(1)京都経済再生のためには小規模事業者の活性化こそ重要
①京都の経済状況の認識について
中京区選出市会議員の平井良人です。日本共産党市会議員団を代表して質問をします。私は、これまで中小企業の経理や決算の仕事を通して、中小企業の業者のみなさんの苦境を共にのりこえ、営業とくらしを守る仕事をしてきました。
その上で最初に、京都経済の活性化と小規模事業者への支援について質問します。京都市では門川市政8年間で事業所減少率、政令市ワースト2であり、2009年から2014年の6年間で7640軒の京都の中小企業が倒産・廃業へと追い込まれています。市内総生産は減少し、製造、繊維関係では-33%、機械金属では-37.8%と第二次産業で落ち込み続けています。さらにひどい状況なのが、繊維工業で-44.2%、染色工業-42.4%と事実上生産機能停止の危機に瀕しています。一方、観光都市といいながら、巨大資本と外国資本で塗り固められたホテル建設の増大に対して、旅館業の減少は1986年には414軒から2012年には121軒に減少するなど、中小零細企業者が減少し、京都経済が疲弊し続けている状況です。これでは京都市として、中小企業対策が的確に打てていないと私は考えます。そこでお聞きしますが、門川市長の2期8年で京都経済が落ち込んでいるという認識はありますか。
落ち込んでいる経済状況の中で今の小規模事業者がおかれている実態は、消費税増税後、さらに深刻になっています。ある飲食業者の方からは、「消費税を価格に転嫁できない。一年目はなんとか払えるが、二年目以降、資金繰りが厳しくなり、滞納をせざるを得ない。この間は、税務署でも担当者が変わり、分納相談ではなく、一方的な取立てがある」という声や、ある電気店の方は「納税のために貯金をしているが、自分の生活を切り詰めるところまで切り詰めて蓄えている。このままでは廃業も考えざるを得ない」と、こういった事例がいくつもあり、消費税の増税が廃業を生み出すものとなっているのは明らかです。私は、度重なる消費税の増税が京都の中小零細企業を倒産・廃業へと追い込んだ大きな要因と認識していますが、市長は消費税が京都の経済を落ち込ませているという認識をお持ちですか。
(市長)国の政策と軌を一にし、中小企業対策、成長戦略を展開。消費税影響緩和策や消費喚起策により、平成24年度の一人当たり市民所得は平成20年度より5%増加し、政令市10位から4位に。市内総生産も5%増加。昨年度倒産件数は過去10年で最少。直近10月の京都の有効求人倍率は昭和49年以来の高水準など、京都経済は全体として回復基調にある。中小企業では回復に遅れが見られ、人手不足や業種でのばらつき、非正規雇用の増加や市民生活で景気回復を実感できないなど課題も多い。
②小規模事業者が活躍できる対策と条例の創設について
こういう経済状況のもと、国で小規模企業振興基本法が制定されました。この基本法の法第2条の2項には「小企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が5人以下の小事業者と書かれています。第3条には、「個人事業者をはじめ自己の知識及び技能を活用して多様な事業を創出する小企業者が多数を占める我が国の小規模企業について、多様な主体との連携及び協働を推進することによりその事業の持続的な発展が図られることを旨として、行われなければならない」。また、第7条には、地方自治体の責務の規定があり、「地方公共団体は、基本原則にのっとり、小規模企業の振興に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされています。中小企業が99.7%を占める京都経済を活性化させるためには、小規模事業者の持続的な発展や京都の条件に応じた施策を考慮し、小規模事業者のための特別の対策が責務とされたのです。
私はそのために、次の五点が必要だと考えます。一つ目に、小規模事業者の声を聞き取りし、その実態をつかむべきです。二つ目に、平常時でも窓口を置き、区役所などで身近な企業の困りごとについてワンストップで相談にのることや気軽に相談に行けることが必要です。三つ目に、中京区の地元商店街も含め、この間の大型店の出店ラッシュ、スーパーの乱立など体力を失っている商店街等の団体への振興予算の増額、商店街の実態を前向きに打開する補助金の創設。四つ目に、学校等の修繕や備品の購入などの発注を大資本への一括発注にするのではなく、京都のものづくりや伝統産業、商店などへ分割で発注し、地元企業を応援する形に戻すべきです。地元事業者は学校等地域に根ざしており、機敏に対応できることなどの利点があり、宇治市ではすでに行っています。五つ目に、経済効果の大きい商店リフォーム助成制度や住宅改修助成制度など、小規模事業者がいきいきと活躍できるしくみづくりです。これらの対策について、市長の考えをお聞きします。
