北区選出の玉本なるみです。日本共産党市会議員団を代表し、市長に質問します。
はじめに、高齢者の暮らしの現状等から、今回の予算がどのように影響するのか、老人医療費支給制度や介護保険制度、敬老乗車証の見直しについて質問します。
老人医療費支給制度の拡充を
まず、老人医療費支給制度についてです。この制度は65歳~70歳までを対象として医療費を1割負担とする唯一つ府下市町村統一で行っている全国でも誇れる制度です。しかし、4月から負担割合を2割に引き上げる提案がされています。70歳~74歳までの窓口負担を2割に引き上げた国制度の見直しとの整合性を図ることを理由にしています。これにより、すでに1割負担に軽減されている2万人余りの方が、医療費が2倍の負担になります。さらに、対象者を世帯全員が所得税非課税の方に狭めるという提案になっています。
65歳以上になると、ほとんどの方が年金のみの暮らしとなり、医療機関にかかる頻度も高くなる年代です。制度見直しの根拠としている2007年9月の全市町村と京都府の懇談会で確認した見直し案から、すでに7年以上経過しており、社会経済情勢は大きく変化しています。年金は2000年度から4・2%引き下げられており、今年の4月にはさらに0・5%の引き下げ予定です。おまけに昨年4月からの消費税増税で高齢者の暮らしは非常に厳しい状況にあります。このことを考慮するならば、医療費の負担を増大させる提案は撤回すべきです。
近年、外来通院で抗ガン治療を受けられる方が増加しています。薬の種類によって違いはありますが、ある66歳の方の化学療法の費用は1割負担で昨年10月が3万1340円、11月、12月も3万円弱の負担で、3ヵ月の化学療法の費用だけで8万9110円でした。1割負担でも、年金生活者にとって厳しい出費です。それが2割になると、3ヵ月の治療費の合計は倍になるわけですから、17万8200円です。これに加え、診察代や検査代もかかります。年金生活で病気で苦しんでいる上に、多額の医療費の負担でさらに苦しめることになります。癌などの病気になれば、生活破綻となることに対して、市長はいかに考えますか。「1割負担で助かった」と喜んでおられる方々に鞭打つのではなく、現行制度の所得制限は維持し、対象は65歳から74歳までに引き上げるべきです。高齢者の医療費負担を増大させる提案は撤回すべきです。いかがか。
(藤田副市長)新たに70才になった方から国が自己負担を2割にした制度との整合性などを、府及び府下市町村と検討してきた。制度の維持、持続可能性のため、老人医療費支給制度の自己負担を2割にし、対象を所得税非課税世帯のみとすることを確認した。現行制度のまま対象者を74才まで拡大することは多額の経費が必要であり、到底困難。
介護保険制度について
次に、介護保険制度の利用者負担について質問します。今回の介護保険料の値上げは、基準額で月額640円、年間7680円の負担の増大となります。年金は削られ、生活が厳しくなる中でのさらなる負担の増大は限界に来ています。
高齢者の皆さんからは、「これ以上生活費を切り詰めるところはない」「少ない年金で暮らしていけず、貯金を取り崩していよいよ底が見えてきた。不安で夜も眠れない」「早う死ねと言われているのと同じや」等などの声が寄せられています。ご苦労されてきた高齢者にこんなことを言わせ、高齢者の暮らしを苦しめることは許せません。保険料の値上げは撤回すべきです。そのためには、国に対しても負担率を引き上げることが求められます。いかがですか。
さらに利用料では、8月から現在の1割負担が2割負担になる方が20%あるとされています。確実に利用抑制が起こります。一定の収入がある方といいますが、その分、医療保険料や介護保険料の負担も多くなっています。訪問リハビリを週2回利用されているある方は月7000円程度の利用料を払っておられますが、2倍になると1万4000円になると説明を受け、「もうやめようかと思う」と言っておられました。そうなると要介護度の後退が起こりかねません。せめてこれまで通りの必要な介護サービスが受けられるように市独自の補てんを行い、利用料は1割にすべきです。いかがですか。
次に、介護報酬の引き下げによる事業所運営の影響と対策について質問します。今回2・27%の引き下げとなっていますが、介護職員の処遇改善や、認知症・中重度ケアなどの加算を除くと実質的には4・48%の過去最大規模の引き下げとなります。改定がこのまま実施されれば、多くの事業所がかつてない深刻な経営困難に陥り、介護サービスの大幅な後退をまねくことは確実です。
特別養護老人ホームはマイナス約6%の報酬です。今でも全国の特養ホームの3割が赤字経営です。全国老人福祉施設協議会は、今回の改定で5割近くが赤字になるとの試算を発表しています。全国で特養ホームの待機者は52万人、京都市でも昨年10月現在、5722人ですが、今後、特養ホームを実施しようとする法人は減り、人の確保ができない上に、既存施設の運営も困難を極めます。
