請願「消費税増税中止の要請」についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

請願「消費税増税中止の要請」についての討論

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終了本会議討論
やまね智史議員
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 日本共産党京都市会議員団は、請願第59号~172号「消費税増税中止の要請」について不採択とすることに反対していますので、議員団を代表し討論を行います。
 安倍首相が10月15日の臨時閣議で、来年10月に消費税10%への税率引き上げを予定通り実施すると表明しました。京都市民の暮らしと京都経済にも重大な影響をもたらすものであり、到底容認できるものではありません。「貯金も年金も給料も減っている時に暮らしに直撃する消費税を増税するなど無責任極まりない政治だ」「1円でも節約しようと家計をやりくりしている国民生活の苦しさを何もわかっていない」「そもそもモリカケ問題で国民の税金を私物化してきた安倍政権に増税を語る資格があるのか」、これが多くの方の思いではないでしょうか。以下、4つの角度から、消費税増税中止を求める理由について述べます。

 第一に、いまの経済状況の下で消費税増税を強行すれば、消費不況を深刻化させ、貧困と格差を拡大し、経済全体に重大な影響をもたらすという問題です。
 これまでも、安倍政権自身が消費税10%への引き上げを2回にわたって延期せざるをえませんでした。2016年には「世界経済は大きなリスクに直面している」として増税を延期しましたが、現在の世界経済を見ても、「米中貿易戦争」といわれるようなリスクがあるなかで増税を強行することは、自らの主張とも大きく矛盾します。
 2014年4月、消費税8%への増税時には景気対策として5.5兆円も使いながら「経済の底が抜けた」と言われるほどの消費不況を招きました。それ以降、増税前の「実質家計消費支出」を上回った月はありません。増税前の2013年、2人以上世帯で平均364万円だったものが、最近1年間でも平均339万円に減ったままであり、消費税増税は家計に深刻な打撃を与え続けています。今回も景気対策として「自動車や住宅への補助や減税を行う」「カード払いで2%分還元」などと言われていますが、そもそも自動車や住宅を買えない人、高齢者や子どもでカードを持っていない人には何の軽減にもなりません。
 「軽減税率」も、食料品や新聞など一部を8%に据え置くだけで、「軽減」どころか、一世帯当たり平均約8万円もの負担増となることに違いはありません。イートイン(コンビニの店内で食べる)なら外食扱いで税率10%、持ち帰れば8%など、消費者にも事業者にも大変複雑な制度であります。
 さらに「インボイス制度」が導入されれば、最終的には免税業者からの仕入れは100%控除できなくなります。事務も複雑になるうえに、不適格な請求書を発行すれば罰則が課されます。事業者登録番号が必要となり、免税業者は税務署から番号がもらえず500万もの業者が取引から排除される可能性があります。雇用契約がない請負労働者、建設職人も同様です。あまりの問題点の多さに、日本税理士連合会、日本商工会議所もインボイス制度については反対の声をあげています。
 景気対策というなら「増税しないこと」が最も万全な対策です。

 第二に、「消費税増税は社会保障のため」との説明が全く成り立たなくなっている問題です。財務省は10月9日の財政審への「提言」で、社会保障の充実どころか、社会保障の削減・負担増路線を打ち出しました。
 医療分野では、「今年実施した70歳以上の窓口負担上限額の引き上げ」に続いて、「75歳以上の窓口負担を原則1割から2割へ引き上げ」、また、「風邪など"軽微"な症状での受診時に少額負担で済んだ患者への追加負担」「湿布や保湿剤などの医薬品患者負担の一定額までの全額自己負担」、さらには「地域の『かかりつけ医』以外を受診すれば窓口で追加負担徴収」「がん治療薬オプジーボなど高額な薬の保険適用除外」「市町村が行う国民健康保険料の負担軽減のための法定外繰り入れ廃止」などなどであります。
 介護分野では、これまでも多くの批判をあび見送られてきた「要介護1・2の人を軽度者として給付対象から外す」などです。
 子育て支援では、「来年10月から予定する幼児教育・保育の無償化対象から給食費を除く」、また、「所得制限を超える家庭への児童手当特例給付(月5000円)廃止」や、保育士の処遇改善に逆行する「国・自治体から保育所・幼稚園などに支払われる費用の抑制」などです。
 まさに負担増につぐ負担増であり、「消費税増税は社会保障のため」との説明はもはや全く成り立たないことがはっきりしています。

 第三に、それでは、これまで消費税として国民が払ったお金はどこに消えたのかという問題です。消費税の導入時も増税時も、いずれもその翌年・翌々年には法人税の引き下げが行われました。その後、この30年間で国民が払った消費税の総額は約349兆円、これに対し法人3税の減収は約280兆円です。実に消費税収の約8割が法人税減税で消える、消費税は大企業減税の穴埋めに充てられてきたというのが実態です。さらに今後も、更なる消費税増税・大企業減税がねらわれています。経団連は「税率10%超の消費増税も有力な選択肢」との提言を発表し、「法人実効税率が高すぎる」として現行の29.74%を25%に引き下げるよう要求しています。経済同友会・幹事も「最低でも17%程度に持っていかないと(社会保障費を)賄えない」などと主張しています。これに対し10月10日、日本医師会会長が「社会保障の抑制策を考える前に、まずは446兆円超にも上る企業の内部留保を活用して国の財政に寄与するような提言をすべきだ」とコメントしている点を重く受け止めるべきです。

 第四に、「身を切る改革」や「行革」が当たり前のように叫ばれていますが、いま起きているのは、市民の命を守る仕事まで切り捨て、災害対応も十分にできない事態ではありませんか。私は消費税を増税しなくても社会保障や国民生活を守る財源は生み出せる道があることを指摘します。
 時価総額1000億円以上・超大株主が保有する株式の時価総額は、安倍政権の5年9カ月で3.5兆円から17.6兆円へと5倍にも膨れ上がりました。大企業の純利益は、この5年間で19兆円から45兆円へと2.3倍にも膨れ上がりました。ところが、大企業や富裕層の税負担率は大変低く抑えられています。「税金は負担能力に応じて」という当たり前の原則に立つならば、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革こそ、いま取り組むべき課題です。また、5兆円を超える軍事費、日本に負担義務のない米軍思いやり予算、リニア新幹線など不要不急の大型公共事業、政党助成金などを削減すれば、消費税を増税しなくとも、地方交付税を拡充し、社会保障の財源を生み出すことは可能です。いま必要なのは、消費税増税で家計を冷え込ませるのでなく、社会保障の充実によって家計を温める政治ではないでしょうか。

 事業所減少率や非正規雇用率などが政令市で最も厳しいレベルにある本市において、消費税増税は、低所得者と中小零細事業者に重くのしかかり、市民の暮らしと経済に深刻な打撃を与えるのは明らかです。以上の理由から、請願にある「消費税増税中止を国に求める意見書を」との趣旨をくみ取り、本請願を採択することを訴え、私の討論と致します。

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