日本共産党京都市会議員団 団長 井坂博文
8月10日、京都市は「行財政改革計画」(以下「計画」)を発表した。
昨年来、この「計画」をつくるための「行財政改革審議会」がつくられ、市民負担増と市民のための施策の切り捨ての方向が示される中で、多くの方から、批判や不安の声が市長や議会に対して寄せられてきた。本年6月12日~7月11日まで「計画」(案)の市民意見募集(パブリックコメント)が行われ、9,000件を超える意見が提出されている。また、7月市会に限っても、「計画」(案)に示される負担増や施策の切り捨てをやめるよう求める陳情や請願が500件近く提出された。
しかし、今回出された「計画」は、「前文」と「Ⅴ 都市の成長戦略」の説明が多少書き換えられただけで、Ⅰ~Ⅳ章で展開されている、本市の財政の現状分析や今後の財政運営の考え方、そして、市民負担増と施策の切り捨て部分である「行財政改革の取り組み」については、ほぼ「計画」(案)の内容のままである。しかも、8月10日の総務消防委員会の前に開いた「行財政改革推進本部」で「計画」を決定した上で、パブリックコメントの結果と、決定された「計画」を同時に委員会に報告した。市民の意見を全く反映させず、市民を代表する議会の意見も聞かないまま、市民負担増と市民のための施策の切り捨てを決定したことに対して、厳しく抗議する。
党議員団は、「計画」(案)が示されたときに出した声明で、6つの問題点、①「コロナ禍」では市民のくらしと生業を支援し、感染封じ込め対策を強めるべきなのに、全く逆行する提案である、②財源不足を過大に強調し市民を脅していること、③財政が厳しくなった原因は、過去の過大な大型事業であると説明したのに、「計画」(案)では、あたかも暮らしを充実させる施策が原因かのように書かれていること、④財政が厳しいと言いながら、北陸新幹線などの巨大プロジェクトを推進する、としていること、⑤三位一体改革以降の地方への財政出動を削減する国の方針を肯定していること、⑥「受益者負担」という言葉で社会保障が権利であることを否定し、市民間に分断を持ち込んでいること、を指摘した。これらの問題は、今回決定された「計画」でも全く解決されていない。
コロナ禍で、住民福祉の向上という自治体本来の役割の発揮が今ほど求められている時はない。党議員団は、広範な市民との共同を引き続き広げながら、自己責任を押し付け福祉を切り捨てる「行財政改革計画」を実施させない取り組みを進めるとともに、そのおおもとにある国の政治を転換するために奮闘する。