「教学環境の改善」を求める立場を表明し、私の討論とします。