1、本日、2月市会は、市長提案の141議案のうち140議案を原案可決、1議案を修正可決して審議期間を終え、昨年4月から通年議会として開会されていた2014年第2回定例会が閉会しました。
党議員団は、予算特別委員会に付託された67議案のうち、2015年度一般会計予算、自動車運送事業特別会計予算など20議案に反対し、2015年度国民健康保険事業特別会計予算、子ども医療費支給条例一部改正など47議案に賛成しました。
本予算に先立ち、2014年度補正予算が成立しました。党議員団は、安倍政権の進める集中と選択の「地方創生」の問題点は指摘した上で、橋梁等の防災や老朽化対策、国の新交付金を活用し、同時入所を問わず第3子以降の幼稚園・保育園の保育料を免除する事業などは評価し、賛成しました。
常任委員会に付託された63議案のうち、共通番号制度(マイナンバー制)に伴う個人情報保護条例改正など3議案に反対しました。
最終本会議に追加上程された11件のうち、新教育長を任命する人事案件1件に反対しました。
自民、民主・都みらい、公明、京都党のオール与党会派と無所属議員は、京都党が補正予算1件と崇仁市営住宅増築工事請負契約変更に反対し、自民、民主・都みらい、京都党、無所属議員が「動物による迷惑等の防止に関する条例」に名称変更等の微細な修正を加え、公明が同条例に反対したことを例外に、他のすべての市長提案に賛成しました。
2、「いのちの署名」が京都市に提出された翌日の2月4日、京都市は国民健康保険料引き下げを発表し、今議会でその予算が成立しました。年間1人当たり平均2532円、1世帯あたり平均5939円の引き下げで、医療分、後期高齢者支援分、介護分のすべての料率引き下げは、制度発足以来初めてです。国保の都道府県単位化を前提とした国の特別の財政支援、約18億円のうち、7億円を引き下げに充てさせたのは運動の大きな成果です。同時に、所得300万円の4人世帯で、2万4千円下がっても、なお年55万4千円という高い保険料であり、さらなる引き下げと、市町村の独自繰り入れをなくし国保料引き上げにつながる都道府県単位化に反対することを求めました。オール与党が、国保料引き下げを求める市民請願に反対し(2012年2月市会)、国保への国庫負担引き上げを求める意見書に反対(2012年5月市会)してきた責任は重大です。
子どもの医療費助成制度の対象が、中学校卒業まで拡大されました。しかし、通院の自己負担(1人1医療機関につき上限月額3千円)は現状のままであり、他の政令市の努力も示して、府の制度に独自の上乗せを行ない、通院も中学校卒業まで無料とすることを求めました。
京都市が敬老乗車証制度を、乗るたびに100円程度を払うなど「応益負担」のしくみに変えようとしていることに対して、「敬老乗車証守ろう!連絡会」を中心に「市民の宝を守れ」と運動が広がっています。2月市会を前に行なわれた5回目の署名提出行動の場で、京都市の担当者は「今年9月の更新は現行制度で継続する」と明言。わが党代表質問にも「十分時間をかけて検討する」と答弁し、来年9月までは、乗り降り自由の今の制度が維持されることが確定しました。さらに、改悪方針を断念することを求めました。
7年来の視覚障害者団体などの市民運動と、党議員団の100回を超える議会論戦が実り、昨年12月、地下鉄烏丸線の烏丸御池駅に可動式ホーム柵が実現したのに続き、新年度予算に四条駅、京都駅にもホーム柵を設置する計画が盛り込まれました。さらに、全駅での設置を求めました。
他にも、小学校給食におけるアルマイト食器からPEN食器(樹脂製のもの)への変更、消防団報酬制度の創設等が実現しました。
これらの成果は、オール与党に支えられた今の市政の下でも、市民のねばり強い運動と党議員団の議会論戦で、市政を動かし、願い実現へ道が開けることを示しました。
3、一方で新年度は、門川市長2期目と「京プラン」実施計画最終年度です。市長は本会議での予算提案説明で、「我が国屈指の行財政改革を推進」と述べ、負担増、サービス切り捨てで市民生活と自治体本来の役割をこわしてきた「京プラン」実施計画路線を「総仕上げ」し、今後も継続する姿勢をあからさまに示しました。
