2022年度一般会計予算に反対する討論 ほり議員 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

2022年度一般会計予算に反対する討論 ほり議員

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閉会本会議 討論
ほり信子議員
 
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 日本共産党京都市会議員団は、議第1号令和4年度一般会計予算案、議第3号令和4年度国民健康保険事業特別会計予算案、議第4号令和4年度介護保険事業特別会計予算案、議第18号職員定数条例の一部改正に反対の立場を表明しておりますので、その理由を述べて討論します。
 
 2022年度一般会計予算は、行財政改革計画が策定されて以降、本格的に提案された予算です。しかも、長引くコロナ禍のもとでの予算です。自治体としてやらなければならないことは、市民生活を支える保健・福祉・医療を維持し、生活支援、地域事業者支援を優先しながら、緊急性のない投資事業やソフト事業の中止・先送りによって財源を確保することを基本にした予算を組むことです。

 今回の予算案に反対する第一の理由は、市民の生活が厳しさを増している時に更なる大幅な痛みを押しつける行財政改革計画を断行する予算だからです。市民に対して「毎年500億円の財源不足」「財政破綻」と市民しんぶんやマスコミを通して不安をあおり、「しかたがない」とあきらめさせ市民サービスの削減をする一方で、北陸新幹線の延伸など無駄な大型公共事業や不要不急の事業を推進。呼び込み型の成長戦略を推進しています。学生のまち京都といいながら、給付制の奨学金などの学生支援の積極策もありません。今からでも遅くありません。前提が崩れている行財政改革計画は撤回するべきです。少なくとも、市民負担増26億円、補助金削減27億円は撤回するべきです。

 第二の理由は、新型コロナウイルス感染症対策について、保健所(医療衛生推進室)の体制が不充分であるにもかかわらず、いまだに保健所を一カ所に集約化したことを評価し、更なる職員削減を進めようとしていることです。第6波では、保健所での疫学調査が追いつかず、感染者本人や学校・保育園など現場任せの対応にならざる得ない事態になりました。明らかにマンパワーの不足であり、公衆衛生の役割を果たしていません。審議のなかで「コロナ第6波で、1月・2月合計で市長部局371人の職員が感染し、濃厚接触者については事務が繁忙でつかめない事態となり、その大変な状況の中で、さらに保健所に433人の職員を応援にだしていることが明らかになりました。当局から、「職場が相当繁忙になって疲弊しているのは事実」との答弁がありました。その元で、550人の職員削減を進めることは、その応援体制の基盤さえも奪うことになるのではありませんか。  職員は過労死の危険にさらされたままです。感染拡大は今後も起こる可能性があります。職員削減方針の撤回と保健所の機能を各区役所に戻すことがどうしても必要です。

 第三の理由は、行財政改革計画にもとづき、公共施設等の利用料・使用料の値上げが提案されていることです。公益的活動や市民活動の場所を保障する公的責任を後退させ、受益者負担を前提とした考え方で市民負担増を拡大させ、市民の文化・スポーツを楽しむ権利を奪うもの。断じて許せません。
 さらに、「介護サービス事業者の指定申請等に対する審査に係る手数料の新設について」は、新たに介護サービス事業者の指定、指定更新及び許可更新の申請について手数料を徴収するものですが、公益性の高い介護事業について、「受益者負担」として手数料を強制的に徴収しようとする京都市の考えは介護保険制度の理念からも乖離したあまりに酷い提案と言わざるを得ません。

 第四の理由は、27億円にも上る補助金の削減です。中小企業・伝統産業・農林業に対する各種補助金が減額されますが、とんでもありません。長期化するコロナ禍で、資本や余剰金が少ない事業者が窮地に陥っている中で、各種補助金の減額や廃止では、休業・廃業に追い込まれます。国の成長戦略に沿ったDX・スタートアップ等体力のある企業を応援する一方、京都特有のものづくりの現場の要望から始められた「伝統産業設備改修補助」の予算を半減するなど、市民の願いに逆行しています。まちづくり・災害対策としての「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震・防火リフォーム支援補助金」も「既存住宅省エネリフォーム支援補助金」「住宅用太陽光発電・太陽熱利用設備等設置補助金」も休止。なかでも「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震・防火リフォーム支援補助金」は、市民と建築事業者から喜ばれていたものです。また、市民が安心して住み続けられるまちをつくる上に必要な商店街の振興計画もありません。「京都の事業者を守る」というのならば、必要なところへ必要な直接給付と固定費などの補助が必要です。補助金削減はやめるべきです。
 また、民間保育園への補助金13億円の削減は、断じて認められません。本市独自の配置基準も含めた試算でも、民間保育園265園のうち8割にあたる207園が削減となり、その削減幅は1カ園あたり21万円から4088万円の削減になります。しかも、園への補助金削減の具体的な金額が提示されたのは、卒園・新年度準備と多忙を極める3月3日、まさに62カ園がコロナ対応のため休園中の時期であり、非情というほかありません。ただでさえ、保育士不足の状況の中で保育士確保に四苦八苦して対応をしているのに、今回の大幅な補助金削減によって、来年度の体制を組むにも大変な事態となっています。本来、公営で行うべき保育を民間保育園にお願いしている立場であるにもかかわらず、今回の制度改悪で、不足する人件費を「積立金、内部留保で穴埋めせよ」と言うのは、とんでもない暴論です。これまで積み上げてきた制度を根底から覆すものです。積立金は、各園が長期的な計画のもとで積み立ててきたものであり、その資金を奪うことは、保育園の将来計画を大きく狂わせます。京都市は「相談に応じる」といいますが、新制度の元で、人件費が賄えなくなる園が25園あることを認めており、もはや新制度は破綻しているのではありませんか。全体として給与水準を維持・充実するといいながら、給与カットしかないという保育園もあると答弁していることは、ごまかしでしかありません。国を挙げて処遇改善を進めている中で、京都市が給与を引き下げるなど認めることはできません。そもそも局長逮捕で、信頼関係は根底から崩れています。京都市長に、このような提案を行う資格はありません。白紙撤回しかありません。

 第五の理由は、都市計画の規制緩和や都市の成長戦略では、若者子育て層の定住促進は望めないということです。京都駅周辺には大型商業施設がたくさんでき、海外からも有名ホテルが進出する等、大企業が数多く進出しています。そのことで、京都で働く人の賃金は増えたのか、地元の中小業者は元気になったのかと言えば、全く違います。それどころか、地価が高騰し、若者子育て層がまちなかに住めないのが現実で、それを変えない限り定住促進は難しいのではないでしょうか。規制緩和で開発を進めていくというのは、同じ過ちを繰り返すことになり、若者子育て層の流出を防ぐことはできません。「若者に選ばれる千年都市」を目指すのであれば、やはり、子育て支援策の充実こそが重要です。

 そして最後に、 高すぎる国民健康保険料や介護保険料等の引き下げをせず、市民の願いに背を向けていることです。コロナ禍で厳しい生活状況のもとでの値上げ提案は撤回すべきです。自治体として更なる減額が求められているときに、値上げなどあり得ません。2021年度の27億円の累積黒字分の内、14億円を活用すれば、値上げをせずにすみます。また、介護保険料は、標準額が6800円と高いままです。介護入所施設での負担限度額の認定制度が改悪され、負担額が増大しているにも関わらず、対策を取らないままです。高齢者が安心して暮らしていける手厚い施策を求めて、反対の討論とします。

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