利用者にとっても、特別養護老人ホームの相部屋利用料として、月1万5千円程度の部屋代が徴収されることになります。これでは利用者と事業者の両方を追い詰めることになります。
介護老人保健施設の中には、年間1000万円~1500万円の赤字が発生すると試算されているところもあります。
さらに、今回の報酬で最も大きなマイナスとなっているのは、通所介護のデイサービスで、小規模型の場合、要介護はマイナス9%、要支援の場合は20%も引き下げになっています。市町村が実施する地域支援事業への移行を加速する狙いが見えていますが、移行どころか、早くも多くの事業者の方が、続けられるか悩んでおられます。
ある小規模のデイサービスセンターでは、管理者の給料はなしにして、現在でもぎりぎりの経営でやっておられます。この間、利用者の入院が3人もあり、その上に9%の報酬カットになるとやっていけないので、廃業しようかと考えているとおっしゃっていました。
その他にも、通所リハビリにおいて、利用期間を3ヵ月、6ヵ月と区切り、報酬が激減する仕組みが導入されます。訪問看護もマイナス改定になるなど、多くの事業者が経営困難に陥る状況にあります。
京都市は事業所に対して、状況調査を行い、相談も含めた特別な体制を取り、事業所が経営困難を理由に閉鎖・廃業することがないような対策を取るべきです。そして、国に対して公的介護保障を土台から崩す改悪は中止・撤回し、引き続きこれまでのサービスが受けられるようにするなど強く要望すべきです。いかがですか。
京都市の責任で行うことになる地域支援事業については、2015年度から要支援サービスを介護保険から外して市町村による地域支援事業に移行を行う自治体は全国でわずか7・2%です。多くの自治体から「ボランティアなど受け皿がなく、移行は困難」「サービスが低下し、重度化が進む」との声が上がっています。京都市としての移行は2017年度からということですが、拙速にすすめるべきではありません。改定介護報酬は2月6日に明らかになったばかりです。どの事業所も現在、経営も含めて運営できるのか試算をされています。安上がりのサービスの転換とならないよう指摘しておきます。
(藤田副市長)介護保険料は大幅な増額が避けられない中、国に要望し、新たな公費の投入で、低所得者の保険料を軽減し、最も低い区分の保険料は概ね5期と同額とした。減免制度は継続する。介護保険は全国一律の制度であり、利用料負担増はお願いする。影響は1号被保険者の3%と見込んでいるが、高額介護サービス費があり全ての人が2倍にはならない。介護報酬は、国において、経営実態を把握し、ニーズやサービス確保の観点をふまえて改定されるものであり、報酬改定に伴う廃業等の事態は起きないと考えている。
敬老乗車証の見直しは中止せよ
次に、敬老乗車証の制度について質問します。京都市が敬老乗車証のあり方の参考にしている神戸市では、無料から2008年の有料化により、利用率が76・5%から48・5%に激減しました。2010年から1回乗る毎に100円の負担になっていますが、年々利用率は下がり続け、2013年度決算では、34・3%まで減っています。京都市は2005年度に無料から一部負担金の有料化となり、70%の交付率から今年度、平均49・8%まで低下しています。神戸市の制度のように1回乗る毎の負担に変更すると、さらに利用率は下がり、本来の高齢者の社会参加を促す役割が後退することは明らかです。
敬老乗車証の制度の見直しの方針が打ち出されてから、市民から京都市には、現行制度の継続を求める1万6900筆に及ぶ署名が寄せられています。利用者からは「敬老乗車証は宝物のように大切に使わせてもらっています」「高齢になると買い物で重い荷物は持てなくなる。だから、小分けにして買うようにして買い物に行く回数を多くしている。それが運動にもなると思っているのに、1回乗る毎の負担では回数を減らすことになる。」「一人暮らしだと、3日ほど誰とも口を聞かないこともあり、気分も暗くなる。出かけることへのブレーキになってしまう」との声が寄せられています。
この間の説明では、社会参加の保障として無料乗車できる仕組みを作り、交付率も上げると言われていますが、無料分を付けることで、敬老乗車証の申請数を増やし交付率が上がるというような見込みは、真の交付率とは言えません。実質の利用状況を増やし、高齢者の社会参加、通院や買い物を保障することが重要なのです。
