【団長見解】2016年度京都市予算案の発表にあたって - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON【団長見解】2016年度京都市予算案の発表にあたって

日本共産党京都市会議員団団長  山中 渡 

一、本日、2016年度京都市予算案を含む168議案が発表されました。予算規模は全会計で1兆6508億円(前年度比424億円減)一般会計7277億円(同227億円減)となっています。
 2016年度予算案は、市長3期目の初年度の予算です。京都市は公共施設の統廃合や集約化など、国の「地方創生総合戦略」を率先して推進しています。市長は選挙公約で「福祉、子育て支援の維持・充実のため、民間の活力を活かして、委託化・民営化を推進!徹底した行財政改革断行で、市民生活を支えます」と述べていますが、自治体の公的責任を投げ捨て、さらなる市民生活の破壊につながる予算です。
 安倍内閣のすすめるアベノミクスの破たん、2017年4月の消費税増税と社会保障解体による国民負担増が強まる下で、市民のいのちとくらしを守る地方自治体本来の役割発揮が求められています。

一、予算案では、市長選挙で争点となった今年9月からの敬老乗車証制度の応益負担導入は見送られることになりました。
 また、「保育所待機児童の解消」対策として、23億円が予算措置されました。年間を通して入所を希望するすべての児童が入所できる保育所の実現を求めます。
 全会派一致の昨年11月市会決議を受けて、1歳児保育における保育士配置体制の充実および保育人材確保事業が予算化されました。

一、予算案では、「市民のいのちと暮らしを守り、子育て環境を充実」としていますが、国民健康保険における保険料率が据え置かれるものの、最高限度額の4万円引き上げが提案されました。高すぎる国民健康保険料の引き下げは積年の市民の願いであり、引き続き払える保険料へ引き下げるよう強く求めます。
 子どもの医療費支給制度は、通院における3,000円の自己負担は残り、府内最低のままです。「中学校卒業まで入院も通院も無料化」の一刻も早い実施を求めます。
 貧困と格差が拡大しているにもかかわらず、生活保護費が「自立支援」を充実するとして5億円も削減されているのは重大です。
 市営保育所と市立幼稚園、民間保育園などにおいて市民税一定所得額以上の世帯の保育料が軒並み値上げされており、市民負担増となっています。教育予算は、2004年に削減されたまま小中学校経常運営費は復活されていません。
 市営保育所2か所の廃止、地域リハビリセンター・こころの健康増進センター・児童福祉センター三施設の合築化の推進、市立病院の政策医療分の運営費負担金1億円削減を盛り込んでいます。
 住民合意のないまま、京北地域小中一貫教育校整備の基本計画の策定(2億4千万円)、大型バス駐車場建設を含んだ二条城東側空間整備事業(2億4千万円)が予算化され、大規模な再開発事業を可能にする都市再生緊急整備地域の事業推進が予算化されていることも重大です。
 リニア中央新幹線の誘致推進(460万円)が計上されていますが、環境破壊につながり、国と地元への莫大な財政負担を生じるものであり、誘致運動はきっぱりとやめるべきです。また、北陸新幹線の誘致推進(200万円)が予算計上されています。地元の費用負担や並行在来線の存続など問題点が多くあり、その検討抜きに誘致推進はすべきではありません。
  
一、予算案では、「地域経済の活性化と安定した雇用の創出」を掲げながら、制度融資預託金を前年度比240億円も減額しています。景気回復が本格的に進まないなかで、融資枠は確保しているというものの行政姿勢が問われています。「雇用の安定」を言いながら、政令市ワースト1位である京都市の非正規雇用率解決の有効な対策は見えません。公契約条例の賃金条項は補強されませんでした。中小企業振興会議(仮称)の創設が提案され「条例による手法も含めて実効性ある振興策を検討する」としました。一刻も早い中小企業振興基本条例制定の制定が求められています。

一、予算案では、「徹底した財政構造改革を継続」するとして、職員数を123人削減して10億円、事業見直しや一般会計繰出金の削減で41億円、資産有効活用で30億円、総額81億円の財源を確保するとしています。
 これは「京プラン後期実施計画」(2016~20年度)の初年度分であり、計画期間の財政収支見通しでは5年間で一般会計の職員800人・総人件費170億円以上の削減、社会福祉経費を含む消費的経費の見直しにより600億円(年40億円)、土地の売却や貸付など市資産有効活用で110億円の財源を確保するとしています。
 職員削減は、職員の超過勤務や市民サービスの低下につながりかねません。消費的経費の見直しは、前期実施計画の年25億円からバージョンアップするものであり、市民負担増と行政責任の後退は必至です。資産有効活用として市営住宅や学校跡地などの切り売り・差し出しは認められません。事業見直しを言うのであれば、家庭ごみ有料指定袋制こそ見直して、ごみ袋代を値下げし、市民環境ファンドへの積み立てをやめるべきです。また、南部クリーンセンター第二工場(仮称)整備における展望台建設(2億5千万円)は認められません。

一、安倍政権は、戦争法=安保法制の3月施行、憲法改悪、原発再稼働、消費税増税、TPP条約発効など危険な暴走を加速し、国民・市民との矛盾はますます深化しています。
 予算市会の直後の4月には衆議院3区補欠選挙がおこなわれ、7月には参議院選挙がおこなわれます。日本共産党の勝利・躍進をめざすとともに、市民との共同をすすめ、市民の声を議会に届け、積極的な提案をすすめ、市民要求実現に全力をあげます。

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