[見解]市民生活を破壊し、自治体を変質させる「京プラン実施計画」 - 見解・声明|日本共産党 京都市会議員団

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日本共産党京都市会議員団

 門川京都市長が市民サービスにかかる施策や事業を、今後4年間で削減・廃止をすすめる「京プラン実施計画」を3月に発表しました。この「京プラン実施計画・改革編」が、京都市政や市民の暮らしにどのような影響を与えるのかを明らかにします。

(1)はじめに 京プランの目的にある危険な狙い

 2010年12月、今後10年間の第2期京都市基本計画として「はばたけ未来へ!京プラン」を策定しました。この基本計画は、憲法と地方自治法の定めにもない「地域主権時代」を切り拓くための「都市経営の理念」として位置づけ、政策推進の基盤を「行政経営の大綱」として掲げています。これは、住民を主人公として、住民の福祉と暮らしの向上をはかるという自治体の責務を投げ捨て、「経営体としての効率性」のみを狙う、自治体を変質させるプランです。
 さらに、道州制に道を開く関西広域連合への参画を掲げ、新たな大都市制度として特別自治市創設に向けて研究、提言をおこなうとしています。これは行政を住民からますます遠ざけ、住民自治そのものを破壊するものです。
 また、「持続可能かつ機動的な財政運営の確立」を掲げ、総人件費の削減をはじめとする徹底した歳出の抑制、社会福祉関係経費に焦点を絞った歳出の見直しのための「財政構造改革」をすすめるものです。これは、「財政の危機感を共有する」として、市民にその負担を押しつけるものであり、市民生活を「持続可能」にするどころか、破壊してしまうプランです。
 門川市長は、市長就任以降、2009年2月に公表した「京都未来まちづくりプラン」で、40年近くにわたって民間保育園の運営と保育士などの処遇を守ってきた「プール制」(民間保育園給与等改善制度)への補助金削減を強行しました。その後も、国保料の3年連続値上げとともに、徴収率アップを至上命題に正規の保険証の取り上げや滞納世帯に対する差し押さえをおこなっています。さらに市立看護短期大学の廃止、市立病院の独立行政法人化、市立芸大の法人化、保健所の医師配置の義務付けのない保健センターへの改変と統合、3箇所の休日診療所の廃止、人権否定の「空缶持ち去り禁止条例」の制定など、くらしの重要分野の公的責任を次々と投げ捨ててきました。さらに、学校統廃合による教育リストラをすすめ、教育予算を10年間で100億円も削減してきました。
 京都未来まちづくりプランを発展させた、京プランにもとづく今回の実施計画は、自治体の変質をはかるとともに、市民生活破壊をすすめる行動計画そのものであると言わざるを得ません。