老人医療費支給制度が改悪されました。65歳から69歳の方の医療費の自己負担割合をこれまでの1割から2割へ2倍に引き上げ、しかも、その対象要件を所得税非課税世帯のみに限定するもので、総額6億円と大幅な負担増になります。改悪方針を撤回して1割負担を継続し、年齢を74歳まで拡充することを求めました。
介護保険については、65歳以上の保険料基準額を月額640円も大幅に引き上げました。高齢者のくらしをさらに厳しくするものです。さらに、4月から介護報酬の大幅引き下げが決定され、介護事業所が運営困難となります。3年ごとに保険料を上げ続け、サービスを切り捨てるやり方は、介護保険制度を破たんさせるものです。国の介護報酬引き下げに無批判な姿勢を指摘し、保険料値上げをストップすることを求めました。
市長は、新年度一般会計で職員を150人削減して12億円の財源を確保し、この4年間で720人の削減で「京プラン」実施計画の目標600人を達成すると誇っています。職員削減の下、市税事務集約化では区役所で市民の相談に対応できない事態が起こっていることを指摘し、職員削減がサービス後退につながっていることを批判しました。
安倍内閣の「地方創生」を踏まえ、それを先導する予算としていることも重大です。安倍内閣の「地方創生」は、大企業「呼び込み」型の拠点開発とあわせて、公共施設や行政サービスなど地方都市の機能をその地域の中心部に集約し、周辺部を切り捨て、地方自治体こわしを進めるものです。京都市が1月に発表した「駅周辺における地域地区の見直し(案)」は、この「地方創生」と軌を一にしたもので、京都駅周辺を広域拠点と位置づけ、財界の要望に沿って高さ規制を緩和し、新たなまちこわしを進めるものとなっています。予算特別委員会市長総括質疑で、自らの新景観政策にそむく姿勢を厳しく批判しました。副市長は京都市が進める「エコ・コンパクトな都市構造」について、「切り捨てられるエリアをできるだけ少なくする思想」と答弁し、周辺部切り捨てにつながることを認めました。
市長は2月市会中の3月3日、府知事とともに京都経営者協会に「正規雇用の拡大と賃上げ、就労環境の改善」を申し入れ、副市長は市長総括質疑で「市の事業でも質の高い雇用は必要」と認めました。にもかかわらず、市自身の正規雇用拡大に向けた踏み込んだ対策はないばかりか、足元でそれに逆行する事態を起こしているのは重大です。
市立病院院内保育所「青いとり保育園」では、これまで働いてきた職員が4月以降はゼロになり、基本給13万円の低賃金雇用となっています。募集要項に継続雇用を明記しなかった市立病院に対して何ら是正措置をとらず、低額での事業者選定を行なったことを厳しく批判しました。また、市の公的事業である学童・児童館で4人に1人近くが非正規雇用となる問題も指摘し、改善を求めました。
「財政が大変」と言いながら、地方交付税削減で地方財政に困難にもたらしてきた国の政策について、根本的な批判がありません。消費税増税や大企業減税など、国の悪政いいなりの姿勢を改めることを迫りました。また、市税収入を増やすには、地域循環型経済で、中小企業と市民の担税力をたかめることが必要です。ところが、市長の選挙公約である公契約条例は公約の最終年度の予算でも「制定を検討する」にとどまっています。賃金規定を明記した公契約条例の制定を強く求めました。
一方で、ムダと不要不急の事業にメスが入っていません。南部クリーンセンター第二工場の煙突に2億5千万円かけて計画する展望台は、ゴミ減量につながる意義も根拠もないもので、きっぱり中止することを求めました。また、市長は今なお「リニアは京都と日本の未来のために必要」と強弁し、総額9兆円のムダと環境破壊のリニア新幹線京都駅誘致に500万円の予算を計上していますが、撤回し誘致運動をやめるよう求めました。
4、「廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部改正」は、ごみの発生抑制(リデュース)と再使用(リユース)の2Rと、分別を促進するという方向は当然ですが、分別に違反していると思われるごみ袋の開封調査を定めていることは、市民を脅し、個人のプライバシーを侵す恐れのあるものです。重大な問題があるこの条項を削除する修正案を提案しましたが、オール与党の反対で否決されたため、問題を残したままの原案に反対しました。
