【申し入れ】
京都市長 門川大作 様
くらしと生業を支援し、医療・公衆衛生を強化する京都市へ
~「行財政改革計画」は撤回を~
2021年8月24日
日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文
8月10日、市長が「行財政改革計画」(以下「計画」・計画期間は2021~2025年)を決定しました。コロナ禍が長引く中、貧困と格差が一層広がっています。この間、市内各地で取り組まれている食糧支援プロジェクトには、一つの会場に数百人が来場するような状況であり、寄せられる相談も深刻さを増しています。
ところが今回の「計画」で行おうとしていることは、敬老乗車証の改悪、保育料や学童利用料の値上げ、国民健康保険料の値上げ、保育士の給料引き下げ、市バス・地下鉄料金の値上げ、施設の利用料の値上げなど、市民への負担の押し付けや制度改悪ばかりです。また、中小業者支援の具体策はなく、職員削減で、今でも不十分な公衆衛生や災害対策の体制を、さらにぜい弱にする方針まで示しています。これは、「住民の福祉の向上」という自治体本来の役割を投げ捨てるものです。
市長は、このままでは「10年以内に財政は破たんしかねない」と言って、市民負担増等を正当化しようとしていますが、これは、全く事実にもとづかないものです。そのように判断する理由は、第1に、今後も巨大プロジェクト(総事業費2.1兆円の北陸新幹線延伸工事や総事業費1,200億円の堀川地下バイパストンネル工事など)をはじめとした大型事業は、「推進する」としていることです。京都市の負担が何百億円になるのか、何千億円になるのかわからない巨大プロジェクトを「推進する」にもかかわらず、一方で「10年以内に財政が破たんする」などと言うこと自体が、全く矛盾しています。第2に、今年度予算の財源不足額は236億円であるにも関わらず、今回の「計画」でも、昨年11月に示した財政収支見通しである「500億円の財源不足」を、「10年以内に財政が破たんする」という試算の根拠に使っていることです。
結局、今回の「計画」の本質は、国が進める「成長戦略」をそのまま京都市に持ち込み、巨大プロジェクトを推進する財源をつくるために、今から社会保障を削っておくというものです。
今、行政に求められていることは、コロナ禍で厳しさを増す市民のくらしと生業をしっかりと支援することです。その財源を確保するためには、巨大プロジェクトの中止や不要不急の大型事業の見直し、累進課税の強化、大企業向けの支援策を中止するとともに、この立場を国にも求めることが必要です。さらに、財源確保で重要なことは、地方自治体への財政支出を削減する国の方針を転換させることです。
今回の「計画」が(案)の段階で議論されている時から、市長や議会に対して、多くの方々から批判や不安の声が寄せられてきました。「計画」(案)の市民意見募集(パブリックコメント)に9,000件を超える意見が提出され、また、7月市会に限っても、「計画」(案)に示される負担増や施策の切り捨てをやめるよう求める陳情や請願が500件近く提出されました。ところが、これらの市民の意見が「計画」の本体部分である「行財政改革の取組」には全く反映されませんでした。内容もひどければ、決め方も民主主義のルールを無視するというものであり、断じて容認できるものではありません。
よって、今回の「行財政改革計画」は撤回し、自治体本来の役割を果たす京都市となることを強く求めます。
以上