井坂博文議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

井坂博文議員の代表質問

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本会議代表質問
井坂 博文議員
 日本共産党市会議員団を代表して質問します。北区選出の井坂博文です。まず、市長の政治姿勢に関してお聞きします。
戦争法廃止を
 
 安倍政権は、9月19日、安保法制―戦争法の採決を強行しました。私は、空前の規模で広がった国民運動と、6割を超える「今国会での成立に反対する」という国民の世論にそむいて憲法違反の戦争法を強行した安倍政権に、満身の怒りを込めて抗議するものです。
 同時にたたかいを通じて希望も見えています。戦争法案の廃案を求めて国民一人ひとりが主権者として自覚的に声をあげて、行動に立ち上がるという、かつてない新しい国民運動が広がっています。とりわけ、若者たちや若いママの行動が大きな希望を与えています。また、国民の声と運動に応えて、野党5党が結束して法案成立阻止のための一点で共同してたたかったことも意義ある大きな成果でした。私も議員になって初めて民主党の議員や元議員のみなさんと集会に参加し、デモ行進を一緒に歩きました。
 このたたかいは、採決強行、法案成立によって終わるものではありません。戦争法は、日本国憲法に真っ向からそむく違憲立法です。成立したからといって、この戦争法の存続を許すならば立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存立の土台が覆されてしまいます。学生も若いママも、学者や大学人も運動の目標を「戦争法廃止」に変えて、新たなたたかいを始めています。この京都でも19日に、高校生らが呼びかけて700人が集会とデモに参加し、24日には市役所前に600人が集まり、緊急集会とデモが行われました。
 日本共産党は、採決強行の直後に会議を開いて、「憲法違反の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義を取り戻す」ために「野党はまとまってほしい」との強い国民の願いに応えて、①戦争法廃止、集団的自衛権行使を容認した「閣議決定」の撤回、安倍政権の打倒のたたかいをさらに発展させること、②そのために戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府をつくること、③国民連合政府で一致する野党が、国政選挙で選挙協力を行うこと、を呼びかけました。
 今こそ、平和主義、立憲主義、民主主義を貫く新しい政治をつくるために力を合わせようではありませんか。
 さて、全国では、住民のいのちを守る立場から、100を超える自治体の首長が安保法制案反対もしくは、慎重審議をもとめる意見を表明し、多くの議会が反対の決議や意見書を採択しました。京都でも、京大、立命、同志社など10大学で戦争法案に反対する大学人有志の会が立ち上げられました。ところが門川市長はこれまでの本会議での戦争法案に対する質問に対して自ら答弁にも立たず、だんまりを決め込んできました。
 その一方で市長は、荒巻禎一氏、千玄室氏らが呼びかけて7月に行われた改憲をめざす「美しい日本の憲法をつくる京都府民の会設立総会」に激励の祝電を送っていル出はありませんか。そこで市長にお聞きします。①ほとんどの憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、元最高裁長官などが違憲であると表明し反対している戦争法は立憲主義に反するとの認識がありますか。②成立直後の世論調査でも80%が説明不足、50%以上が反対している法案の採決を強行したことを是としますか。③政治家として自らの意見を表明すべきと思いませんか。お答えください。

(塚本副市長)平和安全法制関連法の成立は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を考慮し、我が国の平和と安全を維持し、国民の命と暮らしを守るとともに、国際社会の平和と安定への貢献について、国権の最高機関である国会において議論し、結論を出されたものであると認識。平和安全法制については、憲法との関係を含め、国家、国民の基本に関わる事項として、国民全体の理解を深めていくことが何よりも大切。国においては、世論の状況も踏まえたうえで、本法制について、引き続き国民への十分な説明を果たしていただく必要があるものと考えている。
市長の歴史認識を問う 核兵器廃絶の決意を
 
