京都府後期高齢者医療広域連合議会 令和2年第2回定例会 井上けんじ議員 請願趣旨説明 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

京都府後期高齢者医療広域連合議会 令和2年第2回定例会 井上けんじ議員 請願趣旨説明

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8月 後期高齢者医療広域連合議会
井上けんじ議員
○ (井上けんじ君)  京都市議会選出の井上けんじでございます。
 今議会に寄せられております請願について、本来なら申請があれば請願者御自身から趣旨説明していただくようになればいいと思いますけれども、現行のルールではそうなっていないようなので、これは今後の宿題とした上で、今回は紹介議員の立場からその趣旨と理由を一括して説明させていただきます。
 まず、請願第1号は、保険料の引下げと軽減措置・減免制度の拡充を求めるものであります。
 御承知のとおり、今春、保険料が大幅に引き上げられました。一般的に税金や保険料が上がるのは所得が増える場合であって、所得が増えれば増える、減れば減るというのが大原則であります。消費税増税や介護保険の傾向的な負担増など、可処分所得は減っています。
 先日、私が広域連合に請求し取り寄せました所得階層別被保険者数の資料によりますと、所得割基礎額ゼロの方が61%、100万円までの方がこの61%を合わせて81%、さらに被保険者の実に94%が200万円以下という現状であります。つまりもともと所得が低い上に支出が増え、実質的な所得がさらに低下をしておると、こういう現状の中での保険料値上げですから、道理にも合わないし、また現実に生活が苦しくなるのも当たり前であります。
 要するにかろうじて所得割があるとはいえ、これも一定税率ですけれども、全体としての保険料算定の根拠は、所得の増減、支払い能力とは全然何の関係もない給付費からの逆算であって、給付費については被保険者には何の責任もありません。高齢になれば誰でも健康へのリスクが増えるのは当然であり、だからこそお金の心配抜きに医療が受けられるように社会が公的に命と健康を守る役割を果たすべきなのであります。
 後で述べます一部負担金引上げの動きも含め、むしろこのような負担増自体がその支払い能力を奪い、医療へのアクセスの権利を後退させています。命と健康、暮らしを守るべき医療保険、社会保険自体が支出を増やし、実質的所得低下をもたらし、逆に暮らしを脅かしておるのが現実ではありませんか。
 請願者が取り組まれた地域アンケート調査でも、特に高齢者の生活実態が浮き彫りになっています。これについては、既に資料が添付されておりますから紹介は省略をさせていただきます。
 さて、保険料軽減特例についてですが、例えば9減から7減、3割への負担増を決めたときには、激変緩和で当面8減、2割負担にしますから大幅値上げではありませんよと、こう言ってなだめる。一方で、いよいよ3割負担にするときには、これはもう既決事項で決まってしまっておるんですよと言って居直ると、いずれもその時々の批判の声をかわしながら負担増を繰り返すというのは、考えによっては誠に巧妙なやり方であります。低所得の現実自体が改善されてきたわけでも何でもありません。
 また、職域保険の被扶養家族であった高齢者の保険料は、後期高齢保険の発足に伴って新たに負担が生じたわけでありますから、本来免除が当然であります。その上で影響を極力避けよう、小さくしようというのが特例の趣旨のはずでありますから、これは後期高齢制度の廃止以外にこれを見直す理由はありません。軽減割合の後退は道理にも合わないし、また何よりも生活そのものを脅かしています。
 さらにこういった現状の中での今般のコロナ被害でありますから、言ってみれば激甚災害とも言える今回の事態に際し、もっと抜本的な保険料軽減策が講じられるべきであります。減収3割が要件ですが、例えば2割9分減少の人は対象にしないということではなくて、収入滅の割合に応じて保険料減額割合も連動させる仕組みにすればいいだけだというふうに私は思います。
 次に、請願第2号は、傷病手当金の二重の意味での、すなわち対象被保険者の範囲及び傷病の種類について、それぞれ対象拡大に関する請願であります。
 各市町村における国保や本広域連合において、傷病手当金が制度化されたことは実に画期的なことでありまして、連合長におかれましては、心から敬意を表するところであります。しかし、働いて収入を得ておられる被保険者は被用者に限ったことではなく、私が事前に頂いた資料では、働いておられる被保険者のうち、給与所得者と事業所得者はほぼ同数となっています。傷病で仕事に就くことができず、したがって、収入を得られないというこの手当の一般的な定義からすれば何ら限定する理由はなく、日額賃金に相当する金額計算も、被用者に比べればちょっと計算が面倒だなという程度の話であります。