「客引き行為等の禁止等に関する条例」は、公共の場所における安心安全な通行を確保するために、指定した区域での客引き行為を禁止するもので、該当の自治会や商店街も制定を求めてきたものであり、賛成しました。
「動物による迷惑防止条例」(自民、民主・都みらい、京都党、無所属議員による修正で「動物との共生に向けたマナー等に関する条例」に名称変更)で目的に掲げている「動物の取り扱いに起因して人に迷惑を及ぼすことを防止し、生活環境の保全を図る」ことは必要ですが、条例で餌やりを禁止し、罰則で取り締まることは自治体の姿勢として不適切です。住民間の対立が強まり、トラブルが広がる可能性もあります。行政の体制を強化し、個別の対応策とトラブル解決の支援こそ強めるべきであり、反対しました。
「客引き行為等の禁止等に関する条例」は、公共の場所における安心安全な通行を確保するために、指定した区域での客引き行為を禁止するもので、該当の自治会や商店街も制定を求めてきたものであり、賛成しました。
「動物による迷惑防止条例」(自民、民主・都みらい、京都党、無所属議員による修正で「動物との共生に向けたマナー等に関する条例」に名称変更)で目的に掲げている「動物の取り扱いに起因して人に迷惑を及ぼすことを防止し、生活環境の保全を図る」ことは必要ですが、条例で餌やりを禁止し、罰則で取り締まることは自治体の姿勢として不適切です。住民間の対立が強まり、トラブルが広がる可能性もあります。行政の体制を強化し、個別の対応策とトラブル解決の支援こそ強めるべきであり、反対しました。
5、市バス事業においては、職員採用時の4年間の「若年嘱託制度」は廃止して、正規雇用とすることを求め、事実上の民営化である「管理の受委託」をやめること、委託先事業者の事業内容の公開を求めましたが、当局は拒否しました。
地下鉄事業では、烏丸線の更新(約400億円)について、国補助制度の創設を求めました。
上下水道事業では、老朽配水管の更新が急務となっている下で、大都市に不利となっている国補助制度を改善することを強く求めました。
6、認定を取得するためにデータを改ざんしていたことが発覚した「免震材料の大臣認定不適合問題に関する意見書」、「都市農業の振興策強化等を求める意見書」が全会一致で可決されました。
党議員団が提案した「生活保護の住宅扶助費と冬季加算削減の撤回を求める意見書(案)」、「高浜原発第3号機・第4号機再稼働の中止を求める意見書(案)」、「介護保険の抜本的見直しを求める意見書(案)」、「労働法制の改悪に反対する意見書(案)」、「青年雇用の拡大とブラック企業・ブラックバイト根絶に関する意見書(案)」、「現行の老人医療費支給制度の存続・拡充を求める決議(案)」について、オール与党が何ら理由を述べず、そろって否決したことは重大です。
また、オール与党は、年金引き下げ中止と最低保障年金制度実現を求める請願、老人医療費支給制度の拡充・存続を求める請願、5873筆の署名が添えられた教育条件の改善を求める請願、国民健康保険料のさらなる引き下げを求める6件の請願、34108筆の署名が集まった保育制度の充実・発展を求める請願について、市民の切実な願いに背を向け、そろって不採択としました。
7、今年は戦後70年の節目の年です。平和を願う国民世論に背を向け、安倍政権は、集団的自衛権行使容認の閣議決定に続き、憲法改悪など戦争する国づくり、原発再稼働、消費税10%増税、社会保障大改悪、地方自治破壊など暴走政治を強めています。
目前に迫ったいっせい地方選挙は、住民の願いを地方自治体に届ける選挙であるとともに、安倍暴走政治に地方からストップをかける重要な機会です。
党議員団は、住民の福祉の向上に努めるという地方自治体本来の役割を発揮する市政への転換を目指して全力を尽くします。市民の苦難の解決、市民要求の実現へ、新たな議会でもその役割を大いに発揮して奮闘する決意です。
以上