【声明】2月市会を終えて を発表
本日、党議員団は、2月市会の評価などについて、「【声明】2月市会を終えて」を発表しました。その本文は、次の通りです。
【声明】2月市会を終えて
2025年3月27日
日本共産党京都市会議員団
団長 西野さち子
2025年2月市会は、2月17日から37日間の審議期間を終え、3月25日に2024年度通年市会が閉会しました。
今市会は、自公政権による高額療養費上限引き上げや、自民党議員への商品券配布が大問題となる中ひらかれました。地方自治体が国の悪政の防波堤となり、住民福祉の増進を図ることが強く要請されています。松井市長のもとでの初の通年予算・新京都戦略が示されましたが、党議員団は自治体の役割に照らし、市民の切実な暮らしの実態を掲げて徹底論戦しました。
一、市民の世論と運動、論戦が市政を動かしています。
来年度予算には、第2子以降の保育料無償化、在宅人工呼吸器等の非常用電源購入への支援、市立学校体育館へのエアコンの設置推進、美術館学芸部門の直営化、就学援助制度の加算対象年齢の拡大・卒業アルバムへの拡充、教員確保や校内サポートルームの人員体制の充実、高齢者帯状疱疹ワクチン予防接種、地下鉄烏丸線可動式ホーム柵の全駅設置に向けた基本設計、避難所環境改善、「まちの匠」の継続、防災減災事業、文化財保護予算の増額、DV相談支援センター及び女性相談支援センター「みんと」の体制強化(処遇改善)などが計上されました。生理用品の学校トイレへの配備の拡大も進んでいます。市民の世論と運動、日本共産党の論戦の力です。党議員団はさらなる運動と論戦で要求実現に力をつくします。
一、 市長提案議案に対する態度
市長からは103議案(人事案件28議案)が提案され、党議員団は、2025年度京都市一般会計予算、国民健康保険事業特別会計予算、上下水道事業特別会計予算、自動車運送事業特別会計予算、宿泊税条例の一部改正、市民活動センター条例一部改正、事務分掌条例一部改正、職員定数条例一部改正など36議案に反対しました。また、地下鉄烏丸線の全駅可動柵設置計画が示された高速鉄道事業特別会計予算、第二市場特別会計予算、DV被害者の市営住宅入居対象を拡大する市営住宅条例の一部改正、合併建設計画を延長する京都市・京北町合併建設計画の一部変更など67議案に賛成・同意しました。
市長・副市長等特別職の給与に関する条例の一部改正については、報酬審議会答申を受けて給料月額(制度値)を引き下げるものであることから賛成し、「行財政改革計画による市民サービスカットは継続されていることからも、市長は給料・期末手当について特例による減額措置を継続すべきである」とする付帯決議を提案しましたが、他会派が同意せず会派の意見となりました。
一、事実上の「オール与党」により、市長提案の全議案を可決
自民党、維新・京都・国民、公明党、民主・市民フォーラム、改新京都、無所属議員3名※2※3※4は市長提案のすべての議案に賛成し、党議員団以外の事実上の「オール与党」により、全議案が可決されました。(※1井﨑敦子議員、※2繁隆夫議員、※3菅谷浩平議員、※4平田圭議員。以下同様)
一、党議員団は予算組み替え動議を提出
党議員団は、住民に身近な京都市が、市民の生活をど真ん中において、暮らし応援、生業応援の市政に転換することが必要であるとの立場から、①「行財政改革計画」による市民負担増を元に戻し、国民健康保険料値上げを撤回するなど暮らしや営業を守ること。職員を増員し集約化した業務を区役所に戻し再配置すること。中小事業者や商店への支援を強化すること。②公共の役割を果たすため18歳までの医療費無料化や学校給食の無償化、学校調理方式の中学校給食、市独自の給付制奨学金制度の創設など子育て支援、若者への支援を拡充すること。東北部クリーンセンター運転監視業務やゴミ収集業務などの民間委託化の拡大をやめること。③京都駅新橋上駅舎・自由通路整備事業、鴨川東岸線第三工区、堀川通地下バイパストンネル、国道1号・9号バイパス方針などムダな大型事業計画推進をやめること。法人市民税の超過課税を引き上げ、累進課税の強化を国に求めるなど大企業に対して応分の負担を求めること。新京都戦略の下に経済を首都圏・海外企業の誘致に頼る予算をやめることなどの組み換えを提出しました。党議員団以外全員が反対しました。
