公営企業会計予算案に反対する討論 玉本なるみ議員 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

公営企業会計予算案に反対する討論 玉本なるみ議員

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終了本会議 討論
玉本なるみ議員
 日本共産党京都市会議員団は公営企業各特別会計予算のうち議第16号高速鉄道事業特別会計に賛成し、議第13号水道事業特別会計、第14号公共下水道事業特別会計、及び議第15号自動車運送事業特別会計には反対を表明していますので、私は日本共産党京都市会議員団を代表し、その理由を述べ討論します。

 まず、今回の予算は交通局、上下水道局共に、消費税増税が昨年10月に10%に増税され、市民の暮らしが大変になっている上に、新型コロナウイルス感染による深刻な影響が起こっていることに鑑み、市民の暮らしを応援する立場の予算になっているかが大いに問われています。
 水道事業では、2019年度の「水に関する意識調査」で、水道料金・下水道料金について、「高い」「やや高い」と回答した方は55.7%となっており、2018年の51.3%を上回る結果となりました。この調査は、消費税増税直後の昨年10月一ケ月間の調査であり、水道料金の負担感はさらに増大しています。上下水道料金の支払いが困難な事情がある方に対しては、分割支払や支払期日を猶予する等、柔軟な対応を行うこととしている点は重要ですが、思い切った減免措置などの対応の検討も緊急に求めます。
 水道事業予算に反対する理由は、公共性、公営規制の高い水道事業の民間委託を、さらに進めているからです。すでに、水道メーター点検・営業所の水道開閉栓、水道メーター取り換え、潜在漏水調査、加圧施設運転管理、未納集金、汚泥処理施設運転管理、鳥羽と石田の水環境保全センター運転管理、下水道施設巡視点検などを委託しており、さらに、「業務委託化の今後の計画」では、「浄水場の運転管理(松ヶ崎)」「水環境保全センター運転管理(伏見区)」「下水道管路管理センター管路維持管理(西部)」の民間委託が計画されています。また、この委託化に伴い、大幅な職員削減を行うとしていることも重ねて問題です。来年度は、上水道で43名、下水道で20名、合わせて63名も削減するとしています。
 さらに、災害時の対応も委託契約に入っているため、第一義的には事業者が遂行するとなっていますが、当局資料には、具体的な体制や対応の中身は示されておらず、事業者任せになっています。さらに、事業者だけの対応では難しくなったら、周りの職員も対応するとのことですが、業務委託をしているため、水道局職員は現場で指示することはできません。災害時、緊急時に、市民のライフラインを守る現場で水道局の職員が責任を当初から負えないというのは、重大な問題と言わなければなりません。
 現在は、民営化やコンセッション方式の導入はせず、「根幹業務は直営」で行うことは断言されているわけですが、災害への対応は水道事業の根幹に関わる問題であり、民間事業者に任せることは許せません。業務の委託化から、コンセッション方式に移行した自治体もあります。技術の継承や緊急時の対応に責任をもつためにも、民間委託の拡大は行うべきではありません。

 市バス事業については、「人と公共交通の歩くまち京都の理念」を掲げているとしつつも、市民が生活するうえで重要な移動の権利を、公共交通として保障する点での認識が薄いと言わざるを得ません。交通不便地域への対策については、当然、都市計画局の役割は重要ですが、交通事業者としてのイニシアチブ発揮が不十分です。管理の受委託や運転手等の賃金の格差の改善もされていないなど、多くの課題が残されていることが反対する理由です。
 この間取り組んでこられた均一区間の拡大や、対象者を限定している課題はありますが、将来的には、バスバス無料乗り継ぎについての姿勢を示されていることは評価できるものです。
 北区西賀茂を走る「特37号系統の延伸」が、3月20日からのダイヤ改正より実施され、「これで引っ越ししなくてすむ」と地域から大変喜ばれています。しかし、まだまだ市内各地で、生活する上で公共交通の不便な地域に対する対応が必要です。
 モビリティーマネージメントの取組み等の地域からの運動は大事ですが、地域任せではなく、公共交通事業者の役割として、市民の生活を応援する市バス事業となるよう求めます。
 観光客の増大による混雑対策では、まともに市民への説明をしないまま、102号系統や12号系統、59号系統の路線の変更やバス停変更を強行したのは、観光客の利便性を優先し、住民生活や市民の足を脅かそうとするもので問題です。

 中高校生の通学定期についても割引をしていますが、市バスの均一区間と調整区間を含む路線の間に、阪急電鉄などの利用があると、市バスフリー定期制度のある大学生や通勤定期を利用するより、高くなることを紹介し改善を求めましたが、改善への意向は示されませんでした。きわめて残念であり、検討を求めます。
 職員の働き方としては、来年度より、「若年嘱託制度」が廃止されることは、我が党が長年求めてきたことであり、おおいに評価します。しかし、運転職員等の給与が「企業職1表」であったのが、2000年度から「5表」を採用し、同一労働・同一賃金でなくなっていることは問題です。標準で5表の職員は、1表の82%の給与となっており、1表に統一するよう求めて来ました。運転職員等の皆さんの強い要望でもあります。運転手等の確保を含め、公共交通の安全と市民の命を守る点からも改善を強く求めます。
 市バスお客様アンケートの取り組については、市民の声に耳を傾け、バス事業のさらなる発展を検討していく為に重要です。バス乗車客に利用者としてご意見を伺うのは当然ですが、市バスを利用したくても利用できない市民の声をいかにお聴きするかということが、重要です。市民新聞の活用も示されましたが、幅広い市民の声が寄せられるアンケート調査となるよう求めます。

 次に、地下鉄事業については賛成しています。長年の市民の要望であり、我が党議員団も一貫して求めてきました「地下鉄烏丸線のホーム柵設置」が具体化されました。2020年度から北大路駅、そして、2028年度までには全駅設置に向け計画も示されたこと、駅出入口への止水板設置、トイレリニューアルなど、駅施設の改善により市民からも喜びの声が寄せられており、評価できるものです。
 より市民の安全安心と利用サービスの向上として、大学生定期の割引率が政令市の中でも低い点は大学の街京都として、若者・学生さんの応援の立場で、京都市総体の取組みとして、働きかけも強め、割引率の引き上げの検討を求めます。また、長年の要望である、竹田駅から近鉄向島駅までの近鉄との乗り入れ区間も敬老乗車証を使用できるよう、近鉄との協議を強め、市民の切実な声に一刻も早く応えるように求めます。
 最後に、交通局、上下水道局共に予算特別委員会の議論で、地方公営企業法第3条に関わって、公営企業の「本来の目的」が「公共の福祉の増進」であることを、あらためて当局答弁でも確認しました。この立場から、何より公共交通と上下水道の事業を通じて、住民の移動の権利を保障し、命の水を安価で安定供給することへの責任を果たしていただくよう申し上げ討論とします。ありがとうございました。

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