 さて今年は戦後70年、広島・長崎に原爆が投下されて被爆70年の節目の年であります。
 戦後70年にあたって8月14日に発表された安倍首相の「談話」では、「日本が国策を誤り、植民地支配と侵略を行った」という戦後50年の村山談話に示された歴史認識がまったく語られず、一般論として他人事のように「植民地支配と侵略」に触れただけでありました。日本が誤った戦争を起こした、という歴史認識を持たないから「戦争に関わりのない世代に謝罪の宿命を背負わせてはならない」という開き直りの言葉が出てくるのではありませんか。また「反省」と「お詫び」も過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで、首相自らの言葉として語らない、という欺瞞に満ちたものでした。
 ドイツのメルケル首相がナチスからの解放70周年にあたって、国民に「歴史と向き合うよう」呼びかけ「歴史に終止符はない。我々ドイツ人は特に、ナチス時代に行われたことを知り、注意深く敏感に対応する責任がある」と訴えた姿勢と大違いではありませんか。そこで、戦後70年にあたって、政治家としての市長の歴史認識を伺います。あの戦争が正しい戦争だったのか、誤った戦争だったのか、どう認識していますか、お答えください。
 私は被爆2世です。被爆者の父は今年1月に亡くなりました。亡くなる前、孫に向かい「あげなむごい戦争はやっちゃーいけん」と語った言葉を胸に、被爆70年の今年、長崎市で開かれた原水爆禁止世界大会に参加しました。被爆者は今年で平均年齢80歳を超えました。被爆者の生々しい被爆体験と核兵器廃絶の思い、戦争につながる安保関連法案を許さない、心からの訴えを聞きました。
 広島、長崎での平和式典で広島市長と長崎市長による「平和宣言」がおこなわれました。広島市長は「核兵器は非人道性の極み、絶対悪であり、核兵器の廃絶をめざす」と明確に述べました。
 長崎市長は「日本国憲法における平和の理念は、つらく厳しい経験と戦争の反省の中から生まれ、戦後、我が国は平和国家としての道を歩んできた。戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点である」と語り、「70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている。政府と国会はこの不安と懸念の声に耳を傾けるべきである」と述べました。
 広島、長崎の両市長による「平和宣言」を聞いて市長はどう感じましたか。自らの言葉で憲法の平和理念の堅持と非人道的な核兵器廃絶の決意を示してください。

(市長)かつて、日本は進むべき針路を誤り、先の大戦への道を進んだ。広島や長崎への原爆投下をはじめとする戦禍により、多くの尊い命が失われた。戦争と核兵器の悲惨さを決して風化させることなく、その尊い犠牲の上にある現在の平和を未来に繋ぐことが、今を生きる私たちの使命。市長就任後、核兵器廃絶を目指す平和首長会議へ加盟し、他の指定都市へ積極的に働き掛け、全ての指定都市の市長が加盟されるに至っている。本年、戦後70年を迎え、広島、長崎両市長の平和宣言をお聞きし、非人道的な核兵器が大きな悲しみと苦しみをもたらしたことを、改めて胸に刻むとともに、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの思いを一層強くした。憲法における平和の理念は、変わらざる人類普遍の願い。世界文化自由都市を理念として掲げる京都市の市長として、世界恒久平和の実現に向けて、不断の努力を続ける決意。 
原発新規制基準は「安全神話」の復活
 
