声明「2月市会を終えて」 - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON声明「2月市会を終えて」

一、本日、2月予算市会が終了し、昨年4月から開会されていた2015年度の通年議会が閉会しました。今市会には、門川市長の3期目初年度予算をはじめ170議案が提案されました。
 党議員団は、予算特別委員会に付託された74議案のうち、2016年度一般会計予算、国民健康保険事業特別会計予算、自動車運送事業特別会計予算、過疎地域自立促進計画の策定、マイナンバーを法定事務以外にも広げる個人番号の利用に関する条例の一部改正など21議案に反対し、行政不服審査会条例の制定、中央卸売市場第一市場特別会計予算、水道事業特別会計予算、高速鉄道事業特別会計予算など53議案に賛成しました。
 本予算に先立ち2015年度補正予算が成立しましたが、党議員団は国の「地方創生加速化交付金」等を活用し、「京都ならではの地方創生推進事業」を進めるとして編成された一般会計補正予算および、議員の歳費と期末手当を引き上げる京都市会議員の議員報酬等の支給に関する条例の一部改正などに反対しました。
 常任委員会に付託された96議案のうち、旧三井家下鴨別邸をブライダル事業による収益を上げるために活用する目的の指定管理者に指定する条例など3議案に反対し、93議案には賛成しました。
 最終本会議に追加上程された人事案件29件のうち、新副市長を任命する1件に反対しました。
 自民、公明、民主・都みらい、京都維新の会、京都党と無所属議員は、京都維新の会と京都党が職員給与の引き上げを理由に補正予算に反対した以外、他のすべての市長提案に賛成しました。
一、市長選挙で寄せられた市民の声を論戦にいかし、予算に反映させるよう求めました。
 敬老乗車証は、今年9月からも現行制度のまま継続することが明らかになりましたが、2013年の「敬老乗車証のあり方」で示された応益負担の方針は撤回されていません。引き続き改悪方針の撤回を求めていきます。
 保育所待機児童対策に関して、市長の言う「2年連続して待機児童ゼロ」が事実とかけ離れていることを追及する中で「ゼロは国の基準に基づくもの」と言い訳した上で「数字上のゼロにとらわれることなく」(市長)と表明せざるを得なくなりました。「保育所落ちた」ブログ、「落ちたのは私だ」のボードを掲げたママ・パパの行動を受けて厚労省も「保活アンケート」や「自治体に対する調査」など動き出しました。引き続き、不承諾数、不本意入所の実態を明らかにし、認可保育所増を強く求めました。
 子どもの医療費支給制度を中学校卒業まで無料化することを求めたのに対して市長は「新たに多額の経費が必要となるなど困難」としつつ、「私の3期目の任期中に実現する大切な公約」と言わざるを得ませんでした。府との協議を急ぎ、早急の具体化と実施を求めました。 
 子どもの貧困対策に関する実態調査を強く求めました。これに対して、「4月に庁内プロジェクトチームを発足し、実態調査を行う」との方向性が明らかになりました。
 ブラックバイト、非正規雇用対策の拡充を求め、「京都府、市、労働局でブラックバイト対策協議会を設置し、キャンパスプラザに相談窓口を開設する」との答弁がありました。
 京都市聴覚障害者協会からの条例制定を求める要望を発端に、全議員提案の「京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例」が制定されました。
 市会議員の議員報酬10%減額措置を継続する条例が全会一致で可決されました。

