請願 「小学校のような全員制の中学校給食の実施」 の不採択に反対する討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

請願 「小学校のような全員制の中学校給食の実施」 の不採択に反対する討論

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本会議 討論
河合ようこ議員
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 日本共産党市会議員団は、請願第1111 号「小学校のような全員制の中学校給食の実施」を採択すべきとの態度を表明しておりますので、 私は議員団を代表し、その理由について述べます。

 「子どもの7人に 1人が貧困」状態といわれる状況は、 新型コロナウィルス感染症の感染の広がりとその長期化の下、厳しさに拍車をかけています。本請願は、「コロナ拡大によって... 『厳しい経済状況から空腹を我慢して長時間過ごすという子育て世帯が増えている」こと、 東京都立大学の阿部彩教授は『2017年の調査』で『困窮に陥っている子育て世帯の中で食べ物を満足に食べられていない世帯は7割も占めていたが、 コロナ拡大で更に困窮層が増え、子どもの食を家庭の問題としておくことはもうできない』と述べられており、そういう状況の中で、改めて「中学校でも小学校のような給食を全員で食べられるようにすべきであるというものです。

 請願者は、中学校給食アンケートに取り組まれ、 509 人の方の回答を集約された結果をもとに請願されており、 このことを行政も議会もしっかりと受け止め検討すべきものであると考えます。
 アンケートでは、給食を利用されている理由は、「栄養バランスが考えられているから」が 41%、「仕事が忙しく、弁当を作るのが大変だから」が38.2%、給食を利用していない方が「利用しない理由」は、 「子どもが嫌がるから」が 72.7%、 「なぜ子どもが嫌がるのか」という理由は、 「クラスで給食を食べている生徒が少ないから」が54.7%となっています。
 一方、本市が 2019年度に行った 「中学校給食の充実及び食育の推進に関する実態調査」の結果では、「給食を利用しないのは『頼みにくい雰囲気があるから』という生徒が 8.8%あるとなっています。

 教育福祉委員会での審議では、心も体も大きく成長する思春期の時期に栄養バランスのとれた食事を摂ることの重要性は教育委員会も答弁されています。 また教育委員会は、本市の中学校給食は『完全自由選択制』で「必要な生徒が必要な時に利用できるようになっている」とも言われています。
 しかし、給食を食べている生徒は25%弱であり、実際には、おにぎりやパンだけの生徒もあり、本市の調査でも、学校で昼食時何も食べない生徒が 7.7%、「昼食が用意されていないから」という生徒が存在しています。 また、「給食は栄養バランスが考えられている」と思っていても、生徒は給食を選ばない、 選べない現状があります。 利用している友達が少ないということも頼みにくい要因になっていることは、 請願者がとられたアンケートにも示されています。 

 同調性が強く、「他の友達と違う」ことが不安であったり、 ストレスになったりするという思春期の特性があるという専門家の話を引いて、 私は、 委員会審査の中で、「学校での給食の時間まで気を遣わずに済むように全員制の給食が必要ではないか」 と質問しました。 すると「同調性を乗り越えて」 「健康のために何をどのように食べれば良いかを選ぶ力」 をつけることが必要、 と当局は答弁されました。授業の緊張感から解かれ、リラックスできる昼食の時間まで気を遣う、不安になる状況を強いてはならないと思います。

 京都府内のある自治体の教育委員会の方は 「選択制では、 給食を食べてほしい生徒が食べられない可能性がある。だから全員制給食にした」と話されていました。
 本請願を出された「小学校のような全員制の中学校給食をめざす連絡会」の呼びかけ人であり、「給食の歴史」の著者でもある京都大学准教授の藤原辰史さんは、新聞のインタビューで「貧困であっても人間の尊厳を奪われないために、給食は大きな役割を果たすと思うんです。 子どもたちも競争社会に生きていますが、学校の門をくぐったら、 お互いの経済格差を気にしないで言葉を交わしたい。誰が飢えているかということを気にせず、 誰かが誰かを助けているというマウントを取らなくていい給食は、 これまでの空気感を変えられるものだと思うのです。」と語られています。 大事な指摘だと思います。
 そして、教育長は「学校はセーフティネットの役割がある」と語られています。そうであるならば、コロナ禍で、家庭でも食べ物を満足にとれていない子どもがいる中、「学校に行けば、みんなと一緒に給食が食べられる」、そういう安心となる全員制の中学校給食を実施して、セーフティネットの役割を発揮すべきではありませんか。

 本市が、選択制に固執せず、 小学校のような全員制の中学校給食に踏み出すことを求めます。
教育福祉委員会では、本請願を不採択にする理由として、他会派から「堂々巡りの議論になっている。請願を議論する意味がない」という主旨のご意見がありましたが、請願権に基づき提出された請願を徹底して審議することは議会に課せられた重要な責務であります。 
 そして、 何より本請願は、まさにいま昼食さえまともに食べられない中学生がいると保護者・関係者の皆さんが、自らも調査した上で提出された請願です。一日でも早い実現を願ってくり返し請願が提出されてきたのではないでしょうか。保護者や市民から繰り返し提出されてきた切実なものであります。

 小学校のような全員制の給食の実施の必要性はコロナ禍でさらに大きくなっていることから、本請願を採択し、本市が全員制の給食実施に舵を取ることを議会として決することが求められていると考えます。先輩、同僚議員の皆さまの賛同を求め、討論と致します。ご清聴ありがとうござました。

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