 次に、原発の再稼働と安全対策に関してお聞きします。
 多くの国民の不安を顧みず、8月11日、九州電力が川内原発1号機の原子炉を起動させ、約700日ぶりに原発が再び動き出しました。
 政府は「新規制基準に適合した原発の再稼働を進める」と言いますが、規制委員会の新規制基準はアメリカ、ヨーロッパの基準よりも劣り、「世界で最も厳しい基準」とする政府の主張に対して、規制委員会の田中委員長は「政治的というか、言葉の問題なので具体的でない」と否定しているではありませんか。また田中委員長は、「この基準に適合しても、安全とは言えない。適合イコール事故ゼロではない」と明言しています。まさに新規制基準は、再稼働のための抜け道づくり、「安全神話の復活」そのものでありませんか。
 市長にお聞きします。福島原発事故も収束せず事故原因の解明もされないまま、再稼働を容認する新規制基準が安全の根拠になると本気で考えますか。それとも最悪の「安全神話の復活」と認識しますか。いかがですか。
 市長は川内原発再稼働決定に際して「再稼働する場合には新規制基準を厳格に適用し、安全性を保障できるのか、わかりやすく説明する必要がある」とコメントし、事実上再稼働を容認する立場を表明しました。それでは「新規制基準を厳格に適用すれば安全性は保障できる」のでしょうか。原子力規制委員会が今年4月22日に全部改正した「原子力災害対策指針」では、①SPEEDIの活用の中止、②予測ではなくモニタリングによる実測主義、③PPAとして事前の防護措置を要するUPZ圏外(30キロ以上)の地域指定を検討することの削除、など住民の安全対策をおざなりにする改悪がおこなわれました。
 市長は、この3点について現状からの後退であり、改悪だとの認識がありますか。お答えください。
 30キロ圏外の住民には、モニタリングによる実測で放射能汚染が確認されるまでは行政は、対応せず、自己責任で対応せよという住民の安全と生命を二の次にするものです。しかも甲状腺被曝を予防するヨウ素剤の事前配布も効果がないとして実施しないことにしています。
 福島原発事故で原発から50キロ以上離れた飯館村に放射能プルームが到達し、深刻な被害を生み出した経験と教訓はなんら生かされていないではありませんか。高浜原発から50キロと言えば、京都市の大半が入るではありませんか。
 市長が、規制委員会のこんな新基準にしがみつき「安全性」を標榜することは、地方自治体の第一義的役割である「住民の福祉の増進を図る」責務の放棄ではありませんか。
 関西電力は、高浜原発3,4号機を今年11月にも再稼働するとしていますが、高浜原発は今年4月の福井地裁判決で再稼働差し止めの仮処分命令が決定されております。また昨年5月の大飯原発運転差し止め訴訟では「原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と画期的な差止め判決が出されています。市長は、福井地裁における二つの判決をどう受け止めましたか。「脱原発依存」と言うのであれば、でたらめな再稼働に反対するのがスジではありませんか。いかがですか。

(藤田副市長)原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を国に求め、中長期的には脱原発依存を強く主張し続けている。原発に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間、やむを得ず原発を再稼働する場合には、その必要性を明らかにし、新規制基準を厳格に適用して万全の安全性を確保するとともに、分かりやすく地域住民に説明し理解を得るよう国に求めている。また、原子力災害対策指針の改正内容は、福島第一原発事故の教訓やIAEA(国際原子力機関)の安全基準を踏まえたものと承知しているが、UPZ外の防護対策をより確実なものとするための緊急時モニタリング体制の整備などについて、関西広域連合として国に対して申し入れを行っている。なお、高浜原発及び大飯原発に関する判決等について、控訴審等で引き続き審理が行われていることや、他の裁判では異なる判断が下されていることから、今後の推移を注意深く見守る。

