【声明】住友重工との焼却灰溶融施設の契約解除について  市長は自身の責任を明確にし、市民に対し謝罪するとともに、経過を検証し報告すべき - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON【声明】住友重工との焼却灰溶融施設の契約解除について  市長は自身の責任を明確にし、市民に対し謝罪するとともに、経過を検証し報告すべき

日本共産党京都市会議員団

 京都市は、7月31日の京都市環境政策局長を座長とする技術審査委員会において、住友重工と契約していた焼却灰溶融施設について期日としていた本年8月末までに引渡しを受けることが不可能と判断し、同社に対して契約解除通知を8月1日に口頭で、8月5日に書面によりおこないました。                                 

溶融施設の心臓部でトラブルの連続、遅すぎた契約解除判断、市長の責任は重大

 技術審査委員会は同施設の契約解除の理由について、「溶融施設の心臓部であるロータリーキルンに関わるトラブルにより2次試運転を中断させた」と、ロータリーキルンの分離部にダストが堆積する新たな事態が発生したことや、その改善が契約期限内にできないことなどをあげました。
 しかし、同施設のロータリーキルンのトラブルは溶融施設の試運転開始直後から繰り返し発生していました。2009年12月には1号炉のロータリーキルンの耐火レンガ損傷が発生、試運転が延期になっています。その後もロータリーキルンのトラブルは続き、2010年2月と12月に2号炉の耐火レンガの損傷と亀裂が、2011年10月には2次燃焼室のダストの塊が冷却装置に落下し従業員が負傷するなどの重大なトラブルが発生していました。
 同施設では溶融炉以外のところでも重大問題がおきていました。2010年4月に排水から基準値を大きく超えるダイオキシン類が検出されましたが、設計ミスであるとの原因特定や対策工事を施すのに7ヶ月も要する事態にもなっていました。
 こうしたトラブルの繰り返しのもとで、住友重工は当初の引渡し期限の2010年5月31日に工事延期と工事遅延損害金支払いの確約書を提出、京都市もこれを了承しました。しかしその後も事態は解決しないまま、2011年11月、今度は市長が住友重工に「時間をかけて総点検」を求め、京都市と住友重工の双方は、どこまでも灰溶融施設整備にしがみつきました。翌年の2012年7月になっても京都市も住友重工も対策案を示すことができず、同年7月末に再び市長と住友重工が協議を行い、引渡し期限を2013年8月末に変更しました。
 京都市と住友重工がすすめようとした灰溶融施設がどれほどひどいものであったかは、総点検箇所が852箇所にも及び、改善を要する機器は30箇所にもなったことからも明らかです。これだけの総点検を行いながら、「2次試運転を中断させた」ロータリーキルン内の新たな箇所でのダストの堆積がおこったことは、同施設の欠陥性を決定づけるものです。繰り返された重大なトラブルと今回の契約解除は、京都市のすすめようとした灰溶融施設の破たんを実証したものです。灰溶融施設の欠陥を認めようとせず、整備に固執し、契約解除の判断を遅らせた市長・京都市の責任は極めて重大です。

市長は、自らの責任を明確にし、市民への謝罪と経過の検証・説明を

 党議員団は、市民の皆さんと力をあわせて1)灰溶融処理技術は新しい技術であり、先行導入した他都市では水蒸気爆発などトラブルが相次いでおり、技術的に未完成の施設であること、2)高いランニングコストが自治体財政を圧迫し、運転中止に踏み出す自治体が増加していること、3)国においてもこうした相次ぐトラブルの事態をうけ、条件が整えば補助金返還を求めないなど灰溶融施設推進方針を変化させてきたことを指摘し、議会でも事業の中止と契約解除を繰り返し求めてきました。
 党議員団は、ダイオキシン類が検出された際には、住友重工の代表を招致した参考人質疑を提案、京都市会史上はじめて大企業の参考人招致を実現しました。また、ダイオキシン検出現場や従業員の負傷事故現場調査など現地調査にも積極的に取り組み、溶融施設の中止と契約解除を求めて奮闘しました。
 また、市の灰溶融施設は整備総額175億円、運転経費は年間20億円と巨額の経費を必要とし、その費用も年々増加することを指摘、巨額のムダ遣いの典型と告発・批判してきました。こうした市民の声や議会の指摘に耳を傾けようとしなかった市長の責任は大きなものがあります。市長はこの事実を認め、今後において同種の施設整備は行わないと明言すべきです。また、市長は市民に謝罪するとともに、経過と全容について検証し市民に説明するとともに、この事態を招いた自身の責任を明確にすべきです。

さらなるごみ減量、ムダを許さずくらしを守る市政実現へ力を尽くします。
 

 この間、市民の努力でごみ減量が大きくすすみました。京都市は灰溶融施設計画を持ち出した時には東部山間埋立地は15年しかもたないと強調しました。しかし今日では市民のごみ減量の努力で50年もつことが明らかになっています。
 党議員団は、引き続き事業系ごみ対策の強化と製造段階での発生抑制の制度化を政府に強く要求するとともに、分別品目の大幅な拡大、缶・ビン・ペットボトルの混合収集の改善、市民と協力しリデュース、リユース、リサイクルをすすめ、焼却ごみを減らすなどごみ減量に力を尽くします。
党議員団は市民の皆さんと力を合わせ、鴨川フランス橋計画の撤回、ポンポン山ゴルフ場計画撤回と疑惑究明、東北部クリーンセンター談合問題告発と賠償実現、京都高速道路3路線の計画中止へと追い込むなど、京都市政の重要問題で市政を動かしてきました。今回の灰溶融施設を契約解除に追い込んだのも粘り強い市民の運動と党議員団の共同の力の結果です。引き続きムダ遣いを許さず、くらしを守る市政実現へいっそう力をつくす決意です。

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