日本共産党市会議員団を代表し、議第106号 平成28年度国民健康保険事業特別会計補正予算案について賛成討論を行います。
わが党議員団は、今補正予算案は平成27年度の国保会計の不足額を繰り上げ充用するもので、必要なものであり賛成いたします。その上で、いくつかの問題点について指摘します。
第一に、国民健康保険財政の在り方の問題です。
平成27年度の収支不足が17億円となった主な理由にはインフルエンザの流行やC型肝炎新薬の保険適用等による医療給付費の増加や、被保険者数、世帯数及び被保険者の総所得の減少による保険料収入の減収等があげられています。これらは単年度の特徴としての課題であるわけですが、収支不足となる根本の問題は国保財政における国の負担率が減らされてきたことにあります。
平成27年度の京都市国保の被保険者世帯の状況をみると、国保所得割基礎額200万円以下がおよそ9割で、うち所得割基礎額ゼロの方は49.07%、100万円以下では77.5%となっており、年々これらの比率は増えています。年金額が減ってきている中で、この傾向はさらに続くと思われます。所得の状況をみても、保険料を上げて、保険料収入を増額することはとんでもないことです。社会保障としての国保制度という見地から、国が国保制度を守るために、減らしてきた国庫負担率を引き上げ、財政を安定化させる土台をつくることが一番求められることであります。
第二に、今も尚、高止まりとなっている国保料を引き下げ、事実上の保険証の取り上げとなる資格証明書等の発行をやめることです。
平成27年度は、すべての保険料率での引き下げを実施しましたが、さらなる保険料引き下げで、払える保険料とすることで滞納者をなくすことが求められます。
先に述べた国庫負担率を引き上げることと、京都市の一般会計の繰り入れを増やすことで、保険料の引き下げはできます。一般会計の繰り入れ額は、国からの基盤安定分と市の努力が反映される繰り入れ分がありますが、国の基盤安定の増額分を市の繰り入れ額から減らすのではなく、さらに増やすことで、保険料の引き下げは可能ということです。
全日本民医連の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」において、平成27年度は63例の事例中、36例が無保険、資格証明書、短期保険証だったことが明らかになっています。全日本民医連の院所のみの数であるわけですから、これらは氷山の一角と言えます。
議案の審議では「資格証明書の方で医療の必要な方には短期証を発行している」と答弁がありましたが、ぎりぎりになっての対応でなく、早期に受診し、早期治療を実施することこそが、医療費の削減にもつながり、市民の命を守ることになります。資格証明書の発行はやめるべきです。
第三に、国保の都道府県化についてです。京都市は、この間、国保の構造的な問題から、医療保険制度そのものを一本化することが解決の道のように説明しています。そして、その一本化のステップとして平成30年度からの国保の都道府県化を位置づけているという認識を示されています。しかし、医療保険制度の一本化や国保の都道府県化で市民の命が守られ、国保財政も改善するのでしょうか。市町村が実施している補助や減免制度等の独自施策に制限が加われば、そのしわ寄せは市民の負担となりますが、この重要な問題は明らかになっていません。さらに国保の都道府県化は医療費適正化計画と一緒に進められていることから、財政の問題だけでなく、病床数の削減等の医療の後退となる問題があり、慎重に検討しなくてはならないことを申し上げます。
以上、賛成討論とします。