ICカード化による敬老乗車証を検討していくとのことですが、一体どうなるのかと不安の声が多く出されています。パブリックコメントでも多数寄せられた通り、1回乗る毎に負担を強いる改悪の方針は撤回し、現行制度の継続を行うべきです。そして、今年9月の更新は現行制度で対応するのかお答えください。ここで一旦答弁を求めます。
(保健福祉局長)社会参加を促進しつつ世代間の負担の公平をはかりながら持続可能なものとする。一定回数までは無料、その後は利用ごとの相応の負担をお願いする。ICカードを活用した制度設計に向け検討調査を行っている。事業者、関係者の理解、システム開発が必要であり十分時間をかけて検討する。
ご答弁いただきましたが、まず、高齢者の暮らしの実態を踏まえ、負担の増大がいかに生活を圧迫させるかを認識すべきです。介護報酬引き下げによる廃業などの影響はないというご答弁についても、政府の試算は机上の空論と言わざるを得ません。実際に廃業を考えている事業者はいくつもあります。京都市は、事業所の実態をしっかりと調査し、対策を取ることを再度求めておきます。
生活保護制度改悪の影響について
生活保護制度改悪の影響について
次に、生活保護制度の改悪に対する影響について質問します。2013年8月から史上最大の生活扶助基準の引き下げが段階的に実施されてきました。その規模は平均で6・5%、最大10%の引き下げであり、すでに非常に厳しい生活が強いられています。今年4月にも引き下げの予定です。その上に今年7月から住宅扶助費の引き下げ、11月からの冬期加算の減額が既定路線として進められ、不安の声が広がっています。社会保障審議会生活保護基準部会の論議の資料を見ても、生活保護世帯の居住環境が劣悪な事は認めています。住宅扶助基準の引き下げは混乱を招くことになります。現在の単身世帯の住宅扶助額4万2500円でも、対象となる住宅を探すのは大変です。厚労省の示す自治体の具体例では1級地の京都市の場合、単身者で3000円減額、2人世帯では8000円もの減額、3~5人世帯でも4000円の減額となります。引っ越しするということになればさらに、劣悪な住居環境になることが懸念されます。環境が変わることで、地域でのネットワークが壊れ、体調も崩す方も出てくることになると思います。子どもさんのいるご家庭では学校の関係もあり、国の勝手な制度改悪で、暮らしを振り回すことなど許されません。生活保護世帯が今後の制度改悪において、厳しい住居環境を強いられ、困窮することへの問題をいかに認識しておられますか。生活保護基準の引き下げは国民の暮らしの水準を引き下げることになることをいかに認識されていますか。
国の制度に翻弄されるのではなく、市長の判断で、住宅扶助の減額分を市として補てんしてでも、保護世帯の住居環境を守るべきです。
冬期加算の減額も、京都市の底冷えがする寒さの中、今でも、節約して暮らしておられるのに、灯油やガス、電気等の暖房費を削るなんてことはあり得ません。最低でも現在の水準を維持できるような支援策を作るべきです。お答えください。
(市長)生活保護基準は、国で、社会保障審議会の検証、物価の下落を反映した見直しがされている。他の福祉施策に影響しないように対応している。住宅扶助の見直しは、各地域の実態や家賃物価の下落をふまえたもので、住環境にも配慮される。冬季加算の見直しは光熱費支出額の地区別の実態や、光熱費物価の動向をふまえた世帯人数別、級地別の格差是正が行われる。具体的には国で検討中。必要な人に必要な保護を実施し、自立支援を充実し、必要な制度改革を提案する。
少人数教育の実現を
次に、少人数教育の実現について質問します。来年度の国の予算編成に向けて、財務省は「35人学級は教育的効果がない」などと暴論を展開し、「40人学級に戻せば4000人の教職員が減り、86億円が削減できる」と主張しました。財務省が要求した小学1年生の40人学級復活は、少人数学級の拡充を望む教育関係者や父母らの世論と運動により中止に追い込まれました。しかし、文部科学省が求めていた、少人数学級推進にも使える教職員定数の増員は見送られ、前年比で100人の純減となった影響が心配されます。学校現場が抱える問題は年々複雑化しています。学習障害の子どもへの配慮やいじめ対策としても、少人数学級の環境を整えることこそ、教育委員会に求められています。いじめ防止条例策定の際に実施した意見募集で、子ども達から「先生に見ていてほしい」という意見が多く寄せられました。当然、しっかり子ども達を見るためには、対象人数を少なくすることです。山形県では2002年度から、21人~33人の少人数学級編成にするプランが導入され、現在は小学校、中学校に拡充されています。その成果は歴然として現れています。不登校の出現率が年々減少し、平成24年度で0・22%になっています。ある教員の方は「クラスが30人以下であれば、どの子が授業を理解しているか、どの子がつまずいているのかが分かります。小さなうなずきや目の輝きがつかめるようになった。丁寧な指導をしようとすれば35人編成でも子どもの数は多い」と述べられています。これこそ今、求められている教育ではないでしょうか。今月23日の衆議院予算委員会では、日本共産党議員の質疑の際に、安倍首相は「35人学級の実現に向けて、努力をしていきたい」と述べ、中学までの全学年で35人以下学級の実現をめざす意向を示しました。京都市として、今こそ決断の時ではないでしょうか。
