玉本なるみ議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

玉本なるみ議員の代表質問

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本会議代表質問
玉本なるみ議員
 北区選出の玉本なるみです。私は日本共産党京都市会議員団を代表し市長に対して質問します。
介護保険制度の改悪に反対すべき

 まず、介護保険について質問します。
 現在、国は昨年の介護保険の報酬引き下げや、市民負担を増大させた大改悪に続き、2018年度の制度見直しに向けて、社会保障審議会介護部会で、さらなる改悪の具体化が議論されています。要介護度1,2の方を介護給付の枠から外し、自治体が行う総合事業の対象とすることや介護用品の貸し出しは原則自己負担にすること、保険料徴収年齢についても、現在の40歳以上から、さらに若い世代に徴収拡大する等です。
 2000年の介護制度保険の生みの親と言われる当時老健局長を務めていた堤修三氏も、介護保険のこの間の改悪に対して、「国家的詐欺だ」と発言されています。保険料は徴収するのに、介護の保障は切り捨てているこの実態を保険者である市長はいかにお考えですか。お答え下さい。そして、市長として、介護保険の改悪案に対して、はっきりと反対の立場を示し、国に働き掛けるべきです。
(保健福祉局長)介護保険制度は、社会全体で支え合う制度として、継続可能なものとなるよう、国において検討しており、本市としても適正な制度運営ができるよう国に要望等を行っていく。
介護予防・日常生活支援総合事業導入について
 
 次に、来年4月から京都市独自の事業として開始される「介護予防・日常生活支援総合事業」について質問します。この総合事業は、これまで要介護認定で「要支援1・2」と判定された方々に対して、実施していたホームヘルプやデイサービスをやめ、新たな事業として、サービスの提供の在り方や報酬額を変更するものです。
 京都市の提案を受け、日本共産党京都市会議員団は、総合事業の担い手となる京都市内の通所介護事業所318件と訪問介護事業所392件に対して、アンケート調査を行いました。さらにアンケート調査に加え、包括支援センターも含め、事業所を訪問し、直にご意見を伺う活動も並行して行いました。その結果、わかったことは、まず第1に2015年4月の介護報酬の改定ですでに厳しい運営状態になっている事業所が多くあり、さらなる経営難となるということです。第2に介護福祉の専門家として、要支援の方へのきめ細かなケアで、要介護度を悪くさせないことに対しての責任と誇りをもっておられるということです。生活援助の訪問介護は緩和型として、報酬額を現行の85%に引き下げることや、訪問介護事業の「支え合い型ヘルプ事業」として、無資格者を導入することへの怒りや不安の声が数多く寄せられました。「ヘルパーは、掃除をするだけではない。利用者が望む生活の実現に向けて奮闘している。利用者の変化にいち早く気づき、関係者とつなぐことなど、重要な役割を果たしている。急変を発見することもあり、生活援助は単なる家事援助ではない」など、介護現場の貴重な声を聞くことができました。
 国は予防給付から総合事業への移行で、費用を効率化し、介護給付の伸び率を引き下げることや介護認定数を減少させることを自治体に求めていますが、保険方式としての枠組みの抑え込みは、あってはならないことです。これまで、通所介護や訪問介護事業所が、利用者に寄り添い、要支援状態を悪化させないために奮闘してきた成果をまず、評価すべきです。今回の緩和型の導入による影響をいかに考えていますか。お答えください。そして、緩和型の導入による報酬の引き下げ提案は、撤回すべきです。いかがですか。
(保健福祉局長)「介護予防・日常生活支援総合事業」の基準緩和型サービスについて、従来と同じ基準によるサービスに加え新たに設けるものであり、既存事業の報酬を引き下げるものではない。
総合事業の基本チェックリストによる対象者の判定について
 