 市長の答弁で、核兵器について非人道的兵器と認め、二度と戦争の惨禍を繰り返してならない、との答弁は、重く受けとめたい。しかし、またもや戦争法に対する認識・答弁をされなかったことは、まことに残念であり、問題であります。立憲主義に対しても態度を表明されませんでした。このことは、国民が抱く「戦争法反対、憲法違反。立憲主義を踏みにじるもの」との認識に市長は立たず、現状を黙認しているものと言わざるを得ません。また、副市長は、戦争法は国の問題、国会で議論され、議決されるもの、との答弁がありましたが、それで済まされません。戦争には国も、自治体の区別もありません。この問題に正面から向き合わなければ住民の命も安全も守られない、ことを強く指摘しておきます。
関電の電力料金値上げに関して 
 続いて、関電の電力料金値上げに関して伺います。本日から家庭用電気料金を平均8・36%値上げし、標準家庭で一か月あたり約8500円となり、全国で最も高い料金となりました。さて、この値上げに必要性と合理性はあるのでしょうか。
 料金値上げは、市民生活と京都経済に重大な影響を及ぼします。6歳の息子と暮らすあるシングルマザーは「月収約13万円。自宅で冷暖房を使わないよう休日は子どもとショッピングセンターや図書館に出かけて過ごす。増税や物価の上昇もあって貯金もできない。数百円であっても電気代の値上げ分はつらい」と語り、従業員5人で溶接業を営なむ男性は「溶接の仕事は電気を使うので大幅に節電はできない。値上げは死活問題だ。他に方法はないのか」と怒りの声をあげています。
 関電は料金値上げの理由として、原発が稼働していないことによる火力発電の燃料費コストをあげていますが、原油価格は昨年後半から半分以下に下落しています。なにより、原発依存の経営体質に問題があります。関電は原発依存率が51%で電力9社の中で断トツのトップです。その結果、火力発電の経営コストを下げる努力を怠ってきました。また関電の経営陣は2年前の値上げの際に役員報酬1800万円を維持し続け、今回200万円減額するものの、経営陣の失敗を市民に押し付けながら1600万円の役員報酬は高すぎます。
 さらに関電は、稼働していない原発プラントの維持、管理のために2014年度2988億円も使い、さらに稼働していない日本原電にも契約に基づき、電力を購入もしていないのに年間300億円も支払っています。これで原発を稼働させればさらに燃料費や使用済み核燃料の再処理費用がかかり、老朽原発の延命のための「安全」対策費用も高額となり、核のゴミの最終処分や廃炉にかかる費用、万が一の事故対策費用も不透明です。結局、原発が「安定して、安価」と言うのは電力会社のつくりだした、それこそ神話でしかありません。関電のいう「原発を再稼働すれば電気料金の値下げができる」とのキャンペーンは原発維持経費などの負担を隠ぺいした説明であり、市民を欺くものであります。原発に依存し再稼働を行えば値下げどころか、更なる電気料金値上げの悪循環をつくりだすだけではありませんか。
 中小企業の営業と市民生活を守るために、関電に理不尽な値上げの中止を求めること、原発維持経費負担などの隠ぺいをやめて、経営の現状を正確に市民に伝えるよう求めていただきたい。市長の見解をうかがいます。いかがですか。

(塚本副市長)関西電力に株主提案を行い、安価で安定した電力の供給や経営及び事業に.関する最大限の情報開示による透明性の確保、「脱原発依存」を柱とした経営方針への大改革などを強く求めてきている。わずか2年で2度の大幅な電気料金の値上げは、市民生活や中小企業の経営に重大な影響を及ぼすことから、 徹底した経営の効率化による値上げの回避や値上げ幅の抑制、十分な説明責任を果たすことなどを、市長自らが関西電力の幹部に直接要請、株主総会において意見表明を行うなど、あらゆる機会を捉えて繰り返し申し入れてきた。「エネルギー政策推進のための戦略」に基づき、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの普及拡大に取り組む。
市政運営に関して 市民のくらしと営業は全国最低クラス
  
