声明 「5月市会を終えて」 - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON声明 「5月市会を終えて」

日本共産党京都市会議員団
団長 山中 渡
一、はじめに
 5月31日、5月市会が終了しました。今市会は4月に行なわれた京都府知事選挙において、福山和人さんが大善戦・大健闘された結果をうけての市会となりました。国民と国会に嘘をつき国政を私物化する安倍政権に対する怒りや、国政で対立する与野党5党が相乗りすることへの批判が大きく広がるなかで無党派層や立憲民主党支持者の中からも、福山さんへの支持が広がりました。福山さんが掲げた子どもの医療費無料化拡充や全員制の中学校給食、返済不要の奨学金制度の創設などが広い府民の共感を得ました。本市においても、市民の強い願いを受けとめて市政運営にあたるよう市長に求めました。

一、副議長選挙について
 今市会で、副議長が「辞職」(一年ごとに交替する慣例)したため選挙が行われ、公明党の湯浅光彦議員が選出されました。党議員団は「市会議員選挙結果における民意の反映として市会第一党から議長、第二党から副議長の選出を」(注:現在の会派議員数・・・自民20人、共産18人、公明11人、国民・みらい7人、維新4人、京都4人、無所属3人)と各会派・議員に申し入れ、副議長候補に北山ただお議員を立てて臨みました。しかし、日本共産党以外の会派・議員による不当な「たらい回し」がおこなわれ、当選には至りませんでした。

一、5月市会議案への態度の概要
 党議員団は、今市会に提出された市長提案議案35件のうち、12件に反対し、残る議案に賛成しました。
 予算委員会に付託された一般会計補正予算2件は、①篤志家の寄附金による奨学金基金を活用して児童養護施設等の退所者へ就学支援、②全額国庫支出金を財源にした高校生等を対象とするSNSを活用したいじめ等に関する相談窓口を設置する経費の補正であり、本来は学校現場での対応が基本であることを指摘し、セキュリティに万全を期すよう求めて賛成しました。
 
 常任委員会に付託された28件のうち、10件に反対し、残る議案に賛成しました。
 市税条例等の一部改正について、規模の小さい再生可能エネルギーが増税になるという問題点を指摘した上で賛成しました。
 「京都市旅館業法の施行及び旅館業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の一部改正」について、反対しました。住民のねばり強い運動と党議員団の論戦の結果、条例改正によって、ホテル・旅館・定員10人以上の簡易宿所に管理者常駐を規定することになりました。しかし、法的拘束力のない国の「通知」いいなりで定員9人以下の簡易宿所に管理者不在とする「施設外玄関帳場」を認めました。京町家に至っては「施設外玄関帳場」すら免除し、ほぼ10分の「駆けつけ要件」で対応できるとしたことは重大です。党議員団は、該当部分の削除を求める「修正案」を提案し、他会派・議員の反対で否決されたため原案に反対しました。終了本会議で討論に立ち、「施設の形態や規模の大小にかかわらず、すべての宿泊施設に「人の常駐」を義務付けるべき。京町家も例外とせず、その要件を満たさない宿泊施設はいっさい認めないとする規制と、監視する体制をつくるべき」と強く求めました。なお、国民・みらい提案の「市民生活を脅かす事業者に対して断固とした措置をとる」よう求める付帯決議に党議員団も賛成し、常任委員会で採択されたものの、本会議では反対多数で否決されました。
 市長提案の人事案件について、党議員を不当に排除した監査委員選出提案には反対し、人権擁護委員の推薦には賛成しました。

一、自治体の変質、公的責任の放棄、「稼ぐ自治体」づくりに抗して
 市執行機関の付属機関として、京都駅東部における民間資本による拠点開発を推進するための「東部エリア活性化将来構想検討委員会」の設置"文化を軸にしたまちづくり"を口実に規制緩和の流れを促進する「新景観政策の更なる進化検討委員会」の設置に反対しました。
 高さ規制を緩和し最高限度を31メートルにするなどの太秦安井山ノ内地区・地区計画の変更、空き家の販売・流通を促進し民泊や簡易宿所の急増に拍車をかけ、住民生活との調和が損なわれる恐れがある「住宅以外の空き家の活用に特化した」審議会の設置に反対しました。また、「賑わいゾーン」のための第一市場水産事務所棟解体撤去工事である請負契約の変更に反対しました。
 老朽化した宝ヶ池運動公園施設フットサルコートの改修について、必要性は認めつつ、本来は市の負担でおこなう改修を、ネーミングライツ(命名権の売買)付与の対象にし、企業の影響力拡大に委ねるものであり、反対しました。
 再整備が求められる八条市営住宅再生事業について、本市の事業責任を放棄するPFI方式を取り入れ、戸数減少、公有地切り売りでもあり反対しました。
 党議員団は、京プラン・後期実施計画による市職員削減は、現場で超過勤務を引き起こし、市民サービスの低下につながることは必至であり、職員削減方針を撤回し、市職員の働き方改善を強く求めました。

