京都府後期高齢者医療広域連合議会 令和2年第1回定例会 井上けんじ議員の質疑 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

京都府後期高齢者医療広域連合議会 令和2年第1回定例会 井上けんじ議員の質疑

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2月 後期高齢者医療広域連合議会
井上けんじ議員
〇(井上けんじ君)  京都市議会から選出されております井上けんじでございます。
 私は、提案されておる第4号議案について、特に来年度からの2年間の保険料改定、すなわち引上げ案について、及び関連して保険料の使い道や国において検討されている一部負担金引上げの動きへの評価等も含め、連合長の見解をお聞きしたいと思います。
 まず第1に、来年度、再来年度の保険料の引上げが提案されておりますが、制度発足以来、保険料は一貫して引き上げられ続け、被保険者の負担はもはや限界であります。既に最低生活費に食い込むほどにも至っています。広域連合自身の資料によりましても、被保険者1人当たりの所得はわずか約52万円、均等割でその1割にも及んでいます。高齢者の生活実態からすれば、これ以上の値上げはすべきでないと考えますが、まず、保険料が高いとの認識を持ちなのかどうか、また、今回の提案に際し、これを避けるため、他の方法について何らかの議論や検討がどのようにされたのか、その経過についても明らかにされたいと思います。
 第2に、諸軽減措置がとられておるのは承知しておりますが、それとて、近年、軽減措置見直しの名のもとに軽減率が引き下げられている。そこで、そもそも保険給付費をベースにして、保険料必要額を逆算する計算方法自体が問題であると私は考えます。支払能力から出発して保険料を集めた後に不足分を公費で賄う方式に変更すべきであると考えますけれども、現行制度は制度として現存しておることは実務的には前提とした上ででありますけれども、この計算方法のあり方についての認識はどうか、どのようにお考えなのか、御見解をお聞きしたいと思います。
 第3に、現行方式を前提とするとしても、保険料軽減に向けての対京都府、対政府へのアクションをもっと強化すべきではありませんか。既に全国後期高齢者医療広域連合協議会が国の保険料負担増大の傾向に対し、財政安定化基金の活用や軽減特例見直しについてなど、負担増の抑制策を求める要望書を昨年も6月に厚生労働大臣宛て提出されておられます。これはもちろん本府広域連合もその一員でありますから、御承知のとおりであります。この要望の実現に向け、またさらに、抜本的な保険料負担軽減に向け、同協議会にも引き続き呼びかけ、働きかけ、提案するなど、本府広域連合の一層の努力を求めるものであります。
 全国知事会でも既に国民健康保険料が高過ぎるとの認識のもと、その軽減を目指す対政府要望にも取り組んでおられることも周知のとおりであります。参考にもし、また、情報交換など連携も図っていかれてはいかがでしょうか。
 第4に、保険料の使い道についてであります。
 私は、保険料は保険給付のために充てられるべきであって、保健事業費は各自治体、住民の健康増進、保健予防、公衆衛生等、自治体または国の一般財源から賄われるべきだと考えています。後期高齢者医療保険制度は、もともと機械的に年齢のみをもって他の国民から切り離して創設されたもので、その意図は、高齢者の命と健康を守る課題よりも、専ら財政の節約がその本質的な動機となっています。もちろんこの制度自体は既に運営されてきているわけですが、それはあくまでも医療保険の範囲の話であって、保健事業までをも年齢だけで区別する根拠はどこにもありません。広く国民全般を対象とした保健予防、公衆衛生活動を一般財源を原資として取り組むべきだと思っています。
 そもそも健診等の事業を各保険者に義務づけること自体が、国や自治体の国民、住民の命と健康を守る、予防するなど一般行政の役割を放棄して、各保険者にその役割を押しつけるものにほかなりません。
 そこで、予算書だけを見ても、保険料が純粋の保険給付だけに充てられているのか、保健事業費の一部にも充てられているのか、私の理解では特別会計全体の総計予算主義の原則からいって、全ての歳入から全ての歳出がそれぞれ賄われておるとの原則からいえば、保険料の一部が保健事業費の一部にも回っているという可能性はあり得るわけで、お金に色はついていませんから、このお金の流れを否定する根拠はないと私は思いますが、いかがなんでしょうか。
 そこでまず、1つには、この私の理解について、実際どうなっているのかの説明、2つ目には、あわせて私の理解どおりなら、たとえわずかな額かもしれないとはいえ、保険料が高くなる要因の一つとなっているのではないか、この点についても明らかにされたい。さらに3つ目に、全体として保健予防事業は住民全般に対して国や自治体の一般財源で賄うべきだとの私の考え方について、御見解を求めたいと思います。それぞれ御答弁をよろしくお願いいたします。
