基本計画の策定についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

基本計画の策定についての討論

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閉会本会議 動議・討論
加藤 あい議員
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 日本共産党市会議員団は、議第53号京都市基本計画の策定、及び、修正案に反対の態度を表明していますので、私は、議員団を代表して、その趣旨を申し上げます。
 
 本計画は、基本構想に基づくものでありますが、1期2期と異なり、実施計画を示さず、行財政改革計画に重点をすえるとされました。当局はその理由を、「コロナをはじめ、昨今の予測困難な社会経済情勢に・・機動的に対応」と説明していますが、コロナへの対応というのであれば、コロナ禍から市民の命とくらしを守ることを第一の目標とすべきであります。
 今後、5年間本市が向き合うべきは、市民の命と暮らしではありませんか。その点で、抜本的方向転換が求められており、部分修正では不足があります。

 以下、本基本計画案についての問題点を申し述べます。
 まず、第一に、憲法と地方自治法に基づく地方自治体の役割である「住民の福祉の増進」を果たすことが求められているにも関わらず、共に汗する「共汗型計画」を継承し、菅政権と同様に、市民、国民に「自助」を押し付けている点です。
 市長は、「社会的な課題の解決を税金で公務員、行政がやらなければならないという時代は終わっている」との考えを改めていませんが、重大であります。これまでから、自助・共助・公助と役割分担論に立ち、公助を弱めてきたことの結果が、コロナの元での公共サービスの機能不全を招いたことは明らかです。
 「都市経営」を掲げ、公務員削減・民間委託の方針をとってきたことを反省こそすれ、同じ道を行くなど認められません。これまでの、職員削減・民間委託推進を改め、感染症や災害が多発する時代に対応できる公的機能の再建強化を図ることを求めます。
 
 第二は、「財政構造改革」の視点を前提に、福祉をはじめとする住民サービス削減の一方で、大型公共事業や開発を折り込んでいることです。
 市長、どうして、市民の暮らしにねざし、福祉に手あつい「持続可能な市政」を描かないのですか。
基本計画の名による「惨事便乗」福祉削減はやめるべきです。人口減少社会にあって福祉や子育て支援こそ充実すべきです。そして、気候危機を回避することが最優先である社会において過大なインフラ整備は社会の要請にも反するものであります。その益の多くを市外事業者にもたらす大型公共事業の問題点は審議でも述べたとおりです。原発をなくし・地球温暖化を防止すること、過大なインフラ整備・大規模開発をやめ、地元の事業者を徹底して応援して豊かな福祉・子育て支援を実現することが京都市のあるべき姿ではありませんか。
 そもそも、財政危機を引き起こした要因は、平成初期の大規模投資と地下鉄東西線延伸による市債の発行が大きな負担となっていることは、市当局自らが認めているではありませんか。その反省もなく、大型事業を計画に折り込むなど、全く整合性がありません。

 第三は、SDGs・誰一人取り残さない社会を目指すと言いながら、貧困と格差の是正に向き合う計画となっていない点です。
 そもそも、地域が暮らしの悲鳴であふれ、地域経済が壊滅的な影響を受けているときに、「京都の都市格の向上に資する様々な成果があがっている」との認識は、住民の実態とあまりに乖離があると言わなければなりません。市長の福祉削減はこの点でも重大です。
 市長、貧困と格差の是正のため、所得の再分配と社会サービスを拡充し、労働と生活の保障に重きを置く必要があります。
 今、世界では、世界的富豪が各国首脳に課税強化を訴える書簡を公表したことにより、富裕層や大企業への増税が議論となり、イギリスやアメリカで大企業への増税が決まりました。本市でも、税などの機能を使い「所得の再分配機能」を強めることを求めます。
 コロナ禍でむしろ資産を増やした富裕層や、グローバル化した大企業を優遇し、貧困と格差を生み出し拡大し続ける経済を継続するのではなく、別の道を進むべきです。

 第四は、ジェンダー平等実現の視点が極めて弱いという問題です。ジェンダーとは性別という「社会的なしくみ」を指しています。日本では、国民の半数は女性であるのに、意思決定機関に女性があまりにも少ないことは周知のとおりです。LGBT等の方々など、多様な性が実態であるのに、社会の仕組みがその多様性を阻んでいることも大問題です。問題の焦点は人々の側にあるのではなく、しくみを変えていくことにあります。グローバル企業ではジェンダー平等への配慮はもはやビジネスの常識であり、本市の基本計画に、その言葉すら書かれていないというのは、あまりに遅れていると言わなければなりません。国連事務総長は国際女性デーよせてメッセージを発表しました。「ジェンダー平等は、全ての人にとって利益となるよう、権力を定義し直し、変革するための手段です。今こそ、女性を変えようとすることをやめ、女性の潜在能力の発揮を妨げている制度と権力不均衡の変革に取りかかるべきなのです」。本計画にもジェンダー平等を位置づけることを求めます。

 私たちは、コロナ禍によって、これまでの、社会の在り方を、大本から見直す必要性に迫られています。
 本市の基本計画にも、そのことは同様に問われています。コロナ禍から市民の命とくらしを守ることを第一の目標とし、感染症や災害が多発する時代に対応できる公的機能を再建強化すること、市民の暮らしにねざし福祉に手あつい「持続可能な市政」を描くこと、貧困格差を是正し所得の再分配と社会サービスの拡充すること、人間の全面的な発達が保障されるジェンダー平等社会を実現することを重ねて求めて、討論とします。

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