2020年度京都市公営企業決算討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

2020年度京都市公営企業決算討論

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終了本会議 討論
くらた共子 議員
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 日本共産党京都市会議員団は、報第14号水道事業特別会計決算、報第15号下水道事業特別会計決算、報第16号自動車運送事業特別会計決算について認定せず、報第17号地下鉄事業特別会計決算は認定するとの態度を表明していますので、私はその理由を述べ、討論いたします。
 まず、全国的にコロナ禍等により中小企業・小規模事業者が廃業・休業し、非正規労働者等が雇い止めとなる中、自殺者が急増する深刻な事態が生じています。こうした下で公営企業に求められるのは、福祉の向上を図り市民の命と暮らしを守る使命を発揮することです。

 水道事業については、いまこそ水道料金に対する福祉減免制度の創設をと求めたのに対して「公平性の観点から困難」と拒否する姿勢が示されました。市民の命を守る責任に背を向ける冷たい態度です。また、下水道事業については、財政効率を目的として下水道管路管理センターの再編や松ヶ崎浄水場、伏見水環境保全センター、下水道管路管理センター西部支所などの運転管理業務の委託がすすめられました。京都市常勤職員5人の削減、会計年度任用職員の配置は42人となり、さらに民間委託をすすめるなどで、職員削減と官製ワーキングプアを増大させていることも問題です。水道コンセッションについては具体化の事実はないとのことですが、すすめるべきではありません。水道の広域化は16市町村にまたがる広域の圏域で、事業形態や水源など中身がバラバラのものを一緒に行うことには無理があります。国いいなりではなく、これまでどおりに自治体間の連携に留めることを京都府に意見すべきです。また、5年間で100億円ともなる下水道への出資金の休止は止めるべきです。「事業運営が困難になる場合は料金の検討が必要になる」との答弁がありましたが、市民負担に傾倒することなく、国への要望を強めることを求めておきます。

 次に市バス事業では、敬老乗車証制度について、「交通事業者として福祉施策的な観点で考える必要は無いことだと考える」との驚くべき答弁がありました。公営交通の果たすべき役割は、市民の福祉の増進にあります。交通事業者は現行制度の維持を求める市民の声を受け止める必要があることを指摘します。管理の受委託では、京阪バスに委託していた業務が直営に戻されました。コロナ禍により営業収益が極度に悪化したことが要因と考えられますが、民間企業は利益の得られない事業を続けることができないことが、あらためて浮き彫りとなりました。しかし事業管理者は、「管理の受委託を行ったほうが経費の上で財政効果があった。包括外部監査でも、直営より委託の方がメリットありとの指摘がある」と強弁し、管理の受委託を続ける姿勢に終始しています。この間、運転手不足が社会問題化し整備士不足も顕在化しています。財政効率だけを追求することは、事業そのものを破綻させることになります。市民の命を預かる交通事業の管理の受委託を見直し、直営に戻すべきす。
 京都市行財政改革計画に基づく市民の足を守る交通事業の後退の方向は重大です。今議会で京都市バスの路線・ダイヤの在り方に関する検討委員会の設置にかかわり提案されていますが、「効率的な運行を検討する。現行路線については可能な限り維持したい」などと、循環バスの運行や、路線・ダイヤの充実を求める市民要求に背を向けていることは問題があります。

 次に地下鉄事業について述べます。決算年度においては北大路駅への可動式ホーム柵設置に向けた設計着手など、安全対策がすすめられており認定いたします。しかしながら、先にも述べた「経営ビジョン検討委員会」では、市バスと同様に運賃値上げの議論先行により、「日本一高い地下鉄運賃を、さらに値上げるのか」と市民から不安の声が寄せられています。今後、財政健全化法に基づく財政健全化計画を作成するとのことですが、京都市地下鉄を利用する市民の生活感覚から、これ以上の運賃値上げは回避しなければならないことを国に意見し、市民負担を回避する方策をとるべきです。
 また、コロナ禍による減収分を国に求める姿勢を貫くべきです。いずれの公営事業もコロナ禍の影響を受けて事業収入が大幅に減少することは必至でありますが、各事業者がパンデミック下で感染症対策に注力することは当然のことでありますから、減収補填は国の責任で行われなければなりません。京都市として国への要望を行っていると繰り返し答弁されましたが、公営企業の独立採算制の矛盾は明らかであり、法改正を含め国に責任を果たさせること、全国の公営企業と連携し減収補填を勝ち取ることが必要です。同時に、京都市の努力として、コロナ禍の影響を受けている公営企業に対する一般会計からの繰り出し額を増額することは必須です、連結決算の視点と言うのなら、市民生活の土台を支えている公営企業を維持し、市民への負担増を回避するための支援を強化すべきです。国に財源措置を求めながら「一般会計に頼らない」とする論拠は矛盾していることを指摘し、私の討論といたします。ご清聴、ありがとうございました。


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