【京のまちづくり緊急提言】 三つの転換で、安心して住み続けられる京都へ - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON【京のまちづくり緊急提言】 三つの転換で、安心して住み続けられる京都へ

日本共産党京都府委員会
日本共産党京都市会議員団

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 「まるで応仁の乱以来のまちこわしが進んでいる」(上京区)、「路地が丸ごと民泊になった」(下京区)、「市内に住みたいが、地価が上がり手が出ない」(若者)―― いま、京都のまちが大きく変容し、「京都が京都でなくなる」という状況が進行しています。

 「違法民泊」の横行とホテル建設ラッシュによって、京都市中心部の地価はバブル期を上回る高騰ぶりで、まちに若者や子育て世代、お年寄り、商売人が住み続けることができないようになりつつあります。また、キャパシティをこえる観光客によって「観光公害」と呼ばれる事態が引き起こされ、京都観光の「満足度」が低下し続けています。

 この背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け4,000万人、さらに2030年に6,000万人の訪日外国人観光客数を目標とする安倍政権の観光戦略があります。「観光を京都の成長の起爆剤に」(自民党総裁選挙で京都入りした安倍首相2018年9月)という号令のもと、京都府も京都市も「観光インバウンド」の吸収を最大目標にし、小学校跡地など公共用地でさえ住民のためでなく、大手ホテル資本に超低利で長期に貸し出すなど、地方自治体の本旨である「住民福祉の向上」にそむく道を突き進んでいます。
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 しかし、観光という営みは、人間にとって崇高な営みです。交通問題も含め、時間をかけて「受け入れる側」の秩序・システムを整備しないまま「観光バブル」を呼び込む京都市と安倍政権の政策は、結局、地域の人々が観光客を「迷惑だ」と感じる不幸な状況を作り出し、観光の持続的な発展にも逆行します。いま、世界の大きな流れは、都市部や観光地への「民泊」や宿泊施設を規制し、抑制することにあり、地域住民が安心して住み続けられるまちづくり、住民が愛着と誇りを持つことができる魅力ある地域づくりをすすめる方向です。
 京都のまちは、低層住宅を中心とした自然環境をいかしたまちづくり、職住近接の住環境を永年にわたって育んできました。寺社、仏閣が多いというだけでなく、都心部に西陣、友禅、清水焼などの伝統産業、熟練工が存在しており、人々の生業(なりわい)自体が魅力となるまちが京都です。こうした京都を支えてきた中小企業や伝統産業を軸にした地域循環型の経済への転換、大型事業ではなく防災・減災、命と暮らしを守る公共事業への転換が求められます。
 京都のまち壊しストップ! 京都のまち再生へ、ご一緒に力をあわせましょう
 「これ以上の京都こわしを許してもいいのか」――。京都が京都でなくなる、老いも若きも京都に住み続けることができない、観光客が飽和状態で住民生活がおびやかされ、京都観光の魅力自体が低下し続ける。こうした重大な局面に際し、私たちは、ここに「京のまちづくり ―― 緊急提言」を発表しました。
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 これまで私たちは数次にわたる「京まちづくりシンポジウム」や「民泊問題シンポジウム」を開催し、住民アンケートや宿泊施設実態調査に取り組んできました。こうした積み重ねにたって作成したのが、この「緊急提言」です。「提言」では宿泊施設の総量規制をはじめ、観光産業と伝統・地場産業がまちに広く根付き、文化と文化財、自然景観がうまく調和する古都・京都を守り発展させる道筋はどこにあるのか。「住んでよし、訪れてよし」といわれる京都のまちづくりをどういう方向で進めるべきか、提案しています。今後とも、京都の現状に危機感をもち、心を痛めるみなさんとご一緒に語り合い、議論したいと考えます。
 そして、党派や立場の違いを越えて、京都のまち再生へ、また、住民が安心して住み続けられるまちづくりのために、力をあわせましょう。京都には、まちづくり運動の豊かな経験や各地域での「自治の力」が息づいています。国や京都府・市による京都のまち破壊から、自らの生活と地域を守るため、いまこそ共同の取り組みをすすめましょう。

 私たちの「緊急提言」への積極的なご意見、ご提案を心よりお待ちしております。

 3つの転換と3つの緊急政策 
【提言Ⅰ】 観光インバウンド頼み、呼び込み型のまちづくりから転換・・「オーバーツーリズム」の解消
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 京都市は、2020年には京都の外国人宿泊者数が440万人~630万人になる(全国は4000万)と想定し、約1万室の宿泊施設が足りないとしてホテル・簡易宿所・民泊建設を促進してきました。その結果、外国人宿泊者数は2017年には過去最高の361万に達し、それに合わせるように宿泊施設がいっきに建設され、2015年には約3万室だった宿泊施設の客室数が2018年には約4万室に。さらに、2020年には5万3000室になる予定(京都民報社調べ)です。とりわけ、簡易宿所は2014年に460施設だったのが、2018年9月末には2675施設と約6倍の膨張ぶりです。ところが京都市長は「まだ必要」と記者会見でのべています。この結果、市民の生活が脅かされ、住み続けられない事態が進行するとともに、京都の観光の魅力も失われ、日帰り観光客は減少する事態となっています。まさに「住んでよし 訪れてよし」とは逆行する事態です。
 こうした京都での「オーバーツーリズム」(観光地が耐えられる以上の観光客が押し寄せる状態のこと)の背景に、「ひと・まち・しごと・こころ京都創生」総合戦略による観光インバウンド頼み、呼び込み型のまちづくりがあります。この戦略に沿って「宿泊施設拡充・誘致方針」、行き過ぎたまちづくりの規制緩和、京都市の公有地の差し出しなどの施策が次々と打ち出されています。京都市のまちづくりの方向の転換がどうしても必要です。
 京都は、四季折々の気候がもたらす風光明媚な景観、歴史的な建造物・伝統文化が息づいたまちであり、世界有数の観光地です。こうした豊かな観光資源を磨き、保存することが訪れる観光客に感動を伝えることになります。「オーバーツーリズム」は、旅の安心・安全を失わせ、観光の豊かな発展を阻害し観光資源を劣化させるものです。「住んでよし 訪れてよし」の京都のためにも、「オーバーツーリズム」の解消が必要です。

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