 次に市営運営に関してお聞きします。門川市長は、2007年12月の市長選挙出馬表明記者会見で「乾いたタオルを絞るような更なる行政改革が必要」と言い切り、一期目から国の構造改革路線を積極的に受け入れ、市民負担増の市政運営を進めてきました。
 さらに二期目になると、2012年3月に「持続可能な財政の確立」の名のもとに「京プラン」実施計画を策定し、社会福祉関係経費250億円の削減、職員約700人の削減など目標と計画を掲げ、その結果を社会福祉関係経費を4年間合計310億円も削減し、職員数も857人削減し、目標超過達成したといいます。また、14年度決算で全会計の連結実質収支が黒字343億円となり、「財政健全化の取り組みを着実に推進している」と述べていますが、その認識でいいのでしょうか。
 立命館大学の平岡和久教授と森裕之教授は著書のなかで「自治体財政の目的は住民の幸せであり、それを忘れた財政健全化至上主義であってはならない。財政削減を優先して住民サービスを切り捨てる『不名誉な黒字』とともに、国による財政削減の下でも住民サービスを維持する『名誉な赤字』がありうる」と述べ、「住民の生活権より財政健全化を優先するのは本末転倒である。財政健全化で問われなければならないのは、自治であり、公共性であり、民主主義である」と財政健全化至上主義を強く批判しています。
 職員削減は行政の公的責任の低下をもたらします、職員の負担が過重になり、本来増やすべき災害対応の職員配置がおこなわれず、2013年の台風18号の際には民間委託していた小栗栖排水機場のポンプが人災により停止し、618件が浸水するという重大な被害が発生しました。消防職員も7年間で182人も削減され、市民の暮らしの安全・安心が脅かされています。さらに、2014年11月から市民税・固定資産税賦課業務の集約化として市税事務所を発足させ、区役所から職員を引き上げ、税務相談や災害対応など市民に身近な区役所機能の低下が引き起こされています。2014年9月には「ごみ処理業務のさらなる改革」としてごみ収集業務の7割を民間委託し、さらなる職員削減を図ろうとしています。災害時のごみ収集などに行政の責任が持てなくなり、市民サービスの後退は必至ではありませんか。さらに公的事業を民間企業の営利活動に提供してきました。市立病院院内保育所「青いとり保育園」が民間委託されました。委託当初は賃金と労働条件が大幅に引き下げられ、さらに今年4月にはこれまで働いてきた職員が一人も残れず、保育の継続や雇用の継続が断たれるという異常な事態が引き起こされています。
 行政が公的責任を放棄すれば、市民に困難が押しつけられることは明らかではありませんか。「京プラン・実施計画」のさらなる継続をやめるよう強く求めるものです。
 7年間の推移を数字で見れば、門川市政で市民のくらしと営業は全国最低レベルに落ち込んでいることは明瞭であります。このパネルをごらんください。
・非正規雇用者割合は43・7%(2012年総務省調査)で政令市ワースト1。なのに、雇用創出担当部長を廃止しました。
・合計特殊出生率は1・16人(2008~2012年の平均値・厚労省統計)で政令市ワースト2。なのに、子どもの医療費の独自上乗せはありません。
・事業所減少は2009年と比べて7640事業所が減少(2009年を100とし2014年の増減・総務省料)で政令市ワースト2の減少率です。その上4分の3の企業が赤字経営に苦しんでいます。
・国保料差し押さえは今の市政で4倍化(2007年528件、2013年2341件)となっています。
 門川市政の7年間で市民の負担増とサービス切捨てを押し付けた結果、市民の暮らしは全国最低クラスになっているこの事実をお認めになりますか。

(市長)徹底した行財政改革の断行によって捻出した財源を活用し、この8年間で社会福祉関連経費は1792億円から2489億円に増額する等、市民生活を支えるため、全力で取り組んできた。保育所の新設や増改築等により2年連続待機児童ゼロを達成。保育所等利用者の小学校入学前児童に占める割合は、政令市平均を11ポイント上回る全国トップ水準の44、1%に。また、3人目の保育料無償化を更に拡大し、保育料を本市独自に国基準の約64%に軽減する等、更なる充実を図った。国民健康保険についても、今年度制度創設以来初めて、全ての保険料率を引き下げ被保険者の負担軽減を図った。京都経済の活性化については、オール京都体制で中小企業の下支えと成長支援に取り組み、1人当たり市民所得の平成24年度の順位は政令市で4位に上昇、府内の有効求人倍率も16箇月連続で1倍を超える等、市民所得向上と雇用創出を着実に図ってきた。平成23年以降、本市の転入超過数は毎年増えている。市民の命と暮らしを守る取組が大きく前進しており、市民の暮らしは全国最低クラスになっているとの指摘は全く当を得ないもの。引き続き、本年度が総仕上げとなる京プラン実施計画を着実に推進し、市民の皆様の安心安全な生活をしっかりと支える。
市民の声に耳を傾けず、市政に混乱持ち込む
 
 その一方で、門川市政は市民の声に耳を傾けず、市長の強引な市政運営によって、市政に混乱を持ち込んでいます。
 第一に、市内高速道路未着工三路線に関して、計画の破たんは明らかであり、きっぱりと廃止を明言すべきではありませんか。

