【声明】11月市会を終えて - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文
一、はじめに
 11月市会は、12月10日、16日間の日程を終えて終了しました。11月市会は、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、年末にかけて中小・小規模事業所の廃業・倒産、解雇、雇い止めなどが進行するなか開かれました。党議員団は住民のみなさんの切実な声をかかげて、願い実現に奮闘しました。

一、市長提出議案に対する党議員団の態度について
 市長からは新型コロナウイルス感染症への対応や事業者などの支援を講じる補正予算など計52件が提出されました。党議員団は、45件について賛成し、職員の期末手当を引き下げる条例改正、八条口貸し切りバス乗降場等営利を目的とした民間企業を指定管理者に指定する議案、大宮交通公園条例の一部改正など関連議案3件、教育委員会委員の任命議案の合計7件に反対しました。他会派・議員は全ての議案に賛成しました。

〈市民税独自減免制度の廃止について〉
 9月市会に運動の力で継続審査を全会一致で決定した市民税の独自減免制度の廃止について、11月市会で審査が行われ、党議員団以外の全ての会派・議員の賛成多数で可決されました。党議員団は、引き続き、継続審査を求める動議を提出した後、独自減免制度を継続する「修正案」を提案し、原案に反対しました。減免制度廃止の中止を求める署名は、短期間で1000筆を超えてよせられ、当局が影響を明らかにしないもとでも、当事者の方から実態が告発され、可決後開かれた減免制度廃止撤回を求める緊急集会(2020年秋の総行動実行委員会主催)には会場いっぱいの参加者が詰めかけました。
 党議員団は、「コロナ禍の下、住民の命を守るために、豊かな福祉を実現し、暮らしを応援していくことが求められているなか、同議案に賛成した自民・公明・民フ・京都・維新・無所属議員の責任は重大である」として、「施行までの3年間で更なる運動を広げ、減免制度廃止を撤回し、自助をおしつけ福祉を切り捨てる『行財政改革』を中止させるべく奮闘する」との声明を発表しました。

〈地球温暖化対策条例について〉
 気候危機をふまえ、2050年までに脱炭素社会を達成するために、必要な事項を定める条例改正が提案されました。党議員団は「気候危機ともいえる時代に突入している」「豊かな地球環境を将来の世代に引き継ぐことができるかどうかの岐路に立っている」との前文変更が、現条例より踏み込んでおり、気候危機を乗り越えるために2050年二酸化炭素排出正味ゼロをかかげたことを評価し、賛成しました。条例とともに具体化を進めるための三項目の付帯決議も全会一致で採択されました。
 また、賛成討論に立ち、とりくみを更に進める立場から5つの提案を行いました。第一に、代替フロンなどの温室効果ガスの削減に向けた目標を新たに設置すること、第二に、全局が目標を共有し、全庁的に再生可能エネルギー100%達成の計画を示し、特定事業者等への指導や助言を強めること、第三に、関西電力等に再エネ導入計画書の策定を指導し、原発由来の電力については購入しないという思い切った決断を行うこと、第四に、自然エネルギーの導入の具体策を示すこと、第五に、市民や事業者を含めての取組の推進に財政支援を行うことです。また、温室効果ガス削減の基準年を1990年から2013年に変更したことについて、2030年までに削減する目標を、2013年比26%(90年比では18%)という低い削減目標にとどまっている国に追随するのではなく、気候危機宣言にふさわしい水準に国をけん引する必要があることも述べました。
 加えて、京都市会として「脱炭素社会の実現を目指す決議」を全会一致で採択しました。決議では、「本市会は、ここに気候非常事態を宣言し・・あらゆる主体と危機感、目標を共有したうえで・・自主的かつ積極的に地球温暖化対策に取り組むことを決意する」と、京都市会として気候非常事態を宣言し、決意を示しました。