もう一つの大事な観点は、教職員の負担の改善です。昨年9月1日現在では21名の教師がメンタルヘルス系の疾患で休職しています。教師の負担が大きいことを表すものです。志をもち、教師になった方々の健康を守り、教師として成長していく為にも、負担の軽減は急がれる問題です。そして、教師が元気に働けることが、子ども達にとっても大きなプラスになります。
まずは、小学3年生に35人学級を拡大し、中学3年生と同じく、全学年に30人学級を実施すべきです。先進事例にも学び、少人数学級を実践し、国に対しても早期実現のために予算を求めていくべきです。
(教育長)小学校1,2年生で35人、中学校3年生で30人学級を独自で実施。教員一人当たりの児童生徒数は、政令市では最も少ない。全学年での30人学級の実施は80億円が必要であり、実施は困難。国や府に要望する。スクールサポーターや総合育成支援員、校務支援システムなど教職員の負担軽減を行っている。
賀茂川上流の環境と美しい北山の景観保全をすすめよ
最後に、賀茂川上流の環境と景観保全について質問します。昨年末、賀茂川上流の産業廃棄物処理業者が委託基準違反等の廃棄物処理法違反で、許可取り消しとなりました。その結果、現在、賀茂川上流の廃棄物処理施設はすべてなくなっています。徹底した調査と対応に敬意を表します。
そこで問題は、平成9年以前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、小規模な廃棄物処理場については、許可なく民地に埋め立てることが許されていたため、多くの産業廃棄物が埋め立てられていることです。この間の台風や大雨により、川岸が削られ埋められていた産業廃棄物が、河川に散乱し問題となりました。本来、埋め立てをした業者が処理すべきですが、すでに業者が特定できないところもある中、昨年、民間ボランティアの協力を得て、河川内の産業廃棄物は処理されました。しかし、川岸にはまだまだたくさんの産業廃棄物が露出しており、今後大雨が降れば、次々と川に流れ落ちてくる可能性があります。護岸に放置された産業廃棄物を後世に残さない為にも、京都府と協調し、対策をとるべきです。そして、私は今回を機会に今後、美しい賀茂川上流に産業廃棄物処理施設を設置させない仕組みを作るべきと考えます。
すでに、平成19年に京都府において鴨川条例が制定され、賀茂川上流に隣接する民間私有地を賀茂川環境保全区域に制定し、残土などの埋め立ては規制しているはずですが、実際は産業廃棄物が混じった残土をショベルカー等で作業する実態はあります。不法投棄場とならないように中の様子がわからないようトタン塀があちこちに建てられており、その結果、中での作業の様子がわかりにくい状況があります。
上の写真はトタン塀の、ほんの一部です。そして、下の写真は、京都市森林組合の切り出した木材のストックポイントですが、木製の柵で、周りの景観とも融合したものとなっています。このような景観に考慮したものに変更させていく取り組みを進めるべきです。
私有地の土地に、産業廃棄物であっても、自らが出した廃棄物を置いても罰せられるものではないということですが、本来、賀茂川上流域の土地には、一時仮置きも含めて厳しい規制をかけ、産業廃棄物などは置かせないようにすべきです。現在、高く積み上げられまだ残っている上村組の産業廃棄物はなるべく早く撤去させることと、景観上、トタン塀などもなくし、清流とともに美しい北山の景観も守る取り組みを提案します。いかがですか。お答えください。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
(塚本副市長)市街化調整区域であり、産業廃棄物処理施設は、今後設置を許可することはない。自ら排出する産業廃棄物の一時保管は届け出の義務や保管基準が定められており、遵守されるようパトロールを強化するとともに、囲いやトタン塀も含め景観に配慮するよう設置者に強く求める。上村組の廃棄物は全て撤去するよう指導し、撤去がすすんでいる。また、違反建築物についても是正指導に応じる姿勢だ。引き続き指導・監視を継続する。賀茂川上流の違反建築物は一斉立ち入り指導で命令や代執行など厳しい姿勢で臨む。府にも責任を果たして頂くよう申し入れ、環境と景観の総合的な保全に取り組む。