一、党議員団の論戦等
<国民健康保険料について>
国民健康保険の保険料を来年度10.35%引き上げ、5年連続での過酷な引き上げ方針が示されました。党議員団は、値上げ方針撤回を申し入れ、2024年度一般会計補正予算の修正提案を行い「国保料を上げない」政策判断を迫りましたが、無所属※1以外の反対で否決されました。市長は社会保障としての国民健康保険の役割を「相互扶助」に矮小化し、大幅な引き上げを正当化したことは、きわめて重大な国保行政の変質です。党議員団は、引き続き、社会保障として市民の命を守る国民健康保険制度を求めます。
<「市民生活第一」「すべての市民に居場所と出番をつくる」市政について>
民間保育園人件費補助金については、国からの給付費が増えたにも拘わらず、その財源が10億円削減され、民間保育園職員の処遇は据え置かれました。副市長答弁で「人件費を確保することが担い手確保につながる」と述べましたが、財政措置が必要です。他、宇多野ユースホステルの利用料、子ども未来館駐車場料金の値上げも計上されました。
敬老乗車証は制度改悪後交付者数は6万680人減少しました。党議員団は高齢者が「 居場所と出番」を得る制度として2021年当時の制度に戻すことを求めました。副市長が、改悪後の制度の継続を表明。応益負担制度(乗れば乗るほど負担が増える制度)について「課題がある」としつつ、検討の意向を表明したことは重大です。党議員団は制度の趣旨を損なう応益負担をやめ、市民の宝物を守るべきことを引き続き求めます。「左京東部いきいき市民活動センター」の廃止は市民から「 居場所と出番」を奪うものです。反対討論に立ち、廃止撤回を求めました。
生活保護行政について、保護世帯の暮らしの実態を示し、本市独自支援の拡充と生活保護基準の引き上げを国に要請するように求めました。また、大阪高等裁判所が生活保護基準の引き下げ処分の取り消しを国に命じる原告逆転勝利判決を出したことについて、党議員団は、京都市に上告しないことを求める申し入れを直ちに行いました(その後、京都市と国は上告)。
また、子どもがフリースクールや居場所等へ通う親への経済的支援について「 保護者負担も問題意識を持っている。何ができるか研究したい」との答弁がありました。早急な具体化が求められます。総合支援学校のスクールバスが車椅子非対応となっている問題では、当事者の方の陳情提出や市会での論戦の結果、新年度に更新する車両1台を車椅子対応とすることが示されました。
<大型公共事業推進や海外・首都圏企業誘致促進、市外から稼ぐ力を呼び込む政策について>
京都中央郵便局跡ホテル・商業施設、京都駅南側、三条京阪でも高さ規制の緩和が狙われ、東京都18地区で導入されている都市再生特別地区指定について、京都市でも初の指定がすすめられています。相次ぐ規制緩和による開発圧力で更なる地価高騰を招くことが懸念されます。党議員団は、ミニ東京を目指すのではなく、中低層高密度のまちづくりによって活性化に成功しているヨーロッパの諸都市から学ぶべきこと、厳しい現状にある中小小規模事業者への賃上げ支援や直接支援策こそと求めました。
ムダな大型公共事業推進とあわせて、市債発行額を年400億円から450億円規模へ膨らます方針が盛り込まれました。人口減少社会、2050年二酸化炭素排出正味ゼロ社会を見据えれば、再検討が求められます。公園を民間企業に差し出すPark-Up事業フェーズ3の拡大はやめ、市民1人当たり10平方メートルの公園面積確保目標の達成を目指し、十分な公園整備予算確保を求めました。
北陸新幹線については、市長は現行ルートに関する強い懸念を示したものの、第二国土軸としての意義はあるとの立場に立っています。京都延伸計画を中止し、特急サンダーバードの復活こそ求められます。大阪・関西万博に向けた機運醸成・誘客推進事業についてもやめるべきです。