 次に、総合事業の対象者の判定について、質問します。
 総合事業の対象者は、要支援1,2の介護認定を受けた方です。来年度の4月からは介護認定を受けなくても、「はい・いいえ」で答える25項目の基本チェックリストを福祉事務所の窓口か、包括支援センターで実施して、簡易に判定できるシステムが導入されます。
 しかし、このシステムにはいくつかの課題があります。基本チェックリストの対象となるのは、訪問介護や通所介護のみの利用を必要としている方です。転倒防止に手すりの設置や段差解消の住宅改修が必要な方や、福祉介護用品のレンタルが必要な方は、基本チェックリストの判定だけでは利用できず、要介護認定を受けなければ、サービス利用はできません。
 また、基本チェックリストの判定では要支援1の月額限度額約53,000円分のサービス利用になります。一方で、要支援2の利用限度額は約111,000円ですから、要介護認定を受けることで、介護サービス量の確保につながります。
 このような状況を判断するためには、福祉事務所の窓口で25項目のはい、いいえで答えるのみの基本チェックリストでは本人の実態や必要な支援の状況は把握できません。今後の予防的観点からも専門家が在宅に行って把握する必要があります。いかがですか。
 さらに、厚生労働省は要介護認定率を下げれば自治体に財政支援を行う方針まで示していますが、保険方式として本末転倒の考え方です。認定率を下げることが第1の目的ではなく、必要な介護認定が行われることこそが重要だと考えますが、いかがですか。
(保健福祉局長)新たに基本チェックリストを導入するが、本人の希望により要支援認定を受けることも可能としており、地域包括支援センターが専門的な視点からケアプランを作成する。
介護保険料の引き下げを
 
 次に、介護保険料について質問します。日本共産党市会議員団は65歳以上の市民及び65歳以上のご家族がおられる方に、暮らしぶりや介護保険料等についてのお考えを「アンケートはがき付きビラ」を作成し、調査したところ、504通の回答が寄せられました。
 介護保険料の負担感についての質問では、「くらしを圧迫している」と回答した方が56%あり、「滞納したことがある」と答えた方が4%ありました。年金が減額され、生活が苦しいと回答する方が約7割あることからも、介護保険料の負担を軽減する対策は急がれることを痛感しました。
 3年毎の見直しにより、2000年4月から、第1号の基準の介護保険料は月額6080円まで、2倍以上の引き上げになっています。2018年度からの介護保険料の改定における引き上げはあり得ません。
 さらにアンケートでは、介護保険についてのお考えもお聞きしましたが、最も多かったのが「保険料・利用料を下げてほしい」が326人、「安く入所できる施設をつくってほしい」が317人、「介護保険で使える範囲を増やしてほしい」が219人という回答でした。また、自由記入欄には、厳しい暮らしの実態や要望がたくさん記載されていました。
 介護保険制度は、全国一律の制度で一般財源の投入はできないという認識をもっておられるようですが、そうではありません。独自の減免制度について「不適切」という国の助言などがあったとしても、自治事務である介護保険の保険者として、絶対に従わなくてはならないという義務はありません。
 このことは2002年の国会の質疑で我が党議員の質疑において、当時、厚労相坂口大臣が「絶対に駄目だと、やめろとまでいっていない」と答弁しているものです。大事なことは、市民の暮らしを守ることを最優先に、高齢者や市民を苦しめている介護保険料の減免を行い、保険料を引き下げるということです。いかがですか。
(保健福祉局長)市町村独自に一般財源を投入して保険料を下げることができない中、平成27年度から3年間の第6期保険料は所得段階区分が最も低い第1階層の保険料を第5期とほぼ同額に据え置いた。また、低所得者に対する本市独自の減額制度も継続している。
緊急ショートステイ事業の縮小をやめよ
 
 次に、緊急ショートステイ事業について質問します。
 市独自の事業として、在宅療養される利用者や家族を応援し、大変喜ばれていたものでしたが、今年の7月から大幅な事業縮小を強行し、緊急ショートステイの対象を虐待などの特別な事態にのみ対応するとしました。緊急ショートステイは、利用者の家族の急病や親せきのお葬式などの緊急事態に対応するために、まず、最初の窓口として利用することにより、安心を保障してきました。さらに、家族の急病による対応等では病状によっては長引くこともあります。その場合に介護保険の利用限度額を超えてしまうと1割負担が10割負担になり、金銭的な負担と施設探しに翻弄されことになります。そこで、京都市は独自の事業として、10割負担になった時に2割負担にする対応をし、大変喜ばれていました。それを介護現場の声も聴かず、机上の計算で、突然やめるというやり方はあまりに強引です。
 京都市独自の制度として、評価されていた緊急ショートステイ事業は対象枠を元に戻し、限度額を超えた時の補助も再開すべきです。いかがですか。
(保健福祉局長)国の制度改正や介護保険制度との整合性を踏まえ本年7月から、要件や介護保険が適用されない場合の取扱について見直した。見直し後の状況等も踏まえ、今後とも適切に事業を実践しいく。
障害者の支援対策の充実を
 