 第5に、国は全世代型社会保障検討会議などと称して、文字どおり全世代への負担増を計画しています。後期高齢者医療の一部負担金についても、現行1割負担の被保険者の一部なのか多数なのか、いずれにせよ2割負担に引き上げるとの方針を明らかにしています。受診抑制と重症化、かえって医療費の高騰につながるとの指摘もあり、何よりも高齢者の健康と生活へのじゅうりんであることは言うまでもありません。先ほど触れました全国後期高齢者医療広域連合協議会の要望書は保険料軽減のみならず、この一部負担金の2割への引き上げ方針についても現状維持を基本とすべきだと、このように掲げておられます。敬意を表するところでありますが、本府広域連合におきましても、その一員として、またその先頭にも立っていただきまして、現状維持との要望実現に引き続き御尽力願いたいと思います。この点については、連合長の認識がどうか、また、対政府要望書提出の協議会としての議論の経過及び今後の決意の3点について御答弁を求めたいと思います。
 最後に、安倍内閣は、専ら医療費公費負担削減の立場から、保険料や一部負担金引上げだけでなく、医療提供体制の縮小をも一貫して追求しています。医療機関の再編や紹介状なしの大病院受診の際の徴収金制度の対象病院の拡大等の方針、さらに病床についても総量削減が進まないことにいら立っておられるのかどうか、昨年9月、削減計画の具体化を求めると全国424病院を名指ししました。京都府内4病院も含まれていることは既に周知のとおりであります。
 そもそも社会保障としての社会保険であり、医療保険でありますから、保険料や一部負担金は方向として軽減が目指されるべきであると私は考えます。全ての国民に対して、まして体力や抵抗力が低下していく高齢者はもちろん、健康増進と医療を保障していくこと、そのためにも医療提供体制を十分に整えることなどが公の役割と責任ではないかと考えるものであります。
 国内総生産に占める社会保障費の割合は先進国の中でも我が国は各段に低いのが現状であります。社会保障の改善・充実を求めて活動されておられる団体が取り組まれた後期高齢者暮らしのアンケートでは、府内各地からの集計で「暮らし向きが苦しくなった」が53%、医療・介護の保険料の負担について、「重くて大変」59%、医療機関に通院しているとお答えになられた89%の方々のうち、窓口や薬代の負担を重いと感じておられる方が45%、「経済的な理由で通院をやめたことがあるかどうか」との問いには9%の方が「ある」と回答されておられます。地方公共団体の組合とはいえ、地方公共団体、地方自治体であることには全く変わりはありませんから、実務処理にとどまることなく、住民の福祉の増進を図ることを基本として、特に高齢者の命と健康を守るために、一層の広域連合の御尽力を求めまして、質問といたします。どうもありがとうございました。
〇議長(下村あきら君)  渡辺副広域連合長。
〇副広域連合長(渡辺 隆君)  井上議員の御質問にお答えいたします。
 今回の保険料改定についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、保険料率については年々増加している傾向にございます。これは主に高齢者の数の増加、医療の高度化、疾病の慢性化・複合化等に伴います医療給付費の増加の影響によるものというふうに考えておるところでございます。
 一方で、本制度の持続可能性を維持するためには、保険料を含めた安定的な財源確保が必要となってまいります。私どもといたしましては、社会経済情勢が厳しくなる中で、今回の保険料の改定は決して低いものではございませんけれども、被保険者の皆様に御理解と御負担をお願いせざるを得ないものと考えておるところでございます。
 また、保険料につきましては、低所得の方に対しましては軽減措置が講じられておりまして、均等割の軽減措置の対象となる方は、先ほど向出議員の御質問にもお答えしましたけれども、全被保険者の64%を占めているというところでございます。例えば、均等割7割軽減の方で単身の方で申し上げますと、今回の保険料改定による影響は1,500円余りというところでございます。しかしながら、今年度の保険料と比較しますと、8割軽減から7割軽減への軽減特例の見直しの影響が反映されますので、合わせて年額6,300円程度、月額で500円程度の増額となるというところでございます。
 また、議員の御質問にございました、私どもの資料に記載しております「1人当たりの所得52万円」についてでございますけれども、これは所得割率の算出のための控除を行った後の額でございまして、例えば年金収入の方でございますと、公的年金控除、それから基礎控除を控除しておりますので、それらの控除額が約153万円ほどございますので、合わせますと200万円程度になるというところでございます。
 次に、京都府、国への要望についてでございますけれども、先ほどこれも向出議員にお答えしましたとおりでございますけれども、京都府に対しましては昨年11月に財政支援の拡充を要望させていただき、今回、抑制策といたしまして、安定化基金から限度額一杯となる8億600万円の交付を受ける予定でございます。また、国に対しても、全国47都道府県の広域連合が共同で要望を行っておりまして、引き続き被保険者の負担軽減に向けて要望を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
