「市民生活と住環境を最重要視した観光政策を求める決議(案)」への賛成討論 やまね智史議員 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

「市民生活と住環境を最重要視した観光政策を求める決議(案)」への賛成討論 やまね智史議員

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終了本会議 討論
やまね智史議員
2019年12月13日本会議にて、「市民生活と住環境を最重要視した観光政策を求める決議(案)」への賛成討論を行いました。内容は以下の通りです。

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日本共産党京都市会議員団は、「市民生活と住環境を最重要視した観光政策を求める決議(案)」を提案していますので、私は議員団を代表して賛成討論を行います。

 京都市は11月20日の市長記者会見で「『市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市』の実現に向けた基本指針と具体的方策について(中間とりまとめ)」を発表しました。これは、観光客と宿泊施設の誘致を一貫して追求してきた京都市自身が、市内各地で「オーバーツーリズム」「観光公害」とも言われる実態が広がるもとで、市民の強い批判の前に、「市民の安心・安全、地域文化の継承を重要視しない宿泊施設はお断り」と言わざるをえなくなったものです。
 ところが、その内容は、宿泊施設の立地規制や観光バスの流入規制等、具体的規制には一切踏み込まず、極めて不十分な内容であるばかりか、観光客が増え続けることを前提にさらに受け入れるための施策となっています。

 最大の問題は、今に至っても京都市が、観光客と宿泊施設の量が住民とまちの受け入れられる限界を超えているという認識を持っておらず、国の「観光立国戦略」を前提にした「宿泊施設拡充・誘致方針」を撤回していないということです。
 京都市では、門川市長が就任した2008年以後、ホテルが約3倍に、簡易宿所が約14倍に激増し、他都市と比べても異常な「住環境悪化」「地域コミュニティの破壊」「地価高騰による子育て世代の流出」などの事態がつくりだされてきました。
 「拡充・誘致方針」は、まさに宿泊施設が激増する2016年に策定されましたが、すでにこの時、京都市内各地で、違法民泊や簡易宿所について様々な相談・苦情が寄せられていました。ところが、そのもとでさらに、国の「観光立国」戦略、「2030年に外国人観光客6000万人」という目標を前提に、増え続ける観光客に対応するため「2020年までに客室1万室新設」などの数字を掲げたのが「拡充・誘致方針」です。
 この方針以後、簡易宿所やホテル建設はさらに加速し、客室数は京都市が2020年に必要として示した1万室新設を大きく超え、2万7000室増える見込みです。「拡充・誘致方針」が、市民生活との調和や観光の質を高めるどころか、より一層の宿泊施設激増をまねき、住環境悪化を広げたことは明らかではありませんか。大転換と言うなら「宿泊施設・拡充誘致方針」を撤回すべきです。

 加えて、宿泊施設が規制されている地域にまで新たなホテル等を呼び込む「上質宿泊施設誘致制度」を引き続き推進していること、世界遺産や京都の重要景観を破壊するホテル計画にストップをかけていないことも重大です。「混雑への対応」として示されている「時期・時間・場所の分散化」は、これまで比較的静かだった季節・時間・場所にも騒音・ゴミ・混雑などのトラブルを広げる危険があり、根本的解決とはなりません。
 
 また、宿泊施設周辺の住民や旅行者の安全が軽視され続けていることも重大です。
 以前は、「環境衛生監視員」という資格を持った市職員が各区役所に配置され、全ての旅館業施設へ年に1度立ち入り調査が行われ、水質や害虫等、衛生管理の状況がチェックされていました。ところが、簡易宿所の激増、また、区役所の旅館業担当が市役所本庁へ集約されたことで、市職員による年1回の立入調査が不可能となっています。
 さらに、小規模な宿泊施設には「施設内への管理者常駐」が義務付けられていないため、火災や急病など緊急時のトラブル対応も周辺住民まかせとなる施設が住宅密集地に乱立している状況です。これでどうして市民生活との調和ができるでしょうか。これが京都らしい「おもてなし」なのでしょうか。

 今必要なのは、宿泊施設激増の要因となった「宿泊施設拡充・誘致方針」を撤回すること、そして、宿泊施設を規制している地域にも新たなホテル等を呼び込む「上質宿泊施設誘致制度」を撤回すること、市民の財産である学校跡地を民間事業者へ差し出さないこと、京都の景観を守る「新景観政策」を堅持すること、住環境を守るためのルールを明確化し、宿泊施設の総量をコントロールすることです。
 また、すでに国内外の観光都市で実施されている「住宅密集地・細街路・路地奥等で宿泊施設の立地規制」を行うこと、「周辺住民との協議や合意」「施設内への管理者常駐」を義務付けること、また、旅館業・住宅宿泊事業を担当する市職員体制を抜本的に強化し、周辺住民と事業者の協議に京都市がしっかり関わり、住民の平穏な暮らしを守る立場で事業者を厳しく指導することこそが求められています。
 京都の良さを守りたい、住環境を守りたいとの思いを持っておられるみなさんの賛同を心から呼びかけ、私の討論とさせていただきます。ありがとうございました。

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