 次に、障害者支援対策について質問します。
 障害のある方がおられる家族の方々から、一番多く伺う声は「親亡き後のこの子の生活がどうなるのか心配」という言葉です。「できれば、住み慣れた地域で安心して入所できる施設がほしい」「親元と近い所で住むところが確保でき、ヘルパーさんが必要時に訪問してもらえたら安心できる」というご要望等です。
 しかし、現実はヘルパーが不足しています。とりわけ、夜間の対応ができる事業所が少なく、在宅体制の受け皿なしに、地域生活での暮らしは成り立ちません。
 私は今年8月に京都で開催された全国障害者研究集会に参加してきました。そこで、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会が調査された『障害者の介護者の健康に関する実態調査報告』を聴きました。全国2640人の方が回答された大規模な調査の結果は大変深刻な実態が浮き彫りになっていました。
 介護者の特徴は91%が母親ということ。特に障害者が50歳を超えるとその介護者は74歳以上の母親が中心であることを直視する必要があるとのことでした。介護者の疲労状況は常にあり、限界となっている方があることや将来の暮らしについては、親子で一緒に住み続けたいという希望は4割近くある一方、5割以上の方が、別居をしたいと考えておられました。
 他にも介護のため、母親は働きにくく、老後の保障がない不安や、近所との関係では気を使いながら暮らしている住まいの課題があること、安心できる社会資源は絶対的に不足していることなどがあげられていました。
 京都市の現状は、施設希望の待機者は2015年8月1日現在で211人、グループホームの待機者は59人となっています。第4期の京都市障害者福祉計画では、入所施設の増設計画はありません。国も施設に関しては、現行の4%を減らす計画をしており、国から新設の補助金などは着きません。
施設希望の方は施設に入所でき、地域で暮らしたい方は、安心して過ごせるグループホームの建設や24時間体制も含めて必要なヘルパー配置等の受け皿作りが重要です。政府の関係者にレクチャーに伺いましたが、結局のところ、グループホームの設置などの予算確保には努力するが、自治体独自の努力で進めてほしいというお話しでした。国へ予算確保を強く求めていくことと、国の予算待ちではなく、市独自の補助制度等を作り、グループホームの設置やヘルパーの確保を早急に進める必要があります。いかがですか。一旦ここで答弁を求めます。
(保健福祉局長)必要なサービス提供を確保することが重要であると認識している。障害福祉サービスの必要量の見込みを定めた「第4期障害福祉計画」に基づき、必要なサービスを確実に提供できるよう、グループホームの整備費やホームヘルプサービスの運営費などについて、国の補助が十分に得られるよう、強く要望していく。

 市独自の総合事業と2018年度の制度の見直しにより、介護の状況が悪化すれば、結局、給付額は増大することになります。介護保険制度は国の制度の問題も多くありますが、京都市は介護保険の保険者として、市民の介護サービスが後退しないように独自の対策に取り組むべきです。
全員制の温かい中学校給食を
 
