日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文
一、はじめに
11月市会は、12月9日、16日間の日程を終えて終了しました。11月市会は、来年度予算編成を目前に控えるなか開かれ、党議員団は、住民のみなさんの切実な声をかかげて、願い実現に奮闘しました。
一、市長提出議案に対する党議員団の態度について
市長からは計50件が提出されました。党議員団は、37件について賛成し、「行財政改革計画」にもとづく職員・会計年度任用職員・教職員の給与・期末手当を引き下げる条例など、13件について反対しました。
京都市鏡山保育所を廃止する条例改定について「市営保育所のセーフティーネットの役割を放棄し、民間保育所に対しても、行財政改革の名の下に厳しい対応を迫ろうとしている」と反対討論で指摘。「公の役割は、市営保育所の責任の果たすことである」との議会の態度を示すよう呼びかけました。
地方独立行政法人京都市産業技術研究所第三期中期目標の策定についても、反対討論で、産業技術研究所の伝統地場産業や中小企業を支援する位置付けを後退させており、予算や人員体制削減をすすめ、料金値上げを示唆していることも重大であると述べました。
補正予算については、11月市会冒頭に提案されたコロナウイルス感染症対策の検査体制の強化や事業者支援の補正に加えて、終了本会議に子育て世帯への臨時特別給付金の予算が提案されました。党議員団は、何れも、必要な予算であることから賛成しました。コロナ対策の補正については、討論で、区役所に保健所を戻し公衆衛生機能を強化すべきこと、敬老乗車証制度改悪のシステム改修の実施は凍結すべきこと、学生支援や、事業者の実態調査と相談窓口設置を行うべきことを述べました。
また、子育て世帯への臨時特別給付金について、市長提案は「5万円分はクーポン券」を想定したものであったため、党議員団は、第一に、速やかに全額を現金で給付する、第二に、クーポンに関わる事務費を削減し、現金給付に係る事務費のみにする予算の組み替え動議を提出しました。無所属議員が賛成しましたが、党議員団以外の全ての会派が反対し、否決されました。党議員団は討論に立ち、「原則、あとの5万円はクーポン」との政府方針が固定的なものではないことを述べ、現金給付とすれば7億円以上の事務費軽減が可能であることを指摘。本来、生活困窮世帯全体を給付対象とするものであったと国に声をあげるよう求めました。その後、市長が記者会見で子育て世帯への臨時特別給付金について、全額現金で一括給付にすると表明、党議員団の組み替え提案が実りました。国民世論の力であり、歓迎するものです。
一、「行財政改革計画」等について
代表質問や委員会審議において、財政危機をあおり住民・福祉サービスを削減する「行財政改革計画」の撤回を求めました。また、厳しい経済状況のもと、くらしや生業の支援こそ進めるべきこと、ムダな大型公共事業をやめて大企業・高額所得者に課税強化と負担を求めるべきと迫りました。市長は、コロナ禍で機能不全を招いたにもかかわらず、職員削減政策を引き続き進める方針に固執。コロナによる人口比での死亡者が他都市と比べて少ないとの驚くべき認識を示しました。また、ムダな大型事業の見直しを示さず、大企業への課税強化は改革(行財政改革計画)をすすめた上でと住民負担増を優先させる考えを示しました。議会開会中に企業立地補助金の指定企業が発表されましたが、相変わらず大企業も対象とされています。
一方で、粘り強い運動により変化も起きています。保育料値上げについて、京都市保育園保護者会連合協議会が行った調査で「保育料が1万円値上がりしたら市外へ転居」「次子をあきらめる」との回答が約半分を占めるなどの告発と運動が力となり、来春の値上げは見送りとなりました。引き続き、保育所補助金カット中止、学童保育利用料値上げや敬老乗車証改悪実施中止を求めます。
また、11月市会から一般質問・請願・陳情の質疑時間が制限されることになりました。党議員団は市会運営委員会で「職員の超勤削減は職員増で対応すべき」「とりわけ、主権者・市民から提出される請願の審査は、審議時間を制限せず保障されるべき」と指摘しました。党議員団は、今後も市会の審議保障に力を尽くします。
一、意見書・決議について
米価格の大幅下落の影響への支援を求める「コロナ禍における農産物への影響の改善を求める意見書」、沖縄戦の戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋め立てに使用することは人道上許されないとする「沖縄戦戦没者の遺骨等を含む土砂を埋め立てに使用しないよう求める意見書」等の3件を全会一致で採択しました。「HPVワクチン接種勧奨への支援を求める意見書」について党議員団は賛成し、討論で、副反応被害者に対する救済策を充実させ、副反応についての調査・原因究明を行いながら進めるべきと述べました。
一、請願・陳情について
11月市会では、請願7件・陳情14件が審査されました。請願2件が、党議員団以外の反対により不採択とされ、採択を求め討論に立ちました。
「小学校のような全員制の中学校給食の実施」を求める請願については、請願者がアンケートに取り組まれ、509人の回答をもとに提出されたことを重く受け止めるべきと指摘。選択制の弁当給食を食べている生徒は25%弱であり、学校で昼食時何も食べない生徒が7.7%いることからも、全員制に踏み出すことを求めました。また、自民党議員が「堂々巡りの議論になっている。請願を議論する意味がない」と発言したことについて、請願権に基づく請願審査は議会の重要な責務だと指摘しました。
また、「新型コロナウイルス感染症の影響による国保等の減免の充実等」を求める請願についても、保険料減免の減収要件は、すでに激減している2020年を基準としているため、多くの事業者が対象から外れる事態が起きていること、国に対して制度変更を求め、京都市独自に減免を実施する必要があることを述べました。
一、豊田恵美議員の事案について
豊田恵美議員が労働実態のない事務職員の給与を政務活動費に計上したと報道されたことを受け、人件費を返還するとし、自民党会派を離脱しました。公費である政務活動費は労働の対価として支払われるべきであり、その根拠がなければ不正受給となり、市民の政治不信を招くことは言うまでもありません。党議員団は更なる調査によって真相を明らかにするよう求めます。
一、最後に
12月9日、党議員団は市長に対し、「来年度予算編成に対する要求書」を提出しました。新型コロナウイルス感染症の第6波の到来が危惧され、行政機能強化や経済対策、福祉の充実が求められています。党議員団は、引き続き、自助押し付け・福祉切り捨ての「行財政改革」を中止させるよう取り組むとともに、来年3月の京都府知事選挙勝利に力を尽くします。