【声明】 11月市会を終えて - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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【声明】 11月市会を終えて
2019年12月19日 
日本共産党京都市会議員団 団長 井坂博文
一、はじめに
 11月市会は、12月13日、15日間の日程を終えて終了しました。11月市会は、人事委員会勧告をふまえた給与改定に伴う職員給与費の補正や児童の移動経路における交通安全対策事業をはじめとする補正予算の審議、期限を迎える公共施設運営の指定管理者の選定、などについて議論し、議決しました。

 党議員団は、市長から提案された議案68件(人事案件18件を含む)について、中央卸売市場第一市場整備工事請負契約の変更、市立高等学校条例の一部改正、京北地域小中一貫教育施設整備工事請負契約の変更等9件については反対し、一般会計補正予算、市営住宅条例の一部改正、客引き行為等の禁止等に関する条例の実効性を高める条例改正など残る59件について賛成しました。主な議案に対する党議員団の評価と対応は以下の通りです。

一、予算委員会に付託された議案及び補正予算に対する党議員団の態度と論戦
 一般会計補正予算については、ネーミングライツ契約に係る補正や議員・市長等特別職の期末手当の引き上げは問題があるものの、職員の賃金引き上げ・処遇改善、児童の交通安全対策は必要であることから賛成しました。公務員給与改定については、人勧準拠の民間労働への適用するよう求めました。委員会において、給与改定に連動した児童館及び学童保育所運営委託料の増額について、非常勤職員や地域学童クラブについても対象にするよう求めました。児童の交通安全対策事業について、今年度終了しない箇所については来年度以降すべて安全対策を講じるよう求めました。 
市会議員や市長等特別職の期末手当引き上げの条例改正については引き上げるべきではないとして反対し、一般職の職員・教職員・学校管理用務員の給与・期末手当の引き上げを行う条例改正について、必要なものとして賛成しました。委員会質疑において、3年前に給与を引き下げており、実際に給与が下がった職員がいること、公務員給与が民間給与に波及することを明らかにしました。京都党・日本維新の会などは人事委員会勧告制度の意義と役割を否定し一般職員給与と勤勉手当の引き上げ条例に反対しました。
 中央卸売第二市場・と畜場特別会計補正予算については、全ての肉に対して衛生面が高まることから賛成しました。

一、常任委員会に付託された議案への態度について
 子ども・子育て支援法施行条例の一部改正については、幼児教育保育無償化にともない国の指導監督基準を満たさない認可外保育施設について、無償化の対象から除外するものであり、国よりも早く基準を適用するものであることから賛成しました。討論の中で、政府が進める幼児教育保育無償化の問題点を明らかにし、京都市が子どもの安全確保を一刻も早く行うことを求めました。高等学校条例の一部改正・京北小中一貫教育校施設整備・下京雅小学校及び市立楊梅幼稚園新築工事請負契約変更について、学校統廃合を進めるものであることから、反対しました。下京雅小学校及び市立楊梅幼稚園新築工事の契約変更に含まれている児童の安全対策については必要であることを結了委員会で述べました。
 指定管理者の指定に関する22議案について、党議員団は指定管理者制度そのものは公共施設の運営管理における公的責任を放棄するものであり反対の立場ですが、個別の指定については団体の性格に応じて判断しています。交流促進・まちづくりプラザ指定管理者の指定については新たに指定管理者制度を導入し、営利企業を指定しようというものであることから反対し、残る議案には賛成しました。
 中央卸売市場第一市場整備工事(水産棟改修工事)請負契約の変更について、600億円という過大な再整備をすすめるものであり、反対しました。
 一級河川七瀬川遊水地整備工事請負契約の締結について、長年の住民要望でもある遊水地を確保し治水安全度を高めるための工事であり、賛成しました。委員会の質疑において、更なる安全確保の努力と工事協定締結など地元理解を得るよう求めました。府道宇治淀線高架橋改修工事請負契約の締結について、耐震強化と補強対策を行うものであることから、賛成しました。
 委員会付託されず終了本会議で採択された交通安全基本条例の一部改正について、根絶すべき危険運転として、あおり運転を規定するものであり、賛成しました。市長提案の人事案件18件について党議員団は賛成しました。
 自民党・公明党・民主市民フォーラムはすべての議案に賛成しました。

一、市政の動きに関する議会論戦の特徴
 市民の運動と議員団の論戦が市政に反映
 ・市営住宅条例の一部改正
  市営住宅の入居要件に保証人は不要となり、裁量階層(子育て世帯)の収入基準も拡大する条例の一部改正が提案され、議決しました。党議員団が入居申請時の保証人の廃止を求めてきたことが実現しました。

 ・障害者雇用の拡大について
  市当局が来年度から、職員採用について知的・精神障害の方も対象にすると発表しました。議員団は来年度予算編成に対する要望(10月24日市長に提出)で「職員募集・採用については、すべての障害種別に広く門戸を開くこと」を求めていました。

 ・地下鉄可動式ホーム柵設置について
  視覚障害者のみなさんなどの強い要望とともに繰り返し論戦してきた地下鉄可動式ホーム柵が2022年度中に北大路駅に設置されることになりました。