 次に、中学校給食について質問します。小学校給食では、和食献立の導入やアルマイト食器から、PEN食器への変更、コンベクションオーブンによる調理方法の研究など進められてきました。しかし中学校ではほとんどの学校が、選択制によるデリバリー方式の給食で、施設一体型の小中一貫校だけが、自校方式による全員制給食が実施されています。その理由は、統合する際に、PTAなどの意見を聞き、中学校でも全員制の温かい給食への要望があり実施することになっています。
 この間、日本共産党市会議員団として政令市での中学校給食について、調査を行ってきました。
注目したのは、大阪市や北九州市で、自校方式及び親子方式により、全員制の温かい給食の実施に踏み切られたことです。京都市と同じく、選択制のデリバリー方式で実施していた大阪市や川崎市は、残渣が多いことと保護者や生徒たちへのアンケートを実施し、全員制の給食への強い要望を受けての実施の決断をされました。大阪市では市長の公約でもあり、任期中の平成31年2学期までに実現すると、担当の職員さんが親子方式でできるか、困難な場合は自校方式でできるかなど急ピッチで調査しておられ、できるところから実現しているとのことでした。予算も建設事業費としては40億円、毎年のランニングコストは26億円程度と試算されていました。
 大変そうでしたが、職員の方にしても、子どものためになることとして、奮闘されている姿に感動しました。
 今こそ、京都市も中学校の全員制給食実施に踏み切るべきです。市長の決断が求められます。すでに、現在の選択制給食は平成12年から開始され、16年も経っています。他都市で実施されているように、生徒や保護者に給食の在り方について、希望も含めてのアンケート調査をすべきです。親子方式などの試算も行い、計画的に温かい全員制の給食の実施を検討すべきです。いかがですか。
(教育長)試食会や説明会で保護者からのご意見を献立に反映するなど、常に改善に努めている。提案の親子方式等での全員給食は少なくとも約180億円を超える巨額の予算が必要であり、現在の厳しい財政状況においては、実施は困難と考えている。今後とも、学校現場や生徒・保護者の意見も聞きながら、現在の選択制の中学給食の充実につとめる。
生活保護行政について
 
 次に、生活保護行政について質問します。私は、公的扶助のセミナーで就労支援について学ぶ機会がありました。区役所のケースワーカーと、困窮者支援事業やチャレンジ就労体験事業を委託している社会福祉協議会の職員、体験をお願いしている事業所の連携で大変丁寧な支援を行い、働くことを少しずつ体験することで、生活リズムを取り戻し、社会的な自立も前進したという報告がありました。
 一方で、就労支援は生活保護受給者を追い詰める場合もあります。大事なことはケースワーカーが受給者への口頭や文書指導だけなく、先に述べたように、受給者を取り巻く支援体制を整えることが重要だということです。病気や障害の状況から、主治医が「軽度作業」なら可能としても、働きだしても受け入れ先の理解が十分でないと、うまくいかず、病状が悪化するということもあります。
 とりわけ『稼働能力不活用』という通知や、ある事例では『月額4万6千円以上の就労につかないと1月1日に保護は廃止します』などの指示書が発送され、受給者を追い詰めていきました。これらは就労意欲を喚起し働けるようにするものではありません。就労支援は時間をかけて、対応していくことが重要であり、生活保護率を下げるために取り組むものでもありません。現在、年金額は減額され、若者の低賃金の就労状況などから、市民の暮らしは厳しくなっています。市長が生活保護率の低下や生活保護費が減ったことは喜ばしいなどと評価することにより、生活保護の窓口を市民から遠ざかることになりかねません。
 そういった観点から、本来、捕捉率も把握していないこと自体も問題です。必要な方に生活保護がいきわたることにこそ力を注ぐべきです。いかがですか。お答えください。
(保健福祉局長)生活保護制度は、最後のセーフティーネットとして、重要な制度である。就労支援に関しては、平成26年度から2年連続で毎年延べ1800名以上が就労に至り、3年連続保護率の低下という結果につながった。捕捉率については、生活保護制度が申請に基づき行われ、収入だけでなく、資産や扶養、他法他施策の活用と言った複合的な要素でその適否を決めることから、正確な数値は把握できず、議論になじまない。
実効性のある「子どもの貧困」対策を
 
 次に、子どもの貧困対策について質問します。現在、市民アンケートを実施し、関連機関への聞き取り調査も実施され、今年度中に貧困対策の計画が策定されることになっています。
 計画はその実践でいかに、貧困状況が改善されるか、その実効性が求められます。例えば、生活保護世帯の高校等進学率など、すでに実践したことを並べ替えるだけの計画では進展はありません。スクールソーシャルワーカー等の指標も配置数の評価でなく、導入による具体的評価を行う計画にすることが求められます。
 重要な観点として、貧困の連鎖を断ち切る施策をいかに具体的に取り組み、成果をあげるかということが挙げられます。
 例えば、ある青年は生活保護世帯で、私学の大学に進学する際に、世帯分離とされ、生活費も学費も日本学生支援機構の有利子の奨学金月12万円と連日アルバイトをして収入を得ています。卒業してからの奨学金返済は利子を入れて800万円近くになるとのことです。
 具体的な対策としては給付制の奨学金の創設や無利子の貸付奨学金などで、学業保障を進めることが、貧困の連鎖を断ち切る重要な課題です。貧困対策については、高校卒業後の若者の貧困の実態もつかみ、改善策をしめす必要があると思いますが、いかがですか。
(市長)重要な社会的課題であると認識している。本年4月には、庁内プロジェクトチームを設置し、検討を進めている。検討にあたっては、実態の的確な把握が何より重要となることから、18000件の市民アンケート調査と約50の関係団体、約60の施設等にヒアリングを丁寧に実施している。貧困が世代を超えて連鎖することを防ぐためには、経済的支援のみならず、長期的な視点に立ち貧困家庭の子ども等への支援に関する具体的な支援をとりまとめた実施計画を策定している。更に、来年度の「子ども若者はぐくみ局」の創設を契機として市民ぐるみ地域ぐるみで実施計画を実効性あてあすかきはこひあるものにしていく。
「子ども若者はぐくみ局」について
 
