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えもとかよこ議員(右京区)代表質問,女性支援,中学校給食,北陸新幹線

<代表質問の大要を紹介します>

 右京区選出のえもとかよこです。日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。

1.国連女性差別撤廃委員会勧告の具体化推進を

 まず、国連女性差別撤廃委員会の勧告の具体化についてです。
 10月29日、国連女性差別撤廃委員会が発表した日本政府への勧告は、女性たちが声を上げ続けてきたことが反映されたものになりました。男女の賃金格差や女性の低賃金の改善も盛り込まれています。令和2年、京都市職員を対象に「働き方の見直し」「男性の家庭での活躍推進」「女性の職場での活躍推進」等の視点から立てられた「仕事と子育ていきいき活躍プラン」は来年度までの計画で、管理職員に占める女性職員の割合、男性職員の育児休業取得率の目標値が設定されています。私は昨年の代表質問で、範となる京都市は、女性管理職の増員、男女格差是正、人間らしく働けるモデルとなるよう求めました。男性職員の育児休業取得率は令和6年度30%の目標値を上回り88.2%、そのうち1か月以上の育児休業を取得した男性職員の割合は76.3%というのは大きな前進です。女性が家事や育児、介護の責任を負うことが多い現状を変えていくこと、男女ともに働きやすい職場をつくっていくことが、女性管理職員の増員、男女格差是正につながっています。しかし令和6年度の京都市職員の管理職に占める女性職員の割合は17.9%と昨年度より下がっています。令和7年度の目標値25%達成に向けてどのように取り組みを強化されるおつもりでしょうか。具体的な計画をお聞かせください。次期プランの内容は今回の国連女性差別撤廃委員会の勧告を生かし、管理職に占める女性の割合の引き上げを求めます。
 また、今年「困難な問題を抱える女性への支援法が施行され、京都市は包括的な女性の支援を行う相談支援センター「みんと」を開所しました。今後は各区役所にも相談窓口を設置し、正規の女性相談支援員を配置すべきです。いかがですか。

【答弁→市長】 これまでから意欲と実行力のある女性の登用をすすめ、局長、区長はじめ、幹部職員への積極的な配置を行ってきた。市長部局での女性管理職の割合は昨年度より若干下がっているが、平成20年度の9.6%から令和6年度17.9%へと大きく向上している。近年採用者における女性の割合が約半数を占め、優秀な女性職員も多い。中長期的な視点に立った人材育成や職員の意識改革、職場環境の整備など、多角的な取り組みが必要。早期からの育成の視点をもった人事異動や、職員が主体的にキャリアを考える研修、子育てや介護と両立できる配置や休暇制度等の整備、徹底した働き方改革による時間外勤務の縮減、男性の育児休業の取得促進などを総合的にすすめる。いっそうの登用にむけ、DXの加速化、管理職をはじめ、職員の意識改革など強力にすすめる。

【答弁→文化市民局長】 今年7月に「みんと」を開所し、4ヶ月でのべ350件の相談支援を行ってきた。支援にあたっては、DV相談支援センター運営など実績のある社会福祉法人に事業を委託し、本庁職員2人を女性相談支援員とし、関連部署等とのコーディネーターとしている。みんとでは8人の相談員が長期的支援や土曜対応など、適切に相談支援を行っている。区役所・支所でも、高齢、障害、子どもなどの窓口と連携した支援をしており、さらに重層的支援体制にも女性支援の専門機関として参画し、よりいっそうの連携強化を図っていることから、区役所等での新たな相談窓口の設置は考えていない。

2.全員制中学校給食実施は、巨大給食センターではなく学校調理方式で

 次に全員制中学校給食について、巨大給食センターの問題について3点述べ、質問します。
 昨年、全員制中学校給食を1カ所の巨大給食センターで63校26000食つくって運ぶという案が出され、わが党議員団は当初からリスクがありすぎる、2時間喫食は困難だと指摘し続けてきました。市民のみなさんからも、巨大給食センターではなく、学校でつくる給食を求める声が大きく広がり、短期間で33985筆の署名が市長宛てに届けられました。議会には市内各地から請願・陳情が出され、センターで48校22000食、民間調理場で13校5500食という一部分散案になりましたが、日本最大級の巨大給食センターであることに変わりありません。しかも建設予定地は長年塔南高校のグラウンドとして貸し出されていましたが、もともとはスポーツができる都市公園で、地域の広域避難場所にも指定されています。塔南高校移転に伴い、公園は住民の声も十分聞かずに廃止され、住民は市を提訴。何十台もの配送車がセンターから出入りすることでの住環境悪化への不安も広がっています。先日、京都地裁で公園の廃止処分取り消し請求訴訟第1回期日が行われ、私も傍聴しましたが101号法廷は満席。市民の関心の高さの現れです。