一、来年度予算案の根幹である今後5年間の京プラン後期実施計画(案)に関して、実態と問題点を明らかにして、見直しと撤回を求めました。
 「財政危機」を口実に、徹底した行財政改革を行うとして、公共施設の統廃合や民営化・民間委託など、国の「地方創生総合戦略」を先頭に立って推進する京都市の姿勢が鮮明になりました。同時に、市民の命と暮らしを守り、京都経済を活性化させる真剣な姿勢がみられないことが浮き彫りになりました。
 地方交付税におけるトップランナー方式が2016年度から導入されます。地方自治への重大な介入であり、地方交付税の本来の役割を否定し、本市の国予算要望とも矛盾するものであるとして、反対するよう求めましたが、「国の政策誘導による地方交付税の削減を行わないよう申し入れる(市長)」と述べるも、反対を言明しませんでした。
 5年間で一般会計職員800人削減で人件費170億円削減を目標にした、部門別定員管理計画の策定について、「本市の都市特性を反映する」と言いながら、「他都市平均とのかい離の解消」が主要目的であり、いっそうの業務の集約と民間委託の推進であることが明らかになりました。木造家屋と細い路地が密集する西陣地域の防災の役割を果たしている上京消防署大宮消防出張所の廃止方針は、本市の都市特性を無視したものと強く批判しました。その上で、職員削減方針と定員管理計画の撤回を求めました。
 年間40億円、5年間で600億円の消費的経費削減のための事業見直しは、前期実施計画を大幅に上回る福祉と市民サービスの削減であり、「歳入が減れば、目標数値の上積みもありうる」と、さらなる削減の可能性にも言及しました。生活保護費の2年間連続の予算削減、保護率の引き下げを進める姿勢を厳しく批判しましたが、「保護費が減っていくのはすばらしいこと」「保護費を増やすのが福祉の目的ではない(市長)」と生活保護敵視の発言や、この姿勢が職員への圧力となり、市民を追い詰めていることを指摘しました。また、公営保育所廃止・民間移管の中止を求めたことに対し、あくまでも民間移管を進める立場に固執、さらに質疑では「市の財政効率化の一翼を担っている」という許し難い答弁がありました。
 見直すべきは財政のムダ遣いであり、南部クリーンセンター第二工場に建設予定の展望台と先行市でトラブル続きのバイオガス化施設の計画を撤回するよう求めましたが、「(展望台は)横大路地域の活性化に寄与する」「(バイオガス化施設は)試運転期間の軽微なトラブル」と居直り、撤回を拒否しました。また、「有料化財源を充てるのであればごみ袋代の値下げに使う」よう求めたことも拒否しました。
 学校跡地活用など、市民の貴重な財産を「有効活用」の名で民間事業者に差し出し、年間20億円の財源を捻出する計画に関して、「(学校跡地は)売却ではない」としながら「事業の安定のために長期貸付する」と企業の利益を優先することが明らかになりました。
 下京区西部エリアの緊急整備地域指定について、「現在の都市計画手法で十分対応できるもので、大企業によるまちこわし、規制緩和に道を開くもの」と厳しく批判しました。
一、原発再稼働に関して、京都市の「中長期的には脱原発依存、できる限り早く全廃を求める」との答弁に対し、「いつ脱原発し、全廃をめざすのか」と質しましたが、時期も政策的展望も明らかにしませんでした。また、高浜原発3・4号機の稼働中止の仮処分決定した大津地裁が「福島原発事故の原因究明も不十分」「新規制基準での安全性の確保」に疑問を投げかけたことを指摘しました。これに対し「規制委員会の審査を受けて再稼働されている」(市長)と述べるだけで、依然として安全神話と再稼働容認の立場であることがはっきりしました。また、原発事故への対応では、避難計画の範囲が32、5キロ圏内に限られ、スピーディの活用や安定ヨウ素剤の事前配布を想定しないなど、市の原子力防災計画は大変不十分であり市民を守る責任を果たしているとはいえない実態が浮き彫りになりました。今こそ大津地裁の決定を真摯に受け止め、原発の再稼働をすべて中止すべきです。
 4月からの電力小売全面自由化にあたって、本市施設においてもCO2削減、再生可能エネルギー導入の事業者を優先して契約するよう求めました。
 北陸新幹線誘致については、「並行在来線についてどう考えるのか」との指摘に、「もし在来線の廃止縮小ということになれば廃止を拒否したい」(副市長)と述べましたが、北陸新幹線ありきの姿勢に固執しています。
 文化庁の京都移転が正式に決まりました。移転場所、職員の宿舎、移転の費用に関して「京都も応分の負担をする」と言っていますが、どれだけの規模になるのか、市民生活の向上にどうつながるのか不透明です。
 「文化を守る(担当部長)」のであれば、世界文化遺産である下鴨神社・糺の森の景観を壊すマンション建設はやめるべきです。また、二条城の第2駐車場建設に反対する住民の声に応え、計画の白紙撤回するよう強く求めました。「第2駐車場建設計画の白紙撤回を求める」請願を与党会派は不採択にしました。党議員団は採択を主張して、本会議で討論しました。
 「公契約条例に賃金条項を規定して、京都市が率先して賃上げをおこない、市内中小企業への発注に実効性を持たせること」を求めましたが、「プラス面とマイナス面を総合的に判断して導入しなかった」と強弁しました。
 アベノミクスの破たん・景気悪化・個人消費の落ち込みなど現在の経済認識を問うたのに対して、「8%増税の影響は残っているが、アベノミクスによって回復基調」と深刻な経済実態をみようとしない姿勢に終始しました。さらに、来年4月の消費税10%増税に反対して、公営企業は適用除外にするよう求めたのに対して、「適正に転嫁する」と明言しました。市長選挙での「健全化期間中は地下鉄運賃値上げをしない」との公約に反すると批判の声が上がっています。
 保育料の引き上げは「国によるもの」「応分の負担をしてもらう」と答弁し、高すぎる国保料や介護保険料の引き下げ要求を拒否しました。介護保険・要支援者の「新総合事業への移行」について「サービス低下の懸念がある」と指摘したことに対して、副市長は「介護度が悪化するとは考えていない」と居直りました。
 TPPに関して、これまで「コメには影響が出る」としていましたが、「コメへの影響は少ない」と過小評価した認識を変更。また、「海外進出をめざす中小企業のビジネスチャンス(副市長)」との答弁があり、実態を見ない姿勢を厳しく批判しました。
 中央卸売市場第一市場の整備は必要ですが、総事業費600億円の整備計画については、計画の精査が必要です。
一、安保法制(戦争法)について質したのに対して、「国が議論して結論が出されたもの」と繰り返し答弁しました。「市長は、憲法守る立場に立つのか」と答弁を求めたことに対して、市長は「あらゆることを拘束なく議論することは必要と考える。憲法違反かどうかは、首長がどうこうという問題ではなく、最高裁の判断に」と改憲の議論を容認する立場を表明しました。
一、意見書に関して、「府(県)費負担教職員給与費等の権限移譲に伴う財源の不足額について、国による適切な財政措置を求める」意見書、「児童虐待防止対策の抜本強化を求める」意見書が全会派一致で、「保育人材確保対策の推進及び保育の質の確保のための取組を求める」意見書が多数で可決されました。わが党議員団が提案した「地方交付税におけるトップランナー方式の導入中止を求める」意見書は、他会派の反対で否決されました。
一、日本共産党市会議員団は、市議会第二党として、市民の命とくらし、平和と安全を守るために市民のみなさんと力を合わせ、引き続き積極的な論戦と活動を展開します。
 3月29日には安保法制(戦争法)が施行されます。ママの会やシールズ、憲法学者など市民運動の声に押されて全国で「野党は共闘」の流れが広がり、参議院選挙の一人区9選挙区で選挙協力が始まっています。この流れをさらに太くし、戦争法廃止、立憲主義の回復をめざす国民連合政府の実現にむけて全力をあげます。
 7月に迫った参議院選挙では、大河原としたか弁護士を先頭に日本共産党の躍進をかちとるために頑張ります。
  

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