<職員削減・業務の民営化など公的責任の後退について>
「新しい公共」として、地縁団体・企業・大学などの「まざりあい」を強調。公務の役割を人と人をつなぐ「結節点」に矮小化しています。集約化・民間委託化して人員削減を進めてきたことで区役所体制が弱体化してきた事への反省がなく、市民窓口課と保険年金課の統合によるさらなる削減も狙っていることは重大です。また、政令市の中で区役所に女性相談支援員を配置していないのは、京都市含め3市だけです。区役所にワンストップの女性相談窓口を設置すべきと求めました。
新京都戦略にはジェンダー平等は一言もありません。本市の女性管理職比率が低下していることについて、市長は「管理職の仕事が家庭生活との両立が難しい状況があるのではないか。見直していかなければならない。重く受け止めている」と述べました。早急な対応が求められます。党議員団は職員削減による職員の疲弊は著しく、退職者が増えていることを指摘しました。8割の京都府民が住む南部地域の消防体制を集約化し、消防体制を弱体化させる京都府南部消防指令センターの整備は問題です。
市営住宅のシャワー設置率が3割にとどまっており、空き住戸6741戸のうち、公募・改修方針を持っているのはわずか400戸となっています。民間事業者に丸投げせず、市民共有の財産として京都市の責任で適切に改修し、入居を進めるべきと求めました。
<温暖化による気候危機を打開する取り組みについて>
気候危機の深刻化のもと、市長はこのままでは2030年までに温室効果ガスを46%削減するという目標達成自体が厳しいという認識をしめしましたが、取り組みが従来の延長線上にとどまっています。党議員団は、公共建築物の建て替えにあたり省エネ・再エネの徹底で再生可能エネルギー100%に、農業と両立するソーラーシェアリングの普及など、あらゆる手をつくすこと、2030年50%から60%削減・2035年65%~75%削減へ目標そのものを引き上げるよう求めました。
<宿泊税条例改定について>
宿泊税の税額と税区分の改定について、党議員団は①免税点の設定と定率制導入がされておらず税の不公平が解決されないこと。②税収規模を126億円、現行の2倍以上に拡大するもとで観光とは無関係な都市基盤整備に60億円充当し、「国道1号線9号線バイパス、堀川通りの機能強化」についても充当すると認めており過大な公共投資を促進する恐れがあること、③観光課題対策への充当は22億円足らずとしており「市民生活と観光の調和」の期待には応えていないことから反対し、宿泊事業者から理解を得られていないことの重大性も指摘しました。
また、観光客などの流入による行政需要の拡大について、地方交付税措置はもとより、自治体独自の法定外税の必要性は認めるものであることから、党議員団は、「市民の豊かさにむすびつける」抜本的再検討を求めました。また、オーバーツーリズム対策として、宿泊施設拡充誘致方針を見直して、宿泊施設のベッド数の上限を定める総量規制や宿泊施設の立地規制など市政の転換を求めました。
<上・下水道事業・市バス事業について>
埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、本市での老朽管更新率(現在1.3%)のスピードアップを求めました。一般会計からの出資金の復元を求めましたが、当局は、「行財政改革の一環として停止された」と強弁し、2026年からの復活すら明言しませんでした。118億円(2020年~2025年)にも上る出資金停止は、中期経営プラン(後期)の策定にも大きな影響を及ぼすこととなるとして、停止をやめること、また、上下水道料金の福祉減免制度を直ちに実現すること、民間委託推進・ウオーターPPPをすすめる立場を転換することを求めました。
市バス事業については、昨年の調整区間での運賃値上げや減便に続き、今月22日からは更なる減便も強行されました。当局は担い手不足を理由にあげていますが、党議員団は現業5表から1表への給料表転換等処遇改善を強く求めました。「市民優先価格」の議論は運賃値上げに進む危険性があると指摘。交通局と利用者と交通関係者、および学識者との協議をする組織を直ちに立ち上げて研究と工夫をしていくこと、同時に市バスの「管理の受委託」についても早急に見直すことを求めました。