これら一つひとつの対策を日常的に進めるために力になるのが、中小企業振興基本条例です。横浜市や札幌市でも条例の創設によって中小企業の振興状況の検討や検証が行われ、自治体自らが中小企業振興を正面に掲げて支援しています。とくに横浜市では、取組状況報告書の中で、中小企業対策の年度内の具体的な実績・成果、市内企業の声等を記載し、来年度への課題と対応を年度ごとにまとめ、次の中小企業の行く先を見つめ続けています。京都市はなぜ条例化し、具体化を図ろうとしないのか。お答えください。
(塚本副市長)景況調査や経済団体を通じ現状把握をしている。商工会議所等との市内5箇所の相談窓口でワンストップの相談や、企業への個別訪問、業界診断事業での概況調査で改善策を提示し対応。商店街等にはソフト・ハード両面の幅広い支援を実施。プレミアム商品券事業は、小規模店舗の利用を促す商品券導入や商店街の販売促進キャンペーンで好評だ。工事等の発注については、受注者、下請業者も「市内中小企業」とすることを努力義務とする公契約基本条例の施行など、全庁あげて中小企業振興に取り組んでいる。商店や住宅のリフォームは、政策上、重要度・緊急度が高いものへ重点的に助成し、小規模企業の持続的発展を支援。中小企業の現場の意見を聞き、中小企業振興基本条例も検討を進める。
(2)学校跡地活用については、住民の声を生かして公共的な施設を継続し、コミュニティや住民の安全を守るものに
①地域コミュニティや住民の安全を守る問題について
次に学校跡地問題について質問をします。
先ほど、西野議員が指摘したように学校跡地については、企業に対し、規制緩和と市民財産の開放を打ち出していることは重大な問題です。
市長は、2015年5月19日の教育再生実行会議第3分科会で「学校統廃合を徹底して実行し、68校から17校に統合しました。財政効果は、年間学校運営費が22億円も減っている。そして、学校施設の改築経費は441億円削減されている。教職員が358人減り、人件費は年間32億円減っている。これが、いかに財政効果が大きいか」と言われました。市長のこの発言にもあるように学校統廃合は、こどもたちの発達のためではなく、人員も施設も縮小し、人件費や設備費など経費削減が目的であり、こどもの教育よりも財政効率を優先させてきたのです。こういった財政効率優先の考え方は自治体の役割を投げ捨てるものであり、断じて容認できません。
さらに、9月議会の質疑で市長は「跡地活用の考え方は変わっていない」と答弁されましたが、「活用は原則市の事業とし、営利目的には活用しない」としてきたのを、2011年度以降「民間業者についても対象とする」という方針に変えたわけですから、「大転換」としか言いようがありません。
しかも、中京区の元立誠小学校の跡地活用問題については、その担い手となる事業者に対し、「5000万円から1億円の売り上げは必要」といったことが出されています。「市民等提案制度」とされていますが、これでは、一定の規模・資本力を持つ営利企業以外、提案できないではありませんか。
その元立誠小学校では、年間300日以上の催しや文化行事を開催し、地元を愛してやまないことをあらわしています。市長が目指す観光客滞在で現在の183万人から300万人まで増やす構想の下、次々とホテルの建設やその計画が立てられています。サカエ跡地や京劇ボウルの跡地にもホテル建設が計画され、地元の自治連合会役員の中では「ホテルでは、いつ観光客の減少が起こるかわからず、地元が潤わない。歴史で育まれた文化の発祥地として学校跡地を残してほしい」という声が起こっています。
この自治連合会では、地元で跡地検討委員会をつくり、京都市とも連携をし、長年地域の活性化のために尽力されています。ところが、その立誠の跡地には、ホテル業者が複数の問い合わせをしてきているということにより、地元からは不安の声が出されています。