 次に、子ども若者はぐくみ局について質問します。市長選挙の公約として、掲げられた局の創設です。検討状況の説明では、「子どもや青少年等に関する施策を癒合し、子育て支援施策を一元化し、少子化対策、子どもや子育てに関する支援・対策を総合的かつ積極的に推進する」とされています。大事なことは、局の再編により、これまで課題となっていたことが、解決する方向に進むのかということです。
 例えば、発達検査や発達診断に何か月も待たされ、療育のスタートが遅れる問題はその子の人生に関わる重大な問題です。これらの解決なく、窓口だけ整備しても解決にはなりません。現在より子どもの支援が進むことが重要です。
 局の創設目的として、すべての子どもや若者の発達と成長を保障するために、子どもの最善の利益を保障することを根底に据えることが重要であり、現在の課題を明らかにし、局の再編でその解決の方向性を示すことが求められると考えますが、市長のお考えをお示しください。
(市長)子どもや若者に関わる行政施策を融合し、一層推進していくために、子ども若者はぐくみ局を創設し、各区役所・支所においても、子ども施策を一元化していく。局の創設を契機として、「はぐくみ文化」を市民ぐるみで創造し、発信していく。
区役所・支所の保健センターと福祉事務所の再編計画について 
 次に、子ども若者はぐくみ局の創設と同時に、各区役所・支所の保健センターと福祉事務所の再編計画が提案されていることについて質問します。子どもを中心とした部署を作る以上の大再編となっています。保健センターという枠組みはなくなり、保健福祉センターとなり、保健センターにおける生活衛生部門の集約化まで、提案されています。
 この間、京都市として取り組んできた「まち猫」事業や、民泊問題は、各区役所に窓口があり、市民の要望に寄り添った活動が必要な事業です。そういった事業を集約化し、身近な保健センターの窓口をなくすのは大問題です。相談窓口は残すとなっていますが、市税事務所が集約された時も、相談機能は残し、市民への対応は後退させないと言っていましたが、「具体的な個別の納税相談は、結局、市税事務所に行ってください」ということになってしまっています。
 今回の生活衛生部門についても、同じことが起こることは、明らかです。区役所の職員を減らし、市民サービスを集約化することは、市民サービスの後退につながると考えますが、いかがですか。お答えください。
(藤田副市長)健康危機管理業務は1つの拠点に集約化することにより、スケールメリットを活かした柔軟な対応を可能とし、宿泊施設をはじめ、関係事業者への指導業務についても、対象施設が多く存在する市内中心部への重点的な対応等、一体的かつ計画的に取り組んでいく。
食品や犬猫等の生活衛生に関わる身近な相談に対しては、11の区役所窓口に加えて、新たに3つの支所にも相談窓口を設置し、集約化部門と一体となって、市民サービスの更なる向上を図る。
保育所の「待機児ゼロ」対策を
 