(1)巨大給食センターでは2時間喫食は守れない

 問題1点目、2時間喫食についてです。学校給食衛生管理基準と大量調理施設衛生管理マニュアルには、食中毒を予防するために、調理後の食品は適切な温度管理を行い、調理後2時間以内に喫食することが望ましいと明記されています。調理後2時間以内に菌が増殖したことによる食中毒の発生は観察されないからです。調理後2時間以内とは主食、副食それぞれの加熱終了時から、みんなで「いただきます」するまでの時間です。巨大給食センターは、1棟2場方式、1棟2つの調理場で4献立、1つの献立で12校5500食調理、合計48校22000食という案が示されました。
 それぞれの献立の加熱温度、冷却温度の確認、調理開始、調理終了後の時刻等の記録が必要となります。その日の献立すべてが同時刻に仕上がるわけではありません。揚げ物など一度に揚げられません。出来上がり時間は献立ごと、出来上がりから喫食までの時間は学校ごとに違います。大規模給食センターを実施しているところは2時間喫食が守れているのでしょうか。京都府内では木津川市の2つの給食センターは2時間喫食が守られず、保健所が3年連続で指導しています。そこで私は今回、センター給食を実施している政令市の状況を調査しました。


 このパネルをご覧ください。その市の1番大きなセンターで、出来上がりから喫食時間までの時間が一番長くかかった学校の状況です。A市で1番大きいセンターは1日に23校9108食を2献立で11校と12校に分けて調理しています。この日のAコースの献立「さばのみそ煮」ですが、ある中学校の分の出来上がり時刻は午前8時56分、そこから給食準備開始までにかかった時間は3時間34分。喫食時間は準備開始から短くて10分後だとしたら3時間44分です。2時間喫食を大きくオーバーしています。22校15000食を2献立で11校ずつ調理しているB市のセンターでは、ある中学校に配送されたかれいのたつた揚げは3時間42分、10分プラスして喫食まで3時間52分。ほぼ4時間です。C市のC中学校に配送されたししゃものから揚げは3時間30分です。
 なぜこういう事になるのか。学校長の検食は喫食時間の30分前に行われます。配送車は献立すべてがそろわないと出発できません。必然的に調理の前倒しが行われています。大量調理、学校数が多い、配送に時間がかかる、大規模になればなるほど現場は追い立てられるのではないでしょうか。他都市の給食センターの栄養士から「食べる2時間以内の調理を守るためには非常に厳しい現状にある」と聞いています。京都市は今までの質疑の中で、「2時間以内喫食の遵守は可能」と答弁されています。しかし現に2時間喫食が守れていないこうした先例について認識をお伺いします。巨大給食センターで2時間喫食を京都市は本当に遵守できるのですか。学校調理方式なら2時間喫食は守れます。

【答弁→教育長】 昨年度の調査会社の調査で給食センターから2時間以内の喫食は可能との結果を得ており、教育委員会独自の配送時間検証でも問題ないことを確認している。センターから比較的遠い学校は、民間調理場を活用することで配送時間を短縮し、最長35分で配送できる計画。他都市のセンターでも2時間喫食は守られており、これらの先行事例と同様に、2時間以内喫食に努める。

