日本共産党京都市会議員団
団長 山中 渡
12月8日、15日間の会期を終えて11月市会が終了しました。党市会議員団は予算特別委員会に付託された11議案のうち、一般会計補正予算他10議案に賛成し、議員報酬を引き上げる「市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当の支給に関する条例の一部改正」には反対しました。また、常任委員会に付託された17議案のうち6議案に反対しその他の議案には賛成しました。京都府公安委員会委員の推薦など人事案件6議案に賛成しました。
一、一般会計補正予算及び関連議案の論戦と態度に関して
焼却灰溶融施設に係る訴訟上の和解(和解金154億円)及び遅滞損害金23億円について、党議員団は、本市の新たな負担を生じさせることがないよう求めて和解議案に賛成しました。
本会議討論で、党議員団がプラント設備工事の計画段階から反対し事業の中止を求め、試運転開始直後から基準値を大幅に超えるダイオキシン類の検出や相次ぐ重大なトラブルにもかかわらず工事の続行にしがみついてきた市長の責任を厳しく指摘しました。さらに、新たな市民負担なく施設の解体撤去を行うこと、東部山間埋立処分地延命プランにある灰溶融施設整備計画を撤回し、本市と市民のごみ減量の徹底による延命策を確立するよう強く求めました。
介護基盤整備助成は、関係者や市民の要望に応えるものであり、コンピューターオープン化事業に係る経費および遅延による契約解除に伴う訴えの提起、焼却灰溶融施設整備に係る訴訟上の和解に伴う経費、知事選挙及び伏見区府会議員補欠選挙の経費、市税還付金など、補正予算全体としては必要なものであり賛成しました。
一方で、マイナンバー連携システム改修は、課税強化や社会保障給付の抑制を目的とするマイナンバー制度の活用範囲を広げるものです。
補正予算による「民泊対策の強化」について、「住宅宿泊事業法に基づく届出受付体制の構築」は届出受付事務にとどまらず内容確認のための現地調査業務や書類不備解決確認まで民間委託するものであり、公的責任の放棄につながるものです。また、「簡易宿所の監視指導の強化」については、これまで全旅館業施設が年一回受けていた定期監査を、施設によっては調査を省略することになり、公衆衛生業務を後退させるものです。本会議討論でこれらの問題点を指摘し、民泊対策は市職員の増員による体制強化をはかり行政の責任を果たすよう求めました。
市人事委員会勧告に基づく市職員給与の増額及び勤勉手当の支給割合の引き上げは公務員の賃金と身分の保障であり賛成しましたが、市会議員の期末手当の引き上げについては、今の経済状況や市民生活実態から考えて市民の合意は得られるものでなく、党議員団として議員報酬の3割削減を主張していることから、増額は認められないとして反対しました。
日本維新の会、京都党は職員給与及び議員報酬の引き上げに反対しました。
一、常任委員会に付託された議案の論戦と態度に関して
京都市幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営の基準に関する条例の一部改正は、新たに市が定める幼稚園型、保育所型、地方裁量型認定こども園について、職員の配置や資格、職員配置に関わる特別措置など要件が緩和され、保育水準の後退につながるものであり反対しました。
京都市立義務教育学校条例の制定は、小中一貫教育校をさらに推進し財政削減効果を狙う学校統廃合がいっそう進められ、地域の衰退が懸念されるものであり、また関西広域連合規約の改正は広域連合の事務を拡大するものであり、反対しました。
崇仁市営住宅増築工事請負契約工事の締結は、自治体が責任を持つ市営住宅供給戸数の大幅な後退につながるものであり反対しました。
一、議会内外の住民運動と連携した議会論戦
