11月市会本会議で「子ども医療費・給食費『2つの無償化』条例」案の議案提案説明を行いました
2024.11.27
本日行われた11月市会の開始本会議において、党議員団と井﨑敦子議員(無所属)は、「子ども医療費・給食費『2つの無償化』条例」案を提案しました。
代表して、加藤あい議員(左京区)が条例議案の提案説明を行いました。その内容は、以下の通りです。
日本共産党京都市会議員団14名と、井﨑議員共同で、市会議第16号京都市子ども医療費支給条例の一部を改正する条例、市会議第17号京都市立学校の学校給食費の助成に関する条例の制定を提案していますので、提案説明を行います。
市会議第16号は医療費の支給対象を拡大する必要があるため、その措置を講じるものです。
以下、要点を説明します。
第一に、支給対象の子どもの年齢の上限を15歳との定めを、18歳に変更します。その際、対象年齢の引き上げにより、一部成人が含まれてくるため、支給を受けることができるものを明らかにする規定を加えています。
第二に、支給の方法及び範囲は現物給付・一部負担金・月200円を、通院・入院とも18歳まで引き上げます。議会に付与されている権限が条例制定権であるため、現行規則での定めを条例に引き上げています。
第三に、施行期日は、準備期間を見越して、2025年9月としました。
追加の必要経費は、中学生の通院分で約3.2億円、高校生で約8億円の、合計約11.2億円です。政令市ではすでに14都市が18歳まで入院・通院とも助成しています。来年度から入院を18歳まで助成する予定である札幌市を入れると15都市となります。京都府内では、26市町村のうち、18自治体が18歳まで助成しています。現物給付・一部負担金・月200円が小学校までで、とどまっているのは京都市のみとなっています。本条例は、府内市町村でもっともおくれた本市制度を率先して前に進めるものです。府市協調により京都府からの支援金が拡充されれば、本市財源は別の子育て支援にあてるべきであると考えます。
わが党は従前から、子どもの医療費18歳まで実質ゼロを求め、昨年の12月にも決議を提案しました。「子ども医療費支給制度について、一刻も早く京都市が上乗せし、小学校卒業までと同様に18歳まで無料の制度となるよう更なる拡充を求める」として、府の制度にとどまらず、本市の上乗せを求めています。この分野の遅れを取り戻すことが市政運営上きわめて重要で、喫緊の課題だとの認識は党議員団の一貫した立場であることも申し添えておきます。
次に、市会議第17号についてです。
本条例は京都市立の小中学校の給食費を助成する新たな条例です。目的は、保護者の負担を軽減するとともに、学校給食の質の維持向上を図り、子育て支援及び教育の充実に資することとし、助成額は学校給食費の総額としています。選択制中学校給食を注文していない場合やアレルギー・不登校等で給食を食べていない場合も相当額を支給する規定を設けました。
追加の必要経費は、小学校で約25億円、中学校で約14億円、特別支援学校小学部・中学部で2900万円の、合計約40億円です。文部科学省調査によりますと、全国1794の教育委員会のうち、775ヶ所が無償化に踏み出しています。
以下、提案理由を述べます。
第一は、若い人から高齢者まで住み続けられる京都市をつくるためです。本市が極めて深刻な人口流出状況にあることは周知の事実です。2023年における、20代の東京都及び大阪府への転出と転入を差し引きすると2589人の人口流出、30代における周辺自治体への転出入の差し引きは、1658人の人口流出です。本市の合計特殊出生率は1.08と、記録が残る1970年以降過去最低を更新しました。多くの市民が高齢化のなかで地域コミュニティの維持に苦労しています。本条例によって若い世代が住み続けられる環境を整えることは、地域コミュニティの活性化にもつながります。すなわち、子育て支援は地方自治体の1丁目1番地の取り組みであると考えます。
市長は、市政の総点検をふまえ、投資的経費の170億円上限の見直しを示唆し、これまでの市政を過少投資だったと言われています。子育て環境日本一などと主張して、市民から反感をかったのが門川市政でした。松井カラーと言われるのであれば、子育て支援の過少投資を見直して大胆な拡充こそ進めるべきです。本条例はそうした市政運営にも資するものです。
第二は、子育てに係る経済的負担の軽減が子どもや保護者の権利保障であるからです。
党市会議員団のアンケートでは、京都市は子育てしやすいと思いますかとの設問に、「はい」と答えたのはわずか1割でした。「黒字を確保できているなら、未来を担う子どもたちの給食無償化に使ってほしい」「滋賀に移住した家族が私の周りだけでも2世帯もいます。理由は滋賀県の子育て支援の充実です。京都の未来のために税金を使ってください」「お金の心配なく子育てをしたい」などの声がよせられました。2019年に取り組まれた京都市の調査では昼食を食べない日がある中学生が7.7パーセントもありました。
健康に不安を抱えている、経済的に困窮している家庭を、医療から遠ざける医療費負担でよいのか、現物給付がとても大事ではないかと長年にわたり、子どもの医療費を無料にする運動が取り組まれてきました。給食費についても同様です。義務教育は無償と言いながら、年間5万円もの給食費は、隠れ教育費負担の大きな比重を占めています。あるNPOのアンケートでは困窮家庭の物価高騰に関する影響調査で親の食事を減らしたり抜いたりしているとの回答が半数にも及んでいます。経済的格差が子どもの権利保障の対極にあることを考えたとき、子育ての経済的負担軽減を進めること、すなわち、公費負担により子育てを支えることは、子どもや保護者の権利保障をすすめる市政である、ということを強く訴えたいと思います。
第三は、議案提案権をもち、議決機関である議会が、新京都戦略、すなわち、新市長の中期的な行財政運営の方針発表を前にして、条例を制定する意義は大変大きいからです。
本市財政は、昨年度決算は88億円の黒字。黒字は3年連続となりました。財政調整基金は災害対応等を除いて約20億円、過去負債の返済35億円と、100億円規模の財源を見込むことができます。加えて、今後のムダな大型公共事業を抑制し、大企業への超過課税をすすめるなども視野に入れれば、今回お示しした2つの施策の追加経費50億円の捻出は十分可能であります。
先の統一地方選挙において、子育て支援策の拡充を公約された議員の方は多いのではないでしょうか。地方自治法112条の2は議員定数の12分の1以上で議案提案ができるとしています。本市会では6人以上です。今回の提案は、その権限を行使し、市民のくらしを応援しようとするものであります。そして、地方自治法第138条の2の規定により、市長は、条例に基づく事務を、誠実に執行する義務を負うとされています。
議会としての権限を最大限生かして、市民利益に資する取組をぜひとも前に進めたいと考えます。
各会派・議員のみなさんがご賛同いただきますよう心からよびかけまして、提案説明とします。