中京区のもう一つの跡地活用にかかっている元教業小学校では、今年中に新たな活用に踏み出すとしています。これまで区の社会福祉協議会が会議室を地域の住民のコミュニティの場として貸し出してきました。市の関係者に状況を聞くと、「この地域では、自治会館がなく、地域の自治連合会の会議は区社協の会議室でやってきた」とのことでした。会議室を借りている団体は、「地域の福祉活動の一環として5年間パソコン教室を行ってきたが、今後使えなくなることになれば、安価で教えてきたことができなくなる」と不安の声を漏らしておられます。地域住民やコミュニティを担ってきた団体が、今までどおり、活動できる権利を保障すべきであり、学校跡地で活動を続けられるよう要望しておきます。
また、東山の元貞教小学校跡地をめぐっては、地元自治会が要望してきたこと、例えば運動場については「プール撤去前の広さと同程度を確保する」「現在の区民体育祭、貞教夏祭りに必要な広さを確保する」といった確認とは違い、グラウンド面積が縮小された図面が出されています。体育館は現状のまま使用できるとしていましたが、10月に「工事の期間は利用できない」と突如話が出され、自治連の方々が粘り強く交渉し「利用できる」ことになるなど、「本当に住民の声が伝わっているのか」「住民の要望は二の次ではないか」と疑問を持たざるを得ない事態です。そこでお聞きしますが、跡地活用をめぐって、こうした施設に対する要望はどのようにいかされるのでしょうか。「民間業者に活用してもらうのだから、住民の要望は我慢しろ」ということなのでしょうか。また、一年以上にわたる工事期間中に災害が起きた場合の避難場所の確保はどうなるのでしょうか。工事中の避難場所の確保の問題を含めて明確な答弁を求めます。
(小笠原副市長)市民の貴重な財産である学校跡地の活用に当っては、本市が直接活用する場合はもとより民間等事業者による活用を行う場合でも、例えば、用途の決定、事業者の決定、あるいは実際の運用の在り方の決定などで多段階において地元との協議を重ねることにより、地域の皆様の要望を十分に汲み取り、避難所や自治活動拠点としての機能を維持することとしている。また、長期間にわたる工事期間中の避難場所の確保についても、あらかじめ、周辺の本市施設等を活用するなど、万全を尽くす。
②原発事故避難場所に学校跡地を指定している問題について
この問題の最後に、原発事故の避難場所に元小学校跡地が指定されている問題についてお聞きします。先日、舞鶴市で行なわれた高浜原発の説明会で、内閣府から配られた資料に、舞鶴市のPAZ圏内の住民の避難場所として、東山の元清水小学校をはじめ4つの元小学校が指定されていますが、それは事実ですか。これは、京都市の責任で避難場所として出したものですか。
国の法律では、「避難を受け入れる側が条件整備の義務を負う」と受け入れ自治体の責務が明記されていますが、条件整備や地元への説明などはどうなっているのですか。
しかも、元小学校跡地は現在、民間活用の対象となっており、とりわけ、元清水小学校は「ホテルあるいはブライダル施設」が活用するとされており、期限の目途のない原発事故避難者をホテルなどが長期に受け入れることが可能なのでしょうか。このような、整備もされていない施設を、京都市が避難所として申請したこと自身が重大です。それこそ、「事故は起こらないという安全神話」ではありませんか。原発防災の避難所として元小学校を考えるならば、「跡地活用は公共的な役割に限る」という立場に立つべきです。改めて「学校跡地活用の民間活用計画は撤回すべき」と考えますが、いかがですか。市長の答弁を求めます。
(小笠原副市長)本年2月、府の広域避難要領において、地元自治会等の理解をえて主に災害時避難場所など121施設を選定した。御指摘の学校跡地も含まれるが、舞鶴からの受入約6万5000人に対し、約7万9000人分が確保できており支障はない。施設の管理者が変更となる場合にも、管理者や地元の理解を得て、約2箇月間とされる受入れに取組む。公共的施設の配置は、中心部の跡地に偏ることなく、地域のバランス性を勘案し検討する。民間活用を含め、賑わい創出をとの声を多く聞き、地域の要望もある。公共、民間にかかわらず、あらゆる可能性を追求する。
(3)学費・奨学金、若者の働き方について
①高学費と奨学金返済の実態調査、独自の給付制奨学金制度等の創設を
次に、大学生の学費・奨学金、若者の働き方について質問します。
学費・奨学金に関わる方々の声は、どの世代も深刻な状態です。
