日本共産党京都市会議員団 団長 井坂博文
2022年度京都市予算案が議会に提出されました。昨年8月に策定された「行財政改革計画」のもとで編成された初めての予算案です。
長引くコロナ禍で市民生活の厳しさが増しているにも関わらず、あらゆる市民負担の押し付けと、暮らしを支えてきた補助金を大幅にカットする予算となっています。国民健康保険料や敬老乗車証の負担金、138施設の利用料、証明書発行等の手数料の値上げなど、市民負担増の総額は25億円にも上ります。また、保育園職員の賃金を底上げするための補助金をはじめとした様々な補助金も大幅にカットしようとしています。さらに、来年度以降も、53施設の利用料の値上げや、市バス・地下鉄運賃の値上げも計画されています。
これらの負担増を行ってもなお、来年度も117億円の「収支不足」としていますが、ここには大きなゴマカシがあります。
予算案と同時に発表されたのが、今年度(2021年度)の収入見込みで、昨年の予算編成時よりも200億円多いというものです。これを来年度予算で活用すれば、「行財政改革計画」の具体化である負担増や制度改悪など必要ありません。さらに、「500億円の財源不足」で「財政が破たんする」としていた前提が崩れていますから、「行財政改革計画」そのものを撤回するべきです。
また、今回の予算案では、学童保育利用料や博物館である動物園の入場料など、利用料の値上げの理由として「受益者負担」が少ないためとしています。これは、個人に自己責任を押し付ける国の「新自由主義路線」そのものであり、住民の福祉の向上という自治体本来のあり方を投げ捨てる方向に拍車をかけるものです。
今、行政に求められていることは、コロナ禍で厳しさを増す市民生活や中小零細業者の仕事の支援を強化することであり、医療・公衆衛生を充実することです。その際、施策を充実させると同時に、職員体制の充実も必要です。
よって、日本共産党京都市会議員団は、「行財政改革計画」にもとづく予算案を、以下の趣旨に沿って組替えるよう求めます。
1. 「行財政改革計画」を撤回し、市民負担増と補助金カットを中止する
2. 新型コロナウイルス感染症対策を強化するために、大規模な検査の実施、医療機関に対する支援と連携の強化、保健所を各行政区に戻し公衆衛生行政を拡充する、及び介護・保育等のエッセンシャルワーカーへの支援を拡充する
3. 中小零細業者が事業や雇用を継続できるだけの補償と支援を抜本的に強化する
4. 子育て支援を充実させるために、全員制の中学校給食の実施、子どもの医療費の無料化拡充、教員の増員を図る
5. 上記2~4の項目の推進や災害対策を充実させるために、職員体制を強化する
6. 北陸新幹線とリニア新幹線、堀川・油小路地下バイパストンネル推進方針を撤回する
7. 小中一貫校整備(西陵中校区・小栗栖中校区)など、不要不急の大型事業を中止する
8. 法人市民税の超過課税の強化など、大企業に対して応分の負担を求める
9. 市外からの企業誘致促進のためとして行っている都市計画の規制緩和を中止する
10. 「三位一体改革」以来の地方自治体への財源を削減する国の方針の転換を求め、自治体の財源を国に保障させる