日本共産党京都市会議員団
今年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、日本と世界に大きな衝撃を与えました。国や地方自治体のあり方に対する国民の意識は大きく変わろうとしています。京都市においても市民のくらしと地域経済の深刻さが強まるもとで、市民のくらしをどう守るのか、地域経済の再生をどう図るのか、そのために地方自治体がどのような役割を果たすのかが大きく問われています。
原発事故問題では、放射能汚染の深刻な実態と被害の広がりを前に、「原発ゼロ」と自然エネルギーへの転換を求める世論と運動は急速に広がっています。京都市は、世界で最も危険と指摘されている福井原発群から60キロの位置に市役所があるなど原発に最も近い100万都市です。脱原発の立場を明確にしてはじめて市民の安全が守れます。東日本大震災と福島原発事故の教訓を汲みつくした原子力防災、防災総点検が必要です。
民主党野田政権は、全国各地に広がった批判や反対の運動を無視し、TPP参加に踏み出しました。消費税についても2010年代半ばまでに10%に引き上げる考えを示し、「社会保障と税の一体改革」で、社会保障そのものを変質・再編させようとしています。
市民の各層からは、くらしに対する不安、悲鳴が上がっています。国民健康保険料に対して、「高すぎてとても払えない」の声が相次ぎ、保険証の取り上げや財産の差し押さえが強まり命を失うケースも生まれています。公務員削減がすすめられ、窓口でも正職員が減り、「充分な相談にのってもらえない」と不満や不安が広がっています。
保育についても、国の規制緩和の動きや保育所の定員外入所にたよる待機児解消策を心配する声が上がり、市民からも「京都市は保育充実の責任を投げ出さないで欲しい」の切実な要望が出されています。
地域経済についても危機が進行するもとで、中小企業団体や経営者からは「経営悪化」を訴える声が相次ぎ、「融資が受けられない」「固定経費が払えず廃業に追い込まれた」など悲鳴があがっています。同時に地域経済再生にむけ、ものづくり都市京都にふさわしい中小企業の技術、技能の継承支援を求める要求や、中小企業支援と雇用拡大に対する行政責任を明確にした「中小企業振興基本条例」をはじめ、「住宅リフォーム助成制度」「公契約条例」の制定を求める要求や運動も大きくなっています。こうした声にしっかり耳を傾け、市民のくらしを守る市政運営が強く求められています。
国に対して社会保障の財源対策などくらしを守る責任を求めるとともに、京都市において焼却灰溶融施設の稼働中止、残る市内高速道路計画の撤回などムダな事業をやめ、くらしを守る財政計画に直ちに着手することが必要です。
以上の立場から日本共産党京都市会議員団として2012年度の予算編成にあたっての要求書を提出するものです。