日本共産党市会議員団は、大学前や駅頭、繁華街で調査を行ってきました。私が、直接お聞きしたある大学2回生は、「学費のために月8万円の奨学金を借りている。貸与総額は384万円だが、利子がつくので返済総額は516万円にもなり、利子だけでも132万円にもなる」と語っています。現在、奨学金を返済中の25才の製造業で働いている方からは「利子つきの奨学金を毎月1万5000円も返済しています。40才を過ぎても奨学金の残額が残る。将来結婚できるか、子育てできるか不安。本当になんとかししてほしい」との声。親世代の方からは「息子が大学に指定校推薦で進学したが、成績が維持できずに中退。それまで借りていた奨学金を返済しないといけないが、派遣社員の息子の収入では返せないために、代わりに返済している」など、全世代で苦しんでおられます。そういった実態の中で「LDA-KYOTO」という団体が立ち上げられました。高学費や異常な働き方を解決するために立ち上げられたのが、LDAです。すなわち、生きやすい京都をつくる全世代行動です。11月27日現在で19ヶ所353人からアンケート調査が寄せられ、請願署名は、合計2023筆集まっており、この11月議会にも請願が出されています。
こういった運動が広がる中で、財務省は、国立大学で毎年2万5000円もの値上げをし、16年後の授業料は、40万円増の93万円とする方向を打ち出しました。また、私立大学の学費は、2012年度の初年度大学の学費の全国平均は、131万5882円で、今でも学費が高すぎて支払いが困難になっている世帯に追い討ちをかけ、未来ある学生のそのスタートから格差と貧困を作り出すものとなっています。今や世界の流れは、学費無償化へ向かっています。2012年に日本も国際人権規約の「中等、高等教育の段階的無償化」を批准しましたが、無償化にはほど遠い状態です。
9月市会の決算委員会において、わが党の蔵田議員が「根本的に学費の高さを考える上でも京都市として実態把握が重要です。京都市として学費の実態調査を行うことはしないのか」と質問したことに対して、総合企画局は、「実態を把握することは重要だ」とされたものの「調査ではなく、経常的に相談を受けている」と答弁されましたが、この認識を変え、高学費の実態調査を行うこと。また、育英会の奨学金制度を引き継いだ日本学生支援機構の下で奨学金が支払えず、中退となった学生や滞納している方の実態調査を行うことを求めますが、いかがでしょうか。
政令市である札幌市では、一年間という限定ではありますが、市独自の入学支度金で2万1000円、奨学金を月額で9000円支給しています。京都府内でも、舞鶴市、亀岡市、京丹後市、京丹波町などで、人数制限や所得制限、生活困窮世帯向けであるものの、独自の奨学金制度や支度金を創設しています。綾部市では、大学進学する際に入学支度金を30万円給付しています。自治体がやる気になれば、独自で給付制奨学金の創設は可能です。京都市が独自に、給付制奨学金制度や支度金制度を創設すること。国へ、給付制奨学金の充実や奨学金の利子補給制度の創設、私学助成の充実、国立大学の授業料の引き下げなどを要望し、学生とその親御さんの声に応えるべきです。お答えください。
(総合企画局長)学生を取り巻く実態について、各大学と密に情報交換を行い、学生の経済的状況の把握等に努めている。国や日本学生支援機構なども、学費も含め学生生活調査や奨学金返還の延滞者の調査などが実施されており、奨学金を活用している学生が年々増加し、半数を超えて利用されている一方で、学費の負担感と奨学金返還の負担感が大きい。国に対し、貸与型の無利子奨学金の大幅な拡大及び授業料減免の充実を要望し、国の平成28年度予算の概算要求において、無利子奨学金の貸与者数を増やし、国立大学・私立大学等の授業料減免の対象者数を拡充するための予算が要求された。給付型をはじめとした奨学金事業の拡充など、学生の学びの環境が充実するよう、国に積極的に要望していく。
②若者の働き方の相談窓口設置と実態把握、ブラック企業・ブラックバイトの根絶へ規制条例の創設を
学費・奨学金の重い負担のもと、働きながらバイト代を学費や奨学金に充てている学生も少なくありません。厚生労働省の11月9日の「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果」では、学生1000人が経験したアルバイト延べ1961件のうち58.7%が、労働条件等の通知書を交付されていないと答え、労働条件について、口頭でも具体的な説明を受けた記憶がない学生が19.1%です。加えて、48.2%が労働条件等で何らかのトラブルがあったと回答しています。厚生労働省は、シフトに関するトラブルや賃金不払い、労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかったなど法律違反のおそれがあると発表しています。学費や奨学金の負担の高さから、違法実態におかれているバイト先であっても、学費や生活費のために働き続けなければならない状況があることをこの調査結果が物語っています。