〈コロナウイルス感染症対策について〉
 市長から新型コロナウイルス感染症への対応を図る総額5億8000万円の補正予算が提案され、ひとり親家庭臨時特別給付金の追加支給を行う補正とあわせて終了本会議で全会一致で可決されました。党議員団は、市民生活の現状と実態から求められている水準から言えば不十分な規模であるものの、何れも、コロナ対策として必要なものであることから、賛成した上で、問題点を討論で述べました。
 第一に、コロナ感染症対策については、消毒対策の補正予算は予算不足時には追加措置をとる必要があること。また、検査について社会的検査・防疫的検査の必要性を指摘しました。
 第二に、年末に向けての経済支援と生活支援については、宿泊観光促進の施策がGOTOトラベルへの参加が条件とされている問題点を指摘。また、中小企業・小規模事業者への直接支援が喫緊の課題であることを述べました。
 第三に、三施設一体化の整備に関する債務負担行為設定については、土壌汚染対策として必要なものであるものの、コロナ禍に三施設一体化事業の再検討が必要であることを指摘。住民基本台帳法の「改正」に対応するためのシステム改修については不要不急の事業であり見直しを求めました。
 11月市会の冒頭、党議員団は、年末年始に市民が路頭に迷うことが絶対にあってはならないとして「新型コロナウイルス感染症対策及びコロナ禍から営業とくらし、雇用を守るための年末支援の緊急申し入れ」を行いました。
 代表質問や補正予算委員会等の質疑でも、GOTOトラベルによる感染拡大など政府のコロナ対策の迷走を批判。感染拡大防止が一番の経済対策であり、事業者への直接支援の具体化を繰り返し求めました。また、各地で取り組まれた食料支援プロジェクトで寄せられた学生の深刻な実態についても紹介し、市独自の給付制奨学金制度の創設等を求めました。党議員団と青年が求めてきた青年・学生の実態調査について、京都市・京都府が詳細を取りまとめ、「新型コロナウイルス感染症による雇用への影響調査結果」が発表されました。約9割の学生が就職活動への影響があったと回答、7割以上の学生がアルバイト先の就労環境への影響を受けていると回答するなど深刻な実態が重ねて明らかになりました。党市会議員団は京都市が学生の就職支援の先頭に立つことを引き続き求めています。

〈大宮交通公園整備について〉
 党議員団は、大宮交通公園整備について反対討論にたち、理由を述べました。第一に、ゴーカートをなくさないでほしいという声に背を向けたこと、第二に、公園面積を3000㎡も縮小し、樹木を大幅に伐採するなど公園機能を後退させたこと、第三に、パークPFIにより事業者の利益が優先される公園づくりとなることを指摘しました。また、コミュニティルームの利用料金が高額であることなど改善を求めました。

一、議員提出議案に対する党議員団の態度について
 議員提出議案である意見書・決議について6件が提出されました。うち、脱炭素社会の実現を目指す決議等4件が全会一致で採択されました。「年末に向けて国民生活を支援するための緊急対策を求める意見書」、「後期高齢者医療一部負担金の2割負担導入方針の撤回を求める意見書」はわが党以外の会派・議員の反対で否決されました。討論に立ち、「年末に向けて国民生活を支援するための緊急対策を求める意見書」については、新型コロナウイルス感染症対策が極めて不十分であり、予備費の活用策を示していない無責任な政府の姿勢を批判。国の予備費7兆円を活用し、緊急に新たな対策を打ち出すべきことを述べました。
 また、「後期高齢者医療一部負担金の2割負担導入方針の撤回を求める意見書」についても、新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者の健康と生活への不安が高まっているときに、医療の負担増を持ち出す姿勢そのものが重大であり、大企業や富裕層を優遇する不公平税制には手を付けずに高齢者の窓口負担をあげることは許されないと厳しく指摘しました。

一、請願・陳情ついて
 11月市会では、請願4件・陳情11件が審査されました。9418筆の署名をそえて提出された「小学校のような全員制の中学校給食の実施」を求める請願1件は継続審査となり、医療機関等への緊急支援、介護サービス事業所の人員基準等の取扱いの是正等9月市会で継続審査となっていた請願3件は党議員団以外の全ての会派・議員が不採択を主張し、不採択となりました。
 また、9月市会以降出された、敬老乗車証制度の継続を求める陳情、小山・大塚地域のバス路線の改善を求める陳情、公営保育所民間移管園についての社会福祉法人の対応をめぐる指導を求める陳情等について審査しました。

一、最後に
 市長が財政健全化推進本部の訓示の中で「社会的な課題の解決を税金で、公務員、行政がやらなければならないという時代は終わっている」と述べました。コロナ禍に「『公的責任放棄』宣言」を認めるわけにはいきません。自治体の役割は命と暮らし、生業を守ることです。
 12月15日には第5回行財政審議会、12月21日には総務消防委員会に歳出改革の在り方が示されます。党議員団は、行財政審議会の先取りである市民税独自減免制度の廃止が明らかにした自助押し付け・福祉切り捨ての「行財政改革」を中止させるために力をつくします。

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