 くらし切り捨て市政から、暮らし丸ごと応援市政へ
 国の度重なる社会保障改悪により、市民の負担が重くなっている認識を質し、中学校卒業までの子どもの医療費の無料化や敬老乗車証の現行制度の堅持などを求めました。市長は国の姿勢を是認。福祉を後退させない決意で取り組んできたと答弁しました。全員制の中学校給食の実施を求めましたが、「180億円も必要であり、ほかに優先すべき課題も多く困難」と市民の願いに背を向けました。
 若者・大学生等への支援の充実について、独自の給付制奨学金制度創設1億5000万円など、京都市予算のわずか0.1%でできると実行を迫りました。市当局は「公平性の観点から国が統一的に支援すべき」と切実な願いに背を向けました。

 呼び込み型開発と観光インバウンド優先から、賃上げと中小企業支援で経済活性化を
 観光政策について、市長が「市民の安心・安全、地域文化の継承を重要視しない宿泊施設はお断り」との宣言を発表しました。これは、「観光公害」ともいわれる実態が広がる下での市民の強い批判や住環境・まちを守る市民の運動により「持続可能な観光都市に」と言わざるを得なくなったものです。
 しかし、発表された「基本指針と具体方策」は、観光客と宿泊施設の総量規制を行おうとしておらず、増え続ける観光客をさらに受け入れるための施策になっており、党議員団は見解を発表し、総量規制の必要性や新景観政策緩和の問題点を指摘しました。代表質問でも、1兆3000億円の観光消費額が地域経済の活性化につながっていないとして、中小零細企業を支援する方向への転換を求めました。市長は「景観の守るべき骨格の堅持を大切にしてきた」「観光は京都経済に大きく寄与している」と実態を乖離した認識を示しました。
公契約基本条例に賃金条項を設け、現場労働者の聞き取り調査を求めました。企業立地促進制度補助金を中小零細企業の支援に限った制度とするよう求め、住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム助成制度で中小企業の仕事おこしの実行を求めました。
 
 公務民営化から住民自治を支え責任果たす市政へ
 門川市長就任以来3300人以上の職員削減、区役所では900人以上削減があり行政機能が低下しているとして、職員削減方針を改め、身近な区役所への職員配置を求めました。副市長は「持続可能な行財政確立のため職員削減」「災害対応については地域の自主的活動との連携で取り組んできた」と強弁しました。
また、区役所の証明書郵送業務の民間委託で行政サービスの低下が起きている点について指摘。介護保険認定給付業務の民間委託の中止を求めました。

 介護・高齢者支援の充実を
 地域包括支援センターとヘルパー事業所へのアンケート調査をもとに、市独自予算による地域包括支援センターへの専門職増員・介護職処遇改善策を講じ、総合事業について生活支援型サービスの報酬を介護型と同様に引き上げることを求めました。また、介護保険や総合事業だけではカバーできない支援を行う地域のコーディネータを生活圏域に配置することを求めました。副市長が「(地域包括支援センターの)対応が困難な事例も増えている」と答弁しました。

 山科区のまちづくりについて
 京都市「京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略」について、刑務所の移転の見通しがなく、交通問題の解決など住民の声をしっかり反映させたものに、全面的に見直すよう求めました。市長は「13学区自治連合会長の議論を行った」「刑務所敷地活用は移転先等の課題があるが、必ず国を動かせると確信している」と区民の願いに背を向けました。

一、意見書・決議について
自民、公明、維新、無所属1人から提出された 「令和元年台風19号等からの復旧・復興に向けた対策を求める」意見書について、党議員団は賛成し、全会派一致で採択されました。「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」について、 必要なのは「競争力強化」ではなく戸別所得補償など家族農業支援であることから、党議員団は反対しました。党議員団が提案した「『桜を見る会』疑惑の徹底解明を求める意見書」、「市民生活と住環境を最重要視した持続可能な観光政策を求める決議」は、他会派・全員が反対しました。党議員団は討論に立ち、桜を見る会については、首相の法違反疑惑等の全容解明は政治の責務であること、観光政策については、深刻な観光公害を招いてきた市政の転換と具体策の実行こそ求められる点を述べ、採択すべきことを主張しました。

一、請願について
 仁和寺周辺地域の景観及び住民の生活環境の保全を求める請願について、党議員団以外の全会派・議員が反対し、不採択となりました。党議員団は不採択に反対する討論に立ち、京都市上質宿泊施設誘致制度に基づく特例制度によるホテル建設は、世界文化遺産仁和寺のバッファゾーンにふさわしい自然環境や景観を破壊するものであり、認められないという請願者の思いは当然であり、京都市の責任でホテルは建設中止するよう求めました。
 教育福祉委員会に付託された請願3件「子どもの医療費の無償化」「全員制中学校給食」「保育学童保育の充実」について、党議員団は採択を求めましたが、自民、公明、民主市民フォーラム、維新、京都が採択に反対し、継続審議となりました。

一、終わりに
 9日、臨時国会が閉会しました。「桜を見る会」の疑惑にふたをしたままの閉会に、国民の不信と怒りが渦巻き、内閣支持率の低下を招いています。安倍首相は国民の立憲主義・憲法9条守れとの願いに反して、改憲を主張していますが、この点でも、国民世論はむしろ反対が広がる様相となっています。こうした中、1月19日告示で、京都市長選挙が行われます。市民と野党の共闘の進展と京都市長選挙勝利で、政治の在り方を変える絶好のチャンスです。党議員団は安倍政権の退場と住民の福祉の増進をはかる地方自治体の実現のために全力を尽くす決意です。

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