「全ての原発の再稼動中止を求める意見書(案)」への賛成討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

「全ての原発の再稼動中止を求める意見書(案)」への賛成討論

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終了本会議討論
やまね智史議員
 私は日本共産党京都市会議員団を代表し、「全ての原発の再稼動中止を求める意見書(案)」への賛成討論を行ないます。

 東京電力福島第一原発の事故から6年7カ月が経過しましたが、事故原因の究明・収束は途上にあり、廃炉の見通しも立たないままです。福島県では、生業と故郷を奪われた住民の苦難が続き、未だに5万5000人近くが避難生活を強いられ、各地で国と東電の責任を問う裁判が行われています。福島県から京都市に自主避難された原発賠償訴訟に取り組む方は「自分たちと同じような人たち、住んでいた土地・故郷・日常を奪われる人たちが、もう二度と現れないように、それを願って闘っています」と語られています。
 10月10日、福島地裁は国と東電の法的責任を認め賠償を命じる判決を言い渡し、「津波の予見」「事故の回避」は「可能であった」として、国が規制権限を行使しなかったのは「著しく合理性を欠いていた」と断じました。津波の危険を知りながら、利益優先で安全対策を怠り、事故の責任も認めようとしない国・電力会社が、今度は福島での原発事故を「終わったこと」にし、原発を再稼動させるなど、許されるものではありません。

 次に、安全な原発などあるのかという問題です。「学者の国会」と言われる日本学術会議は9月12日、「我が国の原子力発電のあり方について~東京電力福島第一原発原子力発電所事故から何をくみ取るか」という提言を出しました。そこでは、「原発事故は大気や海洋に拡散した放射性物質が国境を越え、周辺諸国や遠隔地にも汚染の影響が及ぶ可能性がある」こと、「我が国は、風水害、地震・津波、火山噴火等、様々な自然の脅威がもたらす災害が毎年のように発生する地理的・地学的な環境にある」ことをあげ、我が国で原発を動かすことの特別の危険性を指摘されています。
 原子力規制委員会自身が、ホームページの中で「(新規制基準を)満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません。原子力の安全には終わりはない」と語っていることからも、新規制基準が安全を保障するものではないことは明らかです。また、原子力規制委員会は「原発の集中立地」について、新規建設の場合は審査基準の対象としながら、再稼動の際は対象としていません。若狭湾には15基もの原発が集中立地し、万一1基でも事故が起きれば、重大事態となることが予想されますが、政府による避難計画では、大飯原発と高浜原発の同時事故は想定されておらず、約32~70km圏に位置する京都市にとっても重大問題です。

 原発のコストについてはどうか。先にあげた日本学術会議「提言」では、国が公表した2016年末の数字で、福島原発の事故処理費が想定額11兆円を大きく上回り21.5兆円に達し、その額は「30年以上にわたって稼動してきた同原発がもたらした総収入を上回る」こと、「福島第一原発は、企業として存続しえないほどの損失を生んだ事業」であったことが指摘されています。さらに「今後も原発を稼動させれば、絶えず最新の安全対策が必要となり、それらの費用は事前に予測不可能」であることから、「原子力発電は工学的に未完の技術」だと断じています。

 国民世論と電力の供給状況はどうか。現在、どの世論調査を見ても「原発再稼働反対」が多数派です。
 福島原発事故後、全国の原発が約2年間停止しましたが、電力不足は起きませんでした。現在も日本で稼動している原発は4基(川内1・2号機、高浜3・4号機)のみであり、エネルギー供給源としての原発への依存度は1%を切ります。すでに日本社会の電力供給は原発に依存していないことはもちろん、原発ゼロでもやっていけることは経験上も証明されているではありませんか。日本の再生可能エネルギーによる電力供給は現在14~15%で、政府の「需給見通し」によれば、2030年度でも22~24%です。これに対し「原発ゼロ」に踏み出したドイツでは、2015年に発電量の30%が再生可能エネルギーとなりました。原発に固執し、停止していた原発を次々と再稼働させる政治こそが、再生可能エネルギー普及の最大の障害と言わなければなりません。

 最後に、原発を再稼働すればそれだけで危険が高まることに加え、運転中は「核のゴミ」、プルトニウムを含む使用済み核燃料がたまり続けることも大問題です。10月30日に放送されたNHK「クローズアップ現代+」では、「"プルトニウム大国"日本~世界で広がる懸念~」と題する特集が組まれました。核兵器の材料になることから国際的に厳しく管理されているプルトニウムは、本来、核拡散防止の観点から利用目的のないものは保有できません。ところが、日本はすでに使用済み核燃料の再処理時に出るプルトニウムを国内外に47トン、NHKの番組内では「原爆に換算すれば約6000発分も保有」と紹介されましたが、このことがアメリカをはじめ海外から懸念されています。原発の運転は核兵器の拡散防止の点からも大問題だと言わなければいけません。

 以上述べてきたように、深刻な環境汚染を引き起こし、多くの人から生業と暮らしを奪った福島原発事故は、未だ原因究明も解決の展望もないこと。原子力規制委員会の発言からもわかるように安全な原発などないこと。原発には際限のないコストがかかり、電力も足りていること。さらに、核兵器の拡散防止にも逆行することを見れば、将来的に原発を全廃させることは当然として、現在においても、原発を再稼働させる理由は何一つありません。
 いまこそ「原発のできるかぎり早期全廃」「核兵器廃絶」を目指す京都市から、国に対して「原発ゼロの政治決断、全ての原発の稼動中止と廃炉のプロセスを進める」声をあげることを呼びかけまして、私の討論といたします。

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