私は、日本共産党京都市会議員団を代表し、議員団提案の「介護保険総合事業の発足に際し利用者の権利擁護と事業者への支援強化を求める」決議案に対して賛成討論を行います。
介護保険制度は2000年4月にスタートし、度重なる制度の見直しの下、保険料の引き上げと利用料の負担の増大をはじめ、受けられる介護サービスが減らされてきました。まさに「保険あって介護なし」の状況が強まっています。
さらに、今年4月から、大きな変更となるのが、要支援者への訪問介護と通所介護サービスが、介護保険の予防給付ではなく、京都市が独自に実施する総合事業に変わるということです。これまでと同じサービスが提供されれば、当面、問題は起こらないわけですが、京都市の場合は、家事援助のみの訪問介護サービスの報酬額が、現行より、資格のあるヘルパーが行うにも関わらず約14%もカットされることに大きな問題があります。
そして、その問題は、事業所登録の状況として表れています。総合事業による訪問介護を提供する場合は、改めて京都市に事業所として登録をしています。現行報酬から変更のない身体介護を伴う訪問介護事業は361事業所が登録しているのに対して、報酬カットの家事援助のみの事業を行う事業所登録は約半数の189事業所となっています。このことは、包括支援センターが介護プランを立てる際に、家事援助の訪問介護の計画を立てても、実際に訪問介護を行う事業所やヘルパーさんがいないということになるわけです。ケアが受けられないということになれば、総合事業そのものが破たんすることになります。
介護事業所側の問題としては、「報酬額の高い要介護度1以上の方を優先して受け入れないと、経営が悪化する」「新規の要支援者の受入れは制限せざるを得ない」と言われる事業所がいくつもあります。一方、報酬が低い要支援者への訪問介護を依頼に応えて受け入れれば、ケアマネージャーやヘルパー等、介護現場で働く労働者の就労環境が悪化し、運営が厳しくなります。つまり、受け入れしにくいことと、受け入れても大変という2つの現象が起こることになるのです。いずれにしても、事業所の運営が困難になるということは、介護保険全体の基盤を揺るがすことになります。
そして、このような不安定な介護事業所の状況の下、必要なケアが受けられず、困るのは市民です。現在は介護の専門職による介護予防給付により、要支援者を悪化させない努力がされていますが、今回の総合事業によって、要介護度の悪化が懸念されます。
決議案にあるように、利用者の介護を受ける権利を保障することと、事業所の実情を把握し、報酬額を現行と同じ額に戻すことを含め、事業者が運営困難とならないように支援を強化することが求められます。そしてこのことこそが総合事業を行う京都市の責任であります。
以上、同僚議員の皆さんの賛同を求め、賛成討論とします。