(建設局長)未着工3路線については、その廃止も含めた抜本的な見直しを進めているが、都市計画法の手続きを経て決定された施設であることから、「京都高速道路検証専門委員会」で議論している。委員会では、高速道路3路線の整備により一定の効果はあるものの、時間短縮や一般道路の渋滞緩和などの効果は、限定的であるとの意見が出ている。一方、高速道路3路線を廃止した場合、堀川通がJR東海道本線と交差する部分において、6車線が4車線と狭くなっており、日常的に交通渋滞が発生しているため、何らかの有効な対策が必要である等、いくつかの課題について指摘もある。このため、現在、これらの課題の解決策を検討しているところであり、その結果を踏まえ、結論を見出していく。
 第二に、南部クリーンセンター第二工場に建設予定の展望台とバイオガス化施設の計画です。有料化財源から2・5億円も使って、学習施設になぜ展望台が必要なのか、展望台建設計画は白紙撤回すべきです。
 また、家庭からの「燃やすごみ」を対象にした本市のバイオガス化施設です。本来のバイオガス化事業は自然エネルギーの活用策として否定するものではありません。しかし、本市が計画するバイオガス化施設は、兵庫県南但クリーンセンターでの施設とともに全国的に2例しかありません。この施設は1年半前から26回のトラブルが発生しています。本市には苦い経験があります。完成しながら、まったく使い物にならなかった焼却灰溶融施設を契約解除してメーカーに返却して損害賠償請求の訴訟を起こしているではありませんか。このままではその二の舞になってしまいます。本市のバイオガス化施設はキッパリと断念するよう求めます。

(環境政策局長)環境学習施設を併設した、市民の皆様に親しまれる施設として、整備を進める。煙突に併設する展望台は、京都ならではの自然景観を一望できることから、将来にわたり、より多くの方々にクリーンセンターにお越しいただき、ごみ処理の仕組みや技術等をはじめとする環境学習の機会、ごみ減量等の具体的な行動につなげるきっかけとなるもの。また、クリーンセンターのイメージを一新するもの。
 バイオガス化施設は、エネルギー回収の最大化と温室効果ガスの削減を実現できるもので、技術的にも確立されており、既に全国で20を超える施設が稼働している。南但クリーンセンターについても、現地調査の結果、バイオガス化施設本体のトラブルではなく、前処理設備でごみが絡み付くなどの軽微な不具合が殆どで、既にトラブルは解消されており、操業には問題ないことを確認している。平成31年度の稼働を目指し、着実に整備を進める。
 第三に、四条通りの歩道拡幅・片側一車線化が市民生活に及ぼす影響です。2010年に策定した「歩くまち・京都」総合交通戦略では、「四条通りのトランジットモール化」をシンボルプロジェクトにして、基本方向を歩道拡幅とともに公共交通優先と自動車の利用制限などを取り組むとしてきました。
 ところが、実際には一般車両は何ら制限することなく、歩道拡幅の工事に着手した結果、春の行楽シーズンで大渋滞が発生し、5月市会で市長は「パーク&ライドの利用促進など自動車流入抑制に取り組む」と答弁しましたが、なんら抜本的解決にはなっていません。本市の「歩くまち・京都」総合戦略の初心に立ち返り、公共交通優先と自動車の流入抑制のための具体的な規制を基本とする総合交通体系の確立を急ぐよう求めます。

(市長)脱「クルマ中心社会」の実現を目指し、総合的な交通戦略を推進してきた。まちなかの賑わいの創出を目的に、地元や関係者の皆様と約8年にわたる議論を経て、昨年11月に工事着工。平成19年に一般車両の流入規制を伴う社会実験を実施したところ、お住まいの方や事業者に対して、大きな影響が生じた。この結果も踏まえ、流入規制ではなく、流入抑制策を中心とした取組をすすめている。今年の桜のシーズンには、大幅な渋滞が発生したため、信号制御の見直しや迂回誘導とバス停車時間の短縮の取組など進めてきた結果、9月の5連休においても、ゴールデンウィークと同様大きな混雑は生じなかった。パークアンドライド駐車場の拡充や、公共交通の利用を促進する広域的な広報の実施など、「歩くまち・京都」総合交通戦略に基づき全市的な自動車流入抑制策をしっかりと進める。
 第四に、世界遺産に登録されている下鴨神社への大型倉庫とマンション建設計画、二条城東側空間整備基本計画における北西側の緑地帯への観光バス第二駐車場計画です。
 下鴨神社の大型倉庫建設計画の予定地は、世界遺産のコアゾーン。市街化調整区域でもあり、大型倉庫建設は認めてはなりません。また、糺の森の一画である地域へのマンション建設も論外です。バッファゾーンであるからと言ってマンションン建設が許されるものではありません。そもそもバッファゾーンは、世界遺産の価値を損なわないように開発が規制される区域となっています。しかも本市は国にバッファゾーンへの法的規制を求めているではありませんか。大型倉庫と投資型マンションの建設計画を絶対に認めてはなりません。市長の決意をうかがいます。
 二条城北西側の第二駐車場計画は、東側空間を「世界遺産にふさわしい威厳ある姿に生まれ変わらせる」ために、同じ世界遺産の範囲に指定され、しかも風致地区にあたる北西側に植えられている松、桜、紅葉、柳、楓、など130本の樹木を伐採し、アスファルトに整地し、観光バス20台分の駐車場にしようとするとんでもないない計画です。新聞の投稿でも厳しく批判されています。そのなかで「今のバス駐車場の北側に隣接する普通駐車場をバス駐車場に変えれば問題は解決する」との提案もされています。先日の説明会でも同様の意見が出されていました。私もそう思います。住民の合意がない、世界遺産の景観を破壊する第二駐車場整備の白紙撤回を求めますが。

