一、本日5月市会終了本会議が開かれ、15日間の審議期間を終了しました。今市会は、市長提案の39議案を可決しました。党議員団は、予算特別委員会に付託された2議案に賛成しました。平成27年度の国保会計の不足額を繰り上げ充用する国民健康保険事業特別会計補正予算について、社会保障としての国保制度という見地から、国が減らしてきた国庫負担率を引き上げ、財政を安定化させる土台をつくることを求めました。一般会計補正予算について、二条城整備に関して文化財保護における国と京都市の責任を明確にするよう求めました。また文化庁京都移転推進補正予算について、「京都市の負担」「移転が京都市の文化の発展にどう寄与するのか」など問題点を質しました。
常任委員会に付託された25議案のうち、市税条例等の一部改正、市立小学校条例の一部改正、楽只市営住宅改修工事請負契約の3件に反対しました。市税条例等の一部改正について、法人市民税の国税化は自治体の自主財源を奪うもの、消費税増税を前提にした改正であり国いいなりの姿勢は許されないと厳しく指摘。楽只市営住宅改修請負工事契約について、自治体が責任を持つ市営住宅供給の大幅な後退につながるものであり、一般入居を想定せず、住民合意もはかられていないことを指摘。市立小学校条例の一部改正について、教育環境が後退しかねないと指摘しました。他の22議案には賛成しました。
人事案10議案については、教育委員会委員、議会選出監査委員の3件に反対し、他の7議案には賛成しました。
なお、委員会付託を省略して最終本会議で即決された焼却灰溶融施設プラント工事に係る損害賠償等請求訴訟に要する経費の補正、及び控訴の提起に関する議案には賛成し、討論で京都市の責任を明らかにしました。
一、今市会で副議長、議会選出監査委員が辞職し、新たに選出がおこなわれました。党議員団は、議会三役の選出にあたって他会派に「選挙で示された民意を最大限反映し、第二党から副議長を選出するよう」求める申し入れを行いました。しかし、自民、公明、民進、維新、京都の各会派及び無所属議員は、わが党を排除し第三党の公明から副議長を選出し、監査委員には自民・民進の議員により議会推薦を独占するという暴挙をおこないました。
一、ムダで環境破壊の高速道路未着工3路線廃止の手続きに入ることが明らかになりました。市民の長年の運動と党議員団の論戦の成果です。「京都市京都高速道路検証専門委員会」が、市長宛てに高速道路未着工3路線が「効果は限定的であり(中略)見直しすべき」との意見書を提出しました。党議員団は直ちに市長に「速やかな廃止の手続きを」と申し入れ、市長は本会議で「今後、速やかに3路線廃止に向けた手続きを進める」と答弁しました。今後、渋滞解消として、バイパスやトンネル建設が検討されていますが、その解決は車の総量を減らす、通行量を減らす方向で検討すべきと指摘しました。
保育所入所待機児童について本市は「(国の基準で)3年連続待機児ゼロを達成」と発表しましたが、実際には583人が入所を申し込んでも入れていません。党議員団は国と京都市の責任で待機児童問題の解決を図るよう、認可保育園の増設と保育士の賃金引き上げ、働く環境の改善を求めました。また、党府委員会とともに市長に対する申し入れをおこない、市民に呼びかけて懇談会をおこないました。
党議員団が繰り返し求めてきた子どもの貧困調査関連予算が、今年の8月実施予定で提案されました。党議員団は、実態調査は調査項目や手法など体系だったものにするよう求めました。子どもの貧困調査について、市当局が「子どもの貧困率を下げることが目的ではない」と答弁したことに対して、「貧困率を明らかにし対策をとるべき」と強く求めました。
党議員団は、介護保険・高齢者福祉の改善を求めて、介護報酬の引き下げと来年4月実施の総合事業による現場の影響を調査するために「介護事業者・利用者に対する緊急アンケート」をおこなっていますが、深刻で切実な声と実態が多数寄せられています。今後、調査結果をまとめて、提言を発表する予定です。アンケートにもとづき、介護保険事業・高齢者福祉に公的責任を果たすよう求めたのに対し、副市長は「(総合事業への移行は)これまで以上にきめ細かくサービスが提供できる仕組みになっている」「独自に一般財政を投入して保険料を下げることはできない」と冷たい答弁に終始しました。