 それから保健事業に要する費用についてでございます。今回の改定保険料試算におきましても、健康診査や歯科健診、人間ドックへの費用助成としまして、各市町村への受診者見込数の照会をもとに算出した事業費として、2か年で約19億円、うち国庫補助等での収入約10億円を除きます約9億円を、2か年でございますけれども、保険料で充当するということで見込んでおるところでございます。
 このような費用につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律におきまして、保険料で充当するということが認められておりまして、健康診査や歯科健診などのように、府内市町村におきまして一定の定着がなされ、その効果が認められる事業につきましては、他に財源となるものがございませんし、やむを得ず保険料において負担をしているというところでございます。一方で、来年度から新たに実施いたします介護予防等との一体的実施に係ります保健事業につきましては、国の交付金により財源が確保できますことから、保険料からの負担がないように実施していくことにしているところでございます。
 今後も、保健事業につきましては効果的な実施を図りますとともに、活用できる財源をできる限り確保するよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、自己負担額についてでございますけれども、議員御紹介にございましたように、昨年12月に出されました国の全世代型社会保障検討会議の中間報告に記述されてございます。具体的な施行時期、内容等については今後検討が進められるというふうに聞き及んでいるところでございます。
 私ども広域連合といたしましては、これまでも全国の広域連合とともに、窓口負担割合の維持については国に要望を行ってきたところでもございますし、今後も引き続き要望していくこととしているところでございます。
 最後に、保険料率の算定方法、それから、さらなる公費投入による保険料軽減についてでございます。
 費用負担の考え方、これについてはさまざまな御意見があるというのは承知しておりますけれども、高齢者の方が増加する中で、制度の持続可能性を考えると、財源をどうするのかという点を抜きには考えられない問題だろうというふうに考えてございます。いずれにせよ、先ほど申し上げました国の全世代型社会保障検討会議ですとか社会保障審議会におきまして、自己負担割合の問題もあわせ、国家的課題として検討されるものであるというふうに考えてございます。
 本広域連合としましては、今後も後期高齢者医療制度を推進する中で、財政的な支援の活用ですとか見直しを図る中での効率的な推進を図り、引き続き持続可能な制度運用に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
〇議長(下村あきら君)  井上けんじ議員。
〇(井上けんじ君)  御答弁どうもありがとうございました。
 私は、議論をするに当たって、現行制度を前提とした上で、あるいはよく巷間言われておる認識を前提とした上での議論ではなくて、より根本的なといいますか、深い立場からの議論が要るんではないかと、こんなふうに思います。例えば軽減の特例の問題については8割、9割の話があるわけですけれども、もともと制度発足の前は社会保険の被扶養者であった高齢者の方は何歳になろうと保険料抜きで家族の社会保険の中に含まれておったと、こういう事実があるわけですから、そういうことを忘れるわけにはいかないと。
 あるいは、被保険者の人数と1人当たり医療費が増えておると、こんなふうにもおっしゃっておられますが、じゃあ、被保険者が増えたことによる医療費の増加と、被保険者が増えたことによる保険料収入の増加がどれぐらいの割合なり比較になっているのか、こういう分析も要るかと思いますし、医療費の高騰についても、例えば薬価の独占価格の問題であるとか、そういうことも併せて議論していく必要があるんではなかろうかと、こんなふうにも思います。
 国も、私の所属する京都市でもそうなんですが、口を開けば財政危機だとの話ばかりが飛び交うわけですけれども、資本金10億円以上の大手の企業の内部留保金は460兆円を超えていると、こんなふうにも言われておりますし、大手の企業の租税特別措置についてもいろいろ議論のあるところだろうかと思います。先ほど一端、第1質問で国民総生産に占める社会保障費の割合がまだまだ先進国に比べて我が国では低いということを紹介させていただきましたけれども、私はより幅広い立場からのいろんな議論が要るんではなかろうかと、こんなふうに改めて思ってるところです。医療や福祉や、こういう分野の議論をすると財政危機だとかお金がないとかという話が出てくるわけですけれども、じゃあ、リニア新幹線を掘ろうかと、穴掘ろうかと言ったときに、お金がないなんて話は全く出てこないわけですから、そういう点でももっとトータルな幅広い角度、立場からの議論が私は要るんではないかと、こんなことを改めて思います。その中でいろいろ御努力されておられることについては私もよくわかります。その上での質問ですので、御理解いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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