日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文
一、5月市会に臨む基本姿勢について
5月市会は、5月18日から15日間の審議期間で開催し、6月1日終了しました。5月市会は、感染の封じ込め戦略を持たない政府の失政により、住民の命とくらし・生業が重大な危機にさらされる中で開かれました。
党議員団は、実施した市政報告全戸配布アンケートによせられた切実な実態と声を市政に反映させる立場から「急拡大する新型コロナウイルス感染症の対策に関する緊急申し入れ」を行い、集計結果について記者発表するとともに、本市会の代表質問や各常任委員会で実態を示し政策提案を行う姿勢で臨みました。同アンケートは、コロナ禍のもとでの市民の暮らしの実態と市政リストラ計画についての市民の受けとめ等を把握するために、お困りごと等のアンケート用紙と返信用封筒を全戸配布したもので、2400近くの回答が寄せられました。暮らし向きが悪くなった・やや悪くなったとの回答が55%を占め、自営業では75%となるなど深刻な実態が浮き彫りになりました。
また、党議員団は、5月市会に先立ち、集団接種会場の増設等を求める「新型コロナワクチン予防接種についての緊急申し入れ」、中小企業等への直接支援を行うための補正予算計上等を求める「中小企業等への支援拡充の緊急申し入れ」、新型コロナウイルス感染症肺炎(推定)により自宅療養中に亡くなられる事案を受けての「新型コロナ感染症対策についての緊急申し入れ」を行いました。新型コロナ感染症対策についての党議員団の申し入れは、18次となりました。住民や事業者の深刻な実態に向き合い、積極的な支援策の予算化を求める立場から議会に臨みました。
一、市長提出議案について
今市会には、市長から新型コロナウイルス感染症対策のための2021年度補正予算など29件が提出されました。党議員団は、京都市聚楽保育所を廃止する条例改正、市立芸大・銅駝美術工芸高等学校工事契約議案(A地区・B地区)、新北庁舎新築工事契約・本庁舎改修・新西庁舎新築工事契約の変更等13件について反対し、その他の議案16件に賛成しました。
〈京都市聚楽保育所を廃止する条例について〉
党議員団は、市当局が従前の保育継続方針を突如変更し、廃止するとした同議案の発送を受け、直ちに「京都市聚楽保育所存続を求める」声明を発表し、HOTニュース等で積極的に情報を発信。保護者や市民からよせられた「聚楽保育所の存続」と「慎重審議」を求める陳情やWeb集会・ネット署名などの運動と呼応して審議を行いました。
党議員団は審議が尽くされていないとして継続審査の動議を提出し、京都党、日本維新の会が賛成しましたが、少数否決となりました。党議員団と京都党、日本維新の会が廃止議案に反対しましたが、自民党、公明党、民主・市民フォーラム、無所属の賛成多数で可決成立しました。賛成した会派・議員の責任は重大です。「保育所廃止は公的責任を投げすてるものであり、福祉向上よりも行財政改革方針優先のやり方は認められない」と討論に立ちました。党議員団は「廃止」撤回のために引き続き力を尽くします。
〈一般会計補正予算について〉
不安を抱える女性に寄り添った相談支援、高等職業訓練促進給付金事業の拡充、元京北第一小学校を活用したテレワーク拠点づくりの経費を補正する予算が計上されました。党議員団は全体として必要なものであることから賛成し、地方創生臨時交付金残額14億円の活用等による市民生活と事業者支援のための補正予算の提案を求めました。委員会で、事業者支援の補正予算提案が行われなかったことを指摘し、疲弊している事業者を直ちに支援する必要性を質しました。
また、3度目の緊急事態宣言のもと、京都府・京都市が公共施設の休館措置を継続したことにより、文化芸術関係者に損失が発生していることへの抜本的支援を要望しました。
