声明「5月市会を終えて」 - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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日本共産党京都市会議員団
                                団長  山中 渡

一、5月30日、15日間の会期を終えて5月市会が終了しました。今市会の冒頭で議長・副議長が、辞職したため選挙が行われ、議長に自民党から寺田一博議員が、副議長に公明党の久保勝信議員が選出されました。党議員団は「市会議員選挙結果における民意の反映として市会第一党から議長、第二党から副議長の選出を」と各会派に申し入れ、副議長候補に北山忠生議員を立てて臨みましたが、自民党・公明党・民進党の三会派による「たらい回し」がおこなわれ当選には至りませんでした。また議会選出監査委員も共産党外しがおこなわれ、自民党、民進党から選出されました。

一、党議員団は、5月市会に提案された市長提案の議案19件のうち、党議員団は予算特別委員会に付託された車いすフェンシングの強化拠点として元山王小学校にトレーニング機器等の配置を行う一般会計補正予算には賛成しました。また、常任委員会に付託された18件について、保育の規制緩和や土地ころがし防止措置の停止による土地の流動化促進、預金から投資への流れを誘導する市税条例等の一部改正、医療保健センターの医療衛生部門の集約化による保健所条例の一部改正、約350億円の総事業費を削減すべき時に、西庁舎一階部分全面に賑わい施設をつくる本庁舎改修及び新西庁舎新築工事請負契約の締結、600億円の総事業費の見直し方針がなく、規制緩和により特定の事業者のための開発を誘導する賑わいゾーンの建設のための中央卸売市場第一市場整備工事請負工事契約の締結、鷹峯市営住宅の管理戸数を半減して楽只市営住宅の敷地内に新棟を建設し、跡地を民間活用する楽只市営住宅新築工事請負契約の締結、教育リストラの一環である小中一貫による学校統廃合を進める向島中学校小中一貫教育校施設新築工事請負契約の締結、など13議案に反対し、残る議案には賛成しました。人事案件18件について、議会選出の監査委員2件と市教育委員会委員1件には反対し、残る議案には賛成しました。

一、議員提案の意見書・決議について、全会派と無所属議員全員による共同提案の「教員の働き方改革を求める」意見書案が全会派一致で可決されました。わが党議員団以外の会派提案による「ギャンブル等依存症対策などの抜本的強化を求める」意見書案は、依存症被害を減らすどころか逆に増やす「IR法=カジノ解禁推進法」の施行を前提にしたものであり反対し、討論でその理由を述べました。また「違法民泊対策の一層の強化を求める」決議案を維新の会以外の他会派と共同提案で提出するとともに、党議員団独自に「違法民泊の根絶を求める」決議案を提案し、維新の会が提案した「違法民泊等排除に向けた指導方針の確立を求める」決議案に賛成し、討論でわが党の見解を述べました。また「核兵器禁止条約に賛同することを求める意見書」案を提案し、否決されましたが、門川市長がヒバクシャ国際署名に賛同署名したことや平和首長会議の動きも紹介し、日本政府が6~7月の国連会議に参加して、被爆国政府の責務を果たすよう強く求めました。

一、市民と共同して市政を動かす・・民泊問題、美術館モニュメント切断問題
 党市会議員団は、市民の切実な要求に応える議会論戦とともに、市民と共同した運動の先頭に立って奮闘しました。
 京都市内に激増する違法「民泊」に対して、党議員団あげた東山区の実態調査をはじめ各地域で「民泊対応ハンドブック」を活用して懇談・相談活動に取り組み、様々な苦情や違法状態が放置されている実態が明らかとなりました。相談者とともに業者と繰り返し話し合い協定書の締結を実現し、行政の窓口に相談に行くなど「民泊問題なら共産党に」と頼りにされています。また、提出された陳情など寄せられた声と調査でつかんだ実態を本会議質問や委員会質疑で示し、違法「民泊」の根絶に向けて「旅館業法関連の部署を各行政区に再配置し、対応できるだけの職員体制の充実を」「許可した施設において許可条件が守られているのか厳しいチェックを」などを強く求めました。また党議員団は、ホームステイ型民泊で努力されている方との懇談をおこない、京町家の保全や地域活性化につなげている本来の民泊の姿が明らかになりました。党議員団は引き続き違法「民泊」根絶と職員体制の充実を求めて全力を上げます。
 市美術館が、再整備計画の一環で敷地内の屋外に展示されている所蔵作品を切断撤去する計画が明らかになりました。制作者の富樫実氏と彫刻家協会、美術関係者、市民の強い批判の声と「現状での保存を求める」市会陳情が出され、5月市会文化環境常任委員会において議論になりました。党議員団は、切断は作品の破壊であり美術館の歴史の中で前代未聞であること、切断撤去の理由が破たんしているとともに市民的に明らかにされていないこと、何よりも制作者の同意がなく著作人格権の侵害であること、を明らかにして、いったん作業を中断して専門家の意見を幅広く聞き、モニュメントの保存を求めました。審議を通じて文化芸術政策監は「立ち止まって考えたい。いろんな形で研究し、努力を重ねたい」と工事の中断を表明せざるをえませんでした。これはモニュメントを保存するうえで一歩前進であり、市民と関係者の粘り強い運動の成果です。党議員団は改めて見解を発表し、「移設ありき、切断ありき」方針の撤回と、モニュメントの保存を強く求めました。
 また、向島図書館において保存されていた京都名誉市民である桑原武夫氏の遺族から寄贈された蔵書が「一時保管する場所がない」との理由で上司や遺族への相談、確認することなく廃棄処分されていたことが発覚しました。モニュメントの切断撤去計画とともに京都市の文化行政の在り方が問われる問題として厳しく指摘しました。