(小笠原副市長)美観風致審議会による審議を経て、北側の糺の森と一体となる森づくり、神社周辺の街並みを彷彿とさせる景観の創出、森の中に佇む和風集合住宅の整備が行われるもの。糺の森に隣接する当該計画地は、ゴルフ練習場や駐車場で手入れが行き届いていなかったが、本計画の実施により、世界遺産・下鴨神社の価値をさらに向上させるものとなる。販売については、地域の活動を行っていただくことなど事業者に伝えている。投資目的とならないよう短期の売却を行わない、将来にわたって下鴨神社の氏子として、継続的な神社の保全活動に奉仕などを条件に入居していただくこととされている。祭礼に用いる道具等を収蔵する祭事庫については、木造平屋建てとするなど、神社境内地の景観に調和したものであり、既に必要な手続きは全て完了している。
 二条城東大手門を中心とする正面玄関の整備は世界遺産・二条城にふさわしい景観を創出するとともに来城者、歩行者等の安全性を高めるために行うものであり、これに伴う北西角へのバス駐車場の設置は規模の縮小も視野に入れつつ検討を進め、地域の皆様にも、丁寧に説明していく。
 第五に、リニア中央新幹線についてお聞きします。昨年10月にJR東海の工事実施計画の国土交通大臣の認可がおろされましたが、地方自治体や地域住民との矛盾が拡大しています。リニア建設は、①各地でトンネル工事による発生残土処理や水枯れ・出水など自然と生活環境破壊を引き起こし、②過大な需要予測による採算性が懸念され、③省エネ・電力節電を強調しながら大量の電力消費が必要となり、④時間距離の短縮によるストロー現象が発生し、東京一極集中がさらに加速するなど、様々な矛盾と弊害を生み出しかねません。
 さらにリニア駅建設地の自治体は、周辺開発計画策定のための調査費を計上し、再開発事業、区画整理事業が検討され、すでに名古屋駅・品川駅周辺は超高層ビルなど大規模再開発事業が計画されています。
 関西広域連合は、東京・大阪間の全線同時開業をかかげ、市長は「リニアを京都へ」と新駅誘致を主張していますが、計画そのものが地方自治体と地域住民に様々な矛盾と弊害を生み出すとの認識はありますかリニア中央新幹線建設計画の中止と見直しを国とJRに求めるべきと考えますが、いかがですか。

(小笠原副市長)大切な社会基盤。リニア中央新幹線は、三大都市圏を約1時間で結ぶ、新たな国土軸を形成するもの。国土の均衡ある発展にとって極めて重要なプロジェクト。整備に係る採算性や消費電力などについては、国の交通政策審議会において議論したうえで、整備の妥当性を判断しており、 国土交通大臣がJR東海に対し、発生土や水環境等について具体的な措置を講じるよう求めている。リニア中央新幹線の整備は、全線同時開業しなければ、東京一極集中を更に加速させることになる。ルートについてもリニアを前提とした法に基づく検証が必要。このため、引き続き国に対して、「大阪までの全線同時開業」を求めるとともに、「関西国際空港への延伸」、「京都駅ルートの実現」を粘り強く訴えていく。

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