(2)あらゆる分野と世代の生活を破壊する京プランと実施計画

①事業の見直しによる財源確保として、4年間で社会保障費をふくむ消費的経費を250億円も削減する計画です。そのために、実施計画は65項目にわたる事業見直しをすすめ、今回、33項目の削減を提案しています。初年度にあたる2012年度は、当初計画の25億円を3億円も上回る28億円の削減予算を計上しています。
 その中には、一人暮らしの高齢者の安全確保のための緊急通報システムを、「利用者負担の公平化」と称して、7月から利用料の値上げを一方的に通知し、「必要なければ取り外します」との案内をするなど、制度発足の意義を根底から掘り崩すものも含まれています。
また、「子育て環境日本一」と言いながら、市営保育所の「効率的な事業実施」として、議会にも諮らず、利用者の意見もまともに聞かず、保育所の民間移管を強行しようとしています。同様に、保育所・児童館・学童保育所に対して「受益者負担のあり方」を検討するとして、保護者負担を拡大しようとしています。保育の公的責任の放棄です。
 さらに、「不正受給」対策を口実にした生活保護の締め付けの強化や「就労による自立支援」と称して生活保護の打ち切りをすすめようとしています。そもそも国民を生活保護に追い込んだ大企業のリストラを容認し、「最後の命綱」である生活保護を行政改革メニューに乗せることそのものが、重大な人権侵害です。
 他にも、2012年度予算では、民間社会福祉施設産休等代替職員補助や社会福祉協会助成の廃止、看護師確保のための予算を半減など目白押しです。さらに今後は、敬老乗車証や学童う歯対策の見直しなど一気に進めようとしています。
②政令市の中で本市だけが堅持してきた、65歳以上の市民を対象にした個人市民税軽減措置を廃止しようとしています。約8万人の市民に影響が及び、6億円の負担増となります。非課税世帯が課税世帯になれば、雪だるま式に公共料金などの負担増にも連動し、市民生活に多大な影響を及ぼすことは明らかです。また、市税や保育料などの公共料金の徴収率を上げるために、「債権」を一元的に管理し、回収を推進するとして「債権管理条例」(仮)を制定するとしています。これは滞納に至る経過をいっさい考慮せず、情け容赦なく財産の差し押さえに道を開くものであり、行政を「取り立て屋」に変質させるものです。
 さらに京都市が保有する資産を一元管理し、「有効活用」をはかるとして、「資産活用推進会議」を設置し、多様で最適な売却方法を導入するとしています。当面、伏見区の元消防学校跡地、左京区役所跡地、木造市営住宅、障害者福祉協会跡地などの売却が計画されています。これは、毎年50億円の収入を財政計画に見込み、地元住民や関係者の声にも耳を傾けず、市有財産の切り売りに道を開くものです。他にも、交通局や上下水道事業における経営健全化計画の推進が盛り込まれ、プラン期間中に料金値上げの動きがあります。
 ③「職員数の適正化」として大幅な職員削減を行おうとしています。京都市で初めての部門別定員管理計画を策定し、消防職員80人を含む690人の職員削減を提案し、今後10年間で約1400人もの職員削減を計画しています。この計画は、京都市の歴史やまちづくりの特性を無視して、他都市との単純比較を理由にするもので、まったく道理はありません。
 ④市民負担増や市民生活破壊をすすめる一方で、無駄な公共事業にはメスを入れず、温存しています。プランでは、リニア中央新幹線の京都駅誘致要望を加速させています。超深度の地下駅となる京都駅の建設費用は2200億円にものぼり、地元負担の可能性は否定できず、新たなムダ遣いに道を開くものです。さらに、市民の反対の声を無視し、事故とトラブル続きの焼却灰溶融施設、京都会館第一ホールの解体や四条通の片側一車線化、北泉橋の建設を強引に進めようとしていることは認められません。

(3)健全な京都市財政の確立へ

 財源対策の臨時財政対策債を含む2012年度の市債発行額は、895億円で、市債残高は1兆2322億円(市民一人当たり84万円)にものぼり、毎年過去最高を更新しています。本来、国が地方交付税で措置すべき財源を、地方自治体の借金でまかなわせるものであり、京都市の借金は増え続けていく仕組みを温存しています。一方で、毎年の予算編成における「財源不足」を強調していますが、その要因は国の消費税率五%への引き上げと、その後の景気の低迷による税収の落ち込みであり、企業の担税力の低下にあります。背景には、地域経済の底上げ、市民生活の安定を図るという、行政支援を怠ってきた本市の施策の貧困さがあります。
 ところが京プランでは、「景気の変動に左右されない安定した財政の確立のため」として、国の「税と社会保障の一体改革」に期待して、消費税率引き上げによる地方消費税や社会保障経費の国負担の増額を求めています。ここに京プランの致命的問題点があります。現状における消費税増税は、消費の冷え込み、企業の生産活動の停滞、価格に転嫁できない業者の破産や廃業、など引き起こし、いっそう市税収入を落ち込ませることは必至です。
 本来の地方財政の確立には、地域経済を底上げし、担税力の強化による財源の確保に軸足をおき、国の責任で地方交付税率を見直し総額確保するよう強く求めるべきです。

(4)最後に 京プラン実施計画の実行を許さないたたかいを

 当面する消費税増税ストップ、大飯原発再稼働許さず原発ゼロをめざす運動と連動して、京プランの危険な狙いと内容を、広範な市民に明らかにし、実行を許さないたたかいをすすめましょう。日本共産党京都市会議員団は市民のみなさんと共同して全力をあげます。

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