(2)コストも膨らむもとで、まだそれでもベストと言えるのか

 問題2点目、コストです。今議会に全員制中学校給食の実施に係る給食センター整備運営事業費の債務負担行為446億7000万円が提案されました。これは昨年京都市が調査を依頼したコンサルタント会社が出したセンター方式の概算事業費441億円を上回っています。今回13校5500食を民間に委託する事業費がプラスされます。センター方式の栄養教諭の配置は上限3名。この計画で栄養教諭を増やすなら人件費もプラスされます。合計すると441億円から大きく膨れ上がります。先の9月市会で副市長は「今後のイニシャルコスト、ランニングコストを考えて、給食センターがベスト、ベターである」と答弁されていますが、これ、コスト面からみても本当にまだベストですか。認識をお伺いします。

【答弁→教育長】 昨年度の試算はあくまで実施方式の比較のためであり、今回の概算とは様々な前提条件が異なるため単純な比較はできない。実施方式はコスト面だけでなく、自校調理で9割以上、親子方式で7割以上の中学校で給食室の整備スペースがないこと、小学校の給食室の調理能力では対応できない食数となることから実現困難。センターでは高度な衛生管理、安全性、中学校独自献立、きめ細やかなアレルギー対応、全市一斉開始が可能など、総合的に決定したものであり、見直す予定はない。

(3)PFI手法による実施には問題がある

 問題3点目、PFI手法です。今、京都市は巨大給食センターの建設、運営をPFI方式で行うため、事業者募集に向けて動いています。来年10月に事業契約を結び、そこから設計、建設が始まり、令和10年の9月から給食をスタートさせる計画です。WTO協定の適用を受けることから、市内に本社、本店等の主たる事務所・営業所を有する中小企業に参入条件を限定することはできません。主となるのは市内中小業者ではなく民間大企業です。PFIの運営は民間事業者が主となるので、自治体側は運営のコントロールがしにくくなるともいわれています。先ほど紹介した政令市の給食センター調査の中で、ある市の回答が、すべての献立の出来上がり時間とセンターからの搬出時間がまったく同時刻でした。疑問に思い問い合わせると「民間業者との約束でセンターからの搬出時間から報告することになっている」とのことでした。それでは2時間喫食が守られているのか確認することはできません。この市の給食センターはすべてPFIで運営されています。これは運営のコントロールがしにくいというPFIのデメリットではないでしょうか。
 また、市直営と違って、民間事業者は儲けを出さないといけない。経費を削減するために必然的に給食センターの現場では非正規雇用が拡大しています。大量調理を、2時間喫食を守りながら仕上げるのは大変厳しい労働環境になります。安定した運営ができるでしょうか。
 京都市の小学校の給食は大変美味しいと評判です。市民の中学校給食への願いは、小学校と同じような、安全で出来立ての給食、豊かな食育の実践です。松井市長は市長総括質疑で「正直に言うと大きな給食工場ができて、機械的に給食がつくられるということが、一番いいかという風には思っていない」と言われました。市長、こどもの権利保障という観点から見た場合、PFI手法の大きな給食工場で、安定的な供給と安全性、質、教育的効果がもたらされるでしょうか。前市長がつくったこの巨大給食センター計画を転換して、こどもの権利保障、防災の観点からも全員制中学校給食は学校調理方式で早急に実施すべきです。いかがですか。ここまでの答弁を求めます。

【答弁→教育長】 公共施設整備で建設費がおおむね10億円以上、維持管理費・運営費が単年度でおおむね1億円以上の施設では優先的にPFI手法の検討をすすめる旨が内閣府により定められている。他都市の実績からサービス向上や財政負担の軽減が見込まれる。地元企業参入についてはPFI事業実施方針に市の公契約基本方針を示し、市内中小企業の活用、地元雇用、地元中小企業からの資材調達など、地域経済への配慮を求めている。先般の決算総括質疑での市長発言は、給食センターであっても、決して機械的なものではなく、地産地消の取り組みや、創意工夫をこらした献立等、あたたかみのある給食にしていくという主旨であり、今後も全国から京都方式と呼ばれるような魅力ある中学校給食となるよう、取り組みをすすめる。

【えもと議員】 学校給食について、市長からご答弁がなく残念です。調理数が多いと配缶に時間をとられ、調理に手間をかけられない。メニューに限界がある、地場産食材は一度に多くの量が必要なので生産者からの購入が難しい、揚げ物や焼き物の調理は前倒しで調理しないと2時間喫食は間に合わない、と2000食以上のセンターで勤務した栄養教諭は指摘しています。巨大給食センターでは市長が望んでおられる給食はできません。

