議第81号京都市市税条例の一部改正についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

議第81号京都市市税条例の一部改正についての討論

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本会議 討論
加藤 あい議員
 日本共産党京都市会議員団は、議第81号 京都市市税条例の一部を改正する条例の制定について、わが党提案の独自減免を継続する修正案に賛成し、京都党と日本(にっぽん)維新の会市会議員団提案の修正案及び原案に反対をしていますので、私は、党議員団を代表して討論を行います。
 本条例案の、市民税の法人税割の超過課税の適用期限の延長、フリーランス等の事業所得者などの減税に伴う対応、寡婦及びひとり親を人的非課税措置の対象とすることについては、必要であります。しかし、市民税の独自減免を廃止する提案については、あまりに課題が大きく、認めるわけにはいきません。 
 京都党と日本(にっぽん)維新の会の修正案については、所得割失格者減免の廃止を削除するという点については賛同できます。しかしながら、減免廃止とされた、少額所得者減免対象者は6980人、給与所得者であれば100万円から105万円の年収、年金収入であれば155万円から160万円の低い所得の方であります。その方々に最大で4300円の負担を求めることは、すべきでないことから、党議員団は反対します。

 以下、市民税独自減免廃止に反対する理由を述べます。
 市民税独自減免廃止に反対する第一の理由は、今回の提案が格差と貧困をなくすという地方自治体の役割に全く逆行するからです。
 今、コロナ禍で、たくさんの事業者から年を越せるだろうかとの声が寄せられています。経済困難・解雇も拡がり、自殺者も急増しています。その住民に、地方自治体がすべきは増税と福祉サービス削減なのでしょうか。そうではありません。いま、市政に求められていることは、間違いなく、貧困をなくし、格差を是正することです。今までも、ずっと、自治体に求められてきましたが、その役割は、今大変重要になっています。
 減免廃止がどのような事態を招くのかは、先ほど、修正案の提案で、井坂議員が述べた通りです。年収200万円以下の方に医療費や介護施設の利用料の負担を最大で40万円も増やすなどというようなことを認めるわけにはいきません。当局が影響を明らかにしない元でも、この短期間に、当事者の方から切実な声が寄せられました。今回のようなことを実行すれば、病院に行けない、困窮するとの声であります。高額療養費の上限などは国民健康保険、後期高齢者医療制度への影響が挙げられていますが、協会けんぽなど被用者保険についても同様の影響が想定されることも分かりました。減免廃止の中止を求める市民のみなさん方からの署名は、この短期間で1000筆を超えて寄せられています。市長は、こうした市民の切実な声を聞くべきではありませんか。
 当局は、独自減免制度は「他都市にない特異な制度」、廃止によって「税の負担の公平性という国の考え方に合わせる」としていますが、これは、取るに足らない主張であると言わなければなりません。なぜなら、地方自治体が国の考えの通りに全てをあわせるという立場に立てば、自治体の独自性は失われ、その存在意義自体を問われることになるからです。独自施策というなら、子どもの医療費支給制度も、35人学級もとても重要な制度であることは論を待ちません。京都市が、地方自治の立場から、住民の福祉と命を守るために、豊かな福祉を実現し、暮らしを応援していくことこそ求められています。

 反対する第二の理由は、今回の提案と当局の審議への対応が、二元代表制のもと地方公共団体の団体意思の決定を担っている議会を、すなわち、市民を、あまりにも軽視しているからです。
 前回9月市会でこの議案は京都市会では実に33年ぶりに継続審査になりました。その理由は福祉施策への影響がはっきりしなかったためです。ですから、当局が行うべきは、福祉影響を市会に示すことでありました。しかし、2回目の委員会で示された福祉施策への影響に関する資料は、その前の委員会に示された資料と1ミリも変化がありませんでした。そして、とうとう、当局が市会に具体的影響を示されることはありませんでした。議決がないと税データの受け渡しが違法になるので福祉影響や経過措置が示せないと言い出したのであります。その点に関わる疑義は、先ほど山田議員が動議で述べた通りです。
 そして、党議員団が請求していたモデルケースの資料が提出されたのは、総務消防委員会の審査も、教育福祉委員会の審査も終了した後、結了委員会間近の11月20日でありました。その資料では、夫が要介護4・特別養護老人ホームに入所、妻が要介護2・在宅サービスを利用しているケースでは負担月額が、8万3400円から13万4315円に、月に5万円もの負担増になるとの深刻な実態が明らかになりました。しかし、このような具体的な影響が審議の場に示されることはありませんでした。今回の市当局の対応は、あまりに、不誠実であります。「必要な方に必要なサービスが提供されるようにする」などという、財源も対象も何の保障もない中で、結局、市会は、白紙委任を迫られたことになります。このようなことを容認すれば、どのような議案でも、「まずは、議決を」との首長の横暴を許すことになるのではないでしょうか。

 今回の提案は、市当局がどうごまかそうとも所得に低い方に負担を求め、福祉を後退させるものであり、明らかに、持続可能な行財政改革の先取りです。そして、菅政権がすすめる自助の押し付けそのものです。市長がすすめる行財政改革の本質を白日の下にさらしたのであります。福祉切り捨て・市民置き去りの行財政改革は中止し、市民税減免を継続することを強く強く求めて、討論といたします。

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