不安を抱える女性に寄り添った相談支援事業における学校施設等での生理用品の提供は、市民団体や党議員団も求めてきたものであり、一歩前進です。今市会にも「学校施設の女子トイレ個室への生理用品の設置」を求める陳情がよせられました。質疑の中で当局から「生理の貧困」について「衣食住とともに配慮されるべき問題」との認識が示され、学生への支援について「市内38大学に意向調査を行っている」、「食材提供をされているところも連携できる団体の一つと考えている」との重要な答弁がありました。引き続き、継続的な支援とともに、学校施設のトイレ等に生理用品を配備することや生理の貧困についての実態調査の実施を求めます。
一、意見書・決議について
「入国における万全な水際対策を求める」意見書、「事業者支援の一層の充実を求める」意見書は全会一致で可決されました。とりわけて「事業者支援の一層の充実を求める」意見書で、支援制度の要件緩和と「持続化給付金の2度目の実施」を求めたことは重要であり、事業者のみなさんの切実な声が市会を動かしたものです。
「学校教育におけるデジタルトランスフォーメーションを適切に進める」意見書について、党議員団は反対しましたが、わが党以外の賛成で可決しました。反対討論で、教育の孤立化・画一化につながる懸念や個人情報上の課題を指摘し、少人数学級の早期実現の予算こそ増やすべきことを述べました。
党議員団は「今夏の東京オリンピック・パラリンピックの中止を求める」意見書、「『病床削減推進法』廃止を求める」意見書を提案しましたが、わが党以外の反対で否決されました。それぞれ討論にたち、政府は「新型コロナウイルス感染症収束させ、命とくらしを守ることを最優先事項とするべき」であると述べ、本市会から意見書をあげる意義を強調しました。
新型コロナワクチンについて「接種の確実な推進を求める」決議が自民党、公明党、日本維新の会、無所属議員から提案され、党議員団も賛成し、全会一致で可決しました。また、党議員団は「一層の接種体制の拡充を求める」決議を提案しましたが、わが党以外の反対で否決されました。
新型コロナワクチンをめぐっては、市長が表明していた接種医療機関名公表が見送りとなるなか、最終本会議で、市長が陳謝する事態となりました。党議員団提案の決議では、「医療機関の支援と集団接種会場の増設」「区役所などでの相談対応」を求めるとともに、討論で「医療現場の実態を広く把握することなしに方針をすすめることはあってはならない」として、市長の責任において、今回の事態の要因を明らかにすることを求め、医療機関の負担軽減のためにも集団接種会場増設を重ねて求めました。
一、議会三役選出について
議長、副議長、議会選出監査委員(2人)が選出されました。38年にわたり、第二党である党議員団(18議席)を除く形で副議長が選出され、議会三役を自民党(22)、公明党(10)、民主・市民フォーラム(6)が独占する不正常な状態が続いています。党議員団は、全ての会派・議員に民意を反映した議会三役の選出を行うよう申し入れを行いました。
また、「市会運営と環境整備について」の声明を発表し、市会運営委員長と各会派に届け、検討を要望しました。「議員の発言権保障と活発な質疑・討論を保障する運営」、「会議規則への産休期間明記や欠席の事由に看護・介護等を加える改定」をはじめとした京都市会における一層の立法機能強化、及び、行政監視機能と政策形成能力の向上のための取り組みを全議員のみなさんに呼びかけました。
一、最後に
コロナ禍の下でワクチン問題をめぐる混乱や医療の逼迫など、命とくらし・生業を応援する政治の役割がまさに問われています。「政府危機」とも言うべき事態に際し、野党共闘の進展と国民の運動で政治を動かすとともに、来たる総選挙での政権交代が切に求められています。党議員団はワクチン相談に取り組むなど、国民の苦難軽減に引き続き総力を挙げるとともに、総選挙勝利へまい進します。
市長から行財政改革計画(案)が示されました。5月市会にも現行の敬老乗車証制度の継続を求める陳情がよせられましたが、コロナ禍のもと、福祉・くらし・生業支援充実こそ重要です。みなさんとともに住民の福祉の増進を図る地方自治体の役割を果たさせるために全力を尽くします。