いわゆる、ブラック企業で働く若者の実態はどうかといいますと、労働者への違法な罰則や罰金が広がっています。バーで働く男性は、「アルバイトで働いているが、遅刻すると一回につき、3万円の罰金がある」。以前イタリアンレストランで働いていた女性は、「お皿を割るごとに、実費で弁償し続けてきた」とのべておられました。加えて、「長時間労働のもとでほとんど休みがとれない。休みの日は寝ている」と話してくれた男性は、IT関連のエンジニアです。職種によって、違法性の質が変わりますが、どの分野でも違法・無法がまかり通り、これが当たり前だと言わんばかりに、その働く意欲さえ失わせる状況が、少し話を聞くだけでもたくさん出てきます。そこで私は、京都市も川崎市や横浜市のように窓口をつくり、独自の相談活動を行うこと。その際、弁護士や専門家と連携をとること。若者の働き方の実態調査を行い、その調査に基づき、違法無法を根絶するためにブラック企業ブラックバイトを規制する条例をつくるべきだと考えますがいかがでしょうか。
(産業観光局長)京都雇用創出活力会議で市長が「ブラック企業・ブラックバイトの根絶」が重要と強く訴え、オール京都の確認事項とされた。ブラック企業・ブラックバイトの規制については、法令に基づき、京都労働局が立入り調査による監督・指導を行っており、11月には過重労働解消キャンペーンで重点監督が実施された。来年3月から規制が強化され、一定の労働関係法令違反のある事業所の求人はハローワークで受理しない。企業経営者向けセミナーの開催や、中学・高校における労働に関する学習の実施。先月からブラックバイト防止に向けた啓発動画を大学生と共同で作成し、ホームページに掲載するなど、啓発活動を強化。京都労働局や京都府が、市内9箇所に設置する相談窓口と連携していく。
③若者の非正規労働改善のため雇用の担当部署の設置を
若者の働き方も依然として深刻です。厚生労働省が11月4日発表した2014年「実態調査」では、非正規雇用の割合は、各種調査のなかで初めて4割に達しています。2010年調査より1.3%上昇しています。事業所が非正規雇用を使う理由は一番が「経費節減」でそれに続いて「忙しいときに使える労働者」という順番であがっています。また、非正社員の中では月給20万円未満が78.2%にのぼるなど、国会での派遣法の改悪が連続的に続けられてきたことにより、使い捨て労働がひろがっているのが現状です。京都市でも、非正規雇用率政令市ワースト1です。大学を卒業して一歩目で非正規雇用につき低賃金で将来が不安な状態が続く、こんな生活を強いられている方々が京都市でも広がり、青年の未来を閉ざしています。私がお話を聞いた大学の契約事務員の方は、3年契約で今年度が3年目。「これまでも色々な職種についてきたが、ぶつ切りの働き方をしていると年齢があがるごとに不安が増大する。正社員の道を増やしてほしい」と切実な声をあげておられます。こうした深刻な実態がある中で京都市では、雇用の問題は後景におかれ、雇用担当部長をなくした責任は重いものです。私は、京都市に雇用に特化した雇用担当部署を新設し、若者の働き方の改善や非正規雇用者を減らす対策を行うべきだと考えますが、いかがですか。
(産業観光局長)今年度は、雇用情勢の回復に伴う中小企業の人手不足などの課題に対応するため、働き方改革を進め、雇用の質を向上させる。望まざる非正規の解消に向け、産業振興を通じ正規雇用創出を目指すプロジェクトなどを取り組んできた。総合的な取り組みを進めるため、産業戦略部長のもとに雇用担当の体制を一元化し、充実を図った。
第二質問
市長および副市長から答弁いただきましたが、師走を迎え、営業とくらしが深刻になっているときに、京都市として、小規模振興基本法の自治体での具体化については、なんら触れられませんでした。
中小企業振興基本条例を制定した横浜市では、先に紹介したように、年度ごとに中小企業の分析や課題を明らかにし、中小企業の活性化を市として焦点にしています。中小企業振興基本法や公契約条例の中で、中小企業の経営と雇用の安定を図るべきです。
京プラン後期実施計画の骨子においても、「経済の活性化については、中小企業など隅々にまでは浸透しておらず」と述べられていますが、そうお感じならば、経済と地域の屋台骨である中小企業、小規模事業者を本格的に応援すべきです。その具体化を図るべきということを再度申し述べて私の質問とします。ご清聴ありがとうございました。