日本共産党京都市会議員団 団長 井坂博文
昨年12月28日、市長は記者会見を開き「今後の行財政改革の視点及び主な改革事項」の方向性及び「覚悟と決意」を表明し、1月に「視点及び主な改革事項」の内容を発表しました。
その中では、京都市財政は「ぜい弱」な上、国による地方交付税削減、高齢化の進展による社会福祉関連経費の増加により、「支出が収入を上回る状況が続いている」こと、さらに新型コロナウイルス感染症の拡大が「財政状況の悪化に拍車をかけた」としています。そして、このままでは「財政再生団体」になり、「国民健康保険料は3割値上げ」「保育料は4割値上げ」「敬老乗車証は廃止」「大幅な増税(市民税や固定資産税の税率引き上げ)」になるので、これまで以上の抜本的な行財政改革を実行するとしています。また、今の状況を「危機は変化への契機」とも述べています。これは、惨事便乗型の政治手法そのものと言えます。
今回の「行財政改革」の問題点は、第1に、コロナ禍で市民の暮らしが危機的な状況に陥っているときに、更なる市民負担を押し付ける宣言を行っていることです。市民の暮らしの実態に全く寄り添おうとしないものであり、自治体本来の役割を投げ捨てるものにほかなりません。今京都市が行うべき最優先事項は、市民の暮らしと地域の産業や雇用を守るために最大限の支援策を講じること、公衆衛生と感染症医療の体制を強化することです。
問題点の第2は、厳しい財政状況に至った理由は「平成初期の大規模投資」としているにもかかわらず、今後も北陸新幹線延伸事業(総事業費2.1兆円)や堀川地下バイパス事業(高速道路で計画時は総事業費1,200億円)は聖域にし、「改革」の検討対象から外すだけでなく、推進するとしている点です。これらの不要不急の大型事業計画は中止することが必要です。
問題点の第3は、「国の方針による地方交付税の削減により、税収が増加しても、本市が自由に使える一般財源収入が増えない状況が続いています」と言いながら、その国の方針に理解を示している点です。国の地方切り捨て方針は間違っていると指摘し、地方財源の確保を本気で求める必要があります。国の間違った方針を転換させてこそ、中長期的な財政の展望も開けます。
党議員団は、広範な市民との共同を広げながら、自己責任を押し付け、福祉を切り捨てる「行財政改革」と、そのおおもとにある国の政治を転換するために力を尽くします。