京都市焼却灰溶融施設プラント設備工事契約の解除に伴う損害賠償等請求訴訟の判決が下され、京都市の請求がすべて棄却されました。同施設は、もともと技術的に未完成で、不要かつ無駄な施設であり、試運転当初から多くのトラブルを繰り返してきました。当初予定の工事完了と施設引渡し期限を守ることができなかった住友重機械工業が損害を賠償することは当然です。
同時に、同施設を提案し、建設に固執し、契約解除の判断を遅らせ、建設費に多額の税金を投入してきた市長の責任も極めて重大です。党議員団は控訴の提起に関して討論を行ない、「市長は市民の負担が生じることのないように全力で取り組むよう」求めました。
一、本会議代表質問で党議員は、参議院選挙を前にして国政と地方政治の大きな争点になっている問題について市長の認識と対応を質しました。
憲法・安保法制に関して、立憲主義の蹂躙が根本問題であること、緊急事態条項について地方自治への介入であり、市民の基本的人権が制限されることを指摘し、反対するよう求めましたが、市長は答弁に立ちませんでした。答弁に立った副市長は、「憲法について国民が関心を高め、しっかり議論されることは意義のあること」「緊急事態への対処を含め、国家・国民の基本に関わる事項として、国民全体で議論が深められるべきもの」と答弁するなど、立憲主義が壊されていること、改憲と地方自治介入という重大な動きをまともにとらえようとしない姿勢に終始しました。
また、「原発からの脱却を政府に迫るよう」求めたところ、市長は「原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的転換を求める」と答弁しましたが、そうであるならば、原発再稼働反対・原発ゼロをキッパリ求めるべきです。
消費税10%への増税中止を政府に求めるよう迫りましたが、副市長が「税率引き上げは、地方・国を通じた社会保障財源を安定的に確保するために行なわれるもの」と全く無批判な認識を示しました。
「市財政危機」の分析と対策がないことを指摘し、「大企業・大金持ち減税をやめ、地方財政の確立」を求めましたが、「(大企業などが)優遇されている制度とはなっていない」との認識に終始しました。
事例を示して生活保護制度における行き過ぎた就労指導をやめるよう求めましたが、副市長は「就労支援そのものに問題がある、あるいは、福祉現場を追い込んでいるかのようなご指摘は全く当を得ない」と事実を認めず、開き直りました。
環太平洋経済連携協定(TPP)による市内農業、市民生活や京都経済への影響の認識と対策を質しましたが、理事者は、TPPによる影響を直視せず「海外展開を目指す中小企業のビジネスチャンスであり、企業の海外展開を支援する」との認識を繰り返し、TPP参加による危険性の認識を持っていないことが浮き彫りになりました。
一、意見書、決議に関しては、「次期介護保険制度改正における福祉用具、住宅改修の見直しに関する意見書」「食品ロス削減に向けての取り組みを進める意見書」「骨髄移植ドナーに対する支援の充実に関する意見書」「焼却灰溶融施設の損害賠償請求訴訟の判決に関する決議」が全会一致で採択されました。また、共産党以外の会派・無所属の共同提案による「民泊に対する地域の現状に応じて運用できる法制化を早期に求める意見書」は国の規制緩和を容認し、深刻さをます市民の不安の払しょくにはならないものであることから、党議員団は規制緩和に反対し、宿泊者や近隣住民の安全確保に国が責任を果たすよう求める意見書を提案し、討論をおこないました。また、党議員団は、京都市の責任も明確にした「焼却灰溶融施設の契約解除に関する決議」を提案しました。
一、参議院選挙は目前となりました。「戦争法廃止、野党は共闘」の声は全国で広がり、参議院選挙定数一人区32選挙区すべてで野党の統一候補が実現しました。画期的な成果です。党議員団は、比例代表選挙での躍進・京都選挙区大河原としたか予定候補の勝利をめざして全力をあげます。