[声明]9月市会を終えて - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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日本共産党京都市会議員団

一、本日、9月市会が市長提案の139議案を可決し終了しました。
 党議員団は、予算・決算特別委員会に付託された32件のうち、一般会計補正予算、高速鉄道事業決算、公共下水道事決算など23議案に賛成・認定し、一般会計決算、国民健康保険特別会計決算、水道事業特別会計決算、自動車運送事業特別会計決算など9件は認定せず、または反対しました。
 予算委員会に付託された総額24億円の一般会計補正予算は、8月の台風と豪雨災害での被災者住宅再建、農林災害復旧、土木復旧などの緊急性があり、伝統産業支援、介護施設の基盤整備などの必要性を指摘し賛成しました。いじめ防止条例について、子どもや保護者に「規範意識」を押しつけ、「いじめをするな」と命令するものであり、社会的背景の指摘や教育委員会の責務の明記がないこと等を指摘し、議論を通じて「いじめの背景や原因に踏み込む必要がある」との答弁を引き出し、確認しました。その趣旨を生かし、議案提案権を活用して修正案を提案しましたが否決され、原案に反対しました。
 決算審議をおこなった2013年度は「京プラン」実施計画の2年目でした。「持続可能な財政の確立」を口実に、市民生活は持続どころか破壊の道を進んでいます。保育料、学童保育料、水道料金、文化スポーツ施設利用料、市営墓地の管理料など、総額約15億円の値上げ、市立看護短大やリハセン附属病院、洛西ふれあいの里の廃止など市民負担増の押しつけと福祉切り捨てを強行しました。
 党議員団はこの点を厳しく批判しましたが、市長は職員削減を誇り、「最小限の市民負担増」と開き直りました。

二、一般会計決算は5年連続の黒字で累積黒字は20億円となりました。市税収入が17億円増え、過去最高の市税徴収率となりましたが、市税滞納世帯に対して4年間で2000件も急増した容赦のない差し押さえが背景にあります。さらに、値上げと施設廃止による公的責任の放棄、職員削減による人件費削減のなかでの「作られた黒字」であり、到底評価できるものではなく、認定しませんでした。
 6年連続の単年度黒字で累積収支も黒字となりながら値下げを拒否し、保険証の取り上げや差し押さえは「公平性を保つために毅然とおこなう」と居直る国民健康保険会計、1年に2回もの料金値上げにより市民負担増に拍車をかけた水道事業特別会計、「管理の受委託」に固執し若年嘱託制度の継続を表明する自動車運送事業特別会計は、認定しませんでした。
 4月からの消費税増税による影響を含めた地域経済と中小企業の深刻な実態を示して、底上げを強めるとともに消費税10%への再増税の中止を国に求めるよう迫りました。市長は、「消費税は予算を安定的に確保するために必要なもの」「京都経済はゆるやかな回復傾向」との認識であり、安倍内閣の「成長戦略」に追随する本市の経済政策の転換を求めました。国の小規模企業振興法の成立を受け、一刻も早い公契約条例の制定、中小企業振興基本条例の制定を求めました。
 一方で、党議員団が繰り返し求めてきた焼却灰溶融施設の契約解除を市長は住友重機械工業に通告し、関連経費27億円が年度途中で減額され、年間運転経費20億円もかかる事業を断念させることができました。
 常任委員会に付託された104議案に対し党議員団は、岩倉出張所の廃止のための出張所設置条例改正、下京青少年活動センター移転のための条例、地方独立行政法人京都市立病院機構中期目標の策定など9議案に反対、それ以外の議案に賛成。市長提案の人事案件3件について2件に賛成しました。
 子ども・子育て支援新制度に関わる議案について、「児童館および学童保育所条例一部改正」は対象学年を小学校の全児童に広げるものであり、職員の処遇改善と施設及び設備の抜本的改善を求め賛成しました。国基準が多くを占め、これまでの本市の保育や学童保育の水準を後退させる「事業及び施設の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部改正」については、市民意見を求めたうえで修正案を提出。原案には反対しました。
 基準引き上げを求める質疑の中では、放課後児童健全育成事業について「職員の処遇向上について予算編成の段階で検討したい」「施設整備について基準に適合するように整備するのは本市の責任」との答弁を引き出し、保育についても「保育士配置について、さらに高めていくという気持ちで指導していく」「自園調理が基本」と確認しました。
 いわゆる「ごみ屋敷」等の不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関し必要な事項を定める条例に関して、関係者の意見を踏まえ支援を中心としながらも過料や氏名公表などの制裁措置が含まれている問題点を指摘して修正案を提案。原案に賛成しました。
 自民、民主・都みらい、公明、京都党、無所属議員は市長提案の議案すべてを認定し、賛成しました。