一、議員提出議案について
「重度障害者の住まいの場の整備に係る財政支援の強化を求める意見書」「白タク行為への実効性のある対策を求める意見書」「性犯罪の再犯防止の取組への支援の強化を求める意見書」等4件を全会一致で採択しました。
「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論の促進を求める意見書」(公明党提案)に自民党、民主・市民フォーラム、無所属※2が反対しましたが、党議員団も賛成し賛成多数で可決しました。党議員団が提案した「選択的夫婦別姓制度を直ちに導入するための国会審議を求める意見書」は無所属議員※1が賛成しましたが、他会派議員が反対し否決されました。党議員団は討論に立ち、国連の女性差別撤廃委員会から4度にもわたり勧告を受けていること、日本経済団体連合会が同制度を強く求めていること、通称拡大では根本的解決にならないことなどを述べました。国会審議促進の意見書の提出を求める請願は継続審議となっており、今後の積極的議論が待たれています。
党議員団が提案した「高額療養費の自己負担上限額の引上げの白紙撤回を求める意見書」は無所属議員※1以外の反対で否決されました。討論にたち、治療を受けながら、生きようとするがん患者の方の切実な声と、患者さんにより沿い治療やケアをする医師、看護師などの医療従事者の声を紹介し、意見書採択の必要性を訴えました。「市バス減便の撤回を求める決議」も同様に無所属議員※1以外の反対で否決されました。討論で、相次ぐ料金値上げや減便によって「市民からは『京都市から見放されている』との落胆の声や『西京区・洛西は京都市ではないのか』と怒りが渦巻いている」として市民の大切な足を守るための格別の取り組みを求めました。
無所属議員※1とともに提案した「国民健康保険特別会計への更なる財政支援を求める決議」は他会派議員が反対し否決されました。
維新・京都・国民、無所属※3が提案した「市長給与のカット継続に向けた検討を促す決議」について党議員団は賛成しましたが、他会派の反対により否決されました。
「京都市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当の支給に関する条例の一部を改正する条例」は、報酬審議会の議員報酬(制度値)引き下げ答申と期末手当についての人事院指定職の勧告を反映させるとともに、今任期中2割カットの「特例」の全会一致の合意を尊重するもので、議員の処遇については最大限全会一致で決定していくことを基本に協議したものであり、無所属※3以外の賛成で可決しました。
一、請願・陳情について
3歳児検診の早期療育のため3歳3カ月に戻す検診制度拡充を求める請願、民間保育園等の職員処遇保障・定員払い制の導入・保育料と給食費の無償化など保育制度の拡充を求める請願、利用料の引き下げ・大規模化解消で学童保育制度の拡充を求める請願、市営保育所の堅持・拡充を求める請願は、党議員団と無所属※1以外の反対で不採択とされました。敬老乗車証制度を元通りにすることを求める280件の陳情、ウイングス京都の今後の方針に係る協議内容の公開を求める陳情、国民健康保険料引き上げ中止を求める陳情など多数寄せられました。北陸新幹線延伸計画の強い懸念表明を求める請願(審議未了)、住民のための東部クリーンセンター跡地の活用を求める請願(陳情に切り替え)など市民から寄せられた切実な願いを議論しました。
一、終わりに
昨日、党議員団は「京都市世界文化遺産条例の制定をめざすシンポジウム」を開催しました。現在、骨子案に対するパブリックコメントを募集し9月市会提案を目指しています。開発圧力に抗して、大切な京都を未来につなぐために党議員団は全力を尽くします。
7月には参議院選挙が行われます。企業団体献金を禁止し、大軍拡・開発優先の自民党政治のゆがみをもとから正すために、選挙勝利に全力をあげます。