 また、コロナ感染以外にも、一般的な傷病で休業を余儀なくされる例は今後ともあり得るでしょう。せっかくの画期的な制度でありますから、コロナが収束すればこの制度も終わりということではなくて、ぜひ要件を緩和して発展させるようにすべきだと考えます。
 最後に、請願第3号は、その1、保険料軽減とともに、その2、政府の一部負担金2割への値上げ方針の撤回を求めるべきこと及びその3、コロナ危機から高齢者の命と健康を守る施策の充実を求めるとなっております。請願者の方とその知人の方とから私がお預かりしておる手紙を抜粋して、その要旨を紹介させていただきます。
 高い保険料と加齢による体調不良による窓口負担が心配だ、2割になればしんどくてもお医者さんに行けなくなります。介護保険もデイサービス週3回が希望ですが、利用料が高くて支払いができないので2回にしています。これは請願者の方のお手紙でありますが、一方で、80歳の男性からの手紙もお預かりをしております。長男は難病、妻は後遺症、私は心臓の持病があります。家族3人とも体力・免疫力が落ちて、いつ感染してもおかしくない状況に置かれています。無償でPCR検査を受けられるようにしてください。感染を防ぐためにどうすればいいのか判然としない。希望者全体に無償で検査を、この点が抜けておるのではないかと、明確な政策をぜひ示していただきたい等々とつづられています。
 保険料については先ほども触れたとおりですが、一部負担金については、もともと老人医療無料化から定額制、1割から現役のみ3割、そして今度は全員ではないにしろ、2割が準備されているという流れから見れば、ひとえに値上げの歴史でありました。保険料は高くなる、一部負担金も高くなるでは、まさに踏んだり蹴ったりであります。保険料を払っているからそもそも一部負担金の徴収は二重取りでおかしいという学者もおられ、また実際、フランスやイギリスなどでは原則窓口無料とのことであります。2割になれば受診抑制で重症化、かえって医療費が高くなる、場合によっては命にも関わるという事態が危惧され、これ以上の引上げは絶対に避けるべきであります。
 全国後期高齢者医療広域連合協議会も、今月6日付、厚生労働大臣宛ての要望書の中で、窓口負担については、必要な医療を受ける機会が確保されるよう慎重な議論をと言っておられますし、保険料の軽減特例についても、年金給付金の対象外の被保険者への国の責任における財政支援措置を求め、さらに保険料を含む財政関係全般について、高齢者だけの負担増とならないよう十分な対策をと求めておられます。安倍内閣は2割計画を撤回すべきであります。
 請願項目の最後のPCR検査の促進は、一層切実な課題であります。現在多くの府県等では、感染者が発見された場合、当然その接触者と言われる人たちを検査の対象としていますが、この接触者の範囲というか、概念というかをもっと点と線の経路から、面的な範囲に幅広く位置づけて検査の対象を拡大する必要があるのではないかと専門家の方々などからも指摘をされています。
 政府に至っては、感染拡大が危惧されるGoToトラベルキャンペーンの一方で、重症者は多くないなどと実効性のある対策が取られないままの現状であります。感染されていても無症状の方が感染源になってしまっておられる場合もあるかもしれませんし、経路不明の割合も増えております。もっと網羅的に抜本的に検査対象を広げ、またそのための体制確立が求められています。
 既に東京都の墨田区では、濃厚接触者に限定せず検査対象を拡大と、また世田谷区では、いつでもどこでも何度でもと検査対象を幅広く設けようとされています。東京都や長崎県の医師会も同様のメッセージを発信され、その立場での取組拡大に足を踏み始めておられます。全国知事会では、誰でもいつでも検査を受けることのできる体制をと、国に検査体制拡充を訴える声も出ていると、このように報道されております。
 後期高齢の被保険者の皆さんの場合、リスクも大きいわけでありますから、御希望に応じて費用負担の心配もなく検査できる仕組みと体制をつくるべきであります。また、高齢者など、入所・通所の施設の利用者、職員の皆さん対象の検査も必要ではないかと、このように考えます。被保険者の命と健康を守るため、国や京都府、各市町村に対し、感染防止拡大検査の拡充を呼びかけていくべきだと考えます。
 以上、3本の請願の各項目はいずれも誠に切実なものばかりであって、ぜひ採択していただきますように呼びかけます。先輩、同輩、各議員の皆様方の御賛同を心から訴えまして、請願書の紹介とさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。

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