一、暮らし、福祉、教育の充実の願いに応えて
 本会議代表質問において、子どもの医療費助成に関して、新京都府知事の発言も踏まえて、まず京都市が「通院」についても中学校卒業まで窓口負担なしに踏み出すよう求めました。自民、公明会派からも拡充を求める質問があり、市長は「府市協調で取り組み、31年度中に拡充を検討する」と述べました。終了本会議では、全会派一致で拡充を求める市会決議が採択されました。
 また、全員制のあたたかい中学校給食を、すべての中学校で実施するよう求めましたが、教育長は「他に優先すべき課題も多くあり、実施は困難」と冷たく拒否しました。
 京都府の「民間社会福祉施設サービス向上補助金」の予算カットに対して、影響の把握を行い、実態に合った補助制度となるよう府に要望し、施設運営に支障がないよう本市独自の対策をとるよう求めました。保健福祉局長は「利用しやすい制度となるよう府に要望する」と述べるにとどまりました。
 本会議では、ブラックバイト対策について、この間の労働局・京都府と連携した対策を評価しつつ、新入生ガイダンス、区役所等への相談窓口の設置、庁内の体制強化と予算拡充を求めました。また、返済不要の給付制奨学金や独自の若者支援を求めましたが、副市長は必要性は認めつつも「京都で学ぶ学生は全国からきており・・・公平性の観点から国において統一的に充実が図られるべき」と従来の立場にとどまりました。
 常任委員会付託された、楽只小学校を紫野小学校へ統合する条例制定議案について、楽只小学校の教職員の削減となる教育リストラであるとして反対しました。

一、意見書・決議について
 「下水道施設の改築に係る国庫補助の継続に関する意見書」案、「日本年金機構の情報セキュリティ対策の見直しを求める意見書」案、「旧優生保護法による不妊手術の被害者救済を求める意見書」案が全会派一致で採択されました。
 自民、公明、国民・みらい、京都、維新、無所属提案の「地域材の利用拡大を求める意見書」案について反対し、討論で「山林の財産権の侵害になる森林管理法を前提にするものである」と指摘しました。また、「地方財政の充実・強化を求める意見書」案に対して「消費税への依存を強めるのではなく、累進課税を強化することで財源確保すべきである」として反対し、京都、維新も反対しました。
 党議員団は「働き方改革一括法案から高度プロフェッショナル制度の削除を求める意見書」案、「生活保護基準の引き下げを中止し、2013年以前の基準に戻すことを求める意見書」案を提案し、討論で党の政策を展開しました。同じく、「環太平洋経済連携協定に関する意見書」案を提案しました。3件とも国民・みらいが賛成しましたが、反対多数で否決されました。
 また、党議員団は子育て支援策として「子どもの医療費支給制度の拡充についての決議」案を提案し、自民、公明、国民・みらい、維新、無所属議員は「京都市こども医療費支給制度の拡充に関する決議」案を提案しました。党議員団は両方の決議案に賛成し、討論で「一刻も早く、どの子も対象にした支援制度のさらなる拡充こそ必要」と求めました。

一、平和憲法を壊す動きに反対を求める
 本会議質問で、市長の歴史認識と憲法を壊す動きに対する認識を質しましたが、市長は答弁に立たず、局長が従来答弁と全く変わらない答弁に終始しました。
 1983年の京都市会決議「非核・平和都市宣言」には「戦争に協力する事務は行わない」としています。ところが、安倍政権による安保法制、9条改憲の流れが強まる中で自民党市会議員が議会質問で取り上げ、京都市が自衛隊員の募集業務を始めました。党議員は「この状況で京都市が自衛隊員の募集業務を行うことは、若者を戦場に送り出す行政になってしまう」と指摘して、募集業務を行わないよう求めました。副市長は「募集事務は法令による自治体の事務であり、当然。戦争に協力するものではない」と開き直り、「今後とも自衛官募集事務にしっかり取り組む」と強弁しました。
 憲法の全条項の遵守を求められる市長が、憲法を壊す動きに反対と言えず、「京都市は戦争に協力する事務は行わない」と明言できないことは、安倍政治に追随、加担するものであり、絶対に認めるわけには行きません。

一、京都大学の立て看(立て看板)問題について
 京都大学の立て看撤去をめぐって、様々な議論が巻き起こっています。学生はじめ当事者との話し合いがないまま、大学当局が強制撤去したことに大きな批判の声があり、京都市と京都大学は関係者の声を真摯に受け止め、民主的な議論と合意形成に努めるべきです。5月市会ではまちづくり委員会で、党議員が「表現の自由に抵触するのでは」との市民意見を紹介し、「画一的な規制を見直すべき」と求めました。

一、さいごに
 「森友」「加計」問題をはじめ、公文書の改ざん・隠ぺい・廃棄、データのねつ造、虚偽答弁など国政に異常な事態を招いた安倍政権に対する退陣を迫る有権者の声、改憲を許さない国民の運動は大きく広がっています。党議員団は、この運動を成功させるために大奮闘し、さらに市民と野党の共同を広げ、来春の統一地方選挙と夏の参議院選挙での勝利に向けて全力をあげます。

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