3.北陸新幹線延伸計画に、市長はきっぱりと中止の態度表明を

 次に北陸新幹線延伸問題について質問いたします。
 与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームは「小浜ルート」について、西脇隆俊京都府知事と松井市長、沿線首長からヒアリングをすることを決めました。今月中に案を決め、来年にアセスメント準備書を公表し、2025年度内の認可・着工をめざすとしています。しかし、ルートを決める前提となる着工5条件を満たす材料は何も示されていません。
 市長は「地下水保全」「残土処分」「建設地周辺の交通渋滞」「財政負担」の4つの懸念を表明されています。
 「建設地周辺の交通渋滞」についてですが、小浜ルート3案はすべて私の地元右京を通ります。ボーリング調査も右京に集中しています。小学校の真ん前の児童公園でも行われました。シールドトンネルの起点となる立坑は宇多野地域であることが公表されました。立坑はシールドマシン搬入や掘削残土を地上に搬出する施設です。立坑の建設は直径最大30mの巨大な穴を地下深く掘るため、周辺の環境は一変します。大量の残土の処分方法は未定。残土搬出によるダンプが生活道路である国道162号線、福王子交差点を使用すれば大渋滞が発生するなど生活に大きな影響を与えることは明らかです。また京北方面の162号線沿いに高雄小学校があります。162号線は子どもたちの通学路です。3案どれも宇多野の立坑がシールドトンネルの起点となります。3案のどれであっても右京は交通渋滞から免れることはできません。認識をお伺いします。
 右京では交通渋滞に加え、トンネル工事による陥没事故等も懸念され、住民の間で不安が増しています。東京都町田市ではリニアのトンネル工事の影響で民家の庭から水と気泡が吹き出しました。生活できなくなる恐れがあります。3案ルート上の右京8学区の住民がそれぞれ京都府や鉄道建設・運輸施設整備支援機構に、住民説明会を開くよう要望書をあげられましたが、未だ行われていません。
 現行の全国新幹線鉄道整備法には計画策定時における住民説明の義務が含まれていません。意見の反映どころか、住民説明義務すら課せられていないことは重大です。
 「地下水保全」についてですが、宇多野にあるいづみ谷西寿寺は、建立以来、泉と水脈を同じくする井戸水だけで生活されています。住職は「地下水脈は西寿寺にとっては命の水そのもの。北陸新幹線のトンネル工事で地下水が枯れたら西寿寺の存続にもかかわる」と訴えておられます。また先日、「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化財に登録される見通しとなりましたが、地下水に影響が出れば伝統的酒造りは守れません。北陸新幹線延伸計画は、市民にとってどの案になろうと死活問題です。
 「財政負担」についてですが、京都市は最大5兆3千億という莫大な工事費の自治体負担分の財源を確保できるのですか。その際、自治体の役割である住民福祉の増進はどうなるのでしょうか。
 市長!時間がありません。市長の4つの懸念はどれひとつとして解消していません。認識をお伺いします。今に至ってもなお「慎重に判断したい」などと言われるのは無責任です。与党PTのヒアリングにどういう姿勢で臨むおつもりですか。今こそきっぱりと「京都市はこんな計画には乗らない」と中止を求めるべきです。住民の生活を守る自治体の長として決断してください!
 以上です。ご清聴ありがとうございました。

【答弁→総合企画局長】 地下水への影響、建設発生土への対応、工事車両による交通渋滞、市財政への影響の4つの課題について、市民のくらしや生業などに支障をきたさないよう精査し、将来の京都にとって価値のある投資なのか、非常に慎重な検討が必要。国、鉄道・運輸機構に適切に対応していただく。3つのルート案の概算事業費や工期などが示されたが、課題に対しては一般的な対策が示されているだけであり、現状として具体的に精査できる状況にはない。詳細が明らかになれば、京都の文化・産業は豊かな自然に支えられてきたとの認識のもと、専門家などのご意見をお聞きしながらしっかり精査し、意見を述べる。ご指摘のヒアリングについても、要請があり出席することになれば、これまでと同様の姿勢で臨む。