原発再稼働に関して、市長に「原発で過酷事故が起きた場合、京都市内全域に被害が出ないと考えるのか」と追及しましたが、答弁がなく、常任委員会で改めて質したところ防災危機管理室長は「想定外のこともあるが、基本的にはUPZ内にとどまる」「高浜原発については本市に影響はないとされている」と驚くべき危機感のない答弁でした。
敬老乗車証について、制度内容の賛否や応益負担への変更賛否を問うものではない本市のアンケート集計をねじ曲げて、「現行制度を変えるべき」とする結論へ意図的に誘導しようとするやり方を厳しく批判し、現行の敬老乗車証制度を守り存続させるよう申し入れをおこないました。
本市の観光客誘致政策に対し「インバウンドに経済活性化を託すのは危うい。観光客・宿泊施設誘致方針を改めるよう」求めましたが、副市長は「外国人観光客を受け入れることは地域経済の活性化に必要不可欠」と強弁しました。
地方創生戦略に関して、「東京一極集中を加速するもの」と指摘しましたが、市長は「人口減少に歯止めをかけ、東京一極集中を是正するもの。地域の稼ぐ力を高め、地域経済の好循環、所得向上や雇用の創出につなげる」と根拠も示さず開き直りました。市長は、地方創生戦略は、「地域の稼ぐ力を高める」と評価していますが、その中身は9月市会で「市外からの稼ぐ力を引き込む」と繰り返し答弁があったように、インバウンドや企業誘致頼みに他ならず、中小企業など地場の力を強めるものではありません。
党議員団は、来年度予算編成にあたって、1)憲法9条改悪を許さず、憲法を生かす市政運営。2)「京プラン」の撤回。社会保障、福祉の増進。3)地域循環型の産業政策推進。4)原発ゼロの実現。5)「公的サービスの産業化」「稼ぐ自治体づくり」・規制緩和の都市機能集積の京都創生総合戦略を転換し、京都の良さを守るまちづくりを基調とするよう求める要望書を市長に提出しました。
京都市は、住宅宿泊事業法に伴う条例制定に向けて、「京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議」 において考え方を示し、「ルール」案を発表しました。市長は、「法律の限界に挑戦する」と述べていますが、住居専用地域だけに対する一定の制限に留まるなど、市全域の多様な 区域設定の検討を行っておらず、また「管理者の常駐が原則」としつつ例外を認めており、現在において市民生活に多大な被害を及ぼしている実態と、市民が求める規制に背を向けるものであり重大です。 党議員団は、「住んでよし、訪れてよし」の京都市を実現するために「市民の暮らしと宿泊者の安全を確保する『民泊』条例の制定を目指す提案」を行いました。
一、意見書について
「性的少数者(LGBT)の人権尊重の観点から公的書類の性別欄の記載方法の見直しを求める」意見書が全会派一致で採択されました。党議員団も賛成した「パリ協定を踏まえた持続可能な社会の構築に向けた」意見書が採択され、党議員団は独自に政府の地球温暖化対策計画・エネルギー基本計画の大幅見直しを求める意見書を提案し、パリ協定の目標に逆行し日本政府が国内外で推進している石炭火力発電を厳しく批判する討論をおこないましたが、賛成少数で否決されました。
一、最後に
安倍内閣は破綻が明らかな「アベノミクス」と格差拡大路線、憲法9条改悪の動きを大きくすすめています。結果、市民生活へのしわ寄せがさらにすすみ、その危機と矛盾はいっそう深まり、平和と民主主義についても大きく脅かされる事態が拡大しています。
党議員団は、憲法改悪に反対する3000万人署名の先頭に立って奮闘します。また、市民のくらしを守る立場から、予算議会に向けて京都市の「行革」=「京プラン」の撤回を強く求めて、市民が主人公の市政への転換に向けて全力を上げます。
また、山田京都府知事が来春の府知事選挙不出馬を表明しました。府政転換の絶好のチャンスです。党議員団は民主府政の会とともに新たな市民と野党の共同を願う広範な府民・市民のみなさんと力を合わせて府知事選挙の勝利に向けて奮闘する決意です。