日本共産党市会議員団は、後期高齢者医療保険の窓口負担の2割導入の中止・撤回を求める意見書(案)に賛成の立場を表明しておりますので、その理由を述べ、討論致します。
菅内閣は、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から2割へ倍増させる法案を今通常国会に提出し、2022年度中に実施しようとしています。2割負担の対象となるのは、年収200万円以上の単身世帯、夫婦ともに75歳以上で年収320万円以上の世帯で、全国で約370万人。京都府後期高齢者医療広域連合の資料によると京都市では少なくとも約4万人が対象と見込まれます。負担増を抑える「配慮措置」を3年間設けるとのことですが1人当たりの平均負担増を年間8000円抑えるもので、今よりも負担が増えることに変わりはありません。
また、「若い世代の負担上昇を抑える」ためと強調されていますが、現役世代の負担する後期高齢者支援金の減少は事業主負担を除けば1人あたり年間約350円、月額わずか30円程度の減額にしかすぎません。一番減るのは、後期高齢者医療にかかる公費980億円です。結局、高齢者の負担は倍増し、現役世代の負担軽減にもならず、国の支出は大幅に削減されるというのが実態です。
いま、高齢者世帯の約7割が公的年金のみで生活されており、唯一の収入源である公的年金は毎年減らされ、8年で6.4%もの減額となっています。高齢者世帯の生活保護利用の割合が年々増加するなど高齢者のくらしは厳しさが増しています。「もうこれ以上削る所がない」と悲鳴が上がっています。しかも、高齢者の年収に占める医療費窓口負担の割合は、85歳以上は60歳代前半の2倍、30~40歳代の5倍にも上ります。現行の医療費窓口1割負担の下でも、窓口負担が心配で病院へ行けず、その結果、重篤な病気になったり、受診した時には手遅れだという例が後を絶ちません。新型コロナウイルス感染症拡大の下、病院に行くのを我慢し、亡くなられた方もおられます。
窓口負担が2割負担となれば、高齢者の受診控えに追い打ちをかけ、さらに重症化を招くことになりかねないと医師会をはじめ医療関係者からも危惧の声が上がっています。高齢者の生活と健康に対する不安が高まっているこの時期に医療費負担を増やすなど絶対に認めることはできません。国庫負担を増やし、高齢者の医療費負担を減らすことこそ求められています。窓口2割負担は中止すべきです。
今市会には、団体や個人から「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止を求める意見書を国に提出することを願う」133件の請願が出されています。この市民の願いに市会として応えるべきではないでしょうか。何よりも高齢者のいのちと健康を守るために、わが党提案の後期高齢者医療保険の窓口負担の2割導入の中止・撤回を求める意見書(案)に、同僚議員の皆様の賛同を求めまして、私の討論といたします。