 次に、待機児ゼロ対策について質問します。市長は、国基準による保育所等待機児童はゼロを達成したと評価されていますが、厚生労働省自身が「隠れ待機児童」がいることに対する批判を受けて、見直しの検討をしています。厚生労働省の資料においても、京都市の待機児童数は育児休職や特定保育園を希望した方、幼稚園の預かり保育の利用者等を合計し、585人となっています。「大学受験より厳しく大変だった」「兄弟別々の保育園になって涙が止まらなかった」等と、保育所入所が子育て世代に大きなストレスとなっています。
 安心して働き、子育てができる京都市にするためには、真の待機児童数に着目し、認可保育園の増設を急ぐ必要があります。いかがですか。その上でも、京都市立船岡乳児園を楽只保育園の分園にするために定数を削減することは、とんでもないことです。見直しすべきです。いかがですか。
(子育て支援政策監)「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、平成27年4月と本年4月において、2000人を超える受入枠を拡大し、計画を上回る保育提供体制を確保しており、平成28年度当初において、国定義の待機児童ゼロを3年連続で達成するとともに、小学校入学前児童のうち保育所等を利用する児童の割合は過去最高の46.5%に達し、人口100万人を超える大都市の中で、最も入りやすい状況となっている。
 平成29年4月に向けて、認可保育所2ヶ所の新設をはじめ、現時点において778人分の新たな受入枠を確保できる見込みである。
 船岡乳児保育園のある北区については、過去2箇年で120人分、平成29年4月に向けて更に60人分の受入枠の拡大を予定していることから、同保育所の分園化に伴う定員30人分の減少分については、他の保育園において受入枠を確保できるものと考えている。
市バス特37号の路線延長と増便を
 
 最後に、北区の柊野学区に走り出した市バス特37号について質問します。
 西賀茂地域を中心にバスを走らせてほしいという切実な要望があり、2014年3月から特37号系統が新設されました。
 長年、西賀茂地域にバスを走らせたいと運動を続けておられる「西賀茂北部の交通問題を考える会」の方から、お手製の地図をお借りしてきましたので、ご覧ください。現行ルートは緑の線です。ここが西賀茂車庫です。川沿いをまず北上し、橋を東に渡り北上し、ぐるりと南へ回りますが、この辺りには住宅はほとんどありません。そして、西賀茂車庫へ戻る路線になっています。
 そして、考える会の皆さんのご要望のルートは、赤い線です。現行ルートからさらに北に上がり、高橋を渡り、住宅が多く建っている西賀茂の地域を走らせてほしいというものです。そして、現在は、住宅はさらに増えています。モビリティマネージメントの手法を用いて、走りだした特37号は利用促進の課題として、すでに増便や西賀茂地域における路線延長があげられており、その実現を目指すことも取り組み方針とされています。乗りやすくしてこそ、乗車数も増えるのではないでしょうか。
 「西賀茂北部の交通問題を考える会」の皆さんが、2015年9月に、特37号の利用状況と要望について、西賀茂車庫より北にお住いの西賀茂北部の方を対象にアンケート調査を実施されました。400世帯の住宅に配布し、212人の方の回答があったそうです。乗ったことがある人は55%、乗ったことがない人は45%という結果で、本数が少ないために、通勤や通学には利用しにくく、ほとんど利用されていないという結果には、注目しなくてはなりません。
 1日の運行本数はたった9本です。「車にのることが習慣化している地域」と促進会議の資料に書かれていましたが、「車に乗りたくて乗っているわけではない。バスに乗らないのではなく本数が少なく、バス停が遠いので乗れない」「せめて一時間に一本、高橋まで走らせてほしい」というご意見が多く寄せられたとのことです。アンケートに寄せられたご要望から、バスルートと本数の拡充がされれば、必ず乗車数は増えると確信します。早期の拡充を求める市民の声に応えるべきです。いかがですか。以上で、第1質問を終わります。ありがとうございました。
(山本公営企業管理者)西賀茂北部地域では、平成26年3月に市バス特37号系統の試行運行を開始した。西賀茂車庫前以北のお客様は目標の1日当たり110人にあと一歩の状況であり、試行運行の最終年度である3年目を迎えたこれからが運行の継続に向けた正念場。引き続き促進会議と連携した取組を一層進め、特37号系統の本格運行を目指して、地域住民の皆様とともに、更なる利用拡大を図っていく。
第2質問
 
 子どもはぐくみ局についても、ご答弁いただきましたが、子どもをめぐる問題は貧困や虐待など深刻化しています。経済的支援や公的な立場での子どものサポート体制の強化が求められます。子どもにもっとお金を使って欲しいという市民の声をよく聞きます。中学生の全員制の給食は子どもの貴重な食事の保障となります。具体的な対策が急務であることを指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。

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