一、市民の願いこたえて・・就学援助の拡充、教員の働き方、ネーミングライツを議決案件に
 長年の懸案であった就学援助制度の新入学学用品費等の早期支給について、2月市会での「検討する」との答弁を受けて、学校入学準備に間に合うよう実施することを求め、「(転出などで入学しなかった場合の返還などの)課題はあるが、制度の充実に向け検討する」との答弁がありました。
 教職員の働き方に関して、教師の超勤縮減に意義のある市教委作成のガイドライン通りに実施されているかの検証を求め、「調査し、実態把握に努め、ガイドラインの適切な運用に努める」との答弁がありました。また、「教員の定数改善」を国に向けた重点要望に入れるよう求めてきましたが、今年初めて「小学校2年生の35人学級の早期法制化」が取り入れられました。
 市美術館へのネーミングライツ導入決定の際に議会の関与がないことが市民から問題視され、「看過できない」として議会に会派代表による「ネーミングライツ検討会議」を設置し、京都市会基本条例の議決案件にネーミングライツ対象施設の選定を加える京都市会基本条例の一部改正を共同提案し、全会一致で可決しました。これは市方針決定の際に議会の関与を高め、議会の権能強化につながるものです。

一、 自治体のあり方が問われている
        ・・待機児童問題、「子ども若者はぐくみ局」設置、窓口業務の民間移管、マイナンバー漏洩など
 保育所入所待機児童に関して、京都市が今年度初めて856人に第一次入所保留通知を送ったことを公表し、現実に入所を断念したり、希望する保育園に入所出来なかった保護者が存在していることが明らかになりました。本市の「保育の量の見込み」の見直しと公有地への保育所建設、保育士の処遇改善を求めましたが、市長は「4月当初で国の新基準でも待機児童はゼロを達成している」と強弁しました。しかし、今年も利用申し込みをしながら入所できなかった児童は546人(4月1日現在)であり、待機児童の存在は明らかです。
 4月の機構改革で子ども若者はぐくみ局、区役所で子どもはぐくみ室が設置されましたが、党議員団は子どもの権利条例の制定を含めて行政の役割の発揮を求めています。行政区から本庁に集約化された医療衛生センターの医療衛生部門について、各区役所で90人体制であった民泊対応の部署が一か所に18人に集約され市民が違法行為を訴えても直ちに改善されない事態が生まれており、改善を求めています。
 さらに、京都市は「民間にできるものは民間に」と区役所窓口業務の民間委託の検討を進めています。区役所の窓口業務は、住民と身近に接する場であり、専門性が求められています。民間委託は個人情報が漏洩される危険性が高く、自治体の公的役割を放棄し、住民サービスの低下につながるものであり、民間委託検討をやめるように求めましたが、「ICTの活用によるサービス向上と業務効率化の検討を本格的にスタートする」と強弁しました。
 本市の2017年度個人市府民税の特別徴収税額決定通知書において、事務処理の誤りによってマイナンバー等の個人情報が漏洩する事態が発生しました。マイナンバー制度の本質的危険性を示すものであり、通知書への記載の中止と関係者への謝罪、調査を申し入れました。
 交通局は、「市バス・京都バス一日乗車券カード」値上げを検討する「懇話会」を6月に立ち上げ、今年8月にも結論を出し、年度内にも値上げを実施する考えです。党議員団は、市バス事業は13年連続黒字が続いており、過去の累積赤字も解消しており、市民に負担を押し付けることに道理がないこと。バス経営の面、歩行者優先の京都市の方針からもマイナスであることなどを明らかにし、4月24日に値上げ検討の撤回を求める申し入れをおこないました。
 京都市の新税を検討する委員会は,市内のホテルや旅館の宿泊者に課税する『宿泊税』を導入すべきとする答申案をまとめ、市民意見を募集した上で8月に最終答申を出す予定です。これに対して党議員は「違法民泊など実態把握もできない中で税の公平性などどう担保するのか」など問題点を質しました。

一、共謀罪法案、高浜原発再稼動、核兵器禁止条約・・国にはっきりものを言うべき
 党議員団は、国会で審議されている共謀罪法案について、内心の自由や良心の自由を保障する憲法に違反するものであり廃案を求めるとともに、市長の認識をただしました。市長は答弁せず、総合企画局長が「国会において十分議論され、国民への丁寧な説明責任を果たすことが必要」と述べるにとどまりました。
 高浜原発再稼働にあたって、安全性の確認も使用済み核燃料の再処理のめども立たず、本市の原発事故避難計画や訓練も不十分であり、市長に再稼働反対の声を上げるよう求めましたが、副市長が従来の認識と対応を述べるだけで、「関西広域連合の枠組みで国及び関西電力に安全保障等を申し入れている」と他人事の答弁に終始しました。
国会はいよいよ最終盤になりました。共謀罪法案の強行を許さず参議院で廃案に追い込むために全力をあげます。また、核兵器禁止国際条約の締結をめざす国連会議も間もなく始まります。被爆者と人類の悲願である核兵器廃絶への大きな一歩となる条約の締結へ日本政府がふさわしい役割を発揮するよう求めます。
 18人の党議員団の総力を発揮し、公約の実現、市民の暮らしを守る運動、何よりも市政の転換に向けて引き続き奮闘する決意です。

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