三、党議員団は、京プラン実施計画に示された市職員削減、民間委託推進路線と福祉切り捨てに反対し、市民の命と暮らしを守るために奮闘しました。実施計画が自治体の公的責任を後退させるものだとして、撤回を求めましたが、市長は「必要な部署に必要な人員を配置しており、公的責任は後退させていない」と強弁しました。
 「乗るたびに一定額の負担を求める応益負担」導入の敬老乗車証の改悪案に対して、市民団体と「敬老乗車証を守ろう!市民集会」を240人の参加で成功させ、制度改悪に反対する署名は1万3千筆を超えました。高齢者の福祉と社会参加に寄与するための趣旨を堅持し、現行制度を守るよう求めました。また、老人医療費支給制度について、74歳まで1割負担を拡充し、すべての対象者への周知を図り、高齢者への支援を求めました。
 「民間でできるものは民間で」とする民間委託推進路線の具体化である「ごみ収集業務7割委託とさらなる収集職員削減」の改革案について、災害時の対応や市民サービスの後退につながり、「官製ワーキングプア」を促進するものであるとして撤回を求めました。
 これまでの廃止・民間移管に続き、新たに6か所の公立保育所の公立保育所の民間移管を打ち出したことに対して、見直しを求める署名がわずか10日間で14000筆を越え、反対の声が広がっています。党議員団は公営保育所の廃止に反対し、民間移管方針の撤回を求めました。
 区役所の市税賦課業務を集約化する市税事務所設置方針は、税務相談における市民サービスの低下であり、区防災業務にも著しい影響を与えるものであり中止を求めました。

四、党議員団は京プラン実施計画にあるムダづかいを指摘し、撤回を求めました。リニア中央新幹線計画の中止を求めるとともに、京都駅ルートの変更による京都駅誘致運動についても、誘致の根拠とする乗客増と経済効果の試算は国交省からも「検討したこともない」と相手にもされない机上の空論であり、市長は「拠点駅をめざす」と明言し、ますます孤立を深めています。改めて誘致運動の撤回を求めます。
 南部クリーンセンター第二工場建て替えにあたって、4億円のごみ有料化財源で展望台を設置する計画は、ムダづかいの典型であり中止するようを求めるとともに、ごみ袋の引き下げを求めました。

五、本市のエネルギー政策に関して、福井地裁の大飯原発の差し止め判決、福島地裁の避難生活の中で自殺した女性への損害賠償を東電に求めた判決、川内原発再稼働における規制委員会委員長発言を紹介して、原発の再稼働に反対し、原発ゼロの政治姿勢を明らかにするよう迫りましたが、市長は従来の認識を変えず、拒否しました。さらに、本市の避難計画が放射能汚染の広がりを無視したものであり、計画の見直しを強く求めるとともに、自然エネルギーの飛躍的拡大を求めました。
 本市が発表した「人権に関する市民意識調査」報告書において、今は行政上存在しない「同和地区」の表現を使い、「差別意識がいまだに存在している」との認識を示していることを改めて厳しく批判し、改善するよう求めました。また、来年3月に解散する市立浴場財団職員の退職金問題をめぐり、財源不足対策として財団が市長を提訴するという異例の事態を受け、市長が政治責任を果たすよう求めました。

六、意見書提出では、「奨学金制度の充実を求める意見書」「危険ドラッグの根絶に向けた総合的な対策の強化を求める意見書」「軽度外傷性脳損傷に係る周知及び適切な労災認定に向けた取り組みの推進を求める意見書」「聴覚障害者に対する公職選挙のバリアフリーを求める意見書」が全会派一致で採択されました。奨学金制度の充実に関しては、わが党が政策提案し求めてきたものです。
 党議員団は、「農業委員会制度・組織改革が真に農業者のためになる改革となるよう求める意見書」に対して、国の示す活力創造プランが農村の解体と農協・農業委員会の組織的解体をめざすものであり、プランの撤回を求める意見書を提案し、反対しました。民主・都みらいなどの提案による「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の撤回を求める意見書」には、閣議決定の中止を求める一点での共同の立場で賛成しました。
 また、「集団的自衛権行使に反対する意見書」「米軍Xバンドレーダーの撤去、基地建設の中止を求める意見書」「高浜原発の再稼働手続きの中止を求める意見書」「消費税増税の中止を求める意見書」を提出し、提案説明と討論を行い党議員団の見解を示しました。

七、安倍内閣が危険な暴走を加速していますが、国民世論はその暴走を見抜き世論調査に見られるように厳しい批判の声を上げはじめています。安倍内閣の退陣を求める国民運動をさらに強めつつ、党議員団は安倍政権の暴走に追随する市政運営と京プラン実施計画による自治体破壊、市民生活破壊と正面から対決し、自治体本来の役割を発揮する京都市政を実現し、市民生活を守るために奮闘します。そして来春のいっせい地方選挙での勝利をめざし全力を挙げます。

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