[団長談話]規制緩和による新たなまちこわしと大資本呼び込み型の拠点開発計画は認められない~京都市の「駅周辺における地域地区の見直し(案)」について~ - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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日本共産党京都市会議員団
団長 山中 渡

一、京都市は本年1月、「エコ・コンパクトな都市構造を目指した都市計画の見直し」とする「駅周辺における地域地区の見直し(案)」(以下、「見直し案」)を発表しました。京都駅周辺の高さ規制を緩和するなどのこの「見直し案」には、京都市が開催した住民説明会でも「新景観政策を京都市自らがなし崩しにするもの」など、批判と危惧の声が出されています。
一、そもそも京都市には、高さ規制の強化を中心に、京都の優れた景観を守る新景観政策があります。これは、市内に高層建築物等の建設が進み、京都らしい歴史的景観が破壊されることへの危機感が広がる中で、市民の世論と運動の広がりが行政を動かして2007年に実現し、その後も市民によって守られてきたものです。
 ところが、京都市は自ら、この新景観政策を踏み破ってきました。2008年に特例許可で、高さ規制を超える新築を認めたのに続き、2011年から2012年にかけて、地区計画の手法で岡崎地区、島津製作所(西ノ京桑原地区)の高さ規制を緩和してきました。とりわけ、地区計画による規制緩和は、事業者からの特例申請によらず、京都市自らが新景観政策に穴を開ける提案を行うという重大なものでした。岡崎の地区計画については、2014年5月、京都市建築審査会が、京都会館高層化に反対する住民の不服審査請求に対して、「京都市は、新景観政策の理念を優先することが求められる」と、異例の付言を付けました。
 今回の「見直し案」で、京都駅周辺エリアでは、高さについて20メートルの地域を最大で31メートルに緩和する、さらに住居地域を商業地域に見直し、容積率200%を最大で3倍の600%に緩和するなどが提案されています。これは、京都市が自らの新景観政策にそむく、まちこわしの新たなステップに踏み込んだものといわなければなりません。
一、重大なのは、今回の「見直し案」が、財界による規制緩和の要求と軌を一にしたものだということです。門川市長も参加した関西の知事、政令市長と経済団体トップの1月22日の意見交換会で、大阪商工会議所の佐藤会頭(京阪電鉄最高顧問)は、市長が関西資本に京都への高級ホテル進出を要請したのを受け、「ホテルの供給は考えないといけないが、高さ制限の緩和をもう少しやってもらわないと」と発言しました(「京都」1月23日)。関連して、京都商工会議所の立石会頭は、「(市側にも)特別の配慮が必要になるかも知れない」との認識を示しました(「京都」1月28日)。さらに、京阪電気鉄道は1月29日、JR京都駅前で、京都タワーの機能強化と2ホテルの再開発を柱とする重点投資を行う考えを明らかにしました(「京都」1月30日)。
 今回の「見直し案」は、まさにこれらの要求に沿ったもので、大資本呼び込み型の拠点開発により、財界による京都のまちこわしに道を開くものとなっています。
一、また、今回の「見直し案」が、安倍内閣が進める「地方創生」に沿ったものとなっていることは重大です。安倍内閣の「地方創生」は、地方都市の機能をその地域の中心部に誘導、再整備する「コンパクトシティ構想」を中心としています。大資本を呼び込んだ上に、公共施設や行政サービスも拠点都市や中心地域に集約し、周辺部切り捨て、地方自治体こわしを進めるものです。
 今回の「見直し案」は、5地区の見直しを内容とし、将来の土地利用やものづくり拠点などの構想が描かれていますが、その中で特に広域拠点とされているのが「市の都市機能の中枢を担う重要な地域」と位置付けている京都駅周辺エリアです。「見直し案」は、国土交通省の「立地適正化計画」押し付けに沿ったものともなっています。国の方針のままに、京都のまちこわしを進めることは許されません。
一、党議員団は、高さ規制緩和と大資本呼び込みで、新たなまちこわしを進めようとする京都市の今回の「見直し案」について、市民のみなさんに京都